ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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から紅の恋歌〈別件バウアー〉

 

 ひとまずエッサホイサとテレビ局建物内から避難しているなり。

 

 訳がわからんが、野生の爆弾犯とか居たのかもしれないし。

 みんなを連れて避難するのは悪い手ではあるまいよ。

 

 足早に誘導灯に従って非常階段へと向かう。

 

 走りながら、降谷さんがどこかへ連絡を取っている。

 もしかしたら公安を通じて情報を入手しようとしているのかもしれない。

 

 コナン君のポッケで大人しくしていた星の精も、流石に放送を聞いて動揺したようだ。

 こっそり触手を外に出して様子を伺っている。

 

 どうした?バーンがあるのか?みんなバーンにならないように逃げてる?

 

 コナン君が「まだ分からない。星の精は僕から離れないようにね」と注意した。

 星の精は怯えてポッケの中に縮こまった。

 

 途中、和葉ちゃんの友達の女の子が1人で戻って行ってしまう事件があったが。

 全員の位置情報は把握してるし、多少建物が爆発しても黒い風が守れるから問題あるまい。

 

 降谷さんは「まったく!あとできっちり警察に叱ってもらうぞ!」とお怒りだった。

 俺たちの事情を知らぬ和葉ちゃんが心配そうにしていたので、降谷さんが1人で付き添って、俺たちは先に避難することになった。

 

 外は大量の避難者が屯していた。

 

 何もわかっていない上に情報が錯綜しているようだ。

 なんだか爆破予告があった、殺人鬼が立てこもった、近くで戦闘ヘリを見たなど多彩な噂が飛び交っている。

 

 皆テレビスタッフだからか、俺が相手だとわかるとペラペラと喋ってくれた。

 

 「えっ、黄衣ハスタ?本物?」「警視庁に捜査協力してるって本当ですか!?」「初めて見た」などと珍獣扱いではあったが。

 俺、忙しいから地方局はあんまり行かないからね…。

 

 ガヤガヤと情報収集していると。

 

 ドン、という重い音が響いた。

 テレビ局建物の横っ腹から火花が吹き上がったのだ。

 

 派手に黒煙が吹き出して、晴れた昼の空を黒々と染め上げる。

 

 野生の爆弾犯が爆破予告を出した、が正解らしい。

 ここは大阪なのだが、大阪にも元気な爆弾が自生しているようだ。

 

 「未来子!!!安室さん!」と和葉ちゃんが悲痛な声をあげた。

 諸伏兄が厳しい表情で黒煙を上げるTV局を見上げている。

 

「彼がこの程度でやられるとは思いませんが、あの女子高生が心配ですね。あの初撃を防げていれば、脱出は容易でしょう」

「うむ。大丈夫。きっちり風でガードしてるみたい。建物内の避難確認をしてた警官と一緒だ。まだ脱出導線はあるから問題な……おおっと」

 

 二度目の爆発。

 撮影スタジオあたりを吹っ飛ばしたそれの影響で、建物全体が大きく歪んだ。

 火の手も建物中に及んだらしく、至る所から炎が窓ガラスを割って外壁を這っている。

 

 きっと撮影中のあらゆるものがダメになっていることだろう。

 可哀想に……ディレクターさん方が卒倒してないといいのだが。

 

 建物内の3人の様子を見ていると、女の子の様子がおかしいことに気がついた。

 さっき振動で転けて手をついたとき、激しく捻ってしまったらしい。

 瓦礫が当たったわけではないので、風で守りきれなかったようだ。

 痛みに顔を顰めている。

 

 服部君が少し迷ってから俺に声をかけてきた。

 

「2人は無事なんか?」

「瓦礫で唯一の道が塞がれたけど、今降谷さんがエレベーターがまだ生きてるよう装って風で動かしてる。多分もうすぐ来るよ」

「ホンマはダメだったっちゅーことか。無茶しよるで」

 

 「ワイ、こういう時は魔術使うぐらいしかできへんからなぁ」とチクタクマンがコソコソ声を出した。

 いやでもチクタクマンの機械を操る権能ならエレベーターを動かすぐらいわけないだろ。

 

 というか降谷さん、風の使い方が本当に上手いんだよな。

 瞬き以下の速度で風を反射展開するし。

 俺の影響で風の権能はかなり拡大しているはずなのに、細かな制御が本当に上手い。

 

 無意識にペン回ししたり手の代わりに書類を取るほど日常使いできている。

 演算領域さえ足りていれば、きっと俺よりも巧みな使い手になったことだろう。

 

 さて、やや遅れてきた救助隊に囲まれて、正面玄関から出てきた降谷さん達が俺たちを見て微笑んだ。

 諸伏兄がやや目を細めて口を開いた。

 

「最初の爆弾は外壁を単に壊すような見せ物的な位置。次の爆弾はスタジオ。出入り口も階段も狙わないし、避難完了を待っていたかのようなタイミング。どうやら人命については犯人も気を遣っているようですね」

「つまり別の何かが目的、ってことだね。示威行為か、何かスタジオにある物を狙ってたか」

 

 コナン君が少し考え込んだようだが、現時点ではなんとも言えないのは変わりない。

 降谷さんは救急隊と少し話し終えた後、女子高生ちゃんを連れてこちらへとやってくる。

 

 「未来子!」と言って和葉ちゃんが半泣きで友達に飛びついた。

 その時に「痛!」と悲鳴を上げたので、慌てて和葉ちゃんが彼女を伴って再び救助隊の方へと駆けていく。

 

 ひょこ、とこっそり顔を出した星の精が燃え上がる建物を見て細かく振動している。

 俺はさりげなく星の精が人目に映らないように体を遮蔽にしていると、降谷さんが大きくため息をついたようだ。

 

「テロだ。部下に調べさせたら、大阪府警に爆破予告があったらしい。カルタの妙な写真付きの予告メールが届いていた」

「おや、犯人の要求は?」

「不明だ。予告には記載されていなかった」

「それは奇妙ですね。目的が見えない。イタズラでないことを示すための犯行、とすると次が本番になりますが」

 

 降谷さんは「その線も視野に入れて調査中だ」と髪をかきあげた。

 イケメンがよくやるポーズだ。

 諸伏さんの件を調べるつもりが、とんだ事件に巻き込まれてしまったようだ。

 

 「あ」と俺は言い忘れていたことを思い出してポンと手を叩いた。

 

「この爆弾は怪異とも諸伏さんの件とも関係ありませんのでご了承ください」

「面倒臭い。今はヒロの件で忙しいんだ。今ここで犯人を教えてくれ」

「雑に巻いた!?まあ俺もそれでいいとは思うけど。コナン君もいいよね」

「一言でいいよって言いづらいこと提案してくる……」

 

 コナン君が渋面を作って俺に非難の視線を向けた。

 でも状況が切迫しているのは分かっているらしく、文句を言うことはないようだ。

 

「えーっと、見た限り犯人は海江田藤伍って名前の阿知波不動産の元秘書さんです」

「………動機はなんなんや?」

「阿知波社長に依頼されたから。ちなみに阿知波社長の動機はさっき調べたら五年前に起こした殺人事件の隠蔽が目的らしい」

「阿知波不動産が関わっているのか。どこがヒロの件と無関係なんだ?」

 

 ギロリと視線が俺を貫いたので、俺は慌てて弁明した。

 

「阿知波社長は諸伏さんの件とは全然別件で殺人に関与して、皐月堂に死体隠したってだけ!皐月堂自体の魔術とは関係ないよ!」

「……だから彼はあんなにも皐月堂に人を入れるのを渋っていたと。まずいですね。動かぬ証拠を処分される恐れがあります」

 

 諸伏兄の言葉にコナン君も同意見なのか頷いた。

 だがコナン君、なんだか妙に覇気がへにゃけている。

 推理も何もしないまま解答編がやってきてしまって、どうしても気落ちしてしまっているようだ。

 

 ふと、服部君が和葉ちゃん達の方を見て顔を顰めた。

 

「ん、なんやあいつ。救急車で運ばれとる。なんやあかんかったんか」

「っ!爆風も防いだし酸素も気を遣ったはずだが」

「うぅん……転んだ時の靭帯部分断裂だね。二週間もすれば治るよ、っ、いや、そうか。明後日が高校生皐月杯か。困ったな」

 

 彼女が大会に出るのは無理だ。

 来年受験と並行で頑張るしかないだろう。

 治してやりたいが、流石にこんなことまで首突っ込んでたら怒られてしまう。

 

 責任を感じているのか、降谷さんがやや俯いた後、瞬いて顔を上げた。

 

「ともかく、阿知波は公安でマークさせておく。僕たちは今晩にでも皐月堂を見て回っておこう」

 

 公式な立ち入りは一週間後だが、それ以前にこっそり下見しておくということか。

 公安でのマークは阿知波社長と鉢合わせないためだろう。

 

 服部君がやや引き気味で一歩距離をとった。

 

「俺は和葉とおるで、なんかやばいことになったら連絡してや。和葉連れて逃げるさかい」

「逃げるのかよ。オメーチクタクマンがいるじゃねーか」

「アホ吐かせ。俺には節度っちゅーもんがあるんや。俺のスマホに居候してるだけの隣人に迷惑かけたりせんわ」

 

 偉い。あまりに偉い。

 俺が拍手をすると、星の精もつられてパチパチ拍手をした。

 

 ハットリ偉い。黄色より偉い。星の精も褒める。クス。

 

 なんか俺が不当に貶されてる気配がある。

 俺は星の精の触手を引っ張った。

 「グス!」と星の精に怒られるが無視。

 星の精は「黄色が星の精のこといじめた!」とコナン君に言いつけた。

 

 俺たちはひとまず服部君と別れ、近場のホテルを探すこととしたのであった。

 

 

 

 

 ホテルにチェックインする直前、服部君から連絡があった。

 殺人事件が起きたらしい。

 コナン君がすごく気になると言う顔をしたが、諸伏さんの件があるからグッと我慢したようだ。

 

 事件を我慢するコナン君とか初めて見たかもしれない。

 

 あまりに辛抱たまらんらしく、激しく立ったり座ったりしてFPSの屈伸煽りみたいな動きをしている。

 可哀想に……隣で星の精が真似して屈伸している。

 ダメ押しに服部君に「まあこっちの事件は俺らに任しとき、コナン君!」と煽られたらしく、コナン君はむしゃくしゃのあまり星の精にダイブしていた。

 

「服部の馬鹿野郎!!!うわぁああん!」

「クスクス?クス!」

「やっぱりお前だけが俺の味方だよ星の精!俺の親友!!」

「クスッ!!!!」

 

 謎に星の精が有頂天になってマッスルポーズを決めているが、それはともかく。

 

 まあ、どちらにせよそっちの一連の事件は服部君に任せておけばいいだろう。

 俺たちは、俺たちにしか解決できない事件に注力すればいい。

 





・その頃のジンニキ(復刻版)
ひと足先に神海島に到着。
海底宮殿を探索中に深きものどもの群れに襲われて一時撤退。
逃げ出して島内に一時潜伏した。
海底宮殿自体は溜まってたメタンガスを爆発させて吹っ飛ばしてやった。

・深きものども
突然探索者がやってきてコツコツ作った礼拝設備全部吹っ飛ばしたので激鬱。
そんな…あとちょっとで神が復活したのに…。
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