デスノートさえなければ強くてニューゲームなのに!   作:世界三大探偵って実は同一人物ってマジ?

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悪魔

 

 

 

 

 

 Side:『死神』リューク(2003年12月3日、昼)

注釈:日付はあくまで予測であり、特に時間については数時間程度前後していると思います。

 

 

(あれから5日……)

 

 死神の優秀な視力が捉えるどこまでも広がっている不毛の大地。その中においてさえ娯楽が睡眠(の()())か賭博しか発達しなかったのは、死神界(こっち)における時間というものが人間界(あっち)に対し、相対的にのみ存在する考え方だからなのではないか。

 死神大王を騙くらかして手に入れたデスノート(シドウの)を人間界に落としてからのここ5日間。そう5日もの間。目の前の死神どもは『転がした頭蓋骨の向きが縦か横か』とかいう原始的な博打を何を賭けるでもなく何度も打っている。

 普段は適当している(リューク)でもじっと考え事をするくらいの非生産的な光景が延々と繰り返されていた。死神界にはあの世のどこにも目の焦点を合わせる価値はない──。だから人間界に視点を移すことにしたのだが。

 リュークは我ながら意外なことであるが、死神のなかでもかなり我慢強い性格だと自認している。そんなことをほかの死神に話せば「ギャハハハ!! 冗談キツいぜリュークゥ!」とか、どこそこで大笑いされること間違いないのだが、そう思われるのは死神どもが『計画する』とか『準備する』といった物事について思いを馳せないからである。

 死神の言う『気が長い』、というのは『諦めが早い』の死神流の言い換えだ。

 つまるところ、この5日間において、デスノートの行末を観察せずに待った自分の判断は素晴らしいということだ。自画自賛終わり。

 とはいえ、その我慢もいい加減限界だ。昼も夜も、時計も寿命も、何より生きている実感が薄いここにはもういられない。

 

「そろそろ行くか」

「ん? どこ行くんだリューク」

死神界(ここ)はどこに行ったって不毛だぜ」

 

 博打を打っていた死神2人に話しかけられ、デスノートを()()()()ことを素直に返答すると、案の定笑われたが全く気にならない。

 俺もこいつらも、死神が何をすると死ぬのかすらほとんど知らない。

 そういう薄い存在を、これからの時間に対する期待感が急かしてくる。

 

「で、何処に落としたかわかってるわけ?」

人間界(げかい)

「え!?」

 

 リュークは「それって人間に拾われたら、ヤバくね?」と、妙に親身になって慌てる死神との会話を打ち切ってさっさと人間界へと繋がる”穴”に向かって歩いていった。

 願わくば、デスノートを拾った人間がせいぜい退屈しのぎに付き合ってくれることを期待しながら。

 

 

 

 

dear The Wammy's House

あるいは椅子に座るマナー悪い者宛て

注釈:何が引っ掛かるかわからないのでいくつかパターンを残しておきます。Wammy's house、ワイミーズハウス、ワミーズハウス、wammyshouse、wammy s housse

 

 

 

 Side:夜神月(2003年11月28日、夕方)

 

 

 

『県内屈指の進学校』というブランド(プライド)のために週休2日制を拒み続けていた我が校も、それ以外の全てが学校教育法に屈したとなると話が違うらしい。

 つい先日、公立どころか私立においても最も遅く土曜日休みを受け入れた我が『私立大国学園高等学校』では、週に1日のロスを早口(さすがに笑えるよ)で取り戻そうとする教師陣による詰め込み教育が行われているところだった。

 その速さについていって得るものがあるのか? と夜神月は教壇の周りを先週比で2倍動きまわる教師に(何で動きまで倍速なんだよ)半ば見切りをつけ、そもそも僕はついていく必要がないわけだが、とか考えながらぼうっと窓の外を見ていた時。

 

(──ノート?)

 

 校庭にノートが()()()、ように見え夜神月は我が目を疑った。

 勿論、ほぼ字面通りの意味で上の空だったので注視していたわけではないのだから、今の今までそこにノートがあったことを見逃していたと思えばそれまでなのだが。

 よりにもよってこの夜神月が見逃しをするだろうか? と自分自身への信頼が不可解な物理現象に対する折り合いにすら勝つほど月のプライドは強固だった。

 

(ハハッ、今のはちょっと自己評価高すぎたかな?)

 

 夜神月は心の中で嫌味な自分を笑いとばして窘めた。当然、訂正する気はない。

 

 

①もしこの小説が目に留まったら、保存ののちほかの人間や死神の目に留まる前に透明文字部分だけ削除すること。

 

 

 15分後。教師だって週末は仕事が終わったらさっさと帰りたいのだろう(特にここ最近は倍疲れてるだろうし)。

 授業が終われば掃除もHRも手早く進み放課後になった。金曜日は、家に帰っても6時半すぎから塾だし、明日も勉強するだけなのだが、それはそれ。土曜日が休みという開放感は意外にもテンションがあがった。

 ただ、時期が時期(受験シーズン)なので誰かに遊びに誘われるということもなく僅かに早足で月は校庭に向かい、お目当ての黒いノートを何食わぬ顔で拾って校門を出た。

 たまたまノートに興味を持ったこと、自分を信じていること、そしてたまたまテンションが高かったこと。こういう偶然が重ならないと月は地面に落ちていたノートなんてゴミのようなもの拾わなかったに違いない。

 ……あと、拾ったノートの位置が目撃した場所から僅かながらずれていたことにも気づけたはずだ。

 

 

②私は英語話者ではなく、この文章は急いで書いています。したがって、ニュアンスの違いによって伝えたい事実が変わってしまうことを恐れて日本語で記述することをまずは謝罪します。

 

 

「デスノート、っておいおい」

 

 家路を歩きながら表紙を見るなり、月は失笑し、次に真顔になって周囲に人がいないか確認した。こんなの持ってるだけで恥ずかしい。だって、黒い表紙にでかでかと『デスノート』! しかもド下手クソな()()()()()! 

 

「こういうのはせめて英語じゃないの? ()()()っていうのはイタズラにしてもちょっと手を抜きすぎだと思うけど」

 

 自分でも結構工作をするからか、あんまりなそれに月は呆れを通り越してイラつきすら感じていた。

 それとも中学生でもひっかかるようにわざと幼稚にしてるのかな、なんて作者を見下しつつも一応は表紙をめくってみると、やっぱり走り書きの下手な文字でデスノートとやらのHOWTOUSE(使い方)が表紙の()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()長大に書きこまれていた。

 いるよな〜、設定だけ作って盛り上がっちゃうやつ、と鼻で笑った月だが、優秀ゆえに興味がなくても目に入れば内容が頭に入ってしまう以上、最初の一文が目に入ってしまうのは必然だった。

 

「『このノートに名前を書かれた人間は死ぬ』、ははは世の中病んでるな」

 

 結局、月はこの死神ノートのことを意識の上では”素人の悪戯”と断じバカにしながらもバッグにしまい家に持ち帰る。……無意識ではどう思っていたのかは、行動に現れているような気がしてならないが。

 

 

③夜神月が踏みとどまっているか、この話があなたたちの目に留まるのが間に合うかした場合、夜神月はこの世界で唯一デスノートの正確なルールについて理解している人間になります。協力を仰いでください。

 

 

 家へ帰ってからの話好きの母親への対応もそこそこに切り上げ、月は自室にこもってノートのルールを読みこんでいた。

 

(案外しっかり練ってある”設定”じゃないか……日本語なのが笑いを誘うけど)

 

 というのが最終的な月の感想である。鉛筆で書かれたルール、その気になれば消しゴムで消してしまえるのも月を白けさせた。せめてペンで書けよ。

 ただ、ノートの使い方自体は、『このノートに書かれた人間は死ぬ』といった簡潔かつ()()()な文章から、『死神の目の取引』といった死神の存在を示唆しつつも所有者に肩入れしきらないバランス感覚、

『124歳以上の人間を殺す事はできない』などの適用タイミングがないが故にノートの作品としての世界観を補強する細かい工夫が整然と並んでおり月の心をいたくくすぐった。

 

注釈:死神の目を取引した人間に見て貰うことで、自分の名前が分からなくても本名を確認することができます。あなたは自身の本名には執着はしていないと思いますが、念の為。

 

 注釈には『妊娠している女性』をデスノートでは殺せない可能性の考察がその否定に至るまで、月の疑問点に先回るように用意されているなど、あくまで読み物として、小癪にも面白いと月に感じさせた。

 しかし、ルールを最後まで読み終えた月は「ふっ」ノートを鼻で笑って、着ていたシャツもそのままにベッドに転がって独り言を言った。

 

「ま、良くて小説家志望の設定ノートってところかな、()()()()()()()表紙は悪戯にしてもあそこまで雑だとな……。

 

 名前を書くと死ぬか……くだらない……」

 

「……」

 

 

④夜神月が一線を越えた場合、全世界の犯罪者と自身を追ってくる捜査員を始末すると考えられますが、死神の目の取引は代償が大きいため行わないでしょう。捜査員の顔を隠し、彼を確保してください。そうならないように努力はします。

 

 

「……………………」

 

 

 

 

疑問:そういえば三大探偵は全員同一人物ってマジ? 

 

 

 

 

 自分でもいつの間にか。

 

 夜神月は、机に開きっぱなしだったノートのルールのページ。その端に指をかけていた。

 

(こんなに出来が悪いのに──、このノートには誰でも一度は試してみたくなる『魔力』がある)

 

 魔が差したのか、それとも何か、何かを変える予感を感じたのか? 理由は何にせよ、今、月はノートの前に座ってシャーペンを握っている。だが、無意識からの最後の警告が飛ぶように突然ページを捲る手が止まる。

 

「待てよ、万が一死んだら僕は殺人犯か?」

 

 我ながらこんなものにマジになりすぎだろう、と思いつつも夜神月は”テスト”をするのに相応しい条件にあう人間について考え、そういえば、と普段は他人との話題作りのためにしか利用しないのでほとんどつけないテレビをつける。

 ブラウン管が電波を吸い込む不安定な音がアナウンサーの声に変わるのを無感動に待つ。

 

『ォ音原田は一昨日……』

 

 月の予想通り、画面の中では例の新宿通り魔『音原田九郎』のたてこもりの中継が放送されていた。ご丁寧に顔写真つきで報道されている。いまだに事件が落着していないことに心をささくれ立たせつつも今は感情を棚上げし、月はその名前を慎重に読み返して覚える。

 

(音原田九郎、ね……)

 

 写真付きとは何とも都合の良い、と夜神月はノートのページを1枚、捲り、一瞬。

 

 

「は……?」

 

 

 月の思考が停止する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音原田九郎 11月28日18時23分40秒

立てこもった私設保育園で警察から逃げ場がないことに絶望して自分の喉を掻き切って自殺

言い訳はしたくありません。私は人殺しです。僕には耐えられない。だから、私ではなくあなたたちに今後をお願いします。無責任を許してくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自失。数十秒にもわたったそれに気づき、思考が追いついた瞬間、月はノートから首が痛くなるほど勢いよく顔をあげ、すぐそばの置き時計を凝視した。18時23分45秒。46秒、47秒──。

(まさか!)まるで時間が数十倍に引き伸ばされたかのような緊張感の中、ただ呆然と時計を見つめていると、テレビが俄かに忙しくなる。

 

『い、今、中から悲鳴が、人質が一斉に出てきました! ち、血まみれです、中で何があっ! 警察が突入してきま何!? え!? ……今、情報が入りました! 犯人は保育園内で死亡! 警察は射殺ではないと強調しております! 状況を鑑みると自殺でしょうか──』

 

 ぱすっ、と音がした方を見るとさっきまで持っていたシャーペンがノートに落ちており、「うわあっ!」月はノートから遠ざかるように立ち上がりながら慌ててそれを払いのける。床にシャーペンが勢いよく叩きつけられてパーツがバラバラに分かれるのを見過ごしてただ立ち尽くしていると、

 階下から母親が声をかけてきて、やっとのことで意識が現実の方にあわさってくる。

 

「ライトーもう6時25分よー、今日は塾の日でしょー」

「あ ああ母さん  今支度してるから」

 

 そう部屋に広がったシャーペンのパーツを拾い集めながら返答した。デスノートを何かから隠すようにバッグに入れて。

 

 

 

 

⑤この記述を発見した人間が、私の想定している者でない場合、良心にしたがって無視してください。もし2005年以降に発見した場合、お手数ですが文章自体を削除してください。アカウントのIDはXXXXX、パスワードは########。報酬になるかはわかりませんが、2005年12月8日は朝9時から株式市場の取引画面を安値順で開いて張り付いていることをお勧めします。

 

 

 

 

 Side:『死神』リューク

 

 太陽が山に落ち、人々が各々の帰路を行き交う夕方の住宅街、その狭い道路の真上。この世に存在するすべての物質から長く伸びゆく影、その物理法則から唯一解放されている”死神”リュークが、影もなくぽつねんとある家の前に浮いている。 

 

「へえ〜良い家じゃないか、大きくて」

 

 リュークの足元の人間たちは、その誰も死神に気づかない。当のリュークも別に彼らに興味を払っているわけではない。

 

(さて、デスノートはどうやらここにあるみたいだが)

 

 さてさて、とさながら料理をお味はどうかな、と期待するおっさんのように両手を合わせて擦りながらリュークは壁を抜け、家の2階にあっさり侵入。

 部屋の中では、勉強机の前で椅子に座っている学生が1人、デスノートを両手で握り、ため息を吐いている。リュークはその様子を見て内心で舌打ちをしたつもりだったが思わず音として出してしまい、その学生の注意を引いてしまった。

 

「ちっ、その様子だと使ってねえみてえだな」

「えっ……うわあ〜〜っ!」

 

 学生はリュークの姿を認めると化け物をみたとばかりに(ちょっと傷つく)腰を抜かし、床に体を投げ出すようにして驚いた。

 その様子を見たリュークは益々失望を深める。

 人が人を殺したとなれば通常、罪悪感と嫌悪感に押し潰される。まず正常ではいられない。

 例え道徳のネジが外れた人間であっても、人知を超えた力で殺人が成されたのちに死神が現れた、となれば理屈としての因果応報を心のどこかで納得するものだ。

 そういう人として論理的な心の動きがあってしかるべきところ、目の前の男の所作からは後ろ暗さというものを全く感じ取れない。

 この純粋に不審者が入ってきて何かされそうで怖いです、と言わんばかりの恐怖から読み取れるのは”この男はノートを使用していない”という事実であった。

 

(あるいはそれすら導き出せないほどの馬鹿かも知れねえが……。ま、その時はなんとか誘導して遊ぶか、さっさと手放させるか)

 

 ひとまず状況を確認するためにリュークは男に話しかけた。

 

「まあ驚くのは無理もない。その(デス)ノートの落とし主、死神のリュークだ。その様子だとノートが本物かどうか疑って、『万が一本物だったら』と思って使ってない口だな?」

 

 とりあえず言葉が通じることを意識させ、男が落ち着くのをリュークは5分くらい待ってみるつもりであった。

 しかし、男は一通り驚いた後、まるで何事もなかったかのように立ち直り息も荒く「驚いてないよリューク」とまで言って見せた。

 リュークは『いやメチャクチャ驚いてただろ』という台詞が喉まで出掛かったがこれを飲み込んだ。

 求めてるのはこういう面白さじゃねえんだよな。

 一応、存外肝が太いのかもしれないと男への評価をちょっとだけ引き上げておく。

 男は息を整え、椅子を支えにして立ち上がると、リュークをまっすぐに見据えて言った。

 

「驚いてないよリューク……、いや……待っていたよリューク」

「ほう!(そんな2回言わなくても)」

「僕は『死神のノート』を半ば疑っていたがーー、この状況、不本意だが流石に信じよう」

 

 男はデスノートを両手で開き、リュークの眼前に突き出した。それを見たリュークはおや、と無い片眉を上げる。

 そこにはリュークの予想に反して音原田九郎という人間の名前が殴り書きながらしっかりと書かれていたからだ。

 さらに、死に至る状況から実際の死因までが時間指定含めきっちりと書かれている点は、明らかに悪ふざけで一回使ってみましたとか、その逆に

 使いすぎで命の価値を測りかねるようになり、ノートの”仕様”を確かめるために適当にルールに沿って軽く一人殺してみたという風ではない。

 

(この名前が書かれた男、こいつの両親の仇か何かか? しかし不自然だ……、ならば何故こいつはこんなにも動揺していない?)

 

 明らかにデスノートのルールを読み込み、確固たる殺意を持って名前を書いているとしか思えない文章なのに。

 リュークはこのアンバランスさに困惑し、改めて男の風体を確認する。長身に甘いマスク。ちょっと緩めたネクタイにシワのない薄茶色のブレザー。

 家の作りひとつとっても金銭的に裕福な暮らしをしているのは間違いない。これなら両親は揃っているし、なにか挫折を抱えてもいなさそうだ。

 

「この家床暖?」

「浮いてるくせになんだ急に」

「いや気になったから……」

 

 恵まれた人間は歪みにくい──、というところまでリュークの考えが及んだかはわからないが、とにかく来歴としても一見して冗談でもデスノートに名前を書いてやろうとするタイプではなさそうだ。

 そこを踏まえ、この男を上から下まで観察するがリュークの利かない鼻では腐臭死臭の類を嗅ぎ取ることはできなかった。

 

(いや……なんか変な違和感を感じるような気はするが……)

 

 こういうときは本人に直接聞くしかない。とはいえまっすぐは聞かないようにリュークは鎌掛けから入ることにした。

 

「他人を殺してその落ち着き、お前結構図太いんだな」

「僕は殺していない!!」

「うおっ」

 

 こいつ煽り弱っ。ぶっちゃけ面白かったとリュークは思ったけど武士の情けで何も言わないことにした。男は勉強机を骨を折らんばかりに拳骨で叩いて身の潔白を主張し、痛かったのか叩いた方の左手をちょっと見た。

 そして。そのまま視線が彼の背後の壁と一体になった収納へと飛び、

 

「…………僕は、だが」

「え?」

 

 と小声で呟いた。

 おいおい嘘だろリュークは男に目を向けると、男はため息をひとつ吐いて頷き、

 

「おい!死神が来たぞ!さっさと出て来い!というか洋服ダンスに外から来た服で入らないでもらえるか?」

 

 と声をかけた。

 

 ちょっとすると収納の扉がガタガタと震え、それにあわせてくぐもった笑い声が聞こえ始める。男の声だ。

 

 「おいおい嘘だろ?」

 

 俄然、扉の向こうに興味が出てワクワクとした気持ちが口角に現れる。つまり、こいつらチームアップしてるってことか?そりゃ不可能ってもんだろ!

 デスノートは顔と名前を知っている人間なら誰でも殺せる。つまり、コンビでも組織でも考えるまでもなくお互いが殺せる状態に置かれる。

 

「早く出て来いよ、デスノートのこと分かってんだったら死神(おれ)が怖いってわけじゃねえんだろ?」

「怖い?ふ、ふふふふ……怖い!?あはあーっはっはっは!

 

 そうしてるうちに扉を開けようとする音と笑い声はどんどん大きくなっていく。

 

あーっはわーはっはっはははははぁ!

「テンション高いな」

はーっははははぁ……この収納内側からどうやって開けんの?」

「こいつ……」

 

 学生が握った拳に青筋を立てながら仕方なくといった感じで、収納の蛇腹な扉を乱暴に開く。

 

「痛っそんなガンッてやんなくても良くない?」

「会って一週間も経ってない人間を部屋にあげて何をしてるんだ僕は……」

 

 扉の向こうには学生と同年代くらいの肌が焼けた、長身短髪の男がポーズをとって立っていた。何故か顔を白塗りしており、髪は王冠のようにトゲトゲにワックスをしている。

 

「お前を蝋人形にしてやろうか!」

「それは悪魔だろ」

「……」

 

 渾身のボケをすかされ、ちょっと恥ずかしそうにポーズを維持している男の目の前で、リュークは指を左右に振る。

 人間は動くものをどうしても追ってしまう。この男も悪魔という割に眼球が反射的に指を追う。

 

(成程、こっちがノートを拾った本当の相手というわけだ)

 

 求めてるのはこういう面白さじゃねえんだよな。ちょっと萎えているリュークをよそに、

 男はその後も頑張って小笑いが取れないかポーズで頑張っていたが、やがて咳払いをひとつしてからリュークに向かって普通に話しかけてきた。

 

「すまん死神。先に業務連絡だけさせてくれ」

「なんだ?」

「目の取引をしたい。できるか?」

 

 それを聞いたリュークの口角が上がった。

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