元バカと黒髪美少女と薬師   作:暁 巧

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 今回タイトルはそのまんま、
『クィーンズブレイド』
 男はまぁ、今回戦わねぇしねェ……と思ったり。

 とりあえず、理科は自活してます。研究者という肩書きではなく多額の給金が発生する仕事。
 で、
 他よりかは、少し大人な感じ? なのかな、と思います。

 あ。つまりは、女は(クィーンズ)強い(ブレイド)。
 一騎討ちっていうのもありますけどね。いや、むしろそっちの方が……




第二二問 美闘士達の決戦! 『クイーンずブレイド』

 

 今日はここ数日の戦争で何度もお世話になっている、Aクラス担任かつ学年主任の高橋先生が立会人を務める。知的な眼鏡とタイトスカートの組み合わせって………いやらしいわよね? 気のせい? ん〜……

「明久」

「何?」

「ムラムラする」

「何言ってんのさ!?」

「では、両名共準備は良いですか?」

 クールね、高橋先生。

「ああ」

「……問題ない」

 会場はAクラス。こっちの方が広いし、腐った畳のFクラスじゃ締まらないしね。

「それでは一人目の方、どうぞ」

「アタシから行くよっ」

 向こうは木下の姉、木下優子。

 対するこちらは、

「ワシがやろう」

 その弟、木下秀吉。

「ところでさ、秀吉」

「なんじゃ? 姉上」

「Cクラスの小山さんって知ってる?」

「はて、誰じゃ?」

 Cクラスの小山って、確かこの前木下が……

「じゃーいいや。その代わり、ちょっとこっちに来てくれる?」

「うん? ワシを廊下に連れ出してどうするんじゃ姉上?」

 木下が姉のフリをして罵倒しまくった相手だったわね……。

 あー、この分じゃぁ大分お怒りね。

 手を合わせて目を瞑る。

 木下………

 

『姉上、勝負は───どうしてワシの腕を掴む?』

『アンタ、Cクラスで何してくれたのかしら? どうしてアタシがCクラスの人達を豚呼ばわりしてることになってるのかなぁ?』

『はっはっは。それはじゃな、姉上の本性をワシなりに推測して───あ、姉上っ! ちがっ……! その関節はそっちには曲がらなっ……!』

 

〈ガラガラガラ……〉

 

 扉を開けて木下姉が戻ってくる。

「潔く散った戦士(バカ)に、黙祷」

「やめいっ!〈すぱぁん!〉」

「いたいわ、明久」

 にしても、さすが明久。キレが半端ない。……それより、ハリセンも使うようになったのね。

「秀吉は急用ができたから帰るってさっ。代わりの人を出してくれる?」

「じゃ、お相手願おうかしら?」

 一歩前に出て、すぐに答えた。

「あなたが?」

「えぇ、お手柔らかに」

「おい、何を勝手に!」

「静かになさい。肩書きだけの代表さん」

「くっ……!」

 坂本は苦虫を噛み潰したような顔になった。

「アンタは勝つことだけを考えてなさい」

「いや、だからこそアイツらを味方に入れたんだろうに」

 仕方がないのできっちりと教える。

 左手で右肘を持って、右手で頬杖をついて言った。

「いえ、個々ではなく、タッグの方が強いわ。そのことはあなたが一番理解できるでしょう?」

「……まぁ、な」

「でも、安心してくれていいわよ? アンタ達に阿部理科との格の違いを教えてあげるから」

 そのセリフにいち早く、木下姉が食らい付く。

「はい? こっちにも言ったのかなぁ?」

 ものスゴくいい笑顔ね。青筋の浮かんだ個性的なものだけども。

「もちろんよ。あら、解り辛かった? 理解力に乏しいのね」

「言ってくれるわね。たかが、Fクラスのクセに何を言っているの? 格の違いってそっち側が感じることでしょう」

「木下さん、結果で示せばいい事です。お二方、そろそろ初めてください。

 教科は、如何しますか?」

 高橋先生から叱責され、木下姉は素直に頷く。

「教科の選択は、あげるわ」

 勝利は譲らないけれど。

「は? あのね、どこまで巫山戯るつもりよ」

「そんなつもりは無いわ。回数が限られているんだもの、必要がないからあげただけ。それでも気に入らないっていうなら、こっちの得意科目である化学をあなたが選択すればいいわ」

「解った、受けて立ってあげるっ」

 単 純。もっと思考なさいな、……だから、相手の手の平の上で踊ることになる。

「選択科目は、化学。……承認します。それでは、始めてください」

 

「「試獣召喚!」」

 

「すぐ楽にしてあげる」

 両手を広げて、

「刮目なさい」

 パン! と柏手(かしわで)を打った。

「はい、おしまい」

 種も仕掛けもありませんと両腕を軽く開いて見せ、そして優雅に見えるようしてみせた。

「ぇ? どういう……」

 理解が追いつかないんでしょうね。

 ただ。目の前では、既に消えていく自身の召喚獣を木下姉は呆然と見ていた。

 

 

『Fクラス 阿部理科

 

  化学  772点

 

  VS

 

  化学  0点

 

 Aクラス 木下優子 』

 

 

 急な音の方に意識をやったその瞬間に、倍はある点数にて素早く撃破した。そう……、ただそれだけ。

「それにしても理科、今日は調子悪かった?」

 

「「「は?」」」

 

「残った時間寝てたからね」

 

「「「はぁ!?!?」」」

 

「しょ、勝者、Fクラス阿部理科」

 驚き過ぎよ、全く。そんなにおかしなこと言ったかしら? 高橋先生も、あんな一瞬で、しかも透きをついて終わらせるとは思ってなかったみたいね。

 あー、そうそう。

「坂本も、Aクラスの人間も、高橋先生も……、人を見下す前に己を磨いてみてわ? 蛙(かわず)よ、大海を知れってとこかしら?

 曲がりなりにもAクラスなんだから、理解……できるわよね?」

 今回、腕輪を使わなかったにしても、律子と真由美の方がよっぽど大変だったわ。

 腕輪(このしあい)のことはカヲルさんにもう言ってある。その代わりに、次の土日は学園に泊まり込みになったんだけどね。

「『理科』という名前は、伊達じゃぁないの。名に恥じない生き方をしているつもりよ? “つもり”で終わるなんてバカな真似はしないけど」

 木下姉に背を向けて自クラスに戻った。

「では、次の方どうぞ」

「…………〈スック〉」

 土屋が立ち上がった。

 科目選択権がここで初めて活きてくる。

「じゃ、ボクが行こうかな」

 Aクラスからは髪をショートカットにした、ボーイッシュな女子が出てきた。

「一年の終わりに転入してきた工藤愛子です。よろしくね」

 ぱっと見少年のようだ。かなり爽やかな印象も影響しているだろう。

「教科は何にしますか?」

「…………保健体育」

 高橋先生の問いに即答した土屋。唯一無二の武器選択。

「土屋君だっけ? 随分と保健体育が得意みたいだね?」

 工藤が土屋に話かける。随分と余裕そうだけど、これの保健体育にかける情熱……いえ、性欲の実力を知らないの?

「………事実無根〈ブンブン!〉」

 途中から口に出てしまったわね。

「学年どころか学園一のどスケベの土屋に───」

「でも、ボクだってかなり得意なんだよ? ……キミとは違って、実技で、ね♪」

「───刺客(どうるい)がっ!」

「理科……。しっ」

 明久が人差し指を唇に当ててきた後、「ね?」と首を傾げていた。あら、いいわね♪

 って。

 あのね、翔子……………土屋ばりにシャッターをきるの、やめてみよっか。

「…………くっ! 全くもって興味ない〈ドバドバ〉」

 鼻血を止めてからいいなさいよ。カメラのフラッシュの中、目元を隠してみると、いつの間にか土屋も参戦していた。

 ………………………………。

「眩しいから!」

 ホント、目がチカチカする。

「……ごめん、理科」

「……すまな」

「Bクラス戦での約束は反古させていただくわ」

 土屋は、見惚れるような土下座を繰り出した。

「申し訳ございませんでした。然るべき処置の後、何卒、もう一度ご考慮のほど、よろしくお願い致します」

「行動と結果で示しなさい」

「……仰せのままに」

 恭しく腰から折るお辞儀をする土屋。

「あはは♪ 面白いねー、Fクラスの人って。

 あ、そっちのキミ、吉井君だっけ? 勉強苦手そうだし、保健体育で良かったらボクが手取り足取り教えてあげようか? もちろん実技で」

「よろしく! と言いたいところ───」

 “なんだけどね”とでも続くのかしら?

「吉井には永遠にそんな機会なんて来ないから、保健体育の勉強なんて要らないのよ!」

「そうです! 永遠に必要ありません!」

「そんなことは無いわね」

 

「「え!?」」

 

 驚き過ぎじゃない? アンタ達。

「少なくとも、二人はいるわよ? 明久にじっくりたっぷりねっとりと、実技を教える人間が。実戦経験は無いけれどね」

 教室の半数−2が反応してくれる。ニッシーと久保は、翔子の気持ちに気付いていたのかしらね。

「ちょっ!? 落ち着いて、理科」

「……そう、私は四十八手を覚えた」

 今度は、二人も反応した。久保が眼鏡の中央の弦部分を押さえながら少しそっぽを向き、ニッシーは相変わらず無反応───あ、今盛大なため息ついた。そして女子にも反応が………大丈夫? ……かしら。Aクラスは魔の巣窟だったわけね。

「何だって!? どうやってそんなものを!」

 明久の疑問は、あっさり解消される。

「……ぐーぐるって便利」

「ネット社会のバカっ!」

 

「「明久、大丈夫?」」

 

「二人がね!?」

「日本語、大丈夫?」

「……心配。明久、病院行こ」

「僕は二人の仕打ちに傷ついたっ!」

 明久弄りは、此処までにして、っと。……西村先生、お疲れですか? 米噛みを揉み解さないと取れないほどの頭痛って辛そうだわ。

「そろそろ召喚を開始してください」

 ちょうどいい頃合いに、高橋先生から声が上がる。

「はーい。試獣召喚っと」

「……試獣召喚」

 現れたのは、女子高生に巨大な斧を持たせたような姿の工藤の召喚獣。それにタイトルをつけるとしたら『セーラー服と大戦斧』かしら。土屋のは、もう見馴れた忍び装束に小太刀の二刀流。こっちのタイトルは、『天誅〜互いに〜』ってとこ? 首をブンブン振ってる土屋は、置いておきました♪

 ちゃん、ちゃん♪

 

 

 

 

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