それいけ念能力者ちゃん 作:まるかいてちょん
炎の巨人とか氷の魔竜の話書きたかった……。
公式大会から幾日か前。
まだナインズ・オウン・ゴールがクランだった頃。私はなんだかんだ実質的なクランメンバーと化し、周りもそのように接するので今更クラン入り申請をしたいと言い出せなくなっていた今日この日。
私たちナインズの面々は、とある案件から全員が事前に周辺の敵を排除されているダンジョンの前に招集されていた。
「皆さん集まりましたね?」
みんなの相談役でお馴染み、モモンガさんが周囲を見渡す。それで問題ないと判断したのか、モモンガさんが相槌を打った。
「コホン。それでは作戦会議を始めます。今回はギルドの設立に関わるお話なので皆さんに集まってもらいました。まずは私から話がありますのでどうか聞いてください」
モモンガさんのような骸骨異形種アバターが丁寧語で話しているのは相変わらず慣れない。そしてこの状況で何より面白いのは、その骸骨以上の異形種(某茶釜さん)を筆頭にモモンガさんを除く総勢27名の異形種が大人しく話を聞いていること。
「とりあえず皆さんギルド拠点の目星が着いたのは知っていますよね?」
全員に向かって問いかけるモモンガに皆が頷いた。そしてモモンガさんがそれを見て話を続けようとするが、その時声を上げる者がいた。
「知っているが、結局方針はどうするんだ?俺は聞いてないからな。特にリーダーであるはずのたっちさんからはね」
「まあまあ、落ち着こうよウルベルトさん。それに分からないってのも乙なもんだろ。未知だからこそってやつさ」
「はぁ。まあわかるがな。もう少し報連相ってものをだな……」
このクラン一番の問題児。でも接してみると意外と厨二病おじさんのウルベルトが暴れるが、そこを
それでも厨二病おじさんはグチグチ言うが、もう誰も聞いていなかった。
「あー、まあせっかく話も出てきた事ですし方針について話していきたいんですが……ちょっと言いにくいんですよね……」
モモンガさんが言葉に詰まる。もちろんそれはみんなに配慮しての沈黙なのだろうが……ここは会社をめちゃくちゃにして乗っ取った(某巨大複合企業の手口)私が見本を見せるべきかもしれない。
「はい!私のバフはボス戦で誰につけたら言いですか!?あと初見攻略目指しますか!?それとも堅実に行きますか!?」
そんな風に手を挙げて言葉を畳み掛けた私に、モモンガさんはびっくりして思わず返事を返してくる。
「あ、はい!初見攻略目指してます!それとバフはたっちさん……いえ、建御雷さんにお願いします!はい!」
そうやって反射的に元気よく姿勢を正したモモンガだったが、直後雰囲気が「あ、やべっ」という焦った感じになる。
そうしてモモンガさんは周囲を恐る恐る見回す事になっているようだが、その当人が思っている以上に周りの反応は悪くなかった。
「初見攻略かぁ〜。まあ面白そうだし試す価値はあるかも?でも100レベルになってるのソウラちゃんだけだから厳しくない?……まあ俺15歳の子に負けてるんだけどね……」
「ペロロンさんはいいじゃないですか。俺なんて残業続きで90レベル前半ですよ」
「愚弟はそんなものとしてヘロヘロさんはお疲れ様!ていうかそれ言うなら100レベルのソウラちゃんがいるから大丈夫って言うべきだろ〜?ねー?ソウラちゃん?」
変な肉棒が残業戦士ヘロヘロさんを労いながら私の方ににじりよってくる。気味が悪かった。
私はモモンガさんに目線を向ける。今助けたんだから今助けてくれという念を送って。
それを察知したのかどうか、モモンガさんが専用装備のローブをはためかせ、注目を集めた。
「……どうやら積極的に反対な人は居ないみたいですね。それならまずは俺の話を聞いてから意見を下さい。ちなみに今回はぷにっと萌えさんにも協力してもらうのでそのように」
先程とは一転して自信満々になったモモンガさんが指揮を執る。ロールプレイの一環らしいがなかなか頼りがいのある姿だ。
そしてぷにっと萌えさん。名前からすると一見して希少な女性メンバーに見える。だが男だ。むしろPKKの中で楽々PK術を編み出す軍師的な男らしさを持っていると言えるだろう。
そんなぷにっと萌えさんがモモンガの発案に協力するという事で、ナインズのメンバーとして全員に安心感が走る。
名指しされたぷにっと萌えさんとしては急な事に驚いているようだが、半ば強制的にモモンガさんに巻き込まれた彼は、そのままモモンガさんとコソコソ話だした。
それからしばらく、話が纏まったのかモモンガさんが再びメンバーの注目を集めて話し出す。
「今回ギルド拠点用として制圧するダンジョンはナザリック地下墳墓。少し偵察した感じからして一層目は迷宮的な構造になっています。そこで罠にハマって一気に全滅……とはならないようにパーティーを分けようと思うんですが……」
言葉を詰まらせたモモンガさんが数人を視認してから私を見る。
?
「パワーバランスなどを考慮すると、最悪特殊アタッカーなどの超重要な役目の人がボス戦前に脱落してしまう危険性があるため、今回は対ボス戦を考慮した最強2パーティーを中心に編成していこうと思います」
なるほど。私を含めた数人を謎に視認したのは対ボスでいかに役立つかを試算していたのだろう。そしてその中でも私は今までの評判からボス戦ではぶっ壊れレベルと……。
こうして次第に話の流れはナザリック攻略に移っていく。
「それではそろそろ掃除してあった敵がリポップする時間なので編成に移りたいんですが、何か質問とかある人いますか?」
そう、ここは一応ダンジョン前のモンスターエリア。あまり悠長にしている時間はなかったが、モモンガさんの発言に見逃せないものがあったようで、声を上げるものもいた。
「はい。モモンガさんのやり方だと最強パーティー以外のメンバーはキツくない?俺はいーけど他がきちーべ」
確かにその通りである。モモンガさんの言う最強パーティーが落ちないようにパワーバランスは考慮しないとは言うが、それは逆に最強パーティー以外のメンバーは落ちてもいいという事だ。もちろんこれは極論だが、均等に配置しないなら間違いなくどこかにしわ寄せがいく。
「それは……そうですね。ただ攻略速度の調整などによってパーティー間でちょくちょく合流できるように計らうつもりなので、そこでお互いをフォローしあって回復……という風に俺は考えてます」
まあ作戦は理にかなっていると思う。大勢でダンジョンを移動しても混戦になった時連携が困難だし、ボス戦ありきの最強パーティー運用は悪くない。でもそれにメンバーが納得できるかという話だ。
「ちょっと待ってくださいモモンガさん。今回は話があるという事でお話については任せましたけど、やっぱりそれだとキツくないですか?納得できるところはありますけど、そうなるとモモンガさんくらい頭のキレる指示役が1パーティーごとに必須ですよね?」
たっちさんが待ったを掛けるが、それもまた真実。誰もがモモンガさんみたいな大局を見れる視点を持っていなのだ。もちろん私も含めて。だからこの場面で私が役に立てることは無い。
メンバーの前で立つモモンガさんは悩ましげに顎を摩っている。
「そうですね……。現状の作戦で反対の人はいますか?反対なら手をあげてください」
たっちさんからの言葉に答えが思いつかなかったのか、モモンガさんはとりあえず現状の作戦でどこまで許容されるかを見極めようとする。そしてそれに応えて手を挙げたのは……だいたい数人ほど。
懸念の割には割を食うロマン型ビルド勢に反対はいなかった。反対しているのはどちらかと言えば最強パーティーに選ばれるようなガチ勢側だ。
「なるほど。一応賛成多数ではありますが……ここはリスクも高いのでやめておきましょうか。元々俺も慎重派ですしね!」
……これはモモンガさん……というか†魔導王陛下†の悪いところが出ている。そうやって良くも悪くも他人を優先するから後悔するのだ。1回ガツンと言ってやればいい。
ヤダヤダ俺初見攻略したいのー!って。
そうすれば後悔しないはずだ。
(代わりに大事なものを失うだろうけど)
まあそんなこたあどうでもいいのだ。どちらにせよ私ばかりがフォローしても意味は無いし。モモンガさんの異世界転移について行くかも確信が持てない限り未定だしね。
「なんだよモモンガさん、辞めるの?……初見攻略、面白いじゃないか。やろうぜ」
周りが完全に解散ムードになる中、1人先程ウルベルトを宥めていた武人建御雷が声を上げる。
「建御雷さん……」
モモンガさんはそれに悩ましげな声を上げ、しばし沈黙に陥る。周りのメンバーはそんなモモンガさんを見て逸らそうとしていた目線を戻し、どうするのか見守る事にしたようだ。
それからしばらく、沈黙していたモモンガさんだったが、ふと顔を上げるとその上体を前方向に下げた。
「すみません!やっぱり初見攻略でやりたいです!反対されている人に関しても出る損害が気になってるからだと思うので、そこに関しては俺が全部責任負います!なので一緒に初見攻略やりましょう!」
まさに乾坤一擲。精一杯の気合いを込められた言葉にナインズメンバーも面を食らい、普段と違うモモンガの様子に驚くが、逆に焚き付けた建御雷さんは「言えたじゃねえか」という風に頷いていた。
そして、少ししてメンバーから驚愕が消えると、モモンガさんのやる気に当てられてその気になる人がなんだかんだ続出した。
反対だった人もそこまで言うならとむしろ心地よい感じでモモンガさんの提案を受け入れる流れになり、最終的にメンバーの1人であるブルー・プラネットさんの「じゃあ、俺が避難小屋作るわ」という言葉で流れに決着が着いた。
ナインズのメンバーwikiから貼っつけて調理したセリフ達↓
「じゃあ、俺が避難小屋作るわ」
「初見攻略、面白いじゃないか。やろうぜ」
これ組み込めたのは個人的に嬉しかったです。楽しい創作だった(≧▽≦)
後短い1話で完結という事になります。