ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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今日三話目で加速してきた。


番外編:ハイパーボリア観光!〈神のしもべ〉

 

 ティンダロスの猟犬の襲撃後は、駆けつけた「神兵」とやらの調査が始まった。

 

 神兵とは、どうやら警察と軍隊を合わせたようなこの国の組織のことらしい。

 

 しかしコナンの目から見ても、明らかに神兵達の手際は悪かった。

 というか、単純に仕事に慣れていない。

 新米警察官だけで殺人事件の現場に向かったならこういうことが起こるだろうな、という、微妙なもたつきが感じられた。

 

 事情聴取のためと言ってその辺で待つことになったコナン達だが、いつになったらそれが始まるのかすら分からない。

 

 ブラブラとその辺を熊のようにうろつく「先輩」が、コナンの後ろに座り込んで頭に顎を乗せた。

 どうやら暇らしい。

 

「んー、遅い」

「仕方ないですよ。神兵の出動なんて一生に一度あるかないかぐらいですし。その上こんな大事件。きっと本部も大慌てでしょう」

「まあね。暇すぎて人気無いレベルだし、やってもらってるだけありがたいって感じかな」

 

 コナンはわずかに耳を疑った。

 治安が良さそうなのは街の様子の端々から伝わってきたが。

 警察の出動がそこまで無いとは、いったい何がどうすればそうなると言うんだ。

 まさか、警察に代わる組織でもあったりするのだろうか。

 

 そんな雑談を暫くしていれば。

 ようやく事情聴取の時間がやってきたらしい。

 

 人の良さそうな柔らかな面持ちの青年が、こちらへと駆け寄ってきた。

 服は皆お揃いの、制服らしき青い騎士服だ。

 

「待たせてごめんね。君たちも、当時の話を聞かせてもらって構わないかな」

 

 顔の作りは全然違うが、どこか高木刑事を思わせる朗らかさだ。

 無害っぽさ、とも言えるか。

 

 聴取自体はテキパキと「ミカ」が答えていってくれたので、コナンは怖かったと一言言うだけで済んだ。

 要点がまとまっていて、非常に分かりやすい話し口だ。

 法律関係の職についているのかもしれない。

 

 一通り話を聞き終えて、神兵の青年は難しい顔をして、しゃがんでコナンに目線を合わせた。

 ゆっくり、語りかけるように口を開く。

 

「でも、そんな威力の魔術を準備してるなんてだめじゃないか。もし人に当たったりしたら、神様に怒られちゃうんだよ?」

「ごめんなさい…」

 

 その顔があまりに真摯なものだから、コナンもうっかり本心で子供のように謝ってしまう。

 

 「あの、それとは別の話になるんですけど」と「ミカ」が横から口を挟んだ。

 

「なんだい?」

「この子、オーガナイザーを持ってないみたいなんですよ」

「へ?大変だ、落としたとか無くしたとかかい?」

「いや。瞳に問い合わせたら国民登録もないみたいで。たぶん生まれた時からずっと持たされてないんじゃないかと」

 

 さあっと神兵の青年が顔を青ざめさせた。

 「ちょ、ちょっと待ってね!?」と慌てて仲間の神兵の下へ駆けていく。

 

 すぐに神兵達は我先にとコナンの下へと集まってきた。

 「大丈夫か坊主!?怖かったなぁ!」「お兄さん達がいるからもう大丈夫だぞ!」「こんなことって…!絶対悪い大人は神様に裁いてもらうから、君は安心してね!」

 などとコナンは思いっきりもみくちゃにされてしまう。

 

 コナンは堪らず叫んだ。

 

「えっと、僕は大丈夫だから、お兄さん達もそんなに心配しないで!」

 

 それ以上くちゃくちゃにされるのは勘弁してほしかったので取った行動だったのだが、神兵達は皆甚く感動したらしい。

 じぃんと感動したように俯いたり、決意を新たにしたり。

 なんだか勝手に盛り上がっている。

 

 取りまとめ役と思しき神兵が、「よし、お前神殿まで付き添ってやれ。ここは俺たちがやっとくから」と声を上げる。

 最初にコナン達を取り調べした、高木刑事似の神兵の青年がぱちくりと自分を指さした。

 

「え、自分っすか?」

「お前神殿にダチがいるって言ってただろ。話しやすいだろうし行ってこい」

「え、自分の友人は隣の区域の神殿…」

「いいから行ってこい!」

「了解です!」

 

 ふと見ると、取りまとめ役の神兵がコナンに向かってウィンクしている。

 もしかしたらコナンがやや彼に心を許していることに気付いていたのかもしれない。

 だから彼を付き添いに指名した、と。

 

 コナンは半笑いで肩をすくめた。

 なんともはや、呆れるほどに善人ばかりの街だ。

 

 パーティメンバーが増えて、「先輩」も「ミカ」もぺこりと一礼して感謝を述べたようだった。

 コナンも合わせて先にお礼を言っておく。

 

 

 改めて神殿へ向かえば、既に受付時間を過ぎていたらしい。

 窓口にはうたた寝中のお爺さん係員がいるのみだった。

 

 係員さんは来客に気付き、慌てて顔を上げてにっこりと微笑んだ。

 

「おや、神兵さんまで。こんな時間にどうかしたかね」

「それがですね。緊急の事態でして」

 

 コナンとしては既に聞き飽きてきた事情説明を続けていけば。

 やはりと言うべきか、係員のお爺さんは大層取り乱して椅子から立ち上がった。

 

「なんたること!担当のものをすぐに呼ぶから、少し待っているんだよ!」

 

 コナンを気遣わしげに見遣ってから、係員さんは奥に引っ込んだ。

 どうやら奥で電話をしているらしい。僅かに声が漏れ聞こえてくる。

 担当とやらは既に自宅へ帰ってしまっていたらしく、彼の端末に電話をかけているようだ。

 

 なんとも居心地が悪い。

 「翌朝でいい」なんて言える雰囲気ではなかったとはいえ、家で寛いでいる人間を呼び出すほど緊急性のある事案には思えなかったからだ。

 

 しばらくして、係員のおじさんは奥から戻ってきた。

 担当は急いで着替えて、30分ほどで到着するらしい。

 

 それまでロビーのソファで待っていることになったため、コナンは中をゆっくりと見物する時間ができた。

 

 外観は完全に神社だったが、内装はほとんど役所そのものだ。

 とはいえ、申請用紙の類は見当たらない。

 全てブレスレットによる電子申請で済ませているのだろう。

 電子、と言っていいか分からないが。

 

 コナンは狭い建物内をぐるりと一周した後、手持ち無沙汰に足を揺らす「先輩」に声をかけた。

 

「なんというか、ごめんなさい。お姉さん達も忙しかっただろうに」

 

 コナンが謝罪すれば、「先輩」は予想外のことを言われたように瞬きしたあと、破顔したようだった。

 

「良いって良いって!人に親切にして助けること!それが神様の望みなんだから!ね、ミカ」

「ええ。子供が気にすることではありませんよ。私達も、良いことをすると気分がいいと言うだけですから」

 

 うんうんと神兵の青年も横で頷いている。

 コナンは少しだけ困ったように笑った。

 

 そうしていると、にわかに入り口が騒がしくなる。

 担当とやらが到着したのだろうか、とコナンもつられて振り返る。

 

 入ってきたのは、どうもかなりの大所帯だった。

 

 十人はいるだろう。

 皆揃いの引き摺るような長いローブを羽織って、滑るように歩いている。

 ローブの中央には、ハテナマークを歪めて三つ繋げたような不可思議な文様がある。

 

 神兵の青年が、ローブの一団に敬礼───少し形は違うが、おそらくこれは敬礼だろう───した。

 「先輩」も「ミカ」も、おっという珍しいものを見るような顔で頭を下げた。

 

 係員のおじさんが首を傾げて前に進み出る。

 

「神仕えの方達ではありませんか。如何なされましたかな?」

 

 ちらり、と。

 一団の先頭に立つ女性が、表情を動かさずにコナンへの視線を向けた。

 

「神が、この少年をお望みです」

「え……」

 

 コナンは思わず動揺した。

 神というワードを、コナンはここに来て幾度も耳にした。

 この国の宗教。教えの頂点だ。

 

 そしてこれはあくまで不確定な推理でしかないが。

 ここは過去の古代帝国そのものであり。

 神の正体は黄衣ハスタその人である。

 

 彼に会えるかも、という思いと、どうも不穏な空気に板挟みになり、コナンは口を噤んだ。

 

 代わりに返事をしたのは、係員のおじさんだった。

 

「なんと!それはそれは!」

 

 ぱあっと係員のおじさんの顔が明るくなった。

 「先輩」が困惑するコナンの両手を取ってブンブンと振る。

 

「え、凄い!凄いじゃん!!良かったね!神様が直々に救ってくれるんだって!」

「私もほっとしましたよ。神様はやはり全てを見ていてくれるんですね」

「あの、お姉さん……?」

 

 コナンはつい、助けを求めるように神兵の青年へと視線をすべらせてしまう。

 

 やはり神兵の青年もまた、同じように涙ぐみながらコナンへと微笑みかけた。

 

「なんか自分、こういうのに涙脆くて…!うんうん。神様に思いっきり甘えておいで。きっと神様なら受け止めてくれるから」

「…………、……」

 

 うすら寒いような、言いようのない違和感。

 皆笑顔だ。祝ってくれている。

 コナンとしてもこの時代の黄衣と合流できるから万々歳だ。

 悪いことなんて一つもないはずなのに。

 

 「先輩」がコナンの頭を優しく撫ぜる。

 

 彼らには一欠片だって悪意はなかった。

 いつだってコナンに親切で、真摯で、優しかった。

 打算なんて一つもなかったし、陥れようなんて夢にも思っていなかっただろう。

 

 ただ単純に。

 

 彼らは神のしもべであった。

 それだけの話である。

 





・降谷零
現在ハイパーボリア首都湾の結界外の端っこでバレないようキャンプファイヤーしてる。
ニャルに着の身着のまま放り出された。
クソほど神兵に追い回されたし国を覆う結界で死にかけた。
ティンダロスの猟犬が定期的に襲撃をかけてくる。
愛車はニャルに乗り回された挙句水没してる。
なんもいいことがない。
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