今回タイトルは───
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』です。
珍しく真面目? な部分もあり。
漸く、半分か。前のとこまで行って最新話書き初めないと忘れそーやわ(苦笑)
なんかスゴい気持ちの悪い……Innsmouth(インスマウス=魚面)やDeep Ones(ディープワンズ=蛙面)こと深きものどものような生理的嫌悪感を抱く異常な存在だったわ。二日経った今でもこれ? なんて威力よ。さすが、
「Bクラス代表は、伊達じゃないってワケね」
「違うと思うよ。ま、何を考えていたかは解らないけど、そういう表情の時の理科は半端ないよね」
そんなやりとりを目にした坂本は、「またか……」と項垂れそうになった頭をなんとか持ち上げて教壇からFクラスに告げる。
「まずはみんなに礼を言いたい」
え? どうしよう。終焉
「所謂、『神々の黄昏』ってヤツね」
「違ぇよ! ……おほん! とにかく、周りの連中には不可能だと言われていたにも拘らずここまで来れたのは、他でもないみんなの協力があってのことだ。感謝している」
カミカゼ隊含め、みんなに合図。いくわよ?
「「「ざわざわ……」」」
「わざとらしく擬音を口にしてんじゃねぇよ!?」
「あら? おかしいわね……」
「“あら?”じゃねー! っていうか、おかしいのはオマエだよ!? オマエだから! な? 頼むよ?!」
からかい過ぎたかしら? 苦労性なのね。
「大変ね、坂本も」
「そうだね」
「「疲れているのね(んだね)」」
「おかげさまでな!」
「ほんとにだよ、ムリしないで雄二。大
「誰がだ!?」
大変と変態をくっつけるだけで大変な意味合いになったわね。
あ。それより、注意しないと。
「ちょっと、明久。広辞苑にも載ってること態々言わなくても……」
「載ってたまるかっ!!!」
「坂本雄二。鬣
明久に親指を立てて見せた。ナイスよ。
「進化してたまるか!? 昔から人だ! しかも、図鑑違いだっつの! ったく、おまえらは……。
だが、その反応は解らんでもな……解らないんだが、これは偽らざる俺の気持ちだ」
既に心労がたたって見えるけど、大丈夫かしら。……ま、坂本だしね。
「ここまで来た以上、絶対にAクラスに勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃないという現実を、教師共に突きつけるんだ!」
『うおぉーっ!』
『そうだーっ!』
『勉強だけじゃねぇんだーっ!』
テンションの上がっていってるのを横目に、冷めた目でそれらを見ていた。
「みんなありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは一騎打ちで決着をつけたいと考えてる」
『どういうことだ?』
『誰と誰が一騎打ちをするんだ?』
『妹と義妹』
『妹だな』
『ばっか! 義妹に決まってんだろ』
「妹に優劣をつける時点で、あなた達は間違っているわ」
『『『おぉーっ……。さっすが、阿部さん!』』』
「落ち着けバカ! 今から説明してやるから聞いておけバカ共」
坂本はバンバン、と教壇を叩いてみんなを静まらせる。
「やるのは当然、俺と翔子だ」
は? 何を言いだすかと思えば……。一騎討ち。それだけを聞けば、正しいと思うわ。Aクラス平均と比較すれば、文字通り、桁違いの戦力差に敗北は必至。Aクラスレベルが三人じゃぁ、勝率はほとんど揺るがない限りなくゼロに近いものになる。だからこそ、一騎討ちというのは正しい。条件が揃えば勝てるわけだし?
けどねぇ……
「坂本じゃ勝てないでしょうが。“元”神童であって、現在は違う。
それとも何? 九割とは言わないわ。八割以上の勝率があって言っているわけ?」
「まぁ、阿部の言うとおり確かに翔子は強い。まともにやりあえば勝ち目は無いかもしれない」
“かもしれない”? はっ。思わず鼻で笑っちゃったじゃない。
「違うわね。勝ち目なんて皆無でしょうに」
「っく……。だが、それはDクラス戦もBクラス戦も同じだっただろう? まともにやりあえば俺たちに勝ち目はなかった」
「まぁそうね。決め手は、Aクラスの点数を持った人間だったわけだけど」
明久は黙って聞いてる。おそらくは、何が言いたいのか解っているのだろう。
言葉を切って、目線で坂本に先を促す。
「ああ、そうだな。つまり、今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺たちの勝ちは揺るがない」
バカ共は、それを信じて士気が高まったようだが、姫路は、若干の不安を覚えたようね。それは正しいわ。疑う事も覚えなさいな、姫路。
坂本は、一つ大きく頷いて、
「俺を信じて任せてくれ。過去に神童と言われた力を、今みんなに見せてやる」
『『『おおぉーーーっ!!』』』
教室は歓声に包まれた。あーあ。ダメね───
「さて、具体的なやり方だが……一騎打ちではフィールドを限定するつもりだ」
───どんどん不愉快になっていく。
「フィールド? 何の教科でやるつもりじゃ?」
「日本史だ」
ふっ……。あぁ、そういうこと。
「ただし、内容は限定する。レベルは小学生程度、方式は百点満点の上限あり、召喚獣勝負ではなく純粋な点数勝負とする」
………人の思い出を、想いを、
「でも同点だったら、きっと延長戦よね? そうなったら問題のレベルも上げられちゃうんじゃないの? 神童って頭いい人だっけ? でも坂本、昔のことなのよね……それ。ウチは、厳しいと思うんだけど」
「確かに島田の言うとおりじゃ」
「おいおい、あまり俺を舐めるなよ? いくらなんでも、そこまで運に頼り切ったやり方を作戦などと言うものか」
「では、お主は霧島の集中力を乱す方法を知っておるのか?」
「いいや。アイツなら集中なんてしなくても、小学生レベルのテスト程度なら何の問題もないだろう」
踏み躙って、利用しようってのね………。
「で?」
「ああ、すまない。つい前置きが長くなった。俺がこのやり方を採った理由は一つ。ある問題が出れば、アイツは確実に間違えると知っているからだ」
ある問題? ……ふぅん……、そう。
「その問題は───『大化の改新』」
「〈ガリッ〉……雄二っ」
辺りに響くほどの歯軋りが聞こえた。明久も相当怒ってるわね。
「どうした、明久」
「見損なったぞ、雄二」
「は? おまえ何言って……」
「625(むじこ)の改新。でしょ?
はぁ……翔子ちゃんを利用するっていうのか……?」
「なっ!? おまえ、何でそれを! それに……」
坂本も息を呑む。今ので大方予想はついているんでしょうけれどね。明久も幼なじみなんだって。
「いいから、さっきの質問に答えろよ雄二ぃっ!!」
「っ! ……おまえには関係ない」
明久の怒声に、坂本の瞳の色が変化していく様を見てとれた。
「てめぇっ!?」
「明久」
胸ぐらを掴みにかかる明久を、静かに諫めた。
「はーっ……ふぅ………。ごめん、理科お願い」
意識して深呼吸しなければ落ち着けないほど、怒ってたみたい。こっちはまだ、腸煮え繰り返ってるけど。
「坂本、アンタじゃ勝てないわ」
「いいや、そんなことはない。翔子は間違える。これは確実だ。そうしたら俺達の勝ち。晴れてこの教室とおさらばって寸法だ」
よかった。本っ当によかった。翔子が明久を好きになってくれて。
「ムリよ、有り得ない」
「くっ、士気を落とすような真似はするな。阿部、おまえは何がしたい。どっちの味方なんだよ」
「ふっ……ふふっ、あははっ! どっちですって? いつだって翔子の味方よ!」
当たり前でしょうに。
あの後もずーっと、そうだった。そして今までもこれからも、ずっとずっともっと先まで。
「アンタじゃ絶対に勝てない。断言してもいい」
「何を根拠に」
解らないでしょうね……。えぇ、あなたには。
「アンタと違って、翔子はいつまでも思い出に縋りついたりしない」
坂本が息を呑んで、二の句を告げないでいた。
「ちゃんと思い出を大切にはしているわよ? けれどね、大切にする事と縋る事は違うの。違うのよ」
今以上に無口な翔子にも話かけてくれて、何でもできる(小学生からしたら)憧れの人だもの。大切にしているわ。
「解って!」
「解っていないからそうやってできるんでしょう?
作戦? Fクラスの環境を変えたい? Aクラスに勝ちたい? 勉強すればいいってもんじゃないって知らしめたい?
はっ。笑わせてくれるわね? 本当は、自分の都合を押し付けようとしているくせに」
あなたはどうなの? 坂本雄二。……いや、坂本自身、解らなくなってきているのかもね。
「ねぇ、何をする気だったの? 何がしたかったの? ……翔子に何を求めてたの?」
「っ!? そ…れは……」
何も言えず、ただただ坂本は俯いていた。
「過去ばっかり顧みて、今を全く見てない。速度の違いはあれど、いつまでも変わらないなんて有り得ないのよ。アンタが足踏みしている間に翔子は走って……いえ、翔んで行ってるわよ? 現在進行形で」
「……そう、か。……そうか………
翔子は……変わった、のか……?」
「不変のものは無いのよ。広大な宇宙でさえ、今この時も変わり続けているのだから。
それに……坂本も変わったし、これからも変われる。……でしょう?」
「ああ、そうだな……」
「で、どうするの? アンタが求めていた答えは、おそらく無いわよ?」
坂本は少し思案するように、目を閉じた。
まだ考えが纏まっていないのか、苦笑いを浮かべながら話始めた。
「うん、まぁ、阿部の言うとおりだったと思う。なんて言うかだな……、とりあえず謝ろうと思う」
言っている途中から坂本の表情が変わっていった。
「あぁ、うん、そうだな……。言ってて納得できた。俺は、過去の清算をしたかったのかもな……」
「相変わらず素直じゃないんだね、雄二は」
「うるせぇよ、明久」
なんだかんだで仲良いのよねぇ、この二人。
「だったら協力してあげるわ。ね、みんな?」
呼び掛けに皆が応じてくれる。
「ま、仕方なかろうて。友じゃからの」
木下がウィンクをかます。っていうか、男に向かってしてるけど、全く違和感無い。
「ウチもいいわよ? それより、吉井。霧島とのこと詳しく聞かせてもらうわよ?」
「アンタにも勝ち目は無いわよ?」
「うるさいっ! ばーか! 阿部のばーかっ!」
島田のそういう可愛いとこをもっと表面に出していけば好かれるのにねー。
はぁ〜……。
横を見ると、明久もため息をついてた。思ったことは、同じみたい。
「私も何ができるか解りませんが、頑張ります!」
姫路らしいっちゃらしいわよね。力み過ぎてコケないでよ?
「……水臭い。保健体育なら任せろ」
たぶん、学校一でしょうしね。保健体育は。エロースの生まれ変わりかインキュバスやサッキュバスが前世なんじゃないかしら。
『ここまで来たんだ、やってやろうぜ!』
『今さらだろうが。代表』
『やぁーってやるぜぇ!』
Fクラスの面々も協力してくれるようだ。
「おまえら……」
「泣いちゃうのかしら?」
「泣くか! けど、ありがとな」
照れくさそうに頬を掻いてから、再燃した目で宣言した。
「んじゃ、改めて。
俺達は、Aクラスに挑んで勝利をもぎ取る! そうすれば俺達の机は───」
『『『システムデスクだ!』』』