ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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死ぬほど美味いラーメン〈恋バナ〉

 

 「死ぬほど美味いラーメン小倉」に来ているなり。

 

 ボロボロの外装で、かなり年季が入っている。

 外見で損してる感がある店だが、美味しいのは間違いない。

 

 今日の晩飯は三人でラーメンだ。

 諸伏さん、コナン君、俺、で少し遠いが歩いてここまで来た。

 

 店構えを見て、諸伏さんが胡散臭そうに眉間に皺を寄せる。

 

『本当にこんなところ美味しいのか?』

「うん。ここの閻魔大王ラーメンがめちゃくちゃ美味いんだ。メンマがね、かなりいい塩梅でね」

「本当かなぁ」

 

 コナン君も疑わしそうにこちらを見上げてくるので、いかに俺が普段から信頼されてないのかが分かる。

 拭えないバカ舌疑惑。

 いや、俺はニャル案件に限ってのみ許容量をダム並みにデカくしてるだけであって、味覚としては通常の人間と変わりないはずだ。

 だって大昔、自分をそう改造したのだし。

 

 横開きの昔ならではの入り口をガラガラと開いて中に入れば、客もほとんどいない狭い店内が見えてくる。

 

 赤い丸椅子は硬く、そこらじゅうに凹みがある。

 なんというか、味わいを通り越して隙間風の寒さを覚えてしまいそうな佇まいだ。

 

 迎えてくれる店主は、もう俺の顔を覚えてくれたらしい。

 威勢よくこちらに挨拶してくれた。

 

「お、また来てくれたのかい!兄ちゃん!」

「どうもです。閻魔大王ラーメン三つお願いします」

「あいよ!」

 

 勝手に頼まれたコナン君が目を白黒させている。

 結局ここの店員さんの推しの強さに負けて閻魔大王ラーメンを頼むことになるのだから同じことだ。

 

 着てきたコートを丸めて足元のカゴに入れ、ラーメンの出来上がりを待つ。

 コナン君が寒そうに冷えた手を擦り合わせた。

 みんな気付いてないけど、時空異常でもう冬だからな。

 降谷さんあたりもう気付いても良さそうだけど、どうなのだろうか。

 

 などとぼんやり考えていると、ニコッとした諸伏さんと目があった。

 

『それで、昨日のデートはどうだったんだよ。上手くいったか?』

「うーん。付き合うことになった…?とは、思う」

 

 二人とも目を見開いて、「おおーっ!」と歓声を上げた。

 でももうこの宇宙が成り立つ前からの付き合いだし、実質何も変わっていないのでは、と思う俺である。

 

 ニヤニヤして諸伏さんが俺を肘で小突いた。

 

『ホテルに一泊したって聞いたけど、やることはやったのか?』

「いやそれ誰から聞いたんだよ耳が早ェよ」

『今日ゼロが虚無の顔で言ってた。で、どうなんだよ』

「してない…?」

 

 「なぜ疑問系???」と諸伏さんが首を傾げた。

 コナン君が恥じらって顔を背けている。

 俺は君のそういう純情少年なところ好きよ。

 

 実際俺としてはしてないと思っているが。

 旧支配者とか外なる神あたりの一般常識が異なるから、ニャルがどう捉えているかは分からないというのが正確なところだ。

 

 融合してお互いの肉を喰らい合うのを「むつごと」とするのが彼らの認識だ。

 すると融合なし片側の触手食ありは……どうなのだろうか。

 あまりにぶちぶち触手を千切ってくるので、怒った俺が奴の黒い触手を噛んでやったのだが、あれはどういうカウントになるのか。

 

 分からんが、ニャルは満更でもなかったのは確かである。

 俺は普通に痛い思いをしただけだが。

 

『なんでしなかったんだよ。誘われたたんだろ?』

「いや…だって恥ずかしいし…もっとこう、段階を踏んでさぁ……」

『この意気地なし!モノ付いてんのか!』

「付いてませんけど!?!?悪い!?!?」

『それは悪かった』

 

 俺の悲鳴に諸伏さんがガチ謝りした。

 余計に悲しくなるので止めてくれ。

 旧支配者ハスターはトカゲとも触手ともつかない謎巨大生物だからね。

 人間的器官は備えていないのである。

 

 悲しいからこの話はもうやめよう。

 

「ねぇ、降谷さんの中の人とはいつどこで出会ったの?馴れ初め的な話聞かせてよ」

『お、それは俺も聞きたい』

 

 俺が黄昏ているのを察して素早くコナン君が話題を変えてくれた。

 いい子だね。後で俺の分のメンマもあげようね。

 

 しかし馴れ初め、か。

 

「出会ったのは確か、この宇宙の成立する四個前、ぐらい?」

『時間単位が個になってしまった…』

「いやだって、前は時間のルールが今の宇宙とだいぶ違う感じだったしな。単純計算できないんだ」

 

 ヨグ=ソトースの敷く時間のルールは割と宇宙単位での変更が多い。

 だから何年前、という計算は実質できないのだ。

 

 その点、ミゼーアの支配する「尖った時」はどの宇宙でもルールはほとんど変わらない。

 あれはあれで慣れれば住み良い場所だ。

 

 ともかく馴れ初めの話に戻ろう。

 

「昔、ニャルも尖ってる時期があってな。もうそりゃメチャクチャに暴れてたんだ」

『え…今以上に…?』

「うん。常に癇癪が爆発してて、ちょっとでも気に入らないことがあるとあたり一帯攻性魔術で消し飛ばす感じ」

 

 ひえ、と諸伏さんが悲鳴をあげた。

 

 たぶん孤独感に苛まれていたのにそれを言語化できず、常に不愉快極まりない状態になっていたのだろう。

 赤ちゃんがオギャーと泣いている状態に近い。

 実際、あれは外なる神の赤ちゃんと言っていいだろう。

 

 俺もその頃は無気力を拗らせてて、何なら殺されてもいいかぐらいの気持ちで近寄ったんだったか。

 いや、あれはほとんど緩慢な自殺だったな。

 幸運にも死ねないか、この長すぎる生が終わらないかと期待して、何も考えず声をかけたのだ。

 

「あー、つまり。死にたがり野郎が赤ちゃんの命の輝きに出会って結ばれた的な、そういうサムシングだと思う」

「なるほど?」

 

 二人は見事な宇宙猫になってしまった。

 

 ちなみに、その時点で俺よりニャルの方が年上だ。

 お前いつまで赤ちゃんやってんだよって話である。

 

「ちなみにこの長い神様生でもマイベストオブ知的生命体が人間な。もはや生きがいと言ってもいい」

『入れ込んでるのはうん、凄く分かる』

「この宇宙ができた段階で人間発生を知ってもうね、あれだよ。もう、すごい」

「語彙力無くなっちゃってるよ黄衣さん」

「この世で唯一無二の推しに出会った感覚?初めはただひたすら泣いたね。この世の全てが愛おしかった」

 

 重症だぁ、とコナン君に言われて俺も同意して深く頷いた。

 もうほとんど諦めていた、前世ぶりの人類との再会だったからな。

 人間だったなら全裸で辺りを駆けずり回って奇声を発していたところだ。

 

 まあ、ニャルには10万年ぐらいずっと「急に親友が壊れちゃった…」扱いをされたが。

 

 にやっとイタズラげに笑って、諸伏さんが頬杖をついた。

 

『じゃあ、恋人ができたんだから人類愛は活動を停止するのか?』

「いやぁー…それとこれとは話が別っていうか。恋人は大事だけど推し活は止められないっていうか」

 

 もちろん節度はわきまえるつもりだが。

 相方には短期間のことと思って目を瞑ってもらいたいと考える俺である。

 

 と、そうこうしているうちにラーメンがやってきた。

 注文の閻魔大王ラーメンだ。

 この程よく味の染みたメンマが美味しいんだよな。

 

 二人も気に入ったようで「え、本当に美味いな!」「うん!」と目を輝かせて食べ始めた。

 東都のど真ん中でこの値段この味は破格といってもいいだろう。

 

 そのあたりで追加の客がやってきた。

 感じがすごく悪い不動産屋と、その後に続いて理髪店の店長らしき人物。

 

 不動産屋はどうもこの店の地上げを狙っているようだが……ふむ。

 ここは美味しいからできれば無くなってほしくないものである。

 

 

 そうして、俺たちが食べ終わる頃に事件は起きた。

 不動産屋が青酸系毒物を摂取したことにより死亡したのだ。

 

 苦しみの中生き絶えた男の姿に、俺は口を引き結んで少しだけ黙祷したのだった。

 




・上機嫌のニャル
昨晩のハスターがえっちで思い返してヘッへっへ、ってなってる。
人類種基準ではHのえの字もないが、怒ってるのに食いちぎらず人間体部分であんまり痛くないように手加減して小さく噛んでるあたりがね。
ニャル基準だと激えっちだった模様。

今は安室宅にて生活している。
降谷さんは一枚しかない布団を取られ、畳にブランケットで一夜を過ごした。
あげく夜中に「小腹がすいた、何か作れポチ」とか言われて夜食を作らされた挙句「下手くそ。もういい」とか言われた。
どうやら化身の名をよく覚えていないらしく、ポチで定着してしまった。
そうして、ジンへの謂れのない恨みを募らせている降谷である。

・ジンのキャンペーンシナリオ第二章開幕
イラついたバーボンから電話がかかってきた。
どうやら前に行った田舎町の釣具メーカー(1-1バーボンの助言参照)の社長が怪死体で見つかったという。
手には木彫りの仏を握りしめていて、そこには「青仏」の文字が彫られていたとか。
「次の任務地にも近いし、ついでに寄ってみてはいかがです?何か有益なものが見つかるかもしれませんよ」
日本国内をメインにしたホラーギミック寄りの第二章、ついに開幕!

・青仏
古来、青とは青々としげる葉の緑を指した。緑仏。
すなわちエメラルド・ラマである。
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