今回のタイトルは、
『スクライド』
タイトルだけで解った人はスゴい。
タイトルの理由は、基本中身に影響されます。ってことは………
西洋槍
佐藤さんを見てみると、真由美の攻撃を防いで崩れた体勢の真由美に鉄球を投げつけている。こっちはこっちで面倒。さらに驚異なのが、
「はっ! やっ、このっ!〈キィン、キィンキィィンッ!!〉」
佐藤さんの能力が木下さんにも同時にかけられる上に、なんか張り続けることが可能なようなんだよ、ねっ。…っと。
今の攻撃も避けられることなく、幕に邪魔された。
なんかどうするっていうか、どうやって佐藤さんを倒して盾を潰すか………だよねぇ。
「随分と余裕、じゃない!」
木下さんの放つ西洋槍が穿とうと私に迫る。
「そう、でも無いんだけどね!」
なんとか捌き、距離を保つ……余裕すら無かった。
「考える暇すら与えないわ!」
「ならば作るまでっ!」
搗ち合ったまま、腕輪の能力を解放して木下さんを大きく吹き飛ばした。一瞬だから気づいてないみたいね。
「キャアッ!」
木下さんがぶつかって悲鳴を上げる佐藤さん。ん?……。
「ごめん、美穂」
今、……………そういうことかぁ。なぁるほど〜。今スゴく悪い顔している自信がある。ま、とにかく、
「真由美っ! クロスシフト!」
私の呼びかけに対して「待ってました!」とばかりに気持ちの良い返事がきた。
「オッケェー」
うん、なんかアレだけど。
とか言いつつ、召喚獣の立ち位置を入れ替えながら素早く進み、みんなの視線がそれた時に私達自身もこっそり立ち位置を入れ替えた。そして、私の前に真由美の召喚獣が、真由美の前には私の召喚獣が立ち動く。
正直、時間稼ぎかなんかすれば何れは勝てるんだけど、それまでに点数がゼロになる可能性のが高い。でもそれは、相手にとってプレッシャーになる。真由美の予想外だろう点数の高さと、木下さんと変わらない私の点数。だと言うのに、大したダメージは与えられず自分達はじわじわと削れていく。
ああ。余裕だってのは、強ち間違いじゃなかったってわけだ。余裕に見えたっていうのは、知らないウチに、プレッシャーを感じてたってことかなんかだと思う。つ・ま・りぃ……、
「エンディングが、見えた!」
「「「理科は、黙ってて」」」
「酷いわ。ホントなのに」
「相変わらずだわ全く」
「理科らしぃけどねっ」
でも今は勘弁して、ね?
だけど私達も、ねぇ? 真由美。
「………〈こくり〉」
軽く頷くだけで答えがくる。
今度は連撃途中に真由美と武器を入れ替えてリーチを変化させる。且つ、斧槍による斬り払いが優位に立たせてくれた。
真由美の方は、幾らか鎖を巻き取って輪っかの部分、繋ぎ目? を剣先で地面に縫い付け攻撃を制限。───し終えた瞬間、斧槍を返した。
当たり前に受け取った真由美に私自身の向かい側にいる佐藤さんも私の召喚獣の向かいにいる木下さんも息を呑んでいた。その透きが佐藤さん達に小さな傷を生む。
一瞬の間をおいて、木下さんが素手になった私を仕留めようと躍起になる。ははっ。ダメだよ、そんなに突っ込んで来ちゃぁ。しかも、対向斜線にいる私自身と私の召喚獣を見やり……忙しなく視線が動き回る。何処を見ていいか解らなくなって対応しきれていない。
西洋槍を躱して躱して、後ろにいた佐藤さんを飛び超えた。
「「あっ!?」」
佐藤さんも木下さんも気づかず、私の避けた西洋槍が佐藤さんのお腹に呑まれた。直撃の時、木下さんが腕を思いっきり引いて貫通せずにとどまった。
決め手に欠ける、か……。ならば!
手を天に掲げたところに炎波状剣フランベルジェが収まり集目される。そして、言わなくともやりたい事を理解していた真由美に胸が熱くなった。
「『混乱世界
真由美の腕輪が輝き佐藤さんの防護幕が揺らぎ、木下さんの焔が大きく燃え上がった。途端、どちらも消滅して木下さん達が声を上げる。
「え? どういうこと?!」
「わたくしも能力が勝手に!?」
木下さんの首を狙って斬りつける。それに対して木下さんは、“足下に”西洋槍をやって……
「っ!?」
不味いと思ったのだろう、上手く動かせないはずなんだけど我武者羅
それをカバーする方法があるっちゃぁあるんだけど、かなり豪快……かな。真由美も呆れてたもんね。
背後に向き直り、討つ体勢に入る。
佐藤さんが喚きながら鎖を“握って”突っ込んで来た。
「何でなんですか!? 下がって! 防御してっ! 違っ、放ってください!!」
「ムリだよねぇ〜、無意識下のとっさの行動は変えられない。ね? 律子」
そう。私達みたく練習してない人が食らえば───
「───あべこべになる」
「───あべこべになる」
真由美の腕輪能力『混乱世界』は、あらゆる操作,思考が逆さまになる。木下さんが私の攻撃に対して西洋槍を下げたのもそう。佐藤さんが突っ込んで来たのや向き合っていた相手もそうだし、鉄球を投げないで鎖を握ったのもそう。武器を離さなかっただけマシかな。さらに言うなら、能力が消えたのもそう。“使おうとした”から消えた。ってことになる。
ま、攻撃一つにしても防御や回避どころか逃げだしたりもする。やろうと思っていた行動のほぼ正反対の動作に移るわけなんだよ。“ほぼ”っていうのは、ランダム性もあるんじゃないかと思ってる。思ってるって曖昧なんだけど、学園長も解らないみたい。………ォィ。
そして……真由美と二人、交差する。
「んじゃ、一人目っ!」
私が横に一文字
「打倒しぃて、…からの〜」
真由美が縦に1文字
「能力解除。で、律子。そろそろ」
そうね。真由美のタイミングに任せて腕輪を使ってもらおっかな。木下さんの攻撃に合わせてやるのがベストだってのは………うん。解ってるみたい。
「凄いわね、アナタ達」
素直に称賛を送ってくれる木下さん。照れるけれど、嬉しいね。
「でも、なんか苦手なヤツもあるからBクラスなんでしょうよ」
「Aクラスは全体的によくできてるけどねぇ、Eクラスみたく取り組むものが他に無いからってぇ気がしぃなくも無いかなぁ。って」
確かに言えてるかもしんない。
「そうですね……、わたくし自身もまだ迷っているのでしょう。けれど、それを」
「認める強さが無い?」
佐藤さんの言葉尻を私が紡ぐ。真っ直ぐに佐藤さんを見つめる。
「………ですね」
少しの沈黙の後で、佐藤さんから肯定の意を得た。やっぱりかー、って思った。でも、
「なんかさー、甘々だよね」
悪いとは思うけど、そうも感じた。佐藤さん、だけとは言わないけど。
「うん。律子も私も他のみんなだって迷うしぃ」
当然。だってのに、なんか………
「それを理由に見下してる人がいて、容認する教師
ふぅ……。さぁて、と。
「これ以上時間かけてもアレだから、ラストスパートに入りますか!」
いち早く木下さんが動いた。
「『焔』ァッ! この一撃に全てをかける!」
くぅっ、左腕一本持ってかれた。しかも、炎が私に纏わり付いてくる。
けれど、
「それは冥土の土産に取っておいてよ」
木下さんの姿が破れ被れに見えてしまった私は、逆に冷静になった。
遅れて真由美が反応して『混乱世界』を展開。焔が霧散した。
「ここからはぁ、私達のターン」
ナイスよ! 真由美。っとぉ!
「ついでに教えてあげる。あなた達に足りない物、それは!───」
斧槍をバッターボックスに立った選手みたく構えた真由美に向けて木下さんを飛ばす。
「情熱っ!」
木下さんが私の元に打ち返ってきて、それを交互にふっ飛ばす飛ばす飛ばす飛ばす! そしてその度に言葉を重ねる私達。
「思想!」「理念!」「友愛!」「気品!」
真由美も木下さんを追って走り寄って来る。
「心の広さっ!」
木下さんが返ってきた瞬間、地面に向かって吹き飛ばす。真由美は追い付き、穂先に足をかけて待機。
「優しさぁぁ!」
返す刃で、バウンドした木下さんを上空に斬り上げる。私の腕輪の力で真由美も空高く舞う。
私も跳び上がりながら地面を強く叩いて能力発動、自身も木下さんに追い縋る。
追い………抜いたっ!
空中を踏み締めるように両足を広げ、正中線を大地と平行に隻腕を大上段に設置した。腕輪の煌めきが今まで以上に強くなっていく。上半身を弓のように大きくしならせ、全力で叩きつけた。
「そして何よりもー!───」
私の横を矢の如く通り過ぎる刹那で、剣の腹を当てて能力解放。真由美にさらなる加速を促して───
「「───速さが足りない!!!」」
───刺し穿つ槍。
神話に謳われた影の槍の如く。彼
『Aクラス 佐藤美穂
Aクラス 木下優子
社会 0点
社会 0点
VS
社会 25点
社会 166点
F(B)クラス 岩下律子
F(B)クラス 菊入真由美 』
「勝者、Fクラス岩下律子! 菊入真由美!」
高橋先生の宣言に、私達も召喚獣もハイタッチ♪
見たかっ! なんかスゴい満足。