カードショップ店員をしている一般JK(転生済み)です。前世のデッキを使ってたら前作ラスボスと勘違いされてました。   作:SSS級侵略者ファンチ=メン

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 今日はこの後18時にもう一話投稿します!


7話 竜の剣VS魔弾(前)

「……店番とかもあるんでバトルスペースでいいです? 表に出てバトルは流石にやってられないので」

 

「おうっ! それでもいいぜ!! お前みたいな強い奴とバトルできるのめちゃめちゃ楽しみだ!!」

 

 アニメの主人公とのバトル。そういう展開には心躍るものがある。

 

 ボクとカケルは店の奥にあるバトルスペースへと向かう。うちはバトルスペースにはかなり力を入れている。その気になれば百人規模の大会が開けるくらいには広い。

 

 ただ今は平日の夕方時ってのもあって、客はそんなに多くない。いたとしても小学生や中学生ばかりだ。

 

「アマネねーちゃん! バトルするのか!? 見せてくれよ!」

 

「アマネさーん! 後からデッキの相談してもいい?」

 

「おいねーちゃん! 相変わらずちんちくりんだな! エプロンでけ〜〜いだっ!!」

 

 デュエルスペースで遊んでいる子ども達は大体顔見知りだ。ボクがインストラクターをやってルールや戦法を叩き込んだボクの弟子とも言える。

 

 その平和な様子を見て、カケルは笑い出す。

 

「子供に好かれてるんだな! 子供に好かれるのはいいバトラーの証だって親父が言ってた!」

 

「褒めてもらえるとは光栄だね。少しうるさいかもしれないけど、ここでやろう」

 

 ボクは長机に設置されたボタンを押す。すると長机にプレイ用のフィールドや、机サイズに小型化されたホログラムが投影される。

 

「先行後攻はダイスでいいかい?」

 

「ああ! 俺は奇数を選ぶぜ!!」

 

「じゃあボクは偶数だ」

 

 机を操作するとホログラムで投影されたダイスが振られる。出目は6。ボクの先行だ。

 

「ではバトルを開始しよう。準備はいいかい?」

 

「ああ……いつでも来いっ!」

 

 ボクとカケルは机にデッキを置く。デッキは自動シャッフルされて、手札が補充される。

 

 ボクとカケルは掛け声と共に裏側に置いたアルターカードを表へ返す。

 

『アルターオープン!!』

 

竜魂の祭壇(アルターオブドラゴンソウル)!!」

 

万魔の祭壇(アルターオブパンデモニウム)。ボクのターン!!」

 

 先行にはドローはない。

 

 ボクは手札を確認する。このデッキはゼクスと戦ったデッキとは少し違う構築だ。まあこれも前世から使っているデッキなんだけど。

 

「ボクはパンデモニウムの効果で手札を二枚捨てて混沌の魔力を魔力ゾーンに置く!」

 

 初期手札はちょっと微妙だ。これ以上やることはない。初動をもう少し多く積んでもよかったかな……。

 

「ボクはこのままターンエンド」

 

「混沌の魔力……っ! そのカードを見たのは久しぶりだぜ! 俺のターンっ!」

 

 カケルは勢いよくデッキからカードをドローする。カケルの言う通り、混沌の魔力を使ったのはアニメだと魔王のみ。

 

 ボクも混沌の魔力を使うバトラーを見たことがない。魔力を貯めるために毎ターン手札を二枚も使うから、使いにくいだけなのかな?

 

「祭壇の効果で俺は火の魔力を魔力ゾーンに置く!」

 

 竜魂の祭壇は火、光、闇の三種類の魔力を魔力ゾーンに置くことができる。必要コストもないからかなり便利なカードだ。

 

「俺は【冒険の始まり】を使うぜ! 山札の上から五枚を見て、その中にコスト3以下のモンスターがあるなら手札に加える!」

 

 アニメで幾度となく主人公を救ってきたカードの登場に、ボクは感動していた。このサーチカード強いんだよな。汎用性も高いし。前世だと結構高いカードだったんだよな……みたいなエピソードが頭の中に次々と浮かんでくる。

 

「来たっ! 俺は【竜の勇者レン】を手札に加えるぜ! その後見たカードは好きな順に山札の下に送り、自分の手札を一枚山札の下に送る!」

 

【冒険の始まり】はこのカードともう一枚手札のカードを使うため、手札の枚数は減ってしまう。

 

 しかし、それ以上にサーチの効果が強い。一般的なデッキなら山札の上5枚も見れば、1枚は3コスト以下のカードはある。

 

 複数枚あるなら、自分の手札や相手のデッキタイプによって持って来れるカードを選べる。質の高い手札を作りやすいのだ。

 

 そんな優秀なカードを初手に持ってるなんて……流石主人公と言わざるを得ない。

 

「俺はターンエンドだぜ!」

 

「ボクのターンドローっ!!」

 

 ボクはドローしたカードを見る。あまり強くないな……コストがうまいこと噛み合わないぞ。

 

 手札事故、まあこのデッキなら起こりやすいし、そもそも混沌デッキはある程度それを想定して動かなきゃいけない。

 

 ここは一度手札をリセットするか。

 

「ボクは手札を二枚捨てて魔力を置く! 混沌の魔力2コストで、ボクは【万魔殿の宝物】を発動するっ!」

 

「そのカードは知ってるぞ! 手札を全部捨てて三枚ドローするカードだろ?」

 

「よく覚えていたね。その通りだ。ボクの手札は今一枚! 一応得する形にはなるかな!」

 

【万魔殿の宝物】は自身の手札を全部捨てて3枚ドローする効果だ。

 

 手札が多い時に使うと損しかしないが、手札が1枚の時とかに使うと得をするいいカードだ。

 

 手札を捨てることが多い混沌デッキの貴重なドローソースとも言える。

 

 新たに引いた3枚は……うん、かなり強い。

 

「ボクはターンエンドだ」

 

「よっしゃ! 俺のターン!! 行くぜ! 俺は火の魔力を2枚使い、【竜の勇者レン】を召喚する!!」

 

 キタアアアアアア!!! 主人公のエースカード!!

 

 アニメの序盤から終盤まで一度も抜けることが無かった勇気カケルを代表する一枚!!

 

「レンの効果! 俺はデッキから【火竜の剣フレイムソード】を手札に加えるぜ!」

 

【竜の勇者レン】は【竜の剣】というカードとシナジーがある一枚だ。

 

 召喚時に【竜の剣】と名のつくカードをサーチし、様々な戦略を生み出す。効果は単純だけど、構築とプレイングで強さが変わるいいデッキだ。

 

 さて、ボクも気を引き締めないとな!

 

「俺は手札にある【竜の剣の儀式】の効果を使用! このカードと手札一枚を墓地に置くことで【竜の剣】カードを一枚コストを支払わずに出すことができる!」

 

 さらに踏み倒しも搭載している。

 

 デッキタイプとしては中盤にかけて強くなるミッドレンジデッキ。ここからはどんどんカケルのペースになっていく!!

 

「アーティファクトカード【火竜の剣フレイムソード】をフィールドに出すぜ! 効果発動! レンに【先駆】を与え、パワー+1!!」

 

【先駆】はゼクスも使っていたが、召喚酔いがしなくなる効果だ。

 

 E&Dのモンスターは召喚したターンには攻撃できないという制約がある。【先駆】はそれを無視して出たターンに攻撃を可能とする。

 

「レンで相手に攻撃!!」

 

『喰らえっ! 俺の剣技を!!』

 

 この攻撃を防ぐ手段はない。ボクはそのままダメージを受ける。

 

「俺はこれでターンエンド。どうだ! 俺とレンのコンビネーションは!!」

 

「これを見られてボクは感動しているよ。本当にだ。まさかまた見られるとは思っていなかったからね」

 

 それも生で見られるなんて夢のような話だ。アニメの主人公のお決まりのコンボ! それを体感できているだけでもカードゲーマーとしては嬉しい限りだ。

 

 しかしそれと勝ち負けは別物。

 

 ボクも勝ちに行くとしよう。

 

「ボクのターンっ!! ……来てくれたね。ボクの相棒」

 

「なんだ……!? そのカードからすごい気配を感じるぞ!? それはまるで……!!」

 

 ボクもその気配は感じている。

 

 何せこのカードは前世の相棒であり、あまりの強さに多くのプレイヤーを苦しめ、挙句禁止カードに入った一枚だからだ。

 

 断じて魔王のカードだから変な気配を漂わせているとかではない。きっとこのカードに宿っているのは多くのプレイヤーの断末魔や恨み辛みとかだろう。

 

 ……それはそれですごい曰く付きだな。

 

「それはまるで魔王みたいだとでも言いたいのかな? けどこれはそんな優しいものじゃないかもよっ!!」

 

「なんだ……!? 来るっ!!」

 

 魔力を貯めた後、ボクは高らかにそのカードの効果を読み上げる。

 

「このモンスターは召喚する時にこのカード以外の全ての手札を墓地に置くことで、召喚コストを3下げることができる」

 

「さっき増やした手札を墓地に!? 何が出てくるんだ!?」

 

「見るがいい! これが混沌を司る魔弾の力だ!! ボクは【魔弾卿ヴァルグリム】を召喚する!!」

 

 もし【竜の勇者レン】が村から飛び出した駆け出しの勇者とするなら。

 

 このカードはさしずめ悪魔の都を統べる大貴族だろう。

 

【魔弾卿ヴァルグリム】。ボクはこのカードは混沌属性のカードの中でトップクラスに強い1枚だと思っている。

 

「さて、キミの竜の剣と、ボクの魔弾。どちらが強いか勝負といこうじゃないか」

 

 ボクはそう言ってニヤリと笑みを浮かべた。

 

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