元バカと黒髪美少女と薬師   作:暁 巧

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 今回タイトルは……
『バトルアスリーテス大運動会』

 です。知ってる方いますかね? 結構古いかと思います。ZとかGTくらいの時代かな?





特別問題 ①−3 バトルアスリート

 

 なんか、もう…ね……。場違い過ぎるし、まだ意味解んないし、何より───怖い。

 ああ、もうっ。安請け合いするんじゃなかった。割りに合わなさ過ぎっ!

「ふぅ…ふぅ……はっ…はぁっ……」

 上手く呼吸ができない。

「大丈夫ですか?」

 マーナちゃんに声をかけられた。本当にロボット何だろうか……。この子の優しさも性格もプログラムだとは思えない。

「すみません。私達の為に」

 大丈夫だと返したけど、謝ってきたマーナちゃん。“ハ”の字の真ん中を人差し指で小突く。

「あ、いたっ。何するんですかぁ」

「謝んないでよ。友達──でしょ?」

「はいっ! ありがとうございます!」

「しっ! 静かになさい」

 

「「はい……」」

 

 二人揃ってしゅんとなったけど、それが何だか可笑しくって一緒になってくすりと笑った。

 でもやっぱり、声はそんな大きくなかったけど、神経質過ぎるくらいで丁度いいんだろう。それに、ここは日本じゃなくアメリカ。一介の研究員でさえ拳銃を所持している。もっと広く言えば、中高生でも手に入るお国だからね……。

 ブルッ。

 うわっ。身震いした。なんか鳥肌も治まんないし。

「あ」

 マーナちゃんと真由美が手を握ってくれた。

「何があっても、私が守ります」

「律子、私もついてるから」

「……うん」

 やっぱ、恐怖は引っ込んでなかったな。幾ら召喚獣の強さを知っていても、怖いものは怖い。フィードバックによって返ってくる痛みで死なないとは言いきれない。そんな事試せないだろうし。

「ありがと。二人共」

「人じゃないんですけどねぇ」

 お礼を言うと、くすぐったそうに身を捩った。その二人も私も置いて、理科が淡々とマーナちゃんに伝える。

「そんな些細な事いいから、センサーで中の確認よろしく」

「そのナビ使いの荒らさ……もう一人マスターが増えたみたいですぅ」

 

「「いいからさっさと仕事しろ」」

 

 この場合、理不尽でも無いのかな……? はは……、あ、まぁ。なんか放っておけなくて、マーナちゃんの手をぎゅっとした。

 ぉ。ヤル気を取り戻したみたい。現金だなー。ヒトの事なんか言えないけど。

「この部屋には誰もいません。カメラの類いは、突入と同時にダミー映像と差し替えますのでこのまま突入しましょう」

 言ってすぐさま中へと入った。マーナちゃんの余りの鮮やかさに惚(ほう)けてしまい、ワンテンポ遅れた。

 わわっ! 上げそうになった声を抑えながら慌てて部屋へと駆け込んだ。

「遅いぞ」

「ごめん」

 あ、いや、こんな事になっている現状を未だ呑み込めてないのに。でも、うん、まぁ……協力はしたい。したいよ? けどさ……むぅ〜………。

「マーナを先頭に、通気孔を通ってエレベーターホールまで移動。そして───」

 海谷くんが説明を始めた。ダメだな。もっと集中しないと。

 マーナちゃんから順番にダクトに潜り込んでいく。殿は努めさせてもらおっか。

「掴まって、律子ぉ」

「はいは───」

 コツコツコツコツ……。

 ヤバッ!? 足音が近づいて来てる。

「〈ぼそっ〉律子っ! 早く!」

「うん」

 真由美の手を掴み損ねて落下した。あっ、しまった!

「あいたた……」

 盛大に音が響いた。あーもうっ、………………あれ? 足音が止んで、る? ……違う。これは………

「りっ!───んむーっ」

 ナイス。海谷頼むね? 携帯を取り出して耳に当てる。それと同時にドアが開いた。

「はいはい、りっちゃんでーす。うん、そう。で、どしたの?」

 心臓バクバク! ドアの方に振り返る前に視線を上にやって、みんながいなくなっているのを確認しつつ自然な流れで入って来た人物を見た。

 男性にしては長めのくすんだ金髪の外国人。何より目を引いたのは、ルビーのような深紅の眼。

 思わず魅入って言葉が途切れた。

「あ、ああ、ごめんごめん。後でまたかけ直すから」

 そそくさと携帯をポケットに仕舞い、緊張気味に英語で話した。

「そ、そーりー……。あー、あー……んー……っと」

 身振り手振りで何とか伝えようとしていたら、

「日本語でOKデスよ。ワタシは櫻木博士とも親しく、ワタシ自身も各国の言葉で話せマスから」

 あっさりと、日本語で返ってきた。なんか気を揉み過ぎたな。

「はぁ……。良かったです、なんか安心しました。

 あの、お手洗いの場所を教えていただけますか?」

 一刻も早く離れないとね。

「わかりマシタ。ここをまっすぐに、三つ目の通路を右に曲がって左側に見えてきマス」

「ありがとうございます」

 今すぐにでも離れたくって、駆け足で移動した。妙な緊張感は、晴れなかった。

 角を曲がる直前に声がかけられた。

「───Please give him my best regards. I'm looking forward to working with Mr Nakano.」

 ! え? 今……。

 急いで振り返る。

「もういない……か……」

 先ほどまでいただろう深紅の色を探すが、その姿は無かった。

 プリーズの一つ前にも何か言ってたんだけど……。イナバウワーって聞こえた。む〜……。英語は解らん。とにかく、エレベーターホールまで急ごう。

 ───それにしても、最後見た笑顔が最初見た時と違って………なんか気味が悪かったな。

 耳がピクピクと動いた。イヤリングから発する電気信号が知らせてくれる。

 マーナちゃんから連絡だ。ほいほいーっと。

『律子さん、次の通路を急いで左へ抜けてください!』

「えっ!?」

 疑問に思いつつも走り出す。

『二つ先の通路から人が来ますっ!』

「っ! 了解っ! そのままエレベーターホールまでナビお願い! スピード落とさず、一気に駆け抜けるから!」

『はいです!!』

 心強い返事どうも。ひっだりぃっ!

『次は一つ目を右に、通路を越えて直ぐの部屋に入って』

「大丈夫なの?!」

 不安になって声を上げた。どんどん私達の泊まる部屋からは離れていってるから余計だ。

『律子さん、信じてください』

 全く、友達信じなくってどうすんのさ。

「っよっ! マーナちゃん、頼んだ」

『頼まれましたっ!』

 っ、はぁっ……。部屋、鍵開いてるのも確認済みなワケね。なんか、スゴ過ぎなスペックだって。

 はぁ、はぁっはぁ……。

『律子さん、呼吸をもう少し落としてください。そろそろ、人が通ります』

 慌てて両手で口を押さえる。

 ふぅっ、はふぅっ……、ひゅー…ひゅー……。

 心臓の音が煩くって聞こえ辛い。

 ………………………もう、大丈夫かな? ごくり。嚥下した唾が喉を通ってかなり大きな音が鳴った気がした。

『律子さん、静かに出て先の通路へ戻って右へ』

 そっと、そっ と……。左、目の前の……! なんか向かいにいんじゃん!? 気づかれないように、静かに急いで右の通路っ!

 っとぉ! はぁっはぁっ……。

『中間辺りで右側の壁に沿って移動してください。

 先の部屋の通路前に一人入りました』

 バッ! と後ろを向いてしまう。まだ来ないと解っていても、不安に苛まれた。

『カメラの映像を差し替えました。次の通路を右へ、そのまま真っ直ぐに───』

 右! そして、───いた。後は、全力でぇっ………

 

 って、止まれないぃぃっ!?!?

 わぷっ!

「ぁ、はぁっ、あ、りがと……マ ーナちゃっん……」

 はぁはぁはぁ……。

「岩下は休んでろ。マーナ、警戒を怠るな」

「はいです、マスター」

「デコ助、召喚獣と武器を出しておけ」

「了解したわ。律子、真由美」

 はいよっ。

 

「「「試獣召喚(サモン)!」」」

 

 理科は、『化学科学』で武器を生み出した。さすがに、剣で手加減は難しいからね。

「このスタンロッドの柄にあるボタンを押すことによって、2〜30メートルの射程の電撃を飛ばす、強力なスタンガンとしても使えるわ」

 ピィーッ。電子音が鳴ってエレベーターのドアが開いた。

 マーナちゃんが辺りを警戒している間に海谷が乗り込み、理科に続いて私も乗ろうとしたところで理科に押し停められた。

「理科……?」

「律子、真由美。ありがとう。あなた達は、ここまででいいわ」

「ちょっ、ここまで来て何言ってんのよ?」

「これ以上は、フォローが効かないのよ。ううん、できたとしても連れて行きたくないのよ。……ごめん」

 理科が珍しく理路整然とした物言いじゃなく、自分の気持ちだけを伝えてきた。

 私達を想って、というか……、ただイヤなんだろうなぁって。理科の気持ちが解って、でも私達だって理科の事想ってるワケで………。

 頬を少し掻いて照れくさく思いながらも言っておく。

「理科、私達も理科の事想ってるから。あー……、召喚獣だけでも連れてって。んと、いってらっしゃい」

「あ、うん。いってきます」

「理科、また学校で。マーちゃんもまたね」

「はいっ! またです。

 お二人のアドレス教えてもらってもいいですか?」

「さっさとしろ。いくぞ」

「海谷も元気で」

「ああ」

 ま、短い期間だったけど、それなりに楽しかったわねー。二度はごめんだけれどさ。

「またねぇ? りっく」

 誰だよ。

「次会ったら、名前を訂正させてやるからな」

 ほら、言われた。

「うん、楽しみにしてるー」

 計算尽くならばスゴい。真由美の場合、どっちとも取れるからな……。

 つーか、帰りどーしよ……。

「律子さん、真由美さん。お部屋までのルートは携帯へと転送しておきました」

「おお、さすがマーナちゃん。

 んじゃ、このままだったら長居しちゃいそうなんでさっさ行くね」

「まったね〜」

 後ろ髪引かれるな……、ほんと。でも、

「まだ終わってないょ、律子」

「おう。召喚獣に付けたカメラ映像送ってもらってるから、真由美はそっち見てて。召喚獣の指示も任せるから」

 イヤホンの音声だけじゃまともな動きはできないだろうしね。

 真由美の手を引く。

「私は、部屋まで連れてく」

「うん」

 

「「行こう」」

 

 

        ☆

 

 

「良かったのか?」

 海谷の目を見て一つため息をついた。

「それ聞く? ここまで連れて来たのだって心苦しいっていうのに」

「あはは……。でも……、私は嬉しかったです、とっても」

 ま、苦労してる甲斐がある笑顔ね。っと、パシャリ。

 ピロリロリ〜ン♪

「報酬は戴いたから、きっちり熟すわ」

「わっわっわっ」

 真っ赤な照れた感じ、可愛いわ。もう一枚。

 ピロリロリ〜ン♪

「今のはダメですぅ〜っ!」

「オマエらなぁ……」

「緊張感くらい持ってるわよ? 本番直前は、大きくリラックスして軽く緊張しているぐらいが丁度いいのよ」

「建物前に来てガチガチだったと記憶しているんだが?」

「そうだったかしら?」

 目線を扉にやったまま気を引き締めた。マイクを起動させる。これで律子と真由美にも届いてるはずだ。

「……着くわ」

『了解、なんか忙し過ぎて頭おかしくなりそう』

 律子は地図見て部屋へ戻りながら、指示を聞いて召喚獣操作。真由美は、映像見て召喚獣操作して周りの音を拾いながら引かれた手の勢いを殺さず駆ける。

『感度良好ぉ〜』

 二人の声を聞けて嬉しそうにするマーナ。

「マーナ、先陣を切れ」

「了解しました、マスター。律子さん、真由美さん。そろそろ動きます」

『マーナちゃん、頑張ろうね』

『おーけぇー、マーちゃん』

 にしても、マイクで指示するっていうか、指揮取らなきゃだし。いつも以上の緊張感だわ。

『理科、なんか口数減ったわよ?』

「律子、さすがに無駄口はそろそろしないって」

『そっか。んじゃ、なんか程々に期待してなよ。応えてあげるからさ』

『もちろん、私もねぇ?』

「ふっ……。期待しておくわ」

 

 

 

 

 

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