元バカと黒髪美少女と薬師   作:暁 巧

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 今回は早めの更新。
 タイトルは、
『怪物王女』です。

 理科達は戦後対談。のはずが、血の海ができて!?

「男ってのはバカな生き物よねぇ」




第十九問 跪いてお嘗めよ、聖なる足。掠れた喉で女王様とお呼びなさい。………むしろ、姫──いや、女神で。

 

「はい、おしまい。あんまり無茶し過ぎないようにね」

 明久の割れて出血していた拳を手当てして、傷口をつっ突きながら注意を促す。

「解ってるよ。ありがとう理科」

「明久よ、随分と思い切った行動に出たのう。

 なんとも……お主らしい作戦じゃったな」

 そうね、確かにそうだわ。うん。

「後のことを何も考えず、自分の立場を追い詰める、男気溢れる素晴らしい作戦じゃな」

「………秀吉、遠回しにバカだって言ってない?」

「けど、それが明久のいいとこ? でしょう?」

「ちょっと待って理科! 何で途中に疑問を挟んだの!?」

 何でって………

「明久だし」

「酷っ!? 僕の硝子のハートは傷ついた!」

「対戦車ライフルも防ぐ防弾仕様でしょ?」

「強いわ!」

「相変わらず仲良いな」

 坂本のような者が、獣臭い香りを撒き散らしながら話かけてきた。っていうか……

「誰よ! ペットなんか連れて来たの! ………翔子…?」

「やりかねんが、ちげぇよ!」

 翔子、マシにはなったんだけどね。

 坂本弄りは終わりにして、パパッと話を試召戦争に戻す。

「坂本、強かったでしょ? あの子達」

「ああ。ギリギリだったよ」

 

「「“油断大敵”よ(だな)」」

 

 坂本も何か学んだみたいね。

 「ったく」とか言って頭をガシガシと乱暴に掻きながら、坂本が根本の前まで進んで行った。

「さて、それじゃ嬉し恥ずかし戦後対談といこうか。な、負け組代表?」

「ちっ……! 阿部さえいなけりゃ負けてなかったんだよ!」

 ……ぇ? 何? 解らず明久に向かって尋ねた。

「明久、聞き間違いかしら? 今、下衆ランクがまだ上がりよ…いえ、下がりようがあったのかって驚かせられたんだけど?」

「そうだよ。理科のせいにしてたよ」

「……よく解ったな、おまえ」

「これでも、長い付き合いだからね」

「ま、いいが。

 とにかく、本来なら設備を明け渡してもらい、おまえらには素敵な卓袱台をプレゼントするところなんだが………」

 勿体ぶって教室を見渡し、根本に視線を戻したところでクラス中が坂本の口が開くのを待ち続ける。

 相変わらず無駄なカリスマ性を持ち合わせているわね。

「特別に免除してやらんでもない」

 坂本の発言に、ざわざわと周囲の、いえ、クラス中が騒ぎ始める。Fクラスはもちろん、Bクラスも。

「落ち着け、皆。前にも言ったが、俺達の目標はAクラスだ。ここがゴールじゃない」

「うむ、確かにのぅ……」

「ここはあくまで通過点だ。だから、Bクラスが条件を呑めば解放してやろうかと思う」

 その言葉を聞いてFクラスは納得したような表情になったけれども、Bクラスは、「いいのか?」って顔がちらほら見られる。そらそうよねぇ。

「……条件はなんだ」

「条件? それはお前だよ、負け組代表さん」

「俺、だと?」

「ああ。お前には散々好き勝手やってもらったし、正直去年から目障りだったんだよな」

 言い方はアレだけれども、決して誰もフォローを入れる気配がない。ここまでくれば、逆に清々しいわね。

「そこでお前らBクラスに特別チャンスだ」

 ニヤリというよりは、ニヤーッとしたいやらしさがより際立った相好の崩し方だ。なんだか知らん顔したくなってきた。

「Aクラスに行って、試召戦争の準備ができていると宣言して来い。そうすれば今回は設備については見逃してやってもいい。ただし、宣戦布告はするな。すると戦争は避けられないからな。あくまでも戦争の意思と準備があるとだけ伝えるんだ」

「……それだけでいいのか?」

 根本が疑うのもムリは無い。根本ならば余計に、かしら。

「ああ。Bクラス代表がコレを着て言った通りに行動してくれたら見逃さんでもないが?」

 そう言って坂本が何処からともなく取り出したのは、先ほど木下が着て且つ、坂本のカバンから出てきた女子の制服。

「ま、他人(ひと)の趣味をとやかく言うつもりはないわ」

 

「「違うっ!!!」」

 

 坂本も根本も大変ね。

「あ、違った。変態ね」

 

「「だからちげぇっ!!!!!」」

 

 必死なところが逆に、……ねぇ?

「何を考えているか解ったから否定しているんだぞ? ……全く。話が進まんだろうが」

 坂本がジリジリと詰め寄っていく。

「で。どうするよ? おい」

「ば、馬鹿なことを言うな! この俺がそんな巫山戯たことを……!」

 根本が慌てふためく。そりゃ嫌……なの?

「Bクラス生徒全員で必ず実行させよう!」

 みんなを鼓舞するように言う岩下と、

「任せて! 必ずやらせるから! ね、律子?」

 楽しそうな雰囲気と嬉しいという気持ちを前面に押し出した菊入。

『それだけで教室を守れるなら、やらない手はないな!』

『そうだわ!』

『俺達も協力は惜しまない!』

「えぇ、その通りよ! 泣いても殴るのを止めないで!!」

「ちょっ! 理科!?」

 

『『『解った!!』』』

 

「解ったぁ!?!? みんな、落ち着いて!」

 

『『『大丈夫、泣いても殴るのを止めない!!』』』

 

「怖いよっ!」

 因みに、みんなっていうのはBクラスとFクラスの連合群。

 群れが半端なく大きい。数の暴力、だわ。こういう場合は………

「見ざる、聞かざる、言うでござる! 覚悟なさいっ!」

「最悪だな!?」

 最悪かな? 坂本、根本には勝てないから。

「まぁまぁ、雄二。とにかく決定でいいよね? 岩下さん」

「もちろん♪」

「貴様、勝手に人を売るな! お、おい! 聞いて……くっ! よ、寄るな! 変たぐふぅっ!」

『とりあえず黙らせました』

「お、おう。ありがとう」

 一瞬で自身のとこの代表を見限って腹部に拳を打ち込んだBクラス男子。野中ってヤツだったかしら。変わり身の早さに坂本も目を丸くしていた。

 ていうか、岩下は気にせずに明久と楽しそうに話してる。……ライバル? 翔子に報告っと。

 prrrr……。あら? もう返ってきた。写メ? ……仕方ないわね。

「岩下ー。はい、ちーず」

 メールに添付、送ー信ーっと。

「阿部さん、後で私とも写メ撮ろ? それも一緒にもらっていい? あ、アド交換しとこ?」

「いいわよ。──はい。じゃ、メールも……送ったから」

 翔子のをコピペ。早い早い。あ、写メ。

「わっ、ホントだ。ありがと阿部さん」

「理科でいいわ。こっちも律子って呼ばせてもらうから。はい、チーズ?」

 ちゃっかり、上目遣いな律子といつの間にか腕組みして真由美がカメラに入ってきた。

「あと……真由美も、ね」

 写真を撮った時の花のような笑顔が一変、隣に立って恨みがましく見ている菊入こと真由美。

「ズルいよ? 二人だけで盛り上がってるしぃ……」

「ごめんごめん。阿部…じゃなかった……理科。なんかこれからは、真由美共々よろしくね?」

「理科ちゃん、よろしくっ」

「もしもし、あたしリカ。真由美ちゃんよろしくね☆」

「まだあるのかな?」

「なんか、ありそうだよ真由美」

 どうやら、二人にも伝わったみたいね。

 

「「「リカちゃん電話」」」

 

「何をやってるんだおまえら……。

 おっと、逃がさねぇぞ? 根本恭子ちゃん?」

「や、やめっ──」

 

「「えいっ」」

 

「がふっ!」

 軽やかな首筋への攻撃。思わず見惚れてたわ。

「さすがね律子、真由美。素晴らしいコンビネーションだったわ」

 そりゃもうスゴいのなんのって。寸分の狂いもなく、同時に左右から挟み込んでた。ぐったり具合から見ても、威力も折り紙つき。

 親指を立ててサムズアップ! うん、二人共いい笑顔だわ。

「では、着付けに移るとするか。明久、任せたぞ」

「了解っ」

 ぐったりと倒れてる根本に近付き、制服を強引に脱がせる。うっ! こぽっ。という音と共に喉が焼けた。

「酸っぱっ。明久、気をつけて。視覚に入れちゃダメよ? 精神汚染が半端ないわ」

「解った。ありがとう、理科」

「これはこの上ない苦痛だな。俺らもそれも」

「だね。うーん……。これ、どうするんだろう?」

「吉井くん、私がやってあげるよ」

 律子がそう提案した。

「そう? 悪いね、岩下さん。それじゃ、折角だし可愛くしてあげて」

「それは無理。土台が腐ってるから」

「酷い言い様だね。それだけのことはしてきたんだろうけれど。

 岩下さん。じゃ、あとはよろしく」

「なんかオッケー」

 根本のことだからか、殊更に適当だ。というか、真由美はもうメイクに入ってる。

 ん? 明久は、もう戻ったのかしら。

「今日だけは、姫路に譲ったげる」

「何がだ? 阿部」

「あら、須川。待ちきれなくなった?」

「ま、まぁ……否定はしねぇよ」

「……〈コクコク〉」

 いつの間にか、話の輪に加わっていた土屋も頷いた。

 とりあえず、目下の礼として須川と土屋の前に手を差し出す。

「どうした?」

「……手?」

 「苦しゅうない」と軽く演じながら解りやすく促した。これで解らなければ、諦めて。

「っ! まさか……!」

「……須川、何か解ったのか?」

 おっ、須川がいち早く察したようね。

「御手をお許しいただけるという事か!?」

「……何っ!?」

 土屋、もう鼻を押さえているの? 早くない?

「あら? 不満だったかしら、土屋」

 だったら………。

 と、下着の見えそうな絶対領域までスカートを摺()り上げる。

「ももにどうぞ?」

「……!??!!?!〈ブシャァァァァッ!!!〉」

「ムッツリーニーーッ!?」

「はい、須川」

 椅子に足を置いて太股を前に出した。

「さ、召し上がれ」

 

「「〈ブシャァァァァッ!!!〉」」

『『〈ブシャァァァァッ!!!〉』』

 

 アレ? 教室が血生臭いんだけど。

「ねぇ、おっきした? って幼児言葉ってローマ字に直して頭にBを置いたら、勃(ぼっ)──」

「この状態のムッツリーニに止めをさすのか!?」

「ん? 土屋に須川。倒れた体勢のままだと下着が見えるはずなんだけどねー、………興奮した?」

〈ブシャァァァァッ!!!〉

 再度、鮮血の華が咲いた。

「……我が生涯に、一片の悔い無し」

「俺も、だ……」

 

 なんか、男子陣に止めをさした女の子がいるんだって。

 

 ────阿部理科って言うらしいわよ?

 

 

 

 

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