元バカと黒髪美少女と薬師   作:暁 巧

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 今回は、
『お茶にごす』。
 どうぞ。────ただの宣戦布告だけなんだけど……。




Aクラス戦、開戦……。あなたの望む結末があるといいわね
第二一問 お茶にごす……の?


 

「一騎討ち?」

「ああ。Fクラスは試召戦争として、Aクラス代表に一騎討ちを申し込む」

 恒例の宣戦布告。

 今回は代表の坂本を筆頭に、姫路、木下に土屋と主力メンバー勢揃いでAクラスに来ていた。

「うーん、何が狙いなの?」

 現在坂本と交渉のテーブルについているのは木下の双子の姉の木下優子。ホント……

「いつ見ても、そっくりよね。本当の姉弟みたいじゃない」

 

「「本当の姉弟よ(じゃ)!?」」

 

「時々知らない人になったり……」

 

「しないわよ!!」「せんのじゃ!!」

 

「あら、そう? 残念」

 言いながら目の前のお菓子を適当に選び取る。

「はぁ〜……。すまないな、木下。で、だ。さっきの答えだが、俺達Fクラスの勝利が狙いだ」

 ため息をつかないで欲しいわね。って思っていたら、木下姉が苦笑しながら気にしないで。と手を振っていた。

「そりゃ、面倒な試召戦争を手軽に終わらせることができるのはありがたいけどね、だからと言ってリスクを冒す必要も無いかな」

「賢明だな」

 あら、このお茶菓子おいしいっ。どこの物かしらね。───岩鍵? どこよ、それ。輸入物なんだ。の割には食べやすいじゃない。ふむふむ、協賛は……川菱って…、偽物クサイ名前ねぇ。

「あ、翔子。お茶おかわり」

「……ん。理科それ、ちょっともらう」

「はいはい〜」

 翔子と目が合った。もうそれこそ、キュピィィーン! という擬音がつきそうなくらいには目が爛々としていた。二人して。

 

「「明久、あ〜ん」」

 

「ちょっと待つんだ二人共! Fクラスどころか、Aクラスさえも敵に回してしまっているんだ! お願いだから気づいて!?」

「……あー……、ところで、Cクラスとの試召戦争はどうだった?」

 濁したわね。お茶飲んでいるだけに?

 坂本が腕を組み、顎に手を当てながら訊く。

「時間は取られたけど、それだけだったよ? 何の問題もなし。代表がいつになくスゴかったから余計にね」

 翔子が照れくさそうに身を縮こまらせた。かわいっ。

 あ、木下姉、口角が痙攣気味よ! 気づいて!

「心の中でシンパシーを送って気づいてもらわないと」

「理科、せめてテレパシーにしよっか。

 あとね、アレはきっと僕達のせいだから」

 心外だわ。ただのふわふわティータイムなのに。

 あれぇ? って感じで顎に指を当てて首を傾げていると、

「いやいや。教室奪いに来たぜ! って言ってるすぐ傍で、お茶してるんだよ?」

「じゃあ明久は、翔子からの誘いを断るってのね?」

「バカな!? セメントでできたパンを食べさせられるくらいに有り得ないよ!」

 確かに有り得ないわ。みんなそう思うでしょうよ。

 木下の挑発に乗り、昨日Aクラスに攻め込んだCクラス。まあ代表があんなのでクラスの統一が取れてない奴らが勝てるわけないんだけど。

「Bクラスとやりあう気はあるか?」

「Bクラスって……、昨日来ていた…あの……」

「ああ。アレが代表をやってるクラスだ。幸い宣戦布告はまだされていないようだが、さてさて。どうなることやら」

「でも、BクラスはFクラスと戦争したから、三ヶ月の準備期間を取らない限り試召戦争はできないはずだよね?」

 試召戦争のきまりの一つ、準備期間。

 試召戦争の泥沼化を防ぐための取り決めとして、敗戦したクラスは三ヶ月の準備期間を経ない限り、自ら戦争を申し込むことはできない。

「知っているだろ? 実情はどうあれ、対外的にあの戦争は『和平交渉にて終結』ってなっていることを。規約にはなんの問題もない。……Bクラスだけじゃなくて、Dクラスもな」

「……それって脅迫?」

 そんなもの脅迫の内に入らないって。力関係がかなり傾いているから相手の優位は揺るがない。嘘も方便ってね。

「人聞きが悪い。ただのお願いだよ」

 事実、その通り。

 お茶を啜りながら、ちらっと横を見る。

「うーん……わかったよ。何を企んでるのか知らないけど、Fクラスに負けるなんて思わないからね。その提案受けるよ」

「ほ、本当に?」

「島田ぁ、何驚いているのよ? このクラスから持ちかけた話でしょうに」

 木下姉は「いや、でも……」なんて言ってる島田に、何か思い出したのか身震いして言った。

「……だって、あんな格好した代表のいるクラスと戦争なんて嫌だもん……」

 確かにお断りだわ。アレはPTSDになってもおかしくは……、精神崩壊起こさなかっただけマシ?

「でも、こっちからも提案。代表同士の一騎打ちじゃなくて、そうだね、お互いに人選をして、一騎討ち五回で三回勝った方の勝ち、っていうのなら受けてもいいよ」

「なるほど。こっちから姫路が出てくる可能性を警戒しているんだな?」

「うん。たぶん大丈夫だと思うけど、代表が調子悪くて姫路さんが絶好調だったら、問題次第では万が一があるかもしれないし」

 姫路に限っては無いわね。何だかんだで優良児。才女の敵では無い。

「安心してくれ。こちらからは俺が出る」

「無理だよ。その言葉を鵜呑みにはできないよ」

 これは競争じゃなくて戦争だからね、と付け足す。当然ね。それを理解してない輩が多過ぎる。土台無理な話かもしれないが……。

「そうか。それなら、その条件を呑んでも良い」

 あっさり呑んだけど、おそらくは今もテストを受けているあの二人も使うんでしょうね。

「ホント? 嬉しいな♪」

「けど、勝負する内容はこちらで決めさせて貰う。そのくらいのハンデはあってもいいはずだ」

 教室奪うぜ。って言って尚且つ、教科の選択権を全部よこせってのは随分と図太い神経の持ち主。ほんっと、ズル賢いヤツ。

「え? うーん……」

 眉間にシワを寄せてるけど、あそこ押しちゃぁダメかな?

「……受けてもいい」

 カリカリカリカリ……。とぽっきーを小動物のような動作で食べる翔子。

「……………〈ごくん〉。雄二の提案を受けてもいい」

「あはは……。でも代表。いいの?」

「……その代わり、条件がある」

「条件?」

「……うん」

 一応初戦が始まる前にカヲルさんと話はつけておいたけど、

「……負けた方は何でも一つ言うことを聞く」

 それとは別にってこと……?

「…………〈カチャカチャ〉」

「土屋何してるの?」

「…………撮影準備」

 何を撮影するつもりなのよ。もうちょっと考えなさいな。

「じゃ、こうしよう? 勝負内容は五つの内の三つをそっちに決めさせてあげる。二つはうちで決めさせて?」

 ま、妥当な線ね。

「交渉成立だな」

「……勝負はいつ?」

「そうだな。十時からでいいか?」

「……わかった。明久も理科も頑張って」

「お互いに、よ」

「翔子ちゃんもね」

「よし。交渉は成立だ。一旦教室に戻るぞ」

「そうだね。皆にも報告しなくちゃいけないからね」

 

 さ、忙しくなるわよ?

 

 

 

 

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