焼き尽くされる世界   作:流れ人

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書いてみて思ったのが、これ敵サイドメインにならない?
と首を捻ったので再投稿です。


転換期(終わりの始まり)

アカネイア解放軍、敗走。

 

 

それはある意味では予想されたものであった。

何せ準備不足からの挙兵であり、聞くところによると部隊間の連携さえ覚束なかったとの話もあるぐらいだ。

 

 

「せめて、隊長が居てくれたならば」

 

との声もパレス近くの町では聞こえてくる。

更に解放軍を主導していたアカネイア貴族は敗死。何でも殿を引き受け、名誉の戦死を遂げたとか何とか。

 

いやぁ、マトモな貴族からゴロゴロ死んでいきますねぇ、ホント。

⋯いや、アカネイアにマトモな貴族なんて居たのだろうか?

 

 

町の中で囁かれているそんな話を聞いてアギードは内心首を傾げる。勿論口にも態度にも出さないが。

 

 

そもそも聖騎士(パラディン)を始めとした所謂上級職とは一定の練度に達する者にしか与えられない。と一般には言われている。

 

が、それはある意味で間違っている事をアギードは知っている。

 

 

 

騎士、ソシアルナイトが聖騎士すなわちパラディンになる際に必要とされる騎士勲章。

これは『国家に属する場合、国王から授与されるもの』であり、武功に応じて与えられる褒章の側面を持つ。

 

が、嘆かわしい事にそれが正しく機能していないのがこの大陸の状況ともいえる。

 

 

騎士とはある程度社会的地位のある職務であり、それ故に血縁などが物を言う部分がある。実力主義、では決してないのだ。

従って侯爵などの有力者の子息、約一名子女などが騎士となるのは容易だが、平民から騎士となるのはアリティアやオレルアンにグルニアくらいのものと耳にした事がある。

 

 

その為、アカネイア騎士団の練度はグラにこそ量で勝てるものの質の上では先の三国には到底及ばない。

と言うよりも、アカネイアは長き平和の中で実働する機会がなかったが故に緩やかに腐っていったのではないか?とすらアギードには思えてならないのだ。

 

にも関わらず、その自尊心(プライド)だけは他国のそれを遥かに凌駕する。

一部の心有る稀有な騎士や貴族も先の解放軍でほぼ死んでいるとの事。

 

 

どうやら此処までの大敗を予想していなかったらしく、商人達の中でも目を覆わんばかりの醜い争いが起きている。

⋯無理もないだろう。何せ自分の出世の為に無理をしてまで解放軍に武器を提供した者もいるくらいだ。

 

アギードはあくまでも『損する可能性』を理解した上で物資を提供したので、痛くないとは言わないが何とか出来る程度の被害で終わらせていた。

 

 

 

問題は解放軍を撃退したパレスにいるドルーア軍がどの様な行動に出るか?なのだが、失ったものが余りにも多過ぎてそこに考えが至らないらしい。

 

アカネイアが事実上崩壊して数年経つが、アカネイアは勿論他国においても軍事拠点への攻撃は目立つが町などへの攻撃は驚く程に見られない。

戦争において、乱暴狼藉、略奪行為などままあるだろうに。

 

 

これはグルニアやマケドニアの方針でもあるのだろうが、ドルーアの無関心さもあると考える。

が、今回の件でその前提を解放軍は壊してしまったのではないだろうか?

その考えに行き着いた時、アギードの背筋に冷たいものが確かに走った。

 

 

 

 

___

 

 

 

オレルアンにおけるマケドニア軍の敗北。そして根絶やしにした筈のアカネイア王族(ニーナ王女)の生存。

 

これをドルーアは重く受け止めた。

何せパレス攻撃は徹底して行われ、捕らえたアカネイアの兵の身分の確認は行なわれた。少なくとも、ドルーアにはそう伝えられているのだから、先のパレス付近での大規模な掃討戦も含め、ドルーアはマケドニアとグルニア二対して厳しい視線を向ける事となる。

 

 

パレスやその付近は今でこそドルーア軍が駐留しているが、その前はグルニア騎士団であった。

加えて、マケドニアによるドラゴン、ペガサスナイトによる索敵も行われていた筈である。これはマケドニア王女ミネルバの担当となっていたとドルーアに告げられていた。

 

 

 

故に、ドルーアの使者は両国に赴き、事の仔細を改めて告げる様に迫ったのである。

 

 

マケドニア国王ミシェイルはマケドニアによる索敵の不徹底を認めざるを得ず、結果としてマケドニア第二王女マリア。彼女をドルーア側に人質として差し出さねばならなくなった。

勿論、ミシェイルとしては不本意の極みではあったのだが、少なくともドルーアがパレス付近に潜伏していた旧アカネイア軍を掃討した。それを事実として認めざるを得なかった。

 

確かにマケドニアとドルーアは形式上同盟国ではあるが、仮にドルーアがマケドニアを攻めるとなれば勝てる見込みは薄い。

その上、強靭な肉体を持つマムクートを多数擁するドルーア相手となると主力たるドラゴンナイトとて通じるか怪しい。火力で劣るペガサスナイトとなれば言うまでもないだろう。

 

 

それでも開戦当初はドルーア側も多少の温情を示し、マリア王女を人質とする事をしなかったのだ。⋯やむを得ない話である。

 

 

 

 

 

マリア王女を差し出し、一応の問題の解決を見たマケドニア。しかし、マケドニアと異なりグルニアに対する対処は冷淡なものであった。

 

ドルーアの使者ガーネフは念の為に(形式上)ニーナ王女についてグルニア側に問い質した。

 

 

ニーナ王女について、ある程度調べはつけている。

王女であり、武技の心得もない小娘ともいえるニーナが単身でアカネイアから逃れるのは不可能。

 

その前に山賊なり奴隷商なりに捕まるのが関の山だ。

しかも、不自然な程にニーナ王女がオレルアンに到着するまでの間の期間がある。数日程度ではない。年単位で、だ。

 

 

ガーネフは確かにグルニアに説明を求めてはいる。

しかし、既にガーネフやドルーア皇帝メディウスはグルニアを『信用ならぬもの』と見做していた。

ドルーアも手をこまねいていた訳ではなく、一部の商人などから民の間で噂されている事も調べている。

 

元々、前王を廃して国王になりドルーアとの同盟にすぐ動いたマケドニアと違い、グルニアは未だにドルーアに対して積極的に行動していると思えないからだ。

 

 

(まぁ、今はよかろう。

⋯今()、な。)

 

グルニアの釈明とも言えぬ話を聞きながら、ガーネフは冷笑を噛み殺している。

 

マケドニアのミネルバ王女。

彼女もまたドルーアやドルーアに与しているマケドニア。そして国王であり、自身の兄たるミシェイルに不満を抱いていると言う。

 

 

アリティアのマルス王子とやらは、例え賊であろうとも自軍に加えていると聞き及んでいる。

マケドニアのミシェイル王の苦渋の決断とも言えるマリア王女を人質として差し出す行為。

 

まず間違いなく聞き及ぶ人柄ならば、不満を抱くだろう。

そして、既にアリティアはグルニア軍の駐屯しているワーレン付近に兵を出した。

 

(⋯さて、堪えられるか?)

 

実の妹が人質となり、それを助ける好機となるアリティア軍が近くにまで進軍している。

となれば、それに一筋の光明を見出さずにいられようか?

 

 

 

それが結果として、自らのみならず祖国すらも滅ぼす事になるとしても。

 

 

 

誰も好んで嫌われようとはすまい。憎まれたいと考えまいて。

が、時に苦いものを飲み込まねばならない。

 

 

絶対的な強者でないならば、己の筋を曲げるのもまた必要。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我等は永き時を耐え忍んだ。そして、憎むべき者達は堕落し隙を見せた。

ならば、我等はそれを喰らうのみよ」

 

 

闇の中で鈍く牙が光る。

復讐と時は近い。

 

 

 

 

 

 




そろそろ原作キャラを動かしたい。
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