タイトルは、
『刀語り』
西尾さんのアレです。
舞台本番近いのに、投稿w
稽古は、あと五回。そのうちにセリフ回しと殺陣を完璧に………、オレ死んだ……か?
因みに──舞台上手くいきました♪
敵役だったんですけど、オレのやった悪役が解りやすく好評でしたw
静かだけど凛とした声が上がる。
「……はい」
Aクラスから出てきたのは、翔子。
そして、こちらのクラスからは……
「俺の出番だな」
「待って雄二。ここは、僕が出る」
「は? 負けられないんだぞ」
「だからこそだよ。どうせ雄二は、復習とかしてないんでしょ?」
「うっ……! だがな!」
「操作技術から言っても、僕の勝率の方が高いって雄二も理解してるよね?」
明久の言ってることが理解出来ているからこそ、坂本は何も言えずにいる。
「……雄二」
そこへ翔子が言葉を挟む。
「……あなたでは私に勝てない」
「そんなの!」
憤る坂本に翔子は、「……やってみなくとも解る」と、淡々と先読みして答えた。
「……今現時点で、テストの点数だけでの召喚獣勝負しか受けない」
「っ! 何を勝手な。こっちには選択権がある」
尚も食い下がる坂本に、翔子は透きの無い答えと真っ直ぐな気持ちでもって返した。
「……科目選択であってルール選択権ではない。
それに、私は明久としたいの」
「くっ…、勝手にしろ」
そのセリフが決定打になって、坂本が後ろの方へと下がっていった。
入れ代わりで明久が前に出て、翔子と対峙する。
「高橋先生、Fクラスは吉井明久が出ます」
「解りました。───教科はどうしますか?」
「どうしよっか、翔子ちゃん」
「……日本史。と言いたいところだけど、それじゃ私は勝てない」
「「「はぁ?」」」
恐らくは、高橋先生を除く全員が声を上げた。
あら? 律子と真由美は動じないのね。
「律子も真由美も驚いたりしないの?」
「なんか、可能性として考えてたしね」
「うんうん。幼なじみの理科が放置しないだろうしぃ、霧島さんと仲良さ気だからぁ、霧島さんなら教えてそうだなぁって」
うん。古典に関しては学年一位になり得る二人なだけあるわ。
「じゃぁ、総合科目でいこう。それなら、いい勝負ができるしね」
「吉井君、本当によろしいですか? 日本史ならば、あなたの勝率はかなり高いんですよ?」
「それだけの点差があるってことですね────それでも、です」
「解りました。これ以上は言いません」
みんなが明久のセリフに「何言ってんだ?」と訝し気な視線を浴びせていることに気がついた高橋先生は、
「因みに、吉井君と霧島さんとの点差は226点です」
さらっと補足した。
それを聞き流せなかったのか、坂本が大仰に驚く。
「はぁ!? 明久が、か!?」
「はい。吉井君が、です」
淀み無く受け答えしている高橋先生。
眼鏡のズレを直して二人に促す。
「では、そろそろ始めましょう」
「翔子ちゃん、よろしく。
試獣召喚
「……此方こそ。試獣召喚
『Aクラス 霧島翔子
総合 5634点
VS
総合 5519点
Fクラス 吉井明久 』
クラス中が騒めき立つ。
『学年一位の霧島だけじゃねぇ!? 二人共にスゲー!』
『姫路の点数より、千点も高い!』
『どうなってるのよ!? 《観察処分者》じゃなかったの?!』
はぁ……。《観察処分者》だから侮るっていうのは、理解に苦しむわね。
……始まる。
「翔子ちゃん」
明久は元々学ランに木刀だった装備が、この学園の制服に刀と脇差。
翔子は日本の武将達が着けていたような感じの鎧に兜は無い剥き身の頭部と、同じく刀を持っていた。明久と違うのは脇差が無いってことでしょうね。
「……解ってる。油断するつもりは毛頭無い」
翔子は息を深く吐き、気持ちをリラックスさせるのとは逆ベクトルに眼光は鋭くなり、威圧感が増していく。明久を見つめたまま翔子と翔子の召喚獣は構えを取った。
「………全力」
明久は鞘に収めたまま、翔子は既に抜刀して青眼に構えて切っ先を鶺鴒
明久が僅か刃を見せる程度抜く。
まずは、
「………はぁっ!」
翔子が先駆け動いた。
それに合わせて明久も抜刀し、腕をだらんと下げた。
翔子はそのまま大上段からの兜割り。明久はその攻撃に対して刀の棟で翔子の刀を跳ね上げ、自らの刀の切っ先を頭上に持っていき、左から右へ車に廻して勢いを付けて袈裟に近い胴斬りを行う。
「……っ!」
端から見ても解るくらいに息を呑む翔子。
間一髪。明久の攻撃を後ろに飛び下がって避け、その反動を利用して明久の頭上に飛び上がり、一気に斬り降ろす。
胴への攻撃を避けられた明久は無理に体勢を整えたりはせず、凪ぎの勢いを殺さないままに回転。後退しつつやや下がり気味の平青眼(刀を横に寝かせた中段の構え)で、じっと相手の動きを待って一気に攻める為に構えた明久。
「……甘い、二段構え!」
だが翔子は刀を振り降ろした後、さらに下段から地面すれすれに刀を打ち上げて、相手の小手を浅く斬る。
「くっ…!」
そして、そのまま首を狙いにきた斬撃に対して、明久は急遽中段の位置から刀を押し出す形で袈裟を放つ。
カキィィィン!!!………。
明久と翔子が鍔競り合う。
「「「ふっ……」」」
明久と翔子につられるかのようなタイミングで揃って笑みを零した。
静まった教室に響く二人の声。
「さすがにヤルね、翔子ちゃん」
「……明久こそ」
瞬間、
『『『うおぉぉぉぉぉーーーっ!!!』』』
音が爆発した。
誰も彼もが興奮を隠せないでいる。まるでお祭りね。