生体宇宙艦『プロトコル』は進化する   作:いくら

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1「命」

 

 私はいったいなんなのか。

 どうやって私は誕生したのか、あるいは誰の手によって私は造られたのか。

 

 全く分からない。

 

 ただ気が付いた時には、私の機体(からだ)は宇宙の暗闇の中にあった。

 

 

 私にあるのはこの世に存在する6つの言語知識と首都と呼ばれる4つの惑星における一般常識。

 そして『進化』と『再生』という2つの機能。

 

 生きる理由、あるいは造られた目的、私にはそれが欠落していた。

 生命を継続する理由はないが、自壊する理由もない。

 故に私は無限の宇宙を揺蕩っている。

 

 前方から一隻の宇宙船が近付いて来るのを私は目視した。

 いや、通常の生物と違って私に眼球はない。

 前方の船を捉えることができたのは、単純にカメラとレーダーによる情報収集だ。

 

 どうやらまだ相手の船は私の存在に気が付いてはいないようだ。

 その理由はサイズの差にある。

 私の機体(からだ)の全長が約100mであるのに対して、向こうの船の全長は1kmを超える。

 レーダーは巨大なものほど遠くから細かく解析できる。

 この差によってレーダーにかかる範囲が相手の方が先になったのだろう。

 

 しかし、このままいけば相手も私の存在に気が付く。

 あれがどこかの国の船なのか、もしくは海賊の物なのかは分からない。

 

 しかし、鹵獲されてしまえば私に自由はないだろう。

 

 小型の私は小回りは利くが、最高速度では相手機体に負ける。

 故に私は私の思考以外の全ての機能をオフにした。

 

 本来宇宙船とは人が乗るためのものだ。

 しかし、私には搭乗員はいない。

 故に、機能のほぼ全てを停止させても問題はない。

 

 そしてそんな私を見れば、相手は私を『残骸』であると判断するだろう。

 

 この方法なら相手の機体に近付くことができる。

 

 そのまま何事もなく、私は相手機体の数メートル横を通り過ぎようとしていると、相手機体の回収口が開きその内部よりアームが伸びてくる。

 

 眼前見える巨大な機械の塊を見て、私は思った。

 

 

 ――あぁ、非常に美味そうだ。

 

 

 その手が私に触れようとした、その瞬間――私は全機能をオンにした。

 

 後部のジェットを最大で吹かし、自機体を敵の回収口の中へ突進させる。

 私には射撃装備が搭載されていない。

 今の私に可能な攻撃手段は『激突』のみだ。

 

 

 鉄と鉄が衝突する。

 しかし私の衝突面が外装であるのに対して、回収口の中へと入った相手の衝突面は内装だ。

 硬度の差はこちらに軍配が上がった。

 そのまま機械の壁を掘削しながら、私は進み続けた。

 抉った金属が私の中へ取り込まれていくのを感じる。

 

 

 

 ――進化プロセス解放。

 

 ――3pの金属を獲得。

 

 ――所得するスキルを選択してください。

 

 

 ――ビームライフル

 ――アームパーツ

 ――エネルギーシールド

 

 

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