知っとるかなぁ?
『閃光のグレネーダー』って。乳揺れ激しいヤツ。
女性の銃使いが主人公。
今回も理科様頑張ってます。タイトルもつけた理由が解るかも。
別れて残ったのは、3人。
「第二ラウンド開始だ。西村先生、野中長男が総合科目勝負を申し込みます!」
全く、儘ならないわ。
「勝負を受けないのか?」
「「受けます!」」
「へ?」
自身でも驚くくらい間抜けな音が漏れ聞こえた。
「Fクラス須川亮が総合科目勝負を受けます!」
「承認する!」
「「試獣召喚(サモン)!」」
『Bクラス 野中長男
総合 1943点
VS
総合 863点
Fクラス 須川亮 』
「アンタ、いつの間に…」
「ここはいいから、坂本達と合流してくれ」
「えぇ、解っ〈prrrr…〉」
こんな時に……。土屋?
「もしもし?」
『……早速で悪いんだが、阿部。教室がめちゃくちゃにされてペンなどもほとんどない。回復試験に支障が出そうだ。
そのタイミングでCクラスにも動きがあった』
「チッ!……やられたわ。悪いけど、点数が半分以下に減らされてさらに勝負をする羽目になるところだったのよ。まだ戦えるけど、相手によっては厳しいわね」
どうする…? このまま突き進むか? ───にしても、こいつは目障りねェ。
『……阿部、さらに悪化したようだ。島田が人質にとられた』
「は?」
どういうワケよ! 明久に頼んで………っく! それを利用したか、根本。
「島田を釣ったのね?」
『………おそらくな』
「気づいてたの?」
『……島田の情報を照らし合わせての予測だ』
さすがね。予測が立てられるだけの情報を手にしているってワケね。
「充分に称賛に値するわ。情報は武器だもの」
『……四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日午前九時に持ち越し、再戦。その間は試召喚戦争に関わる一切の行為を禁止するということになっ───』
「待って」
目頭のところをゆっくりと揉み解しながら思い出し、思考する。
『───何だ?』
…………………! そうか、そういう……。
「土屋。さっき言ってたCクラスの動き、このタイミングだと漁夫の利を狙っているようにも見えるけれど、おそらくはそれ事態もブラフ」
『……何? つまり、Cクラスもグルだということか』
「ん、そうね…。情報が足りないからまだ予測の範囲内から出ていないんだけれども、停戦協定の内容にある“その間は試召喚戦争に関わる一切の行為を禁止する”というのを利用してくるんじゃないかしら」
『……そうか。…Cクラスと根本との関連性を洗ってくる』
「坂本の方は、任せなさい」
プツッと電話が切れた。
「須川、生きてるわね?」
「ああ、さすがにヤバいがな」
「上出来よ。
布施先生、Fクラス阿部理科がDクラス野中長男に化学勝負を挑みます」
「承認します」
総合科目フィールドを消してから、再度化学勝負を挑み、フィールドを再形成する。
「試獣召喚(サモン)!」
『Bクラス 野中長男
化学 145点
VS
化学 41点
化学 276点
Fクラス 須川亮
Fクラス 阿部理科 』
「なっ!?」
「10秒よ」
少ない点数だろうが腕輪は健在だった。使いどこによっては最強にすらなる非普遍兵器(アブノーマルズ)。
そして言霊を発する。
「【Desert Eagle.50Action-Express】」
左手に握られたデザートイーグルは、50点消費、50AEの弾丸は最高7発装填の1発30点消費。これだけならば、威力も申し分ないのだけれども、反動がかなり大きく致命的な透きができる為味方がいない時には使い勝手が悪く弾補充の度に点数消費する上、装填中は両手が塞がるのでダメージのある攻撃はできない。──というよりは、不可能に近い。自身の透きもできる為、できるだけ距離を取りつつ装填と回避に専念といった感じになる。
射撃をする時は、きっちり姿勢を取らないと倒れたりするので姿勢を正す必要があるのだが、その為に射線は読まれやすい。
よしっ。
今回装填したのは2発。止めは須川に任せればいい。
姿勢を正して銃を構えたところで目配せをする。こくり。と頷いたのを確認した。
「くそっ! 行くぞ!!」
駆けて来る野中に、装填しながら笑みを深めた。
「Go ahead. Make my day.(やればいいわ。ほら、楽しませてちょうだい)」
ズドン! という音がしっくりくる重い銃声。
1発目で武器を弾き、反動を抑えつける。フィードバックで自身が倒れそうになるのを踏ん張って耐える。
2発目で胸を撃ち抜く。反動を無理矢理抑えて連射したせいだろう。急所から大きく外れてしまっていた。それでもダメージは高く、僅かだが点数が残って、消滅せずにふらついた。
その体勢のままで武器を投げつけてきたが、
「っらぁ!」
須川が叩き落とした。
そして透かさず、須川が胸の傷口に突きを入れて、くの字に折れ曲がったところを思いっきり顎を搗(か)ち昇げ、
「止めっ!」
がら空きになった喉めがけて全体重を乗せた棍を振り下ろす。
「野中長男、戦死!」
その言葉を聞く前に既に駆け出していた。
☆
Cクラスの前にいる坂本に追い付いた。はぁ、っ、何とか間に合ったわね。
「おう、ナイスタイミングだ。これからCクラスに」
坂本のセリフを手を前に翳して遮った。
「はぁはぁ……、待ってなさい」
すぅーーっ、ふぅ〜。少し動悸が治まった。
「俺達はこれから──」
「それを待ちなさいと言っているの。
ふぅっ……、明久はまだ囮かしら」
「そうだ。…で、阿部。何を待つってんだ?」
「…待た、せた……」
「康太?」
珍しく息を切らせている土屋に何事かと坂本は顔を顰めていた。
「他のクラスの前で何を騒いでるの?」
教室から出て来たのは、混じりけの無い黒髪をベリーショートにした気が強そうな女子───Cクラス代表、小山友香(こやまゆうか)じゃない!
「くっ!」
思わず呻いてしまった。僅かに表情を歪ませた土屋も、急ぎ携帯でメールを打ち込んでいた。
態々向こうから出向いて来たのだCクラスの代表が。
土屋の合流を知って強引にでも持っていくつもりか?
「ちょうど良かった、Cクラス代表に話があったんだよ」
「坂本!」
少しは、聞く耳を持ちなさいよ!
「何の用かしら?」
「Fクラス代表としてクラス間交渉に来た。時間はあるか?」
このバカ! 神童は、過去の栄光じゃないっ。
「クラス間交渉? ふぅん……」
「ああ。不可侵条約を結びたい」
辺りを見回すと何人かがCクラス近くで談笑して此方を伺っているようだった。最近ではプロとも張り合えるくらいになった身としては、嗤えるくらいのレベルね。
ま、とにかく坂本を前に出過ぎないよう注意して、
「廊下じゃあなんだし、とりあえず中に入ったら?」
不味い。
談笑している奴らの口角がいやらしく釣り上がったように見えた。
そうこうしている内に坂本が教室へと入って行った。
小声で近くにいた須川に話しかける。
「須川、入口を確保していてちょうだい。おそらくヤバい状況よ」
「解った」
「存外頼りになるわね。坂本よりよっぽどマシよ?」
「ならば、今度はこっそり弁当を頼む」
クスッ。
少し頬を紅潮させて些かばかりか外方を向き、それでもきっちりと伝えてくる。そんな可愛らしい姿に再びクスッと、つい綻んだ。
「いっぱい頑張ってくれてるからご褒美としてあげるけど、最後まで油断せずにきっちりとね?」
「任せろ」
須川は、どん! と胸を叩いてアピールする。
「土屋には、制服とは別に撮りたいと思う衣装を一着ならば撮らせてあげる」
グイッと親指を立てて命を滴らせる。今から出してどうするのよ。
「鼻血は拭いておきなさい。因みに、解っているとは思うけど、Bクラス戦終了してからの契約執行だから」
「「もちろんだ」」
今が一番輝いてない? 別にいいんだけどね。
「…で。土屋、援軍を呼んでいたのでしょう? アナタ」
「……〈こくり〉…間もなく到着の手筈」
「そ。解ったわ」
二人の目を覗き込んで頷き合い、Cクラスへ入った。
「で、何だったかしら?」
「不可侵条約だ」
「そうだったわね」と外にいた奴らと同じ、いやらしい笑みを浮かべた。
やはり。と思った時には坂本の手を取っていた。
「お、おい。何を」
「仲が良いのね。二人は」
「違ぇよ! こいつが勝手に」
「それにしても……不可侵条約ね……、どうしようかしらねぇ、根本クン?」
「なっ!?」
坂本が驚いて見下ろして来る。先ほどからの行動に納得いったのだろう。けれど、遅い。後手に回ってしまった。
「当然却下。だって、必要ないだろ?」
奥から取り巻きを連れて現れたBクラス代表、根本恭二(ねもときょうじ)。同時に入口からも声がした。
「阿部っ! 取り囲まれるぞ!」
廊下の奴らが動いたみたいだ。
「酷いじゃないか、Fクラスの皆さん。協定を破るなんて。試召戦争に関する行為を一切禁止にしたよなぁ?」
坂本が自身の迂闊な行動に下唇を噛んでいた。
「先に協定を破ったのはソッチだからな? これはお互い様、だよな!」
根本が告げると同時に取り巻きが動き出す。さらにその背後からは、先ほどまで戦場にいた小柄な数学の長谷川先生の姿が隠されていたらしく、
「長谷川先生! Bクラス芳野が召喚を───」
「させるか! 須川が受けて立つ! 試獣召喚!」
瞬く間にこの場は戦場と化した。
須川のファインプレーにウィンクをして、そのまま手を引いた。フィールドから出ないと何度だって襲われる。
「悪い! 後は自分で走れる」
「…阿部! 道は確保している。さっさと下がれ」
さすが土屋。
「康太、助かる」
「ねぇ、明久は?」
「…援護に来た」
「なら、坂本っ。姫路は任せるから、殿(しんがり)は任せなさい」
「すまない。行くぞ、姫路」
「ひゃぁっ!? 坂本君!?」
「悪いが時間が無いんだ。嫌かもしれんが我慢してくれ」
「で、でも…………ぉ、重くないですか…?」
坂本は、おかしそうに笑い飛ばす。
「はっ。全然だ。寧ろ軽過ぎてちゃんと食べているのか心配になるくらいだぞ?」
「イチャイチャしてないで早く行ってくれる?」
「「イチャイチャなんかしてねぇ(してません!)!」」
仲の宜しいことで。
じゃ、そろそろ時間稼ぎも充分かしらね。
「頭っ!!!」
「ぇ? 何だ?」「!!!!!」「何、どういうこと?」「どうしたんだ?」
一人を除いて、疑問顔の一同。
古典の竹中先生は、挙動不審に目玉をキョロキョロと忙しなくしていた。知っている生徒は他にいないと踏んだ竹中教諭が視線を合わせて来たので、ジェスチャーをする。頭の方に手を持っていって両手を前後左右に揺らしてみせた。
「ひぅっ」と微かに息を飲む音が聞こえてきた。それだけできっと理解してくれたのだろう。お礼を言わんばかりの安堵の相好を見せた。こういう時女で良かったって思う。男なら、恨みを買うに違いない。
「少々席を外します!」
チャーンッス!
勢い良く手を上げて号令を出す。
「総員退避っ!!」
教室へ戻る道すがら、明日の決戦に対して今日以上に詰めようと思った。
本日の敗因は、Bクラスを下に見ていたこと。
自身の慢心に足下を掬われた結果に終わった。