生体宇宙艦『プロトコル』は進化する 作:いくら
私はいったいなんなのか。
どうやって私は誕生したのか、あるいは誰の手によって私は造られたのか。
全く分からない。
ただ気が付いた時には、私の
私にあるのはこの世に存在する6つの言語知識と首都と呼ばれる4つの惑星における一般常識。
そして『進化』と『再生』という2つの機能。
生きる理由、あるいは造られた目的、私にはそれが欠落していた。
生命を継続する理由はないが、自壊する理由もない。
故に私は無限の宇宙を揺蕩っている。
前方から一隻の宇宙船が近付いて来るのを私は目視した。
いや、通常の生物と違って私に眼球はない。
前方の船を捉えることができたのは、単純にカメラとレーダーによる情報収集だ。
どうやらまだ相手の船は私の存在に気が付いてはいないようだ。
その理由はサイズの差にある。
私の
レーダーは巨大なものほど遠くから細かく解析できる。
この差によってレーダーにかかる範囲が相手の方が先になったのだろう。
しかし、このままいけば相手も私の存在に気が付く。
あれがどこかの国の船なのか、もしくは海賊の物なのかは分からない。
しかし、鹵獲されてしまえば私に自由はないだろう。
小型の私は小回りは利くが、最高速度では相手機体に負ける。
故に私は私の思考以外の全ての機能をオフにした。
本来宇宙船とは人が乗るためのものだ。
しかし、私には搭乗員はいない。
故に、機能のほぼ全てを停止させても問題はない。
そしてそんな私を見れば、相手は私を『残骸』であると判断するだろう。
この方法なら相手の機体に近付くことができる。
そのまま何事もなく、私は相手機体の数メートル横を通り過ぎようとしていると、相手機体の回収口が開きその内部よりアームが伸びてくる。
眼前見える巨大な機械の塊を見て、私は思った。
――あぁ、非常に美味そうだ。
その手が私に触れようとした、その瞬間――私は全機能をオンにした。
後部のジェットを最大で吹かし、自機体を敵の回収口の中へ突進させる。
私には射撃装備が搭載されていない。
今の私に可能な攻撃手段は『激突』のみだ。
鉄と鉄が衝突する。
しかし私の衝突面が外装であるのに対して、回収口の中へと入った相手の衝突面は内装だ。
硬度の差はこちらに軍配が上がった。
そのまま機械の壁を掘削しながら、私は進み続けた。
抉った金属が私の中へ取り込まれていくのを感じる。
――進化プロセス解放。
――3pの金属を獲得。
――所得するスキルを選択してください。
――ビームライフル
――アームパーツ
――エネルギーシールド