女でも言うんよ? 同じ事。
by.瀬戸 燦
さて、今回のタイトルは──
『瀬戸の花嫁』知ってるかな?
モモーイが歌うやつ。
ほとんど進んでないけれども、よかったらどうぞ。
Aクラスへの宣戦布告。それは、このFクラスにとっては現実味の乏しい提案にしか思わないだろう。
『勝てるわけがない』
『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』
『姫路さんがいたら何もいらない』
『阿部さん、いや、阿部様がいれば安泰』
『雄たん、ハァハァ…』
「「誰だ(誰よ)!」」
「俺はこの拳に全てをかける!」
「Hg2(NO3)2。今手元にあるのは硝酸水銀(I)だけね……目も皮膚も腐食させてあげるわ」
※硝酸水銀(I)。別名、硝酸第一水銀 = 化学式:Hg2(NO3)2。
ラットに経口投与した場合の半数致死量(LD50)は170mg/kg、経皮投与した場合の(LD50)は2330mg/kg。
眼や皮膚への腐食性がある。摂取した場合は主に腎臓や神経系に影響が及ぶ。これ自体は不燃性であるが、酸化剤であり周囲での燃焼を助長する。加熱による分解で腐食性・毒性のある煙霧を生じることがある。
「理科、落ち着いて。僕や理科にまで被害が及ぶよ?」
「ガス室を作り上げる方が確実ね」
「何がだ!? っつーか、怖ぇぇよ!」
坂本。次の獲物は…あなたかもしれない……
「こほん! とにかく、必ず勝てる。いや、俺が勝たせてみせる」
そんな圧倒的な戦力差を知りながらも、豊臣
『何を馬鹿なことを』
『できるわけないだろう』
『何の根拠があってそんなことを』
否定的な意見が教室中に響き渡っていく。
個人戦なら、勝ち目はあるんだけどね。
「根拠ならあるさ。このクラスには試験召喚戦争で勝つことのできる要素が揃っている」
ゲリラの言葉を受けてクラスの皆が更に騒めく。
「それを今から説明してやる」
不敵な笑みを浮かべて、壇上からみんなを見下ろす。
「聞いてあげる。説明なさい」
「はぁ…、ったく。おい、康太。畳に顔つけて姫路と阿部のスカートを覗いてないで前に来い」
「…………!?〈ブンブン〉」
「は、はわっ」
「ねぇ、見る?」
スカートの裾を持って、下着の見えるか見えないかのラインまでずり上げる。
「「「おぉーっ…」」」
クラスが揺れた。……何? 物好きが多くない?
「お代はあなた方の命で」
「「「おいっ!?」」」
「冗談よ。〈ぼそっ〉半分は」
「で、だ。姫路と阿部のスカートを覗き込んでいたのが、土屋康太。こいつがあの有名な、寡黙なる性識者
「…………!!〈ブンブン〉」
土屋康太という名前はそこまで有名じゃない。…けれど、ムッツリーニという名前は別。知る人ぞ知るその名は、男子生徒には畏怖と畏敬を。女子生徒には軽蔑を以て挙げられる。らしい。ホントに……Fクラス以外も駄目なんじゃないかしら。
必死になって顔と手を左右に振り否定のポーズを取る土屋。
姫路がスカートの裾を押さえて遠ざかると、土屋は顔についた畳の跡を隠しながら壇上へと歩きだした。
『ムッツリーニだと……? 馬鹿な』
『あり得ん、ヤツがそうだというのか……?』
『だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ……むしろ、道化を演じているようにも見える』
『ああ。神懸かっているな。さすがだよ、ムッツリの名に恥じない姿だ……』
『実は俺もムッツリだ』
今のカミングアウトは必要だった?
「ムッツリーニ、仲間がいたみたいだよ?」
「…………!!!〈ブンブンブンブン〉」
「???」
姫路は頭に多数の疑問詞を浮かべてる。あだ名の由来は、『ムッツリスケベ』。姫路に教えてあげよ。
「姫−−−」
「おぉーっと! 雄二、続けて」
明久、人前で羽交い締めだなんて、…大胆になったわね。翔子に……
「〈ぼそっ〉余計なことは言わなくてもいいからね?」
何で解ったのかしら?
「おう。…姫路のことは説明する必要はないだろう。皆だってその実力はよく知っているはずだ」
今、凄い眼差しを受けた気がするわ。
「えっ? わ、私ですかっ?」
「ああ。主戦力だ。期待している」
1年の時学年4位だった実力者。期待するのも仕方のないことかもしれない。
因みに、2位と3位は存在せず、同立1位がさらに二人いる。名前は公開されてはいないけどね。
『そうだ。俺たちには姫路さんがいるんだった』
『彼女ならAクラスにも引けをとらない』
『ああ。彼女さえいれば何もいらないな』
『阿部様がいれば勝つる』
『霧島さんは俺の嫁』
−−瞬間。とある3人から攻撃されて公言者を撃沈。
「木下秀吉だっている」
何事も無かったかのように再開……間違えた。何事も無かったわ。
秀吉は美人な男の娘として有名。演劇部のホープのこととか、Aクラスにいる双子のお姉のこととかでも有名だったりする。
『おお……!』
『ああ。アイツは確か、木下優子の……』
『秀吉、可愛いよ秀吉』
「当然、俺も全力を尽くす」
『確かになんだかやってくれそうな奴だ』
『坂本って、小学生の頃は神童とか呼ばれていなかったか?』
『それじゃあ、振り分け試験の時は姫路さんと同じく体調不良だったのか』
『雄たぁん』
『実力はAクラスレベルが二人もいるってことだよな!』
「誰だぁっ!?」
坂本を呼んでいる声にまた叫ぶ。
でもまぁ、クラスの士気は確実に上がっていった。思った通りね。
けれど、数学がBクラス並の島田美波を呼ばないって事は知らないって事よね。それならばきっと、他の人の点数についてetc
「それに、吉井明久と阿部理科だっている」
………シ ン…………
そして一気に下がる。オチ担当? チラッと明久に目をやる。
「ちょっと雄二! どうしてそこで僕らの名前を呼ぶのさ! 全くそんな必要ないよね!」
ふっ…。よく言うわね。あ、坂本が“いつもの”バカな明久に戻ったって安堵してない? そんな嫌だったの? 明久に言い包
『誰だよ吉井明久って』
『聞いたことないぞ』
『じゃあ、阿部理科ってのは?』
『さぁ?』
『おデコちゃんだろ』
バンド使ってオールバックにしてるだけでしょうに。坊主だったらどんな反応をしたのかしらね。うん。とりあえず、明久と翔子には怒られるわね。
「って、ホラ! 折角上がりかけてた士気に翳りが見えてるし! 僕は雄二達とは違って普通の人間なんだから普通の扱いを−−ってなんで僕を睨むの? 士気が下がったのは僕のせいじゃないでしょう!」
「む…そうか。知らないようなら教えてやる。こいつらの肩書きは……《観察処分者》だ」
「「え?」」
どういうこと? むしろ、どういうつもり?
「理科もだったんだ(知ってたの?)」
明久が話ながら唇の動かし方を変えている。腹話術の要領で話をしている訳だ。相変わらず無駄にすごい技術ね。勿論、明久には劣るけど、できないこともない。
まぁ、新薬開発研究中とかだと何処で誰が見ているか解らないもの。事実、盗聴,盗撮は頻繁にあったし、探偵や隣人に扮した何処ぞのスパイなんてのもいた。初めのうちは、リアルでそんなのがいる事にも驚いたけど。……慣れって怖いわ。
『なあ、……《観察処分者》って、バカの代名詞じゃなかったっけ?』
「ち、違うよっ! ちょっとお茶目な17歳につけられる愛称で(その方が都合がいいって事かな? どう思う、理科)」
「やめなさい、明久。みっともないわ。潔く認めるのよ(同意見よ。焦って綻びでもしたら相手の思うツボだし)
因みに、永遠の17歳です♪ おいおい☆(全く、面倒な事になったわ…)」
挙げ足取りなんてやられてしまえば、きっと余計な要求をされる。ホンット、意地悪婆さんだわ。
「そうだ。《観察処分者》っていうのは、バカの代名詞だ」
「肯定するな、バカ雄二!(この後行く?)」
「言っていい事と悪い事があるわ(そうね。これが終わった後でいいでしょ)」
「あの、それってどういうもの何ですか?」
姫路が小首を傾げて聞いてきた。頂点に近い場所にいた姫路に、この単語は馴染みがないんだろう。知ってるからってどうってことはないけど。
「具体的には教師の雑用係だな。力仕事とかそういった類いの雑用を、特例として物に触れるようになった試験召喚獣で熟すといった具合だ」
そう。本来、召喚獣は同じ召喚獣は触れるが、物に触ることができない。召喚フィールドとか、立ったりすることはできるみたい。他はただの霊で、《観察処分者》は実体化させた霊ってとこかしら。例えにまでオカルトを含めてしまうのは、アレなんだけど。
「そうなんですか? それって凄いですね。試験召喚獣って見た目と違って力持ちって聞きましたから、そんなことができるなら便利ですよね」
「あはは。そんな大したもんじゃないんだよ(とりあえず、影ながら頑張りますか)」
「そうね。自慢できる事じゃないもの(そうね。さっさと終わらせてしまいましょ。話しないと)」
『おいおい。《観察処分者》ってことは、試召戦争で召喚獣がやられると本人も苦しいってことだろ?』
『だよな。おいそれと召喚できないヤツが一人いるってことになるよな』
あら?
「理科は!?」
『阿部さんは俺が守る!』
『いや、おれが!』
『俺も!』
カミカゼ部隊でも作ろうかしら?
「ああ、そうなる。だが、気にするな。どうせ、いてもいなくても同じような雑魚共だ」
「雄二、そこは僕達をフォローする台詞を言うべきところだよね?」
「カス共に言うべきこぶぁっ!??!」
カミカゼ隊は、言葉だろうと危害を加える者に容赦は無し、と。メモメモ……
「と、…とにかくだ。俺達の力の証明として、まずはDクラスを征服してみようと思う」
「−−−理科」
「えぇ」
行きますか。
「皆、この境遇は大いに不満だろう?」
『『『当然だ!!』』』
ノリノリね。
「ならば全員、筆
『『『おおーーっ!!』』』
テンションが上がってきたのは解るけれども、簡単に乗っかり過ぎじゃぁないかしら。…あ、そうだわ。
「俺達に必要なのは卓袱台ではない! Aクラスのシステムデスクだ!」
『『『うおおーーっ!!』』』
「ニューヨークへ行きたいかぁっ!!!」
『『『yeahaaーーッ!!!』』』
「い、いやー……」
クラスの雰囲気に圧されたのか、姫路も小さく拳を作って掲げてた。意外とノリがいいのね。
「うん」
「何を言っているのさ!? 理科は!」
笑みが戻らない。うんうん。と、何度も頷く。
「何で『満足満足!』みたいな顔してるの?!」
「正解よ。何番のパネルをとる?」
「どこの!? ていうか、何チャンスなの!?」
じゃ、そろそろ行きますか。明久に視線をやる。
ため息を一つついてから、「うん」と頷いている明久を横目に教室を出た。その後ろでは−−
「明久にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう。無事大役を……明久は? ををぃっ!? いないのか!」
何か言っているのが聞こえてきた気もするが興味無し。
そう、目指すは学園長室。今はそれだけ。
皆様のご意見ご感想お待ちしております。
m(__)m