最後は、ネタですw
あまり深く気にせず読んでくださると……。
今回は
『ながされて藍蘭島』
って作品です。
ガンガンの作品。
それくらいには、カオスなのかも……(汗)
それではどうぞ
エレベーターホールに降り立った。辺りを見渡すが、まだ誰も見当たらない。拍子抜けするくらいの静寂。
「真由美、後ろに意識向けてて。左右は受け持つから」
『はいはぁい』
「海谷も左右の意識もしてよ?」
「言われるまでもないだろ」
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
「何事?」
不安感を煽るけたたましい音が響き渡り、通路が警告色で染め上がった。
不味い。かなりマズい。
「走れ! 一気に抜けるぞ!!」
「早速両側からお出ましよ」
「マーナ、全方位に煙幕! 前方の通路にも放ち、そのまま殿を務めろ!」
パン! パンパン! パパパパン!!
マーナの返事を遮って鳴る銃声。数人同時に撃ってるから、実際はかなりの弾幕だろう。
だがマーナは、海谷どころか召喚獣に飛んできた弾丸さえはたき落とし“投げ返した”。
「……させませんよ。マスターや理科さんだけじゃない……召喚獣にすら触れさせませんから。
さぁ、スモークですぅ。こう言うのが『煙に撒く』って事ですね。 ───その身に刻んでくださいね?」
ヒューッ♪ やるぅっ。
横を通る時にマーナとハイタッチ。走りながら二人に声をかける。
「事態が急変したわ。律子も真由美も自分達の事を優先なさい」
『なんかもう着くから気にしないで』
『……理科、頑張ってね。っ!』
プツッと音が切れた。何かあった? ………何があった。
召喚獣の能力を使う。
「ちっ! 『Тульский-Токарева 1930/33、Beretta M8000』。
海谷、銃ぐらい扱えるんでしょう? 弾倉は3回分、足りなくなったらまた言いなさい」
「っと。トカレフ・トゥルスキー・トカレヴァ1930/33、か」
と口にしながら、前方から来た敵の手を撃ち貫いた。
「そっちは、ベレッタか」
「正解。9mmパラベラム弾の装弾数15発のヤツ。それと……スモークグレネードっ」
それを前へとバラ撒、いたっ?! 煙の中へ入る前に、薬莢(やっきょう)を踏みつけて転んでしまった。マズッ!
「理科さん、避けてくださいっ!!」
体勢崩れているんだって言うのに。瞑りそうになる目を凝らして、弾丸を見据える。
「くっ……!」
最後まで諦めてやるワケにはいかないのよ!
「理科さん!」
カン! ゴシュウゥゥ……。
「は……」
一瞬思考が飛んだ。音のした方に目をやると、何があったのか、壁からシュゥゥ……と未だに煙りを上げてその凄まじさを物語っていた。
そして眼前に立つのは、律子の召喚獣。抱えて飛び退いてくれたのが真由美の召喚獣。
「はは……」
吊橋効果実践中? これは惚れるわ。
律子は自分達の方の警備員達の物音を聞く為に、片方の耳だけにイヤホンを着けて集中している。つまり、真由美が見て律子にタイミング等を指示。律子は、それに合わせて僅かに数ミリの弾丸を捉え、凪ぎ、触れた刹那で能力解放して吹き飛ばした?
ふっ……、参ったわね。この二人なら、抱かれてもいいわ。
「下らない事言ってる暇があるなら、走れ」
「悪いわね。マーナ、先行して敵を片付けて。後ろは真由美に任せるから」
「はいです。後方の敵は、スタンロッドで意識を奪っているので、暫くは大丈夫かと思います」
「ありがと、助かるわ」
「煙りに紛れていますが、流れ弾にお気をつけください。───!」
マーナの眼光が鋭くなる。
「23メートル前方に四人捕捉。恐らく、これで最後かと」
「マーナが二人、」
「俺達が一人ずつか」
「殺すなよ?」「殺さないでよ?」
パパパパン! 四人の足下に威嚇射撃して透きを作り上げた。その間に口を開けた間抜け共に唾液に反応して炸裂する、いつもバカ共を鎮め(沈め?)ている薬品を放り込んでやる。
「ごふぁっ!?」
あら? ………銃はいらなかったかしら。ま、備えあれば憂い無しって言うしね。
海谷の方は銃を撃ち落として、マーナが意識を刈り取っていた。
「十二分だったみたいね。マーナがいれば百人力だわ」
「お褒めに預かり光栄ですぅ」
「余裕だな」
海谷の声を聞きつつ、マーナと海谷の二人が扉の開放作業を見守る。
「終わったぞ」
「早いわね」
「ペンタゴンに比べるとな」
「ですね」と同意していたマーナを思わず半眼で見やったのは仕方ないと思う。何せ、同じ国なんだもの。
「どう?」
「ああ、大丈夫そうだ」
部屋へと入って軽い実験を繰り返し、一○度目が終わったところで尋ねた。
部屋の入口は、塞いだ後にマーナが見張って入口のロックを解除されないように書き換え続けている。
「マーナ、聞こえた?」
「はいで──」
「あぁ。明確に聞こえたぞ」
えぇ。こちらにも、あなたの声が届いたわ。……櫻木華菜。
「くっ……、油断した。見られていたってワケね」
「偶々だったがな、今日は泊まり込みで為すべき事があった」
どうかしらね。珍しくはっきりとしない言い方じゃない。
いいえ。『為すべき事』っていうのが……
「で。いつから気づいてたの?」
「連絡を頂いた時からだ」
「ぇ?」
「正式な手続き方法として、以前から此方への来訪予定はあった。日時が決まっていなかった為に、」
話の途中にマーナが割って入った。
「それだったら、おかしくないですぅ」
「ダメナビー、最後まで聞け」
「其方のお嬢さんが言う通り、直前の連絡だったとはいえ、拒む理由など無かった。理路整然としていて社交性もあるが突然の来訪になっても理科らしい。
が。
今回理科は、私にも連絡を入れてきた」
『でもぉ、当たり前のことだよねぇ?』
『でもなんか……』
「理科の友人は気づいたみたいだ。“私にも”というのが………頂けない。頂けないな。全く理科らしくない。
理科ならば、私に何も知らせずに何食わぬ顔で目前へと現れるだろうからな。それに、その方が理科らしい」
「ちょっと待ちなさいよ! 何で……」
……もしかして律子達、
『ごめん理科』
『部屋に戻ったところで捕まっちゃったぁ』
いつ戻ってもいいように、部屋の側に待機させていたってワケ。はぁ……。
「人質のつもり?」
「いや? 拳銃を置いて作業に没頭しているようだったからな。回収しておいた」
「ふぅん……で?」
「温和しく日の本への帰国を告げる」
何があっても知らぬ存ぜぬで押し通す気かしら。
何よりも相手は、武器を奪っての慢心は無く、むしろ何かしらの警戒をしている。
「これが召喚獣か?」
見つからないように姿をくらませているはずの召喚獣が、突き付けられた。
「知ってるの?」
でも納得してしまった。「これか」と。理解している人から見りゃ、かなり物騒だものね。
「ああ、“もちろん”。世界でも有名じゃないか、ファンタジーな学園が存在するってな」
「情報に疎いつもりは無かったんだけどね。文月学園が有名になるだろうとは思っていても、そこまで意識を向けて無かったわ」
「それだけであれば、噂程度に終わるだろう。文月学園にもある程度の情報開示をしているが、言ってみればゲームの延長線上としてしか取られていなかった。
『ジャパンがまた面白いゲームを出したらしい。学校でできるんだって。さすが、オタク文化大国だ!』という感じだったワケだ。
だが……、あの『薬師』がいるとなれば───世界は稼働を始める」
「大げさね。あなたも、世界も」
「そうだろうか。曲がりなりにも、『神の薬』と呼ばれている人間だぞ? 生まれた時が違えば、神の子としてロンギヌスに処刑されて歴史に名を残していたさ。
いや、この現代においても、理科は後々の歴史に刻まれているよ」
「何が言いたいの?」
「過小評価が過ぎるのでは無いか? そのような存在が常と異なった行動を起こした……。それだけで、理由は十分だぞ」
できる人間ってのは、面倒くさいわね。他人のふり見て我がふり直せ。「阿部理科うぜぇ」とか思われてたのかしら?
『“敵を知り、己を知れば百戦危うからず”。だよ?』
『理科は、己を知らなかったと』
「孫子の言葉だな。正に正答ではないか」
「でこ助、気が向いたら研究手伝ってやるよ」
海谷が唐突に話を振ってくる。華菜からしたら解らないだろうが、こちらは違う。
「いらないわ。むしろ、手伝ってあげましょうか?」
海谷は、憎たらしい笑みを浮かべて「いらねーよ」と答えた。
「それに……」「ま……」
「「その方が面白いしね(な)」」
「理科さん……」
「なーに、辛気臭い顔してんのよ?」
「だってぇ〜、こっちのマスターの方がいいんですぅ!」
いつの間にかマスター扱いだわ。
「ふふっ。帰らない訳にはいかないでしょ? それに、一生会えなくなるワケじゃないしね」
「……はい」
「じゃ、また一年後とか」
「何をする気か知らんが、このまま黙って見過ごすとでも思っているのか?」
海谷が装置を起動させる。
重厚な音と甲高い音が綺麗に共鳴したような響きを感じた。
「何を!」
答える間も無く、世界を白く塗り替えられた。
後から思い返してみると、不確定要素が多々あった。焦っていたんだと今なら解る。
三体の召喚獣に白黒の腕輪、発動していた『化学科学』に、マーナの書き換え続けていた扉のコード……etc……。
☆
「またか……」
「全く。巻き込まれるこっちの身にもなりさいよ」
「「「私達のセリフだ!」」」
「あら、元気そうで何よりだわ」
そこには、召喚獣と共に怒り心頭の律子と真由美の姿があった。華菜もお怒り気味。
「訳が解らん。理科、説明を要求する」
「元々、並行世界移動をしようと思っての実験だったワケなんだけど、それに巻き込まれてあの場所から移動したのよ」
「なっ……!? つまり、並行世界移動を成功させたというのか!」
「そ。ごめんね」
「いや。だが外に出ただけの可能性も……」
「無視か! なんか他に言う事あるでしょうが!?」
「まあまあ。律子さん、私はまた会えて嬉しいです」
「私も〜」
「私も嬉しいけどさ……何でこんな事に……」
「恐らく、なんだけど……。召喚獣に付けたフィードバック機能が」
「ですよねー? なんか、そんな事だろうとは思ってたけどね」
最後まで言わせなさいよ。でも……、面白いわね。
「面白い!? どの口が宣ったのかなぁっ!? 被害者からすれば、なんか納得いかないから!」
おほらなひれょ。ほっぺむにむに止めて。
でもあの二人。運や運命っていうのが作用しているっていうのかしら? 非科学的だけど全否定できないから、また面白いわねぇ。
「マーナ」
「今調べています………………〈ピピッ〉該当データ無し。ここは、地球上の何処でもありません。……え?」
「では、成功していた、と。巻き込まれた、と。帰還するのも困難だと?」
へぇ……。頬が緩むのを感じた。
「おい、自分で言って間抜け声を出すなボケロボ」
「全くよ。頼りないのか頼りないのか、ハッキリなさいよボケボロ」
「惜しい! というか、ただの暴言ですから! しかも二択に見せかけた、“頼りない”の一択!!」
「「迷うな……」」
「何でですぅ!? 何処に迷うところが!……」
「有り得ないと言わしめるくらい頼りないとか?」
「マスター!?」
「酷い頼りないわね」
「せめて“酷く”頼りないにしてください。その言い方だと、酷いし頼りないみた「「あ、それ」」──嫌いです!」
マーナを律子と真由美が慰めていた。仲良いわね。
「すみません、少しいいですか?」
誰かと思って周りを見回しても誰もおらず、ぽかーんと口を開けた律子と真由美の視線が気になってそれを辿ってみると………
「何だか疲れ果ててるみたい」
空に浮かんだ、異様な女性と目が合った。
栗色の髪の毛を横括りの所謂、サイドポニーにした髪形。意志の強そうな瞳と特徴的な服。そして何より気になるのが、その手に持った大きな杖のようなもの。
「この辺りで次元震を観測した為、やって来たのですが何とも無かったですか?」
次元震……? 何よそれ。言葉の尋ね方が、公僕っぽいわね。
「阿部理科って言います。失礼ですが、あなたは?」
「あ、すみません」
ペコリと腰を折って頭を下げた。
「時空管理局所属、高町なのは一等空尉です」
やだ。当たっちゃった? 面倒事はもう勘弁なんだけど。
律子ぉ、頭抱えたいのはスゴく解る。スゴく解るから、スタンロッドこっち向けて威嚇しないでちょうだい。
うん。おうち帰りたい。
────結局、帰るまでに一悶着も二悶着もあってから帰還した。