18階層の
我が中に入ると、既にヘルメスから言われていたのであろう神ヘスティアが待っていた。
「君が、ヘルメスの言っていた子かい?」
「初めまして神ヘスティア、流幽と申します。」
「流幽君か。それで、僕に話って?」
「話は2つほどあります。」
我は笑顔で話し始めた。
「一つ、先日の18階層の漆黒のゴライアスの件ですが…。」
「ギクッ!」
「神威、使いましたね?」
「い、いやー…あれには事情が…。」
「ギルドが定めた掟では神がダンジョンに入ってはいけないことになってます。その理由として神威を感じるとダンジョンが【
「……その通りだ。」
神ヘスティアは真っすぐな目で我の目を見る。
「ベル君は僕の子だ!その子が大変な目に遭っているのに助けに行けるなら行くに決まっている!」
「……はぁぁぁ。」
我はその言葉を聞いて特大のため息をついた。
「これだから神はバカアホマヌケだ。」
「なっ⁉」
「あの好々爺ですらやらなかったことを…弱小だとこういうこともあるのか。」
「さっきから悪口のオンパレード過ぎないかい⁉」
「はぁぁ、世間知らずの大馬鹿者な神様に言われたくないですね。これでも、敬意をもって話してますよ。」
我は呆れながら話すが、話はまだある。
「今回のこと、反省しているのなら同じようなことはしないでください。俺は、事情があって今は神ウラノスの私兵もしていますので。言ってる意味は分かりますよね?」
「わ、分かったよ…。」
神ヘスティアが納得してくれたところで、また別の話に入る。
「それとは別で、俺が話したいのはベル、彼のことです。」
「ベル君のことかい?」
「ええ、彼とは個人的に知り合い関係でしてね。ただ、関係値はそれだけじゃないんです。」
我は笑顔を作りながら伝えた。
「俺は、彼の両親ことも祖父のことも知っています。」
「えっ…どういうことだい⁉」
「言葉の通りですよ。彼の亡くなったと言われている両親のことも祖父のことも俺は知っていますし、むしろかなり仲が良かったです。」
「……君は、何者なんだい?」
「…ただの、生き残った残兵に過ぎません。」
神ヘスティアはベル・クラネルの出生のことについては本人すら知らないだろう。だからこそ、我についての情報もかなり少ないから特定しようがない。
「…流幽君、君はベル君にとってどういう存在なのだい?」
「家族、ですかね…?ベルの父親は俺のことをガキ扱いしてくる癖に俺には勝てたことのないどうしよもないバカでしたけど。気のいい男で。母親の方は、体が弱かったんですがとても優しい女性でしたよ。だから、ベルは俺にとっては家族みたいなものですね…。」
「……なら。」
この話を聞いた神ヘスティアが我に手を差し出してきた。その様子は、女神として多くの人を包み込めるような神々しささえ感じれるほどだ。
「ベル君の家族と言うなら僕の家族でもある!」
「神ヘスティア…。」
「いや、貴方は別に俺の主神でもなんでもないんでしゃしゃり出ないでくださいませんか?」
「へ?」
「はぁぁ、好々爺の寸劇に付き合わされてる気分だったな。あれも15年前になるのかぁ…。」
「君ってやつは心が無いのかい⁉」
「ありますよ。ただ、俺にとっての家族はファミリアのみんなとベルとあのお方のみってだけですから。」
我はやれやれと手を横に出す。神ヘスティア、父神から聞いたことがあったが本当に善の塊というか…流石は炉の女神と言ったか。
「じゃあ俺はもう行きますが、くれぐれもベルには俺と会ったことと両親と祖父のことを伝えないでくださいね。」
「あ、待ってくれ流幽君!一つだけ聞きたいことがあるんだ。」
「なんですか?」
「君は、ベル君の育ての親である祖父と名乗る人物のことを…いや、神のことを知っているのかい?」
「……。」
ベルの祖父=神であることを気が付いている?どこで判断したんだ?
「……ハーレムとか、絶対教えたな好々爺め。」
多分、男ならハーレムを目指せって言ったことが神ヘスティアにも伝わっているのか。それなら好々爺の正体に気が付いていても無理もないか。というか、そんなこと言う神物が1人しかいないのが悪いのか。
「……ええ、よく知ってますよ。なにせ、俺の主神こそその神ですから。」
「やっぱり…。」
「まぁ、15年以上会えてませんし破門させられてので今は別のファミリア所属ですが、俺の忠誠心はずっとあのお方だけですよ。」
今度こそ、我は神ヘスティアの元を立ち去った。今回、接触できただけでも良かった。
「さて、次はいつ君に会えるかなベル?」