神出鬼没な冒険者と仲間になるのは間違ってるのか   作:やりも

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初心者_ケツエン

 ステイタスを更新してから、我は神ウラノスからの依頼をこなしたり、茶屋の経営を行ったり、たまにオッタルと手合わせしたりと案外忙しい日々を過ごした。オッタルと手合わせをしているときにロキ・ファミリアが遠征に向かったて今は帰還している最中だと聞いたが。どこまで進めるかは知らないが、あの虫型のモンスターがロキ・ファミリアに伝わっているのかは不明だ。

 

 

「さて、我も仕事をするネ。」

 

 

 我は唐傘を差しながら再びオラリオの街を闊歩していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらく経った

 

 我が茶屋で煙管を吸っていると珍しく客人がやって来た。赤い瞳に白髪の少年、冒険者のようで腰には短剣を携えている。優しそうな雰囲気、この雰囲気を我は良く知っている。

 

 

「メ―テリア姐…?」

 

「えっ…。」

 

「いや、人違いネ。」

 

 

 我の知っているメ―テリア姐は女性だしましてや、もう亡くなっているとアルフィア姐から聞いている。

 

 

「あの、ここは…。」

 

「茶屋ヨ、オラリオで言うところのカフェアル。」

 

「カフェなんですかここ⁉」

 

「ここに来る奴ら全員カフェじゃねーだろって言ってくるがちゃんとメニューにはちゃんとカフェらしいものしか無いアル。」

 

「ほ、本当ですね…。」

 

 

 少年にメニューを渡すと中身を見て驚いている。そんなに趣味悪いか?オラリオじゃ見慣れないだけだろうし地元じゃ普通だったからな。

 

 

「まぁいいネ、予定が無いなら茶でもしばいていけアル。金が無いなら我がサービスしてあげるヨ。」

 

「えっ、いいんですか⁉」

 

「これでも現役時代の貯えがあるから気にするなヨ。」

 

「現役時代?」

 

「我、これでも冒険者ヨ。今は一線を退いているアル。茶屋は趣味ネ。」

 

「冒険者だったんですか⁉全然見えない!」

 

「拳で戦ってたネ。たまにダンジョンも潜るけど…。」

 

 

 少年は目を輝かせながら我を見てくる。そんなに珍しいか?

 

 

「あの!僕、最近冒険者になったんです!」

 

「新人かぁ、なら無理せず自分のペース進むヨ。もし、何かあれば我に聞いてくれればいいネ。」

 

「本当ですか⁉あ、さすがに何か頼みますね。」

 

「少年は何か苦手なものがあったりするヨ?それは避けながらおすすめするネ。」

 

「えっと、甘いものが苦手で…特にクリームたっぷりの物とかはちょっと…。」

 

「ほうほう、なら甘さ控えめのものを今から出してあげるアル。今日はちょーっと待つよろシ。」

 

 

 我はカウンターの下の戸棚からグラスを取り出して、また別の便からジュースと炭酸を取り出す。グラスには氷を入れて、先にジュースを入れてから後に炭酸水をいれてグラデーションを作り上げる。その上にカットしたレモンとストローを指して提供する。

 

 

「まずはレモンサイダーヨ。甘さ控えめのレモンジュースとしゅわしゅわの炭酸がマッチしてサッパリしてるネ。」

 

「炭酸…。」

 

「オラリオでも取り扱っているところは少ないアル。」

 

 

 少年がストローからレモンサイダーを飲み。すると口の中の刺激に驚いて一瞬驚いた顔をする。

 

 

「口の仲がピリピリします!」

 

「炭酸ってそういうものネ。ビールと同じ感じヨ。」

 

「えっ、アルコールは…?」

 

「入ってないから安心しろアル。」

 

「凄いですね…それに美味しいです!」

 

 

 少年が笑った顔を見ると、やはりあの人によく似ている。目の色もあのおバカにも似ているし…。

 

 

「あの…本当はちょっと騒ぎで追われてて、たまたまここの扉の看板に開店って書かれていたから入っちゃったんです…。」

 

「騒ぎネェ、別に我は気にしてないネ。それに、ここに来るのは物好きの冒険者くらいだからいつでも遊びに来るヨ。」

 

「あ、ありがとうございます!もう少しここにいてもいいですか?まだ外が騒がしくて…。」

 

「構わないネ。」

 

 

 我は少年としばらく話をする。基本的にはダンジョンの話で、少年がどんな冒険をしているのかを聞いた。聞くところによると1ヶ月でランクアップした【世界最速記録保持者(レコードホルダー)】らしい。我は表立ってギルドには入れないからそれは騒ぎになるなと思った。それと、冒険者の先輩としてモンスターの弱点やいい武器の見分け方、対人戦のちょっとしたコツなども教えてみた。

 

 ベルはとても素直でいい子で、危ういと思った。その優しさがいつか、破滅を呼ぶ危険性も感じてしまったのだ。

 

 

「そろそろ大丈夫でしょうか?」

 

「平気ヨ。心配なら屋根の上を移動すれば神の目からは避けられるネ。」

 

「分かりました!あ、お代は…。」

 

「サービスヨ、期待の新人への我からの先行投資的な感じネ。」

 

「ありがとうございます店主さん!」

 

 

 少年がドアの方に向かう。我はそういえばと思い、声をかけた。

 

 

「少年、名前と所属ファミリアを聞いてもいいかナ?」

 

「平気ですよ!僕はヘスティア・ファミリアのベル・クラネルと言います!」

 

「ベル…クラネル…。」

 

 

 我は思わずその名前を復唱した。ベルが去った後、我はカウンターの中で呆然とした後、途端に笑いが込み上げてきた。

 

 

「そうか、ベルか…!あの2人の息子!」

 

 

「随分と時間が経っていたから忘れていたがメ―テリア姐とあのおバカの子どもがいたんだ!」

 

 

「年齢も大体合ってる……そうか、ベル・クラネルかぁ。あの好々爺、我に何も言わなかったな⁉」

 

 

 我は狂ったように笑った。ここまで笑えたのは久しぶりだ。

 

 

「ベル……お前が最後の【英雄】になるのか。」

 

 

「楽しみだなぁ。」

 

 

 次、ここに来たら我が鍛えよう。あの2人の忘れ形見、我らの遺した小さな英雄。既にLv.2なら我を超すのもそう遠くない未来だろう。そのためなら我は踏み台となって彼を昇華させる。

 

 

「願わくば、数多の『英雄』が(ベル)の前に立ちはだからんことを。」

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