我は遠くでベルたちの様子を見ていた。だが、我はちょっと面倒だと思っている人、そして何故かダンジョンには入ってはいけないはずの神がいた。
「あのツインテールとヘルメスはなんで入っているアル…。」
神がダンジョンに踏み込んではいけない。神が持つ神威はダンジョンを刺激してしまうので禁則事項である。それを破ってまで入るなんて、天界に強制送還されても文句は言えない。
これで何かしら
そんなことを考えていたら本当に
それは、ここより一つ上の階層に出てくる階層主であるゴライアス。だがその色は漆黒である。
「神威を放ったなあのクソバカ神…!」
大前提として、我は基本的に神という存在は嫌いだ。理由としては自分の欲望のためならなんでもするから。神という存在なのに人間味がありすぎるから嫌いである。なので平気で神に暴言を吐くのが我だ。普通に暗殺を狙われても仕方ないと思うが返り討ちにできるので問題ない。
まぁ今回は人がいないからよしとして、我はすぐに遠くから観察した。
ゴライアスの推定レベルは確かLv.4とかだったか?あの漆黒のゴライアスの推定レベルがいくつかは分からないはLv.5以上なのは確かだ。
流石にこれは多くの冒険者が死ぬんじゃないかと思った。だが同時にこんな考えも頭の中に浮かんだ。
『ベル・クラネルをこの騒動の立役者にすればいい。【英雄】誕生のための踏み台にすればいいのではないか。』
「……よし、観戦するか。」
我はその場の岩場に腰を掛けて戦いを見守り始める。正直、これが正しいのかと言われると分からない。だが、新しい【英雄】の誕生のためなら自分の命すら犠牲にするつもりだ。それに、【英雄】なら困難を乗り越えるし、格上相手にも辛勝する。あの好々爺が楽しそうに語っていた英雄譚はいつもそんな感じであった。
しばらく見ているとリヴィラの町にいる冒険者も協力してゴライアスを倒そうとし始めた。これだけ冒険者が協力すれば時間の問題か?
その中でも、動きのいい冒険者がいる。風使いのエルフ。我は7年前のその冒険者と会ったことがある。
「【疾風】リュー・リオン…。」
アストレア・ファミリアの団員でエレボスが特に目を着けていた覚えがある。そして、アストレア・ファミリアはアルフィア姐を倒した。
「生きていたのか…。」
アストレア・ファミリアが壊滅したことは風の噂で耳にした。だから死んでいたと思っていたのだが予想外にも生きていたとは。あの大抗争の日、我はアルフィア姐と話していたからきっと
「あのエルフがいるなら、我は姿を見せるのは良くないな。」
今回、我は手出しをせずにそのまま観戦した。
しばらくすると、漆黒のゴライアスはベルのスキルによって討たれた。格上相手に最後まで戦い続けて、見事な勝利を治める。まさに【英雄】の物語として語るには適している。
「好々爺、どんな子に育ててるんだよ。」
どうせあの好々爺のことだ「ハーレムを目指せ!」とか言いながら育ててそうだな。メ―テリア姐が知ったら苦笑いするだろうしアルフィア姐が知ったら【
「……考えるだけ無駄な気がする。」
我は立ち上がり、懐から面布を取り出してそれで顔を隠すようにつける。アスフィに頼んでいた顔の認識を阻害する魔法が組み込まれている。それを付け終えてから我はヘルメスの元に向かった。
「ヘルメス。」
「ん?誰だ、と言いたいところだが流幽か。」
「まず、一つ言わせろ。なんで神がダンジョンに来ているんだ?お前は、天界に送還されたいのか?」
「ちょっと待ってくれ!俺はヘスティアの要望を叶えただけで!」
「だとしても神の神威を使ったことでこんなことが起きているんだ。相応の罰は覚悟した方がいいぞ。神ウラノスならとっくに気付いているはずだ。」
「しかしだな…。」
「とりあえず、その神ヘスティアと話させろ。事の重大さを理解させないといけないだろ。」
我が正論を言っているとアスフィと【疾風】が近寄ってきた。これ以上ここにればバレるのは時間の問題だな。
「俺は地上に戻る。上級ポーションでも使ってベルやその仲間のケガを治しておくんだな。」
「これ、ディアンケヒトのところのものじゃないか⁉」
「これくらいはした金だ、俺は行く。」
そう言って俺はポーションを無造作に渡して、さっさと18階層を抜けて、ダンジョンの上の階層へと向かった。