一部の生徒に激重感情を抱かれる偽物たちのブルーアーカイブ   作:ヒッキーn世

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メリークリスマス!
ということでサンタ気取りの作者からのクリスマスプレゼントです
ここ最近スランプ的なあれでまともに小説を書けていないんですがこの作品関連の話はするっと書けました
後ついでに匿名解除しました


青春部のクリスマス短編集

 

 姫と王子は夜に踊る

 

 ティーパーティーがティーパーティー(激ウマギャグ)をしている中、ミカがそれはもうニッコニコの笑顔で楽しげな雰囲気を漂わせていた。

 

「明日はセイカちゃんとデート〜♪楽しみ〜♪」

「本当に彼女のことが気に入っているんだね。まあ理由なら聞き飽きるほどに耳にしたが」

「ミカさんが嬉しそうなのですからいいじゃないですか。それに私個人としてもセイカさんのことは悪くは思っていませんよ?」

「それは私もだよ、ナギサ。あの見目に思うところがないわけではないが、それでも彼女は明確に私とは別人であり、私を変えてくれた恩人の一人なのだからね。……できるならあの浮かれきってるその背の羽根で飛んでいきそうなミカをどうにかしてくれると助かるのだけれどね」

「それは……その内落ち着きますよ、きっと……恐らくは……」

 

 

 

 クリスマスイブ当日、トリニティ校区内では適度に積もる程度雪が降り、見慣れた景色を白一色に染め上げていた。それを関係ないと自室に籠もる者がいれば、記念日に相応しい景色だと喜んで外を出歩く者もいた。彼女たち、セイカとミカのカップルはもちろん後者であった。

 

「これは見事に積もったものだね。ホワイトクリスマスと呼ぶに相応しい光景だ」

「そうだね。私たちのデートにピッタリ!」

 

 完璧な防寒対策をした二人はトリニティ某所で待ち合わせ、たった今合流したばかり。これからご機嫌な逢瀬の時間である。

 

「では行こうか、ミカ。せっかくの今日という特別な一日、目一杯楽しもうじゃないか」

「うんっ!」

 

 

 

「これがクリスマス限定パンケーキ……」

「可愛い……!」

 

 目の前に運ばれてきたのはクリスマス限定、に加えてカップル限定の一品。フワッフワの生地の上にかけられているのは赤い苺と緑のピスタチオのソース。それに加えてハートのチョコレート飾りやサンタを模した砂糖菓子、おまけに雪を表現しているのであろう粉砂糖がまぶされた豪華な甘味だ。ついでに二人分なのでボリュームも抜群である。

 

「ではいただこうか」

「ちょっとまってね?よいしょっと」

 

 取り出したスマホで写真を撮影するミカ。そんなまさにJKといった光景に思わず心の中の男の子が漏れ出しそうになるのをセイカは留めた。

 

(今は私とてJKだ。この程度こなせるはずだとも。うん、そうに違いない)

 

 なお実際はこういうメニューをいつもの面子で頼んだ場合、写真を撮るのはユメノくらいのものであるという事実は今の彼女の脳内にはなかった。

 

「ミカ、せっかくだし私も撮っていいかい?」

「うん、いいよ。あ、せっかくだしいっしょに写ろうよ!」

「いいとも」

 

 ……なおセイカ自らが撮った写真の出来栄えは、ミカにリテイクを要求される程度のものであったことをここに記録しておく。

 

 

 

 次にたくさんのイルミネーションが輝く場所を移した二人は、何をするでもなくその幻想的な景色を堪能していた。

 

「……綺麗」

「ふふっ、見とれちゃった?」

「あ、ああ。私はこういった外出先で見られる情景とは縁がなかったものでね。こっちに来て動けるようになってからも内向的な生活習慣のままだったし……」

 

 いつもの演技を忘れるほどその輝きに魅了されていたことを指摘されたセイカは、思わず早口になって弁明を試みた。

 

「そういうとこはセイアちゃんに似てるよね。……ふーん、そんなにイルミネーションがきれいだったんだ。へー、そっか」

 

 言い訳をしている間に何かしらスイッチを押してしまったことに気付いたセイカ。焦った思考のまま頭を問題解決へと切り替えていく。

 

(ま、まずいな……何か変なことを言ったか?……いや待てよ?まさかこれはこういったシチュエーションでよくある()()をやるべきだというのか?)

 

 流石にそのセリフをシラフで口にするのは些か恥ずかしかったセイカだが、愛する彼女に喜んでもらいたい気持ちは本心、故に頭に浮かんだ歯の浮くような言葉をミカに投げかけた。

 

「み、ミカの方がイルミネーションよりもきれ……」

 

 しかし、その言葉は途中で止まることとなった。何故ならば、

 

「……あれ?セイカちゃん?どうしたの?」

「……いっいやなんでもないともああ本当に照らされた君に見惚れてなどいないし言葉が出なくなるほどずっと見ていたかったわけではないさ」

 

 まあ言ってしまえば一目惚れの再発である。かつて画面越しに見た時ともまた違う、等身大の「聖園ミカ」を致死量浴びてしまった彼女は再び高速でまくしたてることしかできなかった。

 

「……まあいっか。セイカちゃんは私のこと大好きみたいだしね」

 

 そんな隠した思いは目ざとい天使にあっさりと見破られていたのだが。

 

「うう……しょうがないじゃないか。君が可憐すぎるのが悪い。そんなお姫様は……」

 

 セイカはすっと背伸びをしてミカの唇に己のそれを合わせ、

 

「……!」

「ボクに口を塞がれるのがお似合い……なんてね」

 

 悪ぶったまま笑った。

 

「もうっ!不意打ちはズルいよ!」

「君がからかってくるのが悪いんだよ。それに」

「それに?」

「……ボクをこんな風にしたのは他の誰でもないミカだしね」

「だってかわいい王子様にいじわるされてみたかったんだもん」

「なら思う存分悪い男になってあげるよ。お姫様の仰せのままにってね」

「じゃあいっしょに踊ろっか、セイカちゃん」

「いいよ、ミカ」

 

 これはある冬の日の思い出。二人の少女が過ごしたどんな電球よりも眩しいそれは、これからも心に残り続けることとなった。

 

 

 

 

 

 

 いつかあなたに頼られたくて

 

『だからクリスマスはこっちに来ないで。絶対、だからね』

『わかったってアヤメ。その日は行かないよ』

 

「まさかあそこまで拒否されるとはね」

 

 先日の電話の内容を思い返してはため息を吐く。まあ理由としてはここ最近通いまくっていた彼女の自業自得なのだが。

 

「どうしたんですか?アヤちゃん」

「なんでもないよ、行こっかヒフミ」

 

 クリスマスイブの昼下がり、アヤは補習授業部の面々と共に今日という日を過ごしていた。

 

「今夜は()なる夜、ですね♡コハルちゃん」

「なんか雰囲気がエッチ!しけぇ!」

「何か変だったか?」

 

 いつもと変わらぬ談笑(時々H)をしている様子を眺めるアヤ。そんな風景に笑みが漏れる。

 

「相変わらずだね、みんな」

「あはは……そうですね。でも、それを言うならアヤちゃんは変わりましたよね」

「そうかな?」

「はい。なんというか笑顔が素敵になった?みたいな感じですかね……?」

 

 セイカのお姫様が好きそうな殺し文句だな、なんて思考を押しのけその言葉の真意を考える。

 ここ最近は色々とあったし、その間彼女たちとはあまり顔を合わせていなかった。だからわずかな心中の変化に気付かれたのだろうか。

 

(まあどっちでもいいか)

 

「……そうだね。まあ私も変わった、のかな」

「今のアヤちゃんの方が私は好きです。……あっ、前のアヤちゃんが悪かったなんて言うつもりはないですよ!?」

「わかってるよ」

 

 やはり彼女たちと過ごす時間はまた違った意味で居心地がいい。これが「阿慈谷ヒフミ」の力だろうか……なんて考えていると、ヒフミが真剣そうな顔をして言った。

 

「アヤちゃん」

「ん?どうかした?」

「私たちは友達、ですから。困った時は頼ってくださいね。いつも忙しそうにしてますし……」

 

 誰かに頼る。それは簡単なことで「六花アヤ」になる前の彼には難しかったこと。でも今ならきっと……

 

「そうだね。その時は頼らせてもらうよ、ヒフミ。それにみんなにもね」

「え?」

「そうだな。一人でなんでもする必要はないからな」

「複数人でするのも”いい”ですよね♡」

「わっ私だって声をかけてくれればいくらでも手伝うから!」

 

 頼れる友はきっとあいつらだけじゃない。彼女たちだって自分のことを気遣ってくれる仲間だ。

 

「みんな、ありがとね。じゃあ手始めにちょっと言うこと聞かない奴らをぶっ飛ばしにいこっか」

「ええ!?それはちょっと……」

「ははは、冗談だよ。それより早く行こ?モモフレンズカフェ混んじゃうよ」

「それもそうだな。限定のコースターがもらえないのは困る」

「料理はおいしいのよね?」

「見た目は独創的ですが味はなかなかに”イケる”らしいですよ?」

「では行きましょうか!ペロロ様、待っていてください!」

 

 こうして一団は目的地へと向かっていく。

 

「……”本番”の時は誤魔化さないできちんと言ってくださいね?」

「……わかってるよ」

 

 照れ隠しをした一人の心情にはあくまで踏み込みすぎずに。

 

 

 

 

 

 

 アビドスクリスマスパーティー

 

「メリークリスマス!」

「「「「「メリークリスマス!」」」」」

 

 クリスマスイブのアビドス校舎内では、ささやかなクリスマスパーティーが行われていた。

 たくさん買い込んだ料理に交換用のプレゼント。なおこれらはこの日のために狩られた指名手配犯の賞金によるものである。

 

「このサーモンおいしいですね〜!」

「本当ですね。近場で安売りしていたので買ってきましたけど……」

「あの値段でちゃんと儲かってるのかしらね」

「ん。きっとあの人は裏社会の一員。稼いだお金でクリスマスにサーモンを広めようとしてる」

「そうなんですか!?」

「……私の勘だけど」

「ただの妄想じゃない!」

 

「みんな楽しそうだね〜」

「……そうですね」

 

 ワイワイと(サーモンの話で)盛り上がる後輩たちを眺める三年生二人。その顔付きはどこか大人びていた。

 

「ねえホシノちゃん。私気づいたことがあるの」

「なんで……なに?」

「アビドスって雪が降らないでしょ?だからホワイトクリスマスを見るのは無理だって思ってたの。でもね?」

「でも?」

「アビドスには砂があるの!ってことはつまりここではイエロークリスマスが見られるってことなの!」

「……」

 

 こじつけに近い暴論を披露するユメノ。だがまあこんな日くらいその暴論を飲み込むのも悪くない、とホシノは思った。

 

「……そうだね〜ある意味縁起がいいのかもね」

「でしょ!?みんなにも教えてあげよっと」

 

 後輩たちに嬉々として持論を語りにいった()()()の背中を目で追いながら、ホシノは考える。

 彼女は先輩ではない。よく似た別人であり、自分と同じくアビドスを気に掛ける者だ。

 そう思い込もうとしても、彼女の言動がその考えの邪魔をする。別人と呼ぶにはあまりにも似すぎているが故に。

 

「まあセイカちゃんは無理しなくていいって言ってくれたけどさ〜」

 

 自分の先輩への思いの重さはある程度理解している。この思いの発散先を見つけなければいけないことも。だがそれはとても難しいことで……

 

「もうっ、何してるのホシノちゃん!」

「ほえっ?」

 

 いつの間にか目の前に立っていたユメノに頬を両側からつままれていたことに気付く。

 

「せっかくのクリスマスイブなのにしん……しんき……とっとにかくそんな難しい顔してたら幸せが逃げちゃうし、サンタさんも来ないよ!……だから今日は楽しもう?ね?」

 

 ああ、彼女は自分が私の悩みの原因になっているなんて考えていないんだろうな。だったら自分だけ悩むのも確かに馬鹿らしいか。

 

「わかったよ〜おじさんもたまには盛り上がっちゃうよ〜?」

 

 ならば今は少しくらい羽目を外そうか。ホシノはそう考え、悩むことを諦めた。

 

「……盛り上がってるホシノ先輩ってどんな感じなんだろう?」

「想像はしにくいかもね……」

「でも楽しそうですよね〜」

「ん。ホシノ先輩嬉しそう」

 

 それはそうと後輩たちにそんな風に思われていたのか……なんて思ったりもしたが。

 

 

 

 

 

 

 青色のクリスマスを君たちと

 

 よく晴れたクリスマス当日、青春部はD.U.のカフェに集まっていた。

 

「さて……ではプレゼント交換を始めるとしようか」

「おおー!」

 

 その目的は一つ、クリスマスを友達と過ごすこともまた青春だからである。

 

「今更だけどクリスマスに一緒に過ごすのが私たちでよかったの?可愛い彼女もいるのに」

「それなら心配いらないさ。昨日思う存分楽しんだからね。それに彼女がいるからといって、友達との関わりをまるっきりなくさなければいけないわけではないだろう?」

「……それはそうだけど」

「私も昨日はホシノちゃんたちといっしょにパーティーしたからね!今日はみんなといたいな」

「わかってるよ。じゃあはい、これ」

 

 アヤがカバンから取り出したのは包装された小振りな箱。表面には「クリスマス羊羹」と書かれていた。

 

「クリスマス……ようかん?」

「……凡人の発想ではたどり着かない組み合わせだね。どんな羊羹なんだい?」

「赤と緑色の羊羹だよ。苺と抹茶味だって」

「百鬼夜行のものか」

「そうそう。おすすめされたからね」

 

 誰に、はあえて明かさずに話を進める。

 

「まあ彼女の薦めた品なら味は保証されているのだろう。家でいただかせてもらうよ」

「ありがとね、アヤちゃん!じゃあお返しにこれどうぞ!」

「これは……『砂の城』?」

 

 ユメノが差し出したのはいかにもお土産といった風貌のもの。海水浴で作るような砂でできたお城がプリントされていた。

 

「アビドスの銘菓なんだ〜」

「……アビドスにそういうのあったんだ」

「昔の名残、というものなのだろうか」

「ちなみに中身は砂糖がまぶしてあるサブレだよ」

 

 さらっと見た目だけでなく内容物もよくあるお土産であることが判明した。

 

「こちらも後でゆっくりといただくよ……では私からもプレゼントだ」

 

 満を持してセイカが手渡したのは……

 

「……手袋?」

「ああ、それも銃撃戦にも対応した薄手なのに温かいものだ」

 

 色はシンプルに黒。布地は彼女の言った通り何かを掴む邪魔にならない程度に薄く、キヴォトスにおいても普段遣いができる一品だった。

 

「ありがと、セイカ。この時期手元が寒いんだよね」

「私ももこもこのを着けちゃうと盾が持てないから嬉しいよ!」

「ふふ、中々の品だろう?」

 

 これでお互いのプレゼントの交換は終了した……のだが、アヤはどうしても言いたいことがあった。

 

「それでさ、セイカ」

「なんだい?」

「ツッコみづらかったんだけどさ……その格好何?」

 

 そう、今のセイカの格好はまさしく「セイカ(サンタ)」と呼べるようなものだった。先端に白いふわふわとした球体のついた赤い帽子。要所要所に同じく白いファーがあしらわれた赤いワンピース。背負ったカバンもプレゼントボックス風と隙のない完璧な出来だった。

 

「ふふん……これはミカが選んでくれた……」

「あーオッケーわかった。そういうことね」

「似合ってるよ!やっぱりミカちゃんセンスいいね!」

 

 片やいつもの惚気の気配に言葉を切り、片や愛しの彼女のセンスを褒め称える。ここ最近よく見られるようになった風景である。

 

「でもいいの?」

「何がだい?」

「そういう格好はイベントに巻き込まれるから止めておこうって言ってたのはセイカでしょ?」

「せっかくのプレゼントだからね。それに格好だけで騒動に巻き込まれるなんてことは……」

「”あっ!青春部のみんな!”」

 

 フラグ建築乙とでも言いたげなタイミングでやってきたのは、ご存知シャーレの先生。それが意味することはずばり、

 

「”この辺りでトナカイロボに乗ったイブキを見なかった?”」

 

 厄介事(イベント)確定演出である。

 

「(なにそれ知らん怖……)そんなものは見ていな……ん?何かが高速でこちらに近づいてくる音が……」

「……それ、不味くない?」

「あ、あっちに何かいるよ!」

 

 ユメノが指した方を見れば、メカメカしいトナカイとその背に乗った黄色い髪の幼女、イブキが見えた。そしてそれと同時に彼女たちは理解した。

 

((これ、クリスマスイベじゃん!))

 

 この後暴走したトナカイロボを止めるため万魔殿と手を組む過程でセイカとの関わりが判明したり、強制サンタ機能でみんながサンタ衣装になったりしたが、それはまた別のお話である。





姫と王子は夜に踊る

この後めちゃくちゃ(ダンス)った
この二人のデートが一番書きやすい気がする(このために彼女もいないのにデートの定番を調べたのは内緒)


いつかあなたに頼られたくて

クリスマス、というよりは実質補習授業部回
彼女たちともアヤメや青春部とは別ベクトルで仲がいいです


アビドスクリスマスパーティー

悩みすぎるのも馬鹿らしい、みたいな話
※なおこの話は実在の某戦隊怪人とは何の関係もありません


青色のクリスマスを君たちと

青春部のプレゼント交換とイベント確定演出の話
プレゼントの内容及びイベント内容は基本捏造
だから普通の格好で遊びに行く必要があったんですね(一敗)






いかかでしたか?
クリスマス気分を楽しんでいただけましたかね?
にしてもブルアカの方にもサンタ衣装のキャラ増えないんですかね
ちなみに作者はドレス忍術研究部を引こうかどうか悩んでいます
久しぶりの投稿なのでプレゼント代わりに感想がもらえると嬉しいです(小並感)
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