ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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クトゥルフ神話TRPGをやろう!②

 

 まず公安2人から導入を始めようと思うなり。

 

 俺はペタリと部屋に幻影を貼り付けた。

 会場となる木守市の景色だ。

 なんの変哲もない住宅街の街並みが立ち上がり、降谷さん達がわずかに目を見張る。

 

「この木守市では行方不明が相次いでいる。戻ってきた事例は今のところ見つかっていない。降谷さん達はこの事件の調査に来たわけだ。まだ怪異とも断定できないので、管理番号はまだ振られていない」

「A番(怪異疑い管理番号)はついているのか?」

「そっちならあるよ。そうだな、A20260122-003とでもしておこうか」

 

俺がそう言うと、諸伏さんが軽く手を上げて発言した

 

『行方不明者のリストはあるか?見たいんだが』

「あるぞ。いままでで24名、こんな感じ」

 

 雰囲気を盛り上げるため、A4の用紙に行方不明者のリストを作成して手渡す。

 コナン君が飛びつこうとしたので「ハァイ!野生の小学生は見れるわけないよ!」と静止する。

 コナン君は憮然として星の精をモチモチした。

 

 降谷さんがリストを見て唸った。

 

「共通点はこの市内在住、ということ……いや。ちらほら遠方の人間が混じっているな」

「それは市内のホテルへの宿泊客ってことで調べはついてるよ。特にその3行目の人。行方不明時刻はわからないが、夜中に夫がトイレに行ったまま帰ってこない、という通報があって発覚したみたい」

 

 諸伏さんと降谷さんが軽く視線を合わせて頷いた。

 「宿泊。つまり夜がキーということか」とどちらともなく言葉を合わせた。

 

「僕らが上から言われているミッションは?」

「原因の怪異特定、できれば再発防止方法の究明をしてほしいらしいよ」

「………行方不明者の発見はどうなっている」

「神のお告げだよ。きっと行方不明者は生きてはいないから、そっちはついででいいって」

 

 まあ、設定上登場する俺の声だ。

 ちょっとしたフレーバーとも言う。俺ほど首突っ込んでこない神を想定している。

 降谷さんが眉間に皺を寄せて言った。

 

「というか、君はいるのか?ここ。いるなら話聞きに行きたいんだが」

「黄衣さんがいるとヌルゲーになりすぎるのでいません。神の声ことヒントだけの出演です」

『居ないのかぁ。結構困るな。黄衣の存在の大きさを改めて感じる』

 

 諸伏さんが唇を尖らせて不満を露わにした。

 というか、俺が居たらほとんどのゲームで探偵事務所まで来て助けを求めたらゲームセットになっちゃうだろ。

 俺困った人間に頼まれたら断れないし。

 

 降谷さんが気を取り直してテーブルに行方不明者リストを置いた。

 

「では、まず被害者宅に向かうとしようか。例の夫が行方不明になった家だ。状況が限定されているし、夫の行動範囲や取りうる場所の確認がしやすいだろう」

「了解。あー、そうだ。ならその前に。うん。2人は木守市に四国なので電車で来てたことにしようか。駅を降りて被害者宅に行こうとしたあなたたちは、街の様子がやけに人通りが少なく閑散としていることに気がつくだろう」

「まあ、当然だろうな。頻発する行方不明者では噂になっているはずだ」

「実はニュースにもなってて、学校も保護者同伴になってまーす」

 

 諸伏さんが目を細めた。

 

『そこまでの事件で俺らより前の調査がないはずがないな。前任者の資料は何かないのか?』

「そうだなぁ。前任者がやったことは夜の不審人物の捜索、つまり見回りだな。けど、これは引っかかるものがなかったらしい」

 

 捜査資料を軽く模造して、小道具がわりにひょいと諸伏さんに手渡す。

 諸伏さんは「想像の百倍しっかりしたやつが来た」とゲンナリした様子を見せた。

 青いゴン太ファイルにどっさり資料が挟まってるからな。

 24人分の被害者の資料だ。そりゃ多少嵩張るのは仕方ないのである。

 

 まあ、これ全部読んでも虚無しか分からないんだけど。

 それは降谷さんもわかってるのか、ババババと高速で目を通してから傍に退けたようだ。

 コナン君の視線が刺すような妬ましさを帯び始める。

 

「メガネはあるか?」

「あ、そうだな。警官に配備されてる怪異視認用メガネはあったことにして良い。その上で、見回り中、メガネにも不審なものは映っていなかった」

「………厄介だな。室内で行方不明となると、神隠しの類か」

『跡形なく食ってる、という展開もあるぞ。該当者は死んでるって神のお告げがあるわけだし』

 

 考え込む姿勢に入った2人を尻目に、俺はパンと手を叩いた。

 

「じゃあ、そんなあなたたちは、道中の公園に1人ポツンと小学生が佇んでいるのを目にしました……と、ここまでで公安組のシーン終了です!お次はコナン君だ!」

 

 コナン君のシーンに入るとなって、やる気を出したコナン君が目を輝かせた。

 「クスッ!」と星の精も準備万全の構え。

 

 俺は軽く景色の視点を変えて公園中央へと持ってくる。

 

「コナン君が木守市にやってきたのは、先週この付近で事件があって一泊したからだ」

「ん、僕誰と探偵やってるの?黄衣さん居ないんだよね」

「名探偵アガサと世間では有名じゃよ」

「博士ッ……!!」

 

 多分コナン君も最初は阿笠博士のところに転がり込もうとしてたんだろうし。

 なんか見た目も貫禄あっていい具合だと思うんだよな。

 ポアロっぽいと言うか灰色の脳細胞(ガチ)と言うか。

 

 俺は咳払いして言葉を続けた。

 

「ともかく、コナン君は先週、この木守市に宿泊した。その時の記憶が、コナン君にはない」

「え?」

「帰宅する日の朝に目が覚めたら、数日分の記憶がなくなってたんだ」

「記憶について博士はなんて?」

「もちろん一緒にいたから、どんな事件を解決したとか詳細は全部聞いたよ。気になるのは、夜魘されていたってことだけかな」

「………夜」

「んで、その朝からポッケに元気な星の精がはしゃいでいます」

「あまりに驚愕事案じゃないそれ?」

 

 星の精がマッスルポーズをとった。クスクスゲタゲタと言って己の存在をアピールしている。

 だが残念、ゲームでは初対面なのよねコレ。

 

「星の精は友達のつもりなので、悲鳴をあげたコナン君に星の精は大層しょげかえりました」

「クス………」

「ああごめんね星の精!違うから!ゲームの話だからねこれ!?」

 

 星の精はすごくショックを受けたようだ。

 ちなみに、コナン君に渡したキャラシはその分のSAN値減少を引いたものだ。

 シナリオで確定で引くのはずるいしな。多少は許したまえよ。

 

 コナン君はぐずる星の精をたくさんよしよししつつ、俺を睨んで口を開いた

 

「だから1人でもう一回、来てみた、と。この公園は何にかかわる場所?」

「例の事件がここで起きてた。ちなみに言っとくと、普通の殺人事件だから行方不明とは関係ないよ。犯人逮捕済み。まぁ、コナン君は知る由もないことか」

「じゃあ事件現場を歩いてみて回ろうかな。僕なら記憶の回復を優先するし」

 

 と、そのあたりで合流シーンだ。

 

 というかみんな結構詰めるな、設定というか足回り。

 ふんわり導入だと思ってたけど、みんな地に足がついててびっくりしてしまった。

 俺はといえば黒幕とそれが起こしている現象しか決めてないし、ここらでギアを上げていかないとまずいな。

 マジカルINTアップ!

 

 諸伏さんが頷いて軽く笑った。

 

『そうだな、コレで会うことになるのか。なら俺は間違いなく声をかけるな。少年、1人で出歩いてると危ないぞってな』

「やっぱそうくるよね。なら……『お兄さんスーツかっこいいね!でも腰のあたりが膨らんでるよ。もしかして警察官の人かなぁ!』」

「僕も会話に混ざろう。『どうしてそう思うのかな?』」

「『その膨らみ、拳銃だよね。拳銃を持ってる人なんて警察くらいでしょう?それとも……悪い人、なのかなぁ』」

「『困った子だ。そんなことを思いつく小学生がいるはずがないよね。怪異、だとしたら怖いかな』」

「対人戦すんなし!!!ゲーム性が違います!!」

 

 俺がプンスカ止めに入ると、2人はクスクス笑って緊迫感を霧散させた。

 なんで示し合わせてないのに俺を弄ぶ!

 

 コナン君は軽く肩をすくめて話を元に戻した。

 

「『お兄さん達、怪異対策課の人でしょ』って顔を見上げて子供のふりしようかな」

「それが子供のふりで通るのは君だけだ。『理由は?』と聞こう」

「『私服警官で、あえてこの木守市に来るとするなら、怪異調査だけだよ』」

「『捜査一課の可能性もあるが』」

「『僕なりの理由で、この事件が怪異事件であることを確信してる。これ以上は僕を捜査に関わらせてくれるなら、かな。どう?ある程度は力を示せたと思うけど』」

「『………危険だ。だが、管理のためそばに置くことは必要そうだ』」

 

 これは2人なりの気楽な言葉遊びなのだとは思うのだが、なんとまぁ物騒なことか。

 コナン君と降谷さんはハイタッチしてニコニコした。

 わからん。何もわからん。

 俺の胃がキリキリしただけなんだが。

 

 諸伏さんが「んーー、なんか急にゼロの親友ポジを取られた気分ーー」と悩んでいる。

 コナン君は星の精をグニグニして悩む様子を見せた。

 

「そうだなぁ、星の精はショッキングな見た目だし、檻に入れられたら可哀想だから伏せようかな」

『それが良い。見せられたら駆除するしかないしな』

「クス!?!?グズッグズッ!」

「『酷いヒゲ!星の精に痛いことするつもりだ!』って言ってるよ」

『どうでも良いけど俺の名前ひげで固定なの?』

 

 諸伏さんが自分のややまばらな無精髭を撫でて微妙な顔をした。

 毛が生えにくい性分なのか、どうもちょろっとしか生えないから不潔な印象を与える。

 まあ、元の造形がとても良いからバランス取れてるのだが。

 

 コナン君がうーんと悩んでから口を開く。

 

「ええと、ならそうだな。一週間前にこの街で宿泊してその夜から数日分だけ記憶喪失なことを明かそうかな。加えて、バケモノを見たってことも言っておこうと思うよ」

「『バケモノ?どんなだい』」

「『咄嗟に撮ったんだ』って言って、星の精の写真を見せるよ」

「!?!?!?」

 

 コナン君の発言に降谷さんが目を剥いた。

 「なんてもの見せるんだ!」と憤っている。

 星の精が触手を結えてダブルピースの形をした。

 いつでも写真に撮っていいよということらしい。

 

 俺はうむ、と大きく頷いた。

 

「では、SAN値チェックのお時間です。ええと、怪異を見た場合、人は魂に軽微な損傷を受けます。ショックを受ける、ともいう。怪対課の人もこれで時々発狂してるし、わかるだろ?」

「ああ。チェック、というとゲームルールがあるんだろう。どうするんだ?」

「ダイスを使うよ。今回のダメージは怪異・星の精の目撃。写真ゆえに減少して1/1D6としよう」

 

 まず100面ダイスを一回振る。それが現在SAN値以下なら成功。減少値は1。

 現在SAN値より上なら減少値は六面ダイスを振って決める。

 

 「さて、どうぞ。まずは100面ダイスから」といって振るように促す。

 今回は渡しておいた色違いの10面ダイス二つあるから、それを100面ダイスの代わりとする。

 赤が10の位、緑が一の位だ。

 

1D100 >> 93

 

 降谷さんは難しい顔をした。

 「現在SAN値は70。つまり失敗で、六面ダイスを振る必要があるということか」と。

 そのように言って六面ダイスを一つ振る。

 

1D6 >> 3

 

「衝撃としては、一般人がめった斬りの死体を発見した時の気持ちぐらい」

「思ったよりショックだった。昼飯が入らないかもしれない。写真はヒロには見せず、『触手の化け物だった』とちょっと顔を背けながら話そう」

『ゼロは強がりだから青ざめた顔を見られたくないんだ。萌えキャラってやつだ』

「目の前に突きつけてやっても良いんだぞ。というかコナン君は何故見せた」

「いや、本物見る前に慣れといた方がいいかなと」

「それは……そうだが、慣れるのかこれ?」

「慣れるルールあるよ。うむ。今ので心構えはできたことにしていい。今日明日に限りほんのちょっぴりだけ見た時減少値が少なくなるかも」

「割に合わない」

 

 降谷さんがむっつりと黙りこくった。

 コナン君はハハハと軽く笑って誤魔化したようだ。

 

「ちなみに、一時間以内に5分の1、つまり降谷さんの場合14減ったら狂気発症だ。一回に5以上減る、も同じく」

「かなり危なかった。コナン君のせいだ。責任とってもらわないと」

「ごめんってば。星の精はそんな酷い見た目じゃないもんね、ねぇ星の精!」

「グズッ!」

 

 星の精が不満を露わに被害者の顔でブーブー文句を言っている。

 いやでも君さ、本当に人の前に姿を現すとそのくらいのダメージを与えるから気をつけてね。

 

「では、皆さんは…この後被害者の妻の家に行く、でいいかな?」

「ああ。構わない。子供は保護した体をとる」

『保護した子を連れ回して調査に同行させてるの知られたら大目玉なんだよなぁ』

「そんなの子供と口裏を合わせてどうとでもなるさ。口外する子じゃないし、隠れててもらえばいい」

 

 にたり、と新世界の神みたいな笑い方する降谷さんに若干不安な気持ちになりつつ。

 物語はまだ始まったばかりなのである。

 





・マモーさん
キッチンで「鏡合わせのコモリオム」をモデルにしたゲームだと聞いて怯えている。
あんな大災害を題材に…!?プレイヤーは死ぬのでは…?
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