焼き尽くされる世界   作:流れ人

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時系列的には前話と同じくらいなので、初投稿です。


衝撃(異なる世界)

様々な事情により未だパレスから離れられないマルス達アリティア軍。

 

オレルアン公弟ハーディンも遅々として進まない話に辟易し、彼の部下の騎士達はそんなアカネイアの貴族や騎士に対して口にこそ出さなかったが、不満を高めていた。

 

 

 

 

そもそも、オレルアン以降の戦闘において自分達がグルニアやマケドニア。そしてドルーア軍に対して勝利し続けられたのは、無論軍を纏めているマルス王子の手腕もあるだろう。しかし、それ以上に敵側の不意を付けたからと思っている。

 

一番危険な状況となったオレルアンを離れて向かったワーレン付近での激戦。

それは出会ったマムクートであるバヌトゥの存在がとてつもなく大きかった。

彼の地に駐留していたグルニア軍の戦力は当時の自分達の戦力では到底対抗出来るものではない。⋯それは他ならぬハーディンはその配下の騎士達が痛感している。

 

その後ディール要塞を攻略した時とて、現地のマケドニア軍の指揮官であるミネルバ王女が迷っていなければアカネイア解放など出来なかった事も。

パレスを解放出来たのとて、グルニアの主戦力足る黒騎士団やマケドニアの竜騎士団が来援していれば、勝ち目はなかった。

 

 

だからこそ、ハーディンからすればドルーアを倒すとなればドルーア本国に此方の動きが伝わり、マケドニアやグルニアが本格的に戦力を動かすまでに各地の敵軍を各個撃破するしか無い。と思い定めていた。

勿論、最もアカネイア解放に尽力したマルス王子の故郷アリティアの解放は速やかに行なうべきとも。

 

 

が、ハーディン達は理解していなかった。

彼等の考え方は騎士の考え方であり、

 

 

それが必ずしも正しいとは限らない事を。

 

 

 

 

___

 

 

 

「⋯ジェイガン。私はいつまでアカネイアに留まらなければならないのだろうか?」

 

「⋯⋯そう、ですな。正直に申しますと、私もこのままアカネイアに留まるのは良いと思えません。

勿論、アカネイアとしては戦力の再編が終わるまで我等を留める意味も理解出来ぬ訳ではないのですが」

 

 

ハーディン達がアカネイアのやり方をどうにかせねばならぬと歯噛みしていた頃、マルス達もまたどうしようもない状況に疲れすら感じていた。

 

マルスとしても、現在ドルーア側に対する優位はギリギリのところである事は自覚している。その為、ディール要塞にて仲間に加わってくれたマケドニアのミネルバ、マリア両王女と共にアリティアを解放。

先ず祖国アリティアの民を安んずべきと判断。これはハーディンも賛意を示していたし、ミネルバ王女もまた複雑な表情ではあったが理解してくれている。

 

叶うならばアカネイアの支援を求める事も視野に入れてはいたが、パレスに最も近いアカネイア最大の街の状況を見て難しいとみた。

であれば、アカネイアの商人にも多少の伝のあるアンナを頼り、物資の補給に目処がつき次第動くべき。その認識をアリティア軍内で共有している。

パレス攻略前にはニーナ王女にもマルスの口から伝えているのだが。

 

 

 

しかし、現実としてパレスを解放してそれなりに経つにも関わらず、未だアカネイアはマルス達を離そうとしなかった。

 

尤も補給を担当するアンナが戻らぬ以上、動きようもない。

 

 

「⋯何もしない訳にはいかない。

でも、アカネイアに協力すればする程」

 

マルスは言い淀む。

自身の主君の憂いを秘めたそれを見てジェイガンは己の不甲斐なさに自責の念を感じながらも、必死に圧し殺した。

 

ジェイガンはアリティア騎士をまとめる立場ではあるが、他国の貴族と話し合いが出来るだけの立場にはない。

マルスの懸念は理解している。何せ、再編途上のアカネイア軍に貢献すればする程に、アリティア軍は身動きが取れなくなる。

 

___

 

 

確かにマルス達は便宜上アリティア軍と称しているが、その実アリティアの人間の比率はごく僅か。その上確固たる根拠地もなく、補給とて民からのものや各地の宝箱。其れ等から齎される資金を元手に行商人アンナを通じて各地の商人から武器や食糧などを購入していた。

 

 

⋯今まで()

 

 

 

オレルアンではオレルアン公や騎士ハーディンの好意から幾らかの資金と食糧を。更にオレルアンで活動していた行商人アンナが同行を願い出ている。

 

港町ワーレンは町で護衛の傭兵を雇い、尚且つ闘技場を開くだけの事もあり、物資の購入には然程問題とならなかった。

 

しかし、その後武器こそ購入する事は出来たものの、食糧についての補給は精々ディール要塞にて手に入ったものくらい。

パレス付近の町(大陸屈指の都市)なれば補給は叶うだろう。そう思っていたものの、それは叶わなかった。

 

 

結果として、マルス達アリティア軍は少しずつ。⋯だが確実に窮地に追いやられている。

ニーナ王女はアカネイアさえ取り戻せば諸々の問題はどうにか出来る、としていたが。

 

 

 

 

___

 

 

 

 

「困った事よ」

 

「まさか、領民どもが徴収を受け入れぬとは」

 

パレスの一室では居並ぶ者達が表情を歪めていた。

少し前にアカネイア全土に出した『アカネイア再建の為の徴収』

 

これが驚く程に民衆から受け入れられなかったのだ。

この理由の一つには『ドルーア討伐の為』即ち、アリティア軍の為のもの。とまでしていたのだが。

 

 

よりにもよってパレスにもっとも近い町ですら町のまとめ役から

 

「⋯⋯それは受け入れかねます。

皆様はご存じないのやも知れませんが、マルス王子等によってパレスが解放される前に解放軍という組織が決起しました。

それを支援する為に残り少ない備蓄すら出しましたので」

 

と詰問の為に出した使者にはっきりと告げられたのだから。

 

 

「我等も必死に耐えておるというに」

 

「⋯しかしどうする?

まさか兵を出す訳にもいくまいて」

 

町衆に拒否されるという大凡彼等からすれば最大級の侮辱を受けて怒りに顔を歪める者。それに対して今後の事を真剣に考える者。

その場は三者三様の様相を見せていた。

 

 

 

 

 

因みにアカネイア貴族の必死に耐える事とアカネイアの民が必死に耐える。

言葉こそ同じではあるが、その実情はまるで異なる。

 

前者は贅沢を控える事。

後者は生命の危機に怯えながら日々を過ごす事。

 

 

その認識の差こそが大国であったアカネイアの歪みとも言える。

 

 

 

 

 

___

 

 

 

「なんだよ、それは」

 

ある村で怒りの余り震えを抑えきれない若者がいた。

 

 

 

ニーナ王女の名の下に出された布告。それは貴族達にとっても好ましいものであった為に、遅参した彼等は自身の配下の騎士を動員してアカネイア全土へ通達すべく動き出した。

ある意味では正しくもあろう。

 

仮にドルーアがアカネイアの再興を聞きつければ、その息の根を止めんと兵を差し向けてくる事は有り得るのだから。

大陸一の大国であったアカネイアに相応しいアカネイア騎士団。それは既にその影もなく、アカネイアの建国王たるアドラ1世の代より伝わる『3つの神器』もまた1つを除き失われた。

 

故に貴族達はアカネイアという国家の威信を取り戻さんと、速やかな戦力再編を望む。⋯そして、彼等貴族はドルーアに敗北する前のアカネイア。つまり大陸一の大国であるアカネイアの姿を取り戻さんとしたのだ。

 

荒れ果てた地や領民の心、生活など一顧だにせず。

 

 

 

若者は家族を、そして村の仲間達を山賊により殺され、村すらも失い、それでも生きていた。

 

(ふざけるな)

 

 

若者は自分を受け入れてくれた村に恩がある。

そして、その村もまたこのままでは『間引き』をせねば立ち行かなくなるだろうところまで追い詰められつつあった。

 

賊に怯え、

獣に怯え、

明日にすら怯えている。

 

 

そんな状況で、あいつら(・・・・)は更に奪おうと言うのか。

 

 

若者はその日、村長に話をして村を出た。

 

帰る場所が無くなると知りながら。




個人的には、FEの村と賊のシステムは聖戦の系譜のシステムの方が良い様な気がしている。

一度で村が滅ぶのではなく、少しずつ山賊により村が破壊される方が、ね?(透き通った瞳)







感想や評価ありがとうございます。
入院中とは言え、執筆のモチベーションとなっておりますので。


原作キャラがあまり活躍してないのはどうかなぁ?と思いながらも完結まで頑張ります。
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