焼き尽くされる世界   作:流れ人

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コロナになったので初投稿です。


蜂起

「⋯マジかよ」

 

準備の為に旧アカネイアを奔走していたアギード。

彼は驚くべき話を知人から聞くこととなる。

 

 

アリティアの王子マルスの生存、そしてアリティア解放の為にタリス王国で兵を挙げた。との事であった。

 

 

それ自体は驚くべき事ではあるが、遠く辺境の地であるタリスでの出来事。旧アカネイアにいる彼にとっては驚き以上の影響は無かった。

 

 

 

⋯無かった筈なのだ。

その後届いた

マルス王子率いるアリティア軍が、オレルアンにて窮地にあったオレルアン公弟ハーディンと共にオレルアンを奪還。ニーナ王女を奉じて反ドルーアの旗色を鮮明にするまでは

 

 

 

これにより、旧アカネイアにおいて一部の旧アカネイア騎士団やアカネイア貴族において、反ドルーアの勢いが強まってしまう。

 

兵を起こすとなれば、武器や行軍するには食糧も必要。

 

 

しかし、騎士団は崩壊しアカネイアもまた滅んでいる現状、挙兵するにも足らぬものが多すぎた。

その為、アカネイア貴族達はどうにかしてこれを用意する必要がある。そこで、旧アカネイアにおいて武器の調達に躍起になっていたアギードを始めとした商人達に話が舞い込んだ。

 

 

此処で顔や恩を売っておけば、アカネイアが再興した暁には己の立場を確保するに役立つ。

そう商人の多くは思い、挙って武器や食糧を彼等に提供。⋯だが、商人の大部分が元々そこまでの原資や人脈(コネ)を持っておらず一人で用意出来る数もたかが知れていた。

 

故にこれを奇貨とする商人達はその数を増やす事により解放軍(・・・)の後方を支えんとしたのである。

無論商人の数が増えるのは後々の事を考えれば好ましくはない。ないが、あくまでも『自分達は解放軍の支援を最初に主張し、他の商人達を加えた』といえ事実(建前)を以て後に訪れるであろう勢力争いにも勝ち得ると考えた。

 

 

それと共に解放軍や解放軍の支援を鮮明とした商人達には危惧すべき事があったので、そればかりに拘泥していられない。という何ともアギードからすれば本末転倒な事になりつつあった訳だが。

 

 

⋯そう、ニーナ王女を奉じてアカネイア再興をせんとするマルス王子達の存在だった。

アカネイア貴族の考え方としては、あくまでもアリティアなどアカネイアからすれば取るに足らない国に過ぎず、それはオレルアンとてさして変わらない。

にも関わらず、ニーナ王女(あの小娘)は自分達よりもそちらを選んだ。

 

更に忌々しい事に伝え聞く話によれば、アカネイアの至宝たるファイアーエムブレムをマルス王子に託したとも。

 

 

 

仮にこれで彼等アカネイア貴族や崩壊したとは言え、生き残りのいるアカネイア騎士団が動かぬ。となれば、まず間違いなくマルス王子やハーディンが自分達よりも重用されてしまうだろう。

 

オレルアンはまだ許容しよう。

が、アリティアの王子であるマルスをアカネイアの中枢に入れるとなれば間違いなくドルーア打倒よりもアリティアの解放を優先するだろう。

アリティアの解放自体は認めなくもないが、現在のアリティアがドルーアの占領下にある。それを元に戻すとなれば辺境のタリスが支援したとて、足りる筈もない。

物資的にも、人足的にも、だ。

 

となれば、アリティアが頼れるのはアカネイアとなろう。

何せアカネイアを再興した立役者であるマルス王子の要請を跳ね除けるには余りにも功績が大き過ぎる。

 

 

さりとて、ではニーナ王女の王配としてマルス王子を迎えたいか?と聞かれたならば、一様に顔を下げて顰めるだろう。

 

故にこそ、アカネイア再興の為にも、後々の為にも座して見ている訳にはいかなかったと言える。

 

 

此処までがアカネイア貴族などの考え。

 

 

 

 

商人達としては、マルス王子に帯同している可能性のある商人。これに神経を尖らせていた。

話によれば、あのデビルマウンテンを越えてきたとの事。

 

流石にそれに同道する商人は居ないとは思うが、オレルアンからの道程なら現実性はあろう。ニーナ王女というこれ以上ない旗印をアリティア軍は手に入れたのだ。

更にマルス王子達にとっての祖国であるアリティア解放。その為には必ずドルーアとの戦いとなるのは必定。

ならば、戦力的にも不安のあるアリティア軍がアカネイア再興を掲げて戦力の増強を図ろうとするのは問題にならぬ。

 

 

ならばマルス王子達アリティア軍に積極的に協力する事により、結果としてアカネイア再興にも貢献出来る。

そうオレルアンやその近郊の商人が考えたとて不思議でもなし。

 

その場合、旧アカネイアにおいて武器や食糧を集めている商人達。彼等はどうしてもアリティア軍に同道している商人よりも心証が良くなるとは思い難い。

 

 

つまるところ、今回の解放軍結成はアカネイア付近で活動する商人達にとっても賭けなのだ。

仮に解放軍が敗北したとしても、解放軍に協力した事実は残る。

 

そういう事だった。

因みに全くもって度し難い事であるが、実は解放軍上層部(アカネイア貴族)も同じ考えであり、『勝てば最善、負けても最良』という話。

 

 

あくまでも敬愛すべきニーナ王女がドルーアとの対決姿勢を鮮明にした事により、臣下たる自分達はそれに呼応。

しかし、武運拙く敗北した。

 

その様な筋書きの元の行動。

加えて、ニーナ王女による新体制。その中で旧アカネイア騎士団関係者が余計な発言力(・・・・・・)を持たぬ為のものでもある。

 

 

 

___

 

 

アギードも友人に誘われた。

曰く

 

「アカネイアで成り上がるまたとないチャンスだ」

 

 

アギードもそれなりに場数を踏んでいる商人だ。

利益を得る為には多少の危険性(リスク)を許容せねばならないのは理解している。

が、今回の事についてアギードは余りにも場当たり的なものにしか見えなかった。

 

解放軍とやらが何を考えているのかは定かではないが、明らかに早く動きすぎている。

少なくともアギードの把握している限りにおいて、混乱も見られている事から、事前に綿密な打ち合わせなどがあったとは思えない。

 

 

蜘蛛の糸、どころか泥舟にしかアギードには思えなかったのだ。

⋯とは言え、商人とは繋がりがなければやっていけない。特に情報共有は商売をする上では欠かせないものであり、その情報の精度を高める為には複数の情報源を持たねばならぬとアギードは心掛けている。

 

此処でアギードがこの流れを無視してしまうと碌でもない事になりかねなかった。

解放軍が勝利するならばさしたる問題にはなるまい。

アギードは己の考えが間違っていた、そう頭を下げ詫びればよいだけ。

が、仮に敗北した時が問題となる。

何せ他の商人達が挙って解放軍に賭けたと言うのに、アギードはそれに乗らなかった。

 

アギードに状況を見る目があった。

などと素直に考えるのは危険だ。人とは利益は独占したいが、損失は分かち合いたい。そんな身勝手なところがあるのだから。

 

 

故にこうなる恐れがある。

 

「アギードは自分だけ助かった」

 

 

こうなるとアカネイアでの商売どころか、商人としてやっていくのさえも危うくなる。

その為、

 

「俺も幾らかは出せる」

 

そう応える他になかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タリスよりマルス王子率いるアリティア軍はオレルアンに至る。

オレルアンにてニーナ王女を守っていたオレルアン公弟ハーディンの騎士団と合流。オレルアンに攻め寄せていたマケドニア軍を撃破、オレルアン全土を取り戻した。

マルス王子はニーナ王女に謁見し、アカネイア復興とドルーア討伐を願われ、ニーナ王女よりファイアーエムブレムを与えられる。

 

 

歴史は動き出した。




続きは未定。
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