我はベルという存在を見つけれたことにとても感動した。好々爺は我に何も言わずにオラリオを去ったのはこのためだったのかと思った。
我はそれを知れた時、まずヘルメスに会いに行った。
「ヘルメス!」
「うぉ!流幽?また急だね。」
「お前、あの好々爺はまだ天界に送還されて無いよな?」
「ゼウスのことか…?それならまだ地上にいるはずだよ。だが君と会わせることは出来ない。」
「どうしてだ?」
「ゼウス本神から言われたからだ。」
まぁそこまでは予想通りだ。だが我の頼みたいことは別のことだ。
「好々爺に手紙を渡して欲しい。返事付きで。これくらいは許されるだろ、ちょっと聞きたいことと報告も兼ねてんだからな。」
「…最初からそれ目的だったのか。」
「会いたいけど父神の命には従う。」
「本当にあの爺さん第一だな。」
「好々爺に誘ってもらわなきゃ今の俺はここにいない。とっくに死んでたよ。」
我は取り出した手紙をヘルメスに渡す。本当は長々と書きたかったが長すぎて話の本質が分からなくなっては困るので聞きたいところだけ手紙に書いた。一応ベルのことについても書いてはいるが答えてくれるかは分からない。最も、これが本当に届くかも不明だ。
「とりあえず、それを渡してくれるだけでも構わない。」
「主神にこんなことを頼む奴なんて君くらいだろうね。」
「安心しろ、ゼウス・ファミリアじゃ眷属が父神を誘って女風呂を覗きに行くくらいバカなことをしてたからな。」
我はそのまま背を向けてホームから出る。
それからしばらく、ヘルメスが好々爺からの返事を持ってオラリオに帰ってきた。我は手紙を貰おうとしたが、一つだけ条件を渡された。
「今、君が目をかけているベル・クラネルが【
「……我は表立っての行動は出来ないと言っただろ。」
「影から見守るだけでもいい。今回は、少し面倒だからね。」
「……はぁ、しゃーねーナ。我は今から行く。だけど姿は必要な時以外見せねーからナ?」
「それでいい。」
我はその条件を飲んでから手紙を受け取り、すぐにダンジョンへと向かった。
「なんだ、元気そうアル」
我は遠くの岩場からベルを観察していた。あれがスキルとなってからはより一層視力が良くなったと感じる。しかし、これだけよくなるのがいいのか悪いのか分からないが誰かを監視するときには重宝するスキルだとは思う。
ベルはロキ・ファミリアに囲まれているので我は一旦、好々爺からの返事の手紙を読み始めた。
『生き残った家族 流幽へ
ヘルメスから手紙を受け取った。
正直、手紙の内容は信じたくはなかった。
だがお前は人を傷つけるような嘘は絶対につかない、ましてや儂に嘘をついたことは…あったな。だが本当にいたずらを隠すような軽いものばかりだったから手紙に書かれていたことは本当なのだろう。
ザルドもいなくなった今、本当の意味でゼウス・ファミリアは消滅した。
お前が大怪我を追いながらも家族を連れて帰ってきたとき、最後に声をかけてくれと儂にせがんできた時のことは今でも思い出せる。
儂がオラリオを追放をされたとき、怪我の治療中であったのに儂の元に来て「オラリオじゃなくてもいいからファミリアを立て直そう」、そう言ってくれたことは本当にうれしかった。
だが儂はおぬしのステイタスを改宗可能にしてオラリオに置いてきたことは申し訳ないと思っている。
だからこそ、長生きして欲しいと考えていた。
だがこの手紙を受け取った時、そしてヘルメスから話を聞いたとき、儂はおぬしがザルドやアルフィアと同じ道を辿るのではないかと思っている。
あのとき、黒龍討伐をもっと後にすればよかったと後悔している。
それなら子どもたちがたくさん死ぬことも、おぬしのスキルが発現することも無かったのではないかと思ってしまう。
直接は会えないが手紙で言わせてくれ。
儂は流幽には長く、幸せに生きて欲しい。
ただ、この言葉は儂のエゴだ。
おぬしのことだ、自分勝手な好々爺め!とキレるだろうな。
だが、儂は残されたおぬしを、ベルには幸せに生きてもらいた。
ベルがオラリオにいることも冒険者になって冒険していることも、【英雄】を夢見ていることも知っている。
ベルは儂がゼウスであることも、出生のことも教えていない。
だが間違いなく、メ―テリアと#$%&の子であることは間違いない。
だからそれだけは誤魔化してくれ。
もし、ベルが危ういと感じたら力を貸してあげてくれ。
おぬしの好きな鍛え方をしてくれ。
儂はベルが死なず、冒険者として苦難を乗り越え、【英雄】となるかもしれないと秘かに思っているがあやつは弱い。
だからこそ、冒険者の先輩として、そして、残された家族として見守ってくれ。
また、会える日を願ってる
ゼウス
追伸 そろそろ結婚とかしないのか?いや、お前が好きだったのは…
「余計なお世話じゃ好々爺!」
我は思いっきり手紙を握りつぶしてしまった。だが、知りたいことは知れた。
「ベルはあの2人の息子…つまりは弟分か。」
我は口元を手で押さえながらにやけるのを我慢した。
「次、直接会えたら幽兄さんって呼んでもらおうかな…。」
我は遠くで串焼きを食べているベルを見つめた。