我が店で煙管を吸っていると気配を感じた。
「ひと声かけてくれ賢者、危うく拳が出るところだったヨォ。」
「入って来た時点で私の気配には気が付いていただろう【
「それはそうネ。」
同じ神ウラノスの私兵であるフェルズがここに来たということは新しい依頼か、それとも前に頼んでいたことのどちらか…。
「前回、頼んでいた調査結果が出た。」
「お、見つかったのネ。」
我は賢者から渡された調査書を見る。
「ん…?ファミリアの本拠が書かれてないけど何があったアル?」
「7年前の大抗争で主神が天界に送還され、ファミリア自体が壊滅している。所属していた眷属も一部を除いて死亡している。」
「あー……なるほどネ。」
それなら調べるのにこれだけの時間がかかっていたも仕方がないし、調査も難航するわけだ。しかし、生き残りの眷属に話を聞けるかどうか…。
「調べてみたが、生き残りはほとんどオラリオから立ち去っている。一番近くてもメレンのニョルズ・ファミリアの改宗している元眷属がいる。」
「じゃあメレンに行くネ。話を聞ければもう少し調査がはかどるかもしれないアル。」
煙管を置いて側にある唐傘を手に取る。
「しばらくオラリオには帰れないと思うネ。」
店をでて、我はそのままメレンへと向かった。
メレンはオラリオからもほど近い港町だ。元は三大クエストの一角であったリヴァイアサン討伐のために協力してくれたポセイドン・ファミリアの本拠地であったが今は海上で暮らしているんだったか。
賢者の持ってきた調査書を改めて確認する。
リーディス・クラウニア。レベルは4。当時の所属はゼーロス・ファミリア。年齢は行方不明となった年で29歳。行方不明登録がされたのは10年前で探索中にダンジョンが崩落、リーディスのみが行方不明となりその後死亡したと思われている。神ゼーロスは7年前の【
「全く、面倒くさいアル。」
我は面布をつけて当時のことを知っているであろう団員を探した。
「元ゼーロス・ファミリアの団員ってお前で合ってるアル?」
「お前は誰だ?」
「ギルドから派遣された調査員ネ。リーディス・クラウニアについて聞きたいことがあるのネ。」
「リーディスのことを…?アイツは10年前に行方不明になったんだぞ。」
「実はちょっと前、そのリーディスをダンジョン内で見かけたという冒険者がいたのヨ。しかもLv.4の冒険者が単独で深層にいたってネ。だからその調査をしたくて同じファミリアだった冒険者を訪ねているアル。」
ギルドからの使者だと言えば警戒は薄くなる。あながち間違いではないのでもしギルドから尋ねられた時は神ウラノスに口裏を合わせてもらうように頼もう。まず、ギルド本部が人型のモンスタ―について把握しているのかどうかは分からないが。それに、どのファミリアに開示しているのかも知らないからそこは聞いておかないとか。
「本当にリーディスが生きている可能性があるのか⁉」
「あくまで目撃情報があったという話ネ。我はリーディス・クラウニアがどうしてい深層にいたのか、単独で深層に潜るだけの実力があったのか、またどんな人物だったのかを聞きに来たアル。話してもらえるかネ?」
「わ、分かった…俺が知ってることを話す!」
それから、リーディスの情報を同じ眷属だった冒険者に聞いたが、我の情報とは違いがあることがいくつか分かった。別れた後、我は酒場で情報をまとめた紙を見ながら酒を飲んでいた。
・リーディス・クラウニア
・Lv.4
・ヒューマン
・弓使い
・魔法が3つ
・1人で深層に潜るほどの実力は無し
・言葉遣いは丁寧
・純真
・肉弾戦はほぼ不可
・ファミリア内でも実力はあった模様
・記憶力はかなりいい
相違点は深層にいた点、純真、肉弾戦、記憶力について。同じファミリアの冒険者がまだ生きていて助かった。まず、我と当時一瞬でも顔を合わせたことがあるのならあの時の反応は少しおかしいし、自分のファミリアを間違えることは絶対ない。それに純真と言っていたがあの話し方は純真とは言えない。どっちかというと粗暴な印象があった。肉弾戦も無理だと聞いたがあの時、我の背後を瞬時に回った。実力を見誤ったのだろうが弓使いがあそこまで瞬時に動けるとは思わない。
「……考えられるのは、人に擬態したモンスター。または人の体を乗っ取ることが可能なモンスターか…。」
しかし、あそこまで成功に擬態できるモンスターは我の覚えている限りでは存在しない。それにステイタスもかなり上がっていた。人の体に魔石があったのも謎だ。
「考えられるのは寄生か乗っ取りだな……動力源はモンスターと同じ魔石で…。強化種と同じようにモンスターを倒して魔石を食らうと考えれば辻褄が合う…。」
点と点が繋がって来たな。あとは神ウラノスと調査結果を確認して、正体を突き止めるのが先だな。