今回タイトルはそのまんま、
『クィーンズブレイド』
男はまぁ、今回戦わねぇしねェ……と思ったり。
とりあえず、理科は自活してます。研究者という肩書きではなく多額の給金が発生する仕事。
で、
他よりかは、少し大人な感じ? なのかな、と思います。
あ。つまりは、女は(クィーンズ)強い(ブレイド)。
一騎討ちっていうのもありますけどね。いや、むしろそっちの方が……
今日はここ数日の戦争で何度もお世話になっている、Aクラス担任かつ学年主任の高橋先生が立会人を務める。知的な眼鏡とタイトスカートの組み合わせって………いやらしいわよね? 気のせい? ん〜……
「明久」
「何?」
「ムラムラする」
「何言ってんのさ!?」
「では、両名共準備は良いですか?」
クールね、高橋先生。
「ああ」
「……問題ない」
会場はAクラス。こっちの方が広いし、腐った畳のFクラスじゃ締まらないしね。
「それでは一人目の方、どうぞ」
「アタシから行くよっ」
向こうは木下の姉、木下優子。
対するこちらは、
「ワシがやろう」
その弟、木下秀吉。
「ところでさ、秀吉」
「なんじゃ? 姉上」
「Cクラスの小山さんって知ってる?」
「はて、誰じゃ?」
Cクラスの小山って、確かこの前木下が……
「じゃーいいや。その代わり、ちょっとこっちに来てくれる?」
「うん? ワシを廊下に連れ出してどうするんじゃ姉上?」
木下が姉のフリをして罵倒しまくった相手だったわね……。
あー、この分じゃぁ大分お怒りね。
手を合わせて目を瞑る。
木下………
『姉上、勝負は───どうしてワシの腕を掴む?』
『アンタ、Cクラスで何してくれたのかしら? どうしてアタシがCクラスの人達を豚呼ばわりしてることになってるのかなぁ?』
『はっはっは。それはじゃな、姉上の本性をワシなりに推測して───あ、姉上っ! ちがっ……! その関節はそっちには曲がらなっ……!』
〈ガラガラガラ……〉
扉を開けて木下姉が戻ってくる。
「潔く散った戦士
「やめいっ!〈すぱぁん!〉」
「いたいわ、明久」
にしても、さすが明久。キレが半端ない。……それより、ハリセンも使うようになったのね。
「秀吉は急用ができたから帰るってさっ。代わりの人を出してくれる?」
「じゃ、お相手願おうかしら?」
一歩前に出て、すぐに答えた。
「あなたが?」
「えぇ、お手柔らかに」
「おい、何を勝手に!」
「静かになさい。肩書きだけの代表さん」
「くっ……!」
坂本は苦虫を噛み潰したような顔になった。
「アンタは勝つことだけを考えてなさい」
「いや、だからこそアイツらを味方に入れたんだろうに」
仕方がないのできっちりと教える。
左手で右肘を持って、右手で頬杖をついて言った。
「いえ、個々ではなく、タッグの方が強いわ。そのことはあなたが一番理解できるでしょう?」
「……まぁ、な」
「でも、安心してくれていいわよ? アンタ達に阿部理科との格の違いを教えてあげるから」
そのセリフにいち早く、木下姉が食らい付く。
「はい? こっちにも言ったのかなぁ?」
ものスゴくいい笑顔ね。青筋の浮かんだ個性的なものだけども。
「もちろんよ。あら、解り辛かった? 理解力に乏しいのね」
「言ってくれるわね。たかが、Fクラスのクセに何を言っているの? 格の違いってそっち側が感じることでしょう」
「木下さん、結果で示せばいい事です。お二方、そろそろ初めてください。
教科は、如何しますか?」
高橋先生から叱責され、木下姉は素直に頷く。
「教科の選択は、あげるわ」
勝利は譲らないけれど。
「は? あのね、どこまで巫山戯るつもりよ」
「そんなつもりは無いわ。回数が限られているんだもの、必要がないからあげただけ。それでも気に入らないっていうなら、こっちの得意科目である化学をあなたが選択すればいいわ」
「解った、受けて立ってあげるっ」
単 純。もっと思考なさいな、……だから、相手の手の平の上で踊ることになる。
「選択科目は、化学。……承認します。それでは、始めてください」
「「試獣召喚!」」
「すぐ楽にしてあげる」
両手を広げて、
「刮目なさい」
パン! と柏手
「はい、おしまい」
種も仕掛けもありませんと両腕を軽く開いて見せ、そして優雅に見えるようしてみせた。
「ぇ? どういう……」
理解が追いつかないんでしょうね。
ただ。目の前では、既に消えていく自身の召喚獣を木下姉は呆然と見ていた。
『Fクラス 阿部理科
化学 772点
VS
化学 0点
Aクラス 木下優子 』
急な音の方に意識をやったその瞬間に、倍はある点数にて素早く撃破した。そう……、ただそれだけ。
「それにしても理科、今日は調子悪かった?」
「「「は?」」」
「残った時間寝てたからね」
「「「はぁ!?!?」」」
「しょ、勝者、Fクラス阿部理科」
驚き過ぎよ、全く。そんなにおかしなこと言ったかしら? 高橋先生も、あんな一瞬で、しかも透きをついて終わらせるとは思ってなかったみたいね。
あー、そうそう。
「坂本も、Aクラスの人間も、高橋先生も……、人を見下す前に己を磨いてみてわ? 蛙
曲がりなりにもAクラスなんだから、理解……できるわよね?」
今回、腕輪を使わなかったにしても、律子と真由美の方がよっぽど大変だったわ。
腕輪
「『理科』という名前は、伊達じゃぁないの。名に恥じない生き方をしているつもりよ? “つもり”で終わるなんてバカな真似はしないけど」
木下姉に背を向けて自クラスに戻った。
「では、次の方どうぞ」
「…………〈スック〉」
土屋が立ち上がった。
科目選択権がここで初めて活きてくる。
「じゃ、ボクが行こうかな」
Aクラスからは髪をショートカットにした、ボーイッシュな女子が出てきた。
「一年の終わりに転入してきた工藤愛子です。よろしくね」
ぱっと見少年のようだ。かなり爽やかな印象も影響しているだろう。
「教科は何にしますか?」
「…………保健体育」
高橋先生の問いに即答した土屋。唯一無二の武器選択。
「土屋君だっけ? 随分と保健体育が得意みたいだね?」
工藤が土屋に話かける。随分と余裕そうだけど、これの保健体育にかける情熱……いえ、性欲の実力を知らないの?
「………事実無根〈ブンブン!〉」
途中から口に出てしまったわね。
「学年どころか学園一のどスケベの土屋に───」
「でも、ボクだってかなり得意なんだよ? ……キミとは違って、実技で、ね♪」
「───刺客
「理科……。しっ」
明久が人差し指を唇に当ててきた後、「ね?」と首を傾げていた。あら、いいわね♪
って。
あのね、翔子……………土屋ばりにシャッターをきるの、やめてみよっか。
「…………くっ! 全くもって興味ない〈ドバドバ〉」
鼻血を止めてからいいなさいよ。カメラのフラッシュの中、目元を隠してみると、いつの間にか土屋も参戦していた。
………………………………。
「眩しいから!」
ホント、目がチカチカする。
「……ごめん、理科」
「……すまな」
「Bクラス戦での約束は反古させていただくわ」
土屋は、見惚れるような土下座を繰り出した。
「申し訳ございませんでした。然るべき処置の後、何卒、もう一度ご考慮のほど、よろしくお願い致します」
「行動と結果で示しなさい」
「……仰せのままに」
恭しく腰から折るお辞儀をする土屋。
「あはは♪ 面白いねー、Fクラスの人って。
あ、そっちのキミ、吉井君だっけ? 勉強苦手そうだし、保健体育で良かったらボクが手取り足取り教えてあげようか? もちろん実技で」
「よろしく! と言いたいところ───」
“なんだけどね”とでも続くのかしら?
「吉井には永遠にそんな機会なんて来ないから、保健体育の勉強なんて要らないのよ!」
「そうです! 永遠に必要ありません!」
「そんなことは無いわね」
「「え!?」」
驚き過ぎじゃない? アンタ達。
「少なくとも、二人はいるわよ? 明久にじっくりたっぷりねっとりと、実技を教える人間が。実戦経験は無いけれどね」
教室の半数−2が反応してくれる。ニッシーと久保は、翔子の気持ちに気付いていたのかしらね。
「ちょっ!? 落ち着いて、理科」
「……そう、私は四十八手を覚えた」
今度は、二人も反応した。久保が眼鏡の中央の弦部分を押さえながら少しそっぽを向き、ニッシーは相変わらず無反応───あ、今盛大なため息ついた。そして女子にも反応が………大丈夫? ……かしら。Aクラスは魔の巣窟だったわけね。
「何だって!? どうやってそんなものを!」
明久の疑問は、あっさり解消される。
「……ぐーぐるって便利」
「ネット社会のバカっ!」
「「明久、大丈夫?」」
「二人がね!?」
「日本語、大丈夫?」
「……心配。明久、病院行こ」
「僕は二人の仕打ちに傷ついたっ!」
明久弄りは、此処までにして、っと。……西村先生、お疲れですか? 米噛みを揉み解さないと取れないほどの頭痛って辛そうだわ。
「そろそろ召喚を開始してください」
ちょうどいい頃合いに、高橋先生から声が上がる。
「はーい。試獣召喚っと」
「……試獣召喚」
現れたのは、女子高生に巨大な斧を持たせたような姿の工藤の召喚獣。それにタイトルをつけるとしたら『セーラー服と大戦斧』かしら。土屋のは、もう見馴れた忍び装束に小太刀の二刀流。こっちのタイトルは、『天誅〜互いに〜』ってとこ? 首をブンブン振ってる土屋は、置いておきました♪
ちゃん、ちゃん♪