焼き尽くされる世界   作:流れ人

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いよいよダークサイドなので初投稿です。




本作では所々にオリジナル要素が混入します。
あしからずご了承下さい。


燎原大火(全て燃え尽きるべし)

一度滅んだものを再生させるのは桁外れた労力と努力が必要となる。

特に国家やそれに付随する組織ともなれば、尚の事。

 

 

 

アカネイアはニーナ王女の元に再興された。

彼女の下にはアカネイア貴族や騎士、或いは元騎士等が集いアカネイア王国の再建は速やかに進む。

 

⋯かに見えた。

 

 

しかし生き残った貴族と言えば聞こえは良いが、その殆どはドルーアの暴虐に対して無抵抗、非介入を決め込み挙句自分達の生活だけは守りきった者達。

更に騎士の多くもその貴族を守っていた者であり、ごく少数の者はニーナ王女の帰還を待ち続けていた者であった。

 

 

彼等の常識ならばそれで良いのだろうが、貴族にせよ騎士にせよ社会の中では少数派。

ましてや、貴族も騎士も自分自身では何も生み出さない。強いて言えば、社会秩序や治安の維持だろう。

 

反例として、解放軍と言うものがある以上は彼等に対する民衆の視線は決して好意的ではなかった。

⋯まぁ解放軍とて、かなり政治的な事情で作られたものであるのだが、建前は立派なものであった。その為大衆がそれを知る事は終ぞ無かったのである。

 

 

 

パレスがマルス達アリティア軍により解放され、ニーナ王女を頂点としたアカネイア王国の再興。

当初それを伝え聞いた民衆は安堵のため息をもらした。

 

「これでやっと平和になる(苦しくない生活が出来る)

 

 

実際には安定するどころか、更なる混乱へ導かれるとも知らずに

 

 

 

 

 

___

 

 

 

アカネイア王国再建の為の徴収。

それは生命すら削りながらも生きていた多くのアカネイアの民にとっては到底受け入れられない話だった。

 

 

アカネイア最大の都市ですらも、徴収に公然と反発する時点でそれ以下の規模や流通手段しか持たない町村がどの様な状況であったかなど、察するのは容易であろう。

 

この様な状況下でも利益をあげているノルダの奴隷商とて、実のところ追い詰められていた。

 

 

アカネイアは貨幣経済である。

貨幣経済とは貨幣の信用もさる事ながら、その貨幣でものを買える事が肝要。

 

しかし、何度も繰り返している通り現在のアカネイアは慢性的な物資不足に陥っている。

結果、ものを売った対価として貨幣を受け取ったとしても、その貨幣で買う物が存在しない。という事態になってしまった。

 

奴隷商もその例にもれず、財産は築けていても、ものを買えるルートがなくなってしまい、結果として商品でもある奴隷の扱いに頭を悩ませる事となる。

 

 

そんな中、奴隷商はある話を耳にした。

子供であれば引き受けても良い。という話を

 

更に対価はアカネイアにおいて希少となりつつある食料。

奴隷商はそれを奇貨として受け取り、子供の奴隷。と言っても殆どが少女だったが。

其れ等を引き渡すべく動き出す。

 

 

その食料の出など、奴隷商にとって考慮するにも値しなかった。

 

 

 

 

 

___

 

 

 

 

「⋯それは本当か?」

 

「へい。あの(・・)サムシアンやガルダの海賊が討伐されたって、町じゃあ浮かれてやがりました」

 

此処はとある所にある洞窟の奥。

その最奥に獣の皮に座り込む大柄の男とその男に報告する者。

そして、その近くで黙り込む男達がいた。

 

身なりは決してお世辞にも良いものとは言えず、壁には斧や弓が立てかけられている。

 

 

「⋯あっちはどうだ?」

 

「動くとしても間に合わねぇと」

 

その言葉に大柄の男はその表情を喜悦に歪めると

 

「なら大丈夫だな。

テメェら準備しろ!デカい顔をしていた奴らが居なくなったんだ。狩りの時間だ

 

そう愉しそうに声をかけ、男達は歓声をあげた。

 

 

 

___

 

 

 

ガルダ。

それは島国であるタリス王国から旗揚げしたマルス達が初めて確固たる戦果を挙げた地であり、海賊や山賊の被害に苦しめられていた地。

 

 

マルス達はガルダの海賊と近くにある悪魔の山ことデビルマウンテンに巣食う凶悪無比の山賊集団、サムシアンを倒し、そして山を越えてオレルアンへと向かった。

 

さて、ガルダの海賊とサムシアンは周辺に聞こえた凶悪な集団。山賊や海賊と言った集団にもある程度の秩序はある。

それが『縄張り』

 

 

彼等賊とて、無思慮に暴れ回る訳にはいかない。それは周辺の国家や組織を刺激し、己の破滅を招きかねないからだ。

 

彼等の理想は無抵抗の村や商人などを襲い、様々なものを奪い去る事であり、間違っても正規軍や傭兵と戦って勝つ事ではない。

山賊や海賊、或いは盗賊集団が壊滅させられたとして、その地の治安が回復するだろうか?と聞かれれば是であり、否でもある。

 

一時的な治安は回復するだろうが、その地を護るだけの戦力や抑止力があるからこそ、賊徒はその地を諦めるのだ。

正規軍同士の激突に乗じて村落を襲おうと言う程度には、強かな彼等。

 

 

タリスにとってガルダは海を隔てた地。しかも、造船、操船技術が確かな水準と言えないこの時代。

海を渡るだけでも命懸けなのだ。

 

 

結果として、ガルダの港町は戦力的空白地帯と化してしまい、ガルダを解放し、悪名高いサムシアンをも倒したマルス達。マルス達がアカネイアの再興を目指し、結果としてパレスを取り戻した事は大陸中に喧伝される。勿論、マルス達の成した功績も同時に広く大陸に知られる事となり、

 

 

ガルダを縄張りとしていたガルダの海賊と脅威であったサムシアンの壊滅もまた知られる事となった。

 

その地を狙わんとしていた山賊達にも。

 

 

 

 

___

 

 

 

「ククク、パレスを取り戻したか

⋯⋯だが、

だが、まだ若いのぅ」

 

パレス陥落の報を受けたドルーア帝国のガーネフ司祭は嗤った。

確かにパレス(アカネイアの象徴)を奪還し、各地のドルーア、マケドニア、グルニア軍を撃破。

破竹の勢いと言える状況ではあった。 

 

が、元よりガーネフはパレスの維持にそこまでの意義を感じておらず、寧ろこれで面倒事が片付く。とすら思っている程だ。

人とは絶望の中にあれば、希望という光に纏いたくなるもの。

 

 

 

アカネイアの王族ニーナの生存は想定外ではあったが、それをドルーア側は既に把握していた。

ドルーア皇帝メディウスは

 

「ニーナ?

⋯⋯アカネイア王女か。放っておけ

マケドニアにも伝えよ。程々に追い詰めろ、と」

 

ニーナがオレルアンに逃れた事を知らされた時、そう言ったのみ。

 

 

メディウスとしてはアカネイアの王族(忌々しい連中の末裔)を根絶やしにするのも重要だが、それと同じくらいに重要視している事がある。

アリティアの王族。その血族全ての抹殺だった。

 

 

アリティアの主力は潰し、アリティアも滅ぼした。

が、グラのジオル王によれば『アリティアの王子』の行方が知れぬとの事。

大陸中を虱潰しに探すのも難しい。

⋯となれば

 

そう、ニーナ(アカネイア王族唯一の生き残り)を敢えて殺させなかったのは、ドルーアに反発する者達(アカネイアにとっての光)を全て集め、纏めて潰す事だった。

 

そしてそれは揃った。

 

 

 

「さてさて、これからが本当の地獄じゃ」

 

ガーネフは嗤う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だお前は

 

何がアカネイア再建の為だ!もう遅いんだよ!

 

 

「⋯ミディア、すまない」

 

 

「お姉ちゃん。ミネルバ様」

 

 

「マルス。⋯⋯ごめんなさい」

 

 

 

さぁ、全てに火を点けよう。

凡てを焼き尽くす劫火を。

 

 

 

 

 




処刑って戦争では良くある事だと思うんです



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