「んー…ちょっと調子悪いネ…。」
我は唐傘を差したり閉じたりをしながら確認するが、少しだけ動作が悪い。15年間、ずっとメンテナスしてなかったからガタが来るのは分かっていたがそろそろメンテナスを頼まないとか。それに、我の武器も作り直さないといけないし。
我は面布を顔につけてから店を出て、ヘファイストス・ファミリアの拠点へと向かった。
我はヘファイストス・ファミリアの入り口で神ヘファイストスとの面会を求めた。最初は止められたが、我は傘を団員に渡してこれを神ヘファイストスに渡せばわかると言ってしばらく待ったところ、面会の許可を貰えた。
奥へと進むと、神ヘファイストスが待っていた。
「私と面会したいという冒険者が現れたと言われて、この傘を渡されたときは驚いちゃったけど、本当に貴方なのね。」
「久しぶりヨ、神ヘファイストス。」
面布を外して顔を見せると本当に我が生きていることに驚いたような顔をした。
「それで、何の用?」
「唐傘のメンテナスと、武器の鍛造依頼ネ。」
「分かったけど、私に頼むならそれなりのお金は必要よ?」
「ファミリアの遺産が我の懐にはたんまりあるから平気ネ。」
「え、それで払う気なの⁉」
「みんな、我の冒険の資金になるなら喜んでるはずアル。一部は酒代にしてくれって嘆いてる気もするケド。」
「あはは…。」
ヘファイストス・ファミリアにはゼウス・ファミリアとも懇意にしていた冒険者が数多く在籍していた。我もその一人で、唐傘は神ヘファイストス直々に作ってもらった最高級の一品。我自身、この傘のお陰で助けられたことは何回もあるし、15年前に使っていた武器も我が冒険で得た金を全てつぎ込んで作ってもらったものだった。
「傘の方はそうね、数日預からせてもらえれば直すわ。だけど鍛造の方だけど…もしかして壊したの?」
「……まぁ、壊れたというか…まぁ壊したアル。だけど、仕方ないアル!『隻眼の黒竜』の攻撃を防ぐために使ったからそのまま粉々に砕けて…。」
「…そういうことだったのね。私の武器も壊すなんて、どんだけ化け物なのよあの竜は。」
「15年前に壊れてからはずっと傘と体術だけでなんとかしてきたけど、何か起きた時に合った方がいいと思ってまた、貴方に作ってもらおうと頼みに来たアル。」
「なるほどね…。」
神ヘファイストスは納得したように頷いてくれた。さて、予算がいくらになるか気になるところ。
「とりあえず、傘の点検は4000万ヴァリスでいいわ。だけどあなたの武器の製作費はそれなりにかかるわよ。前よりもずっと強固にすると考えると時間もかかるわよ。」
「2か月くらいなら待つアル。材料が足りなければドロップアイテムを持ってくるネ。」
「分かったわ。」
神ヘファイストスの合意を得たので我は帰ろうかと思ったら扉が勝手に開いた。
「主神よ!彼の武器は手前に造らせてもらえぬか⁉」
「椿⁉貴方、どこから聞いていたの?」
「【
扉から入ってきたのはヘファイストス・ファミリアの団長でありオラリオの
「流幽、手前にお主の武器を打たせてくれ!」
「【
「あれはよく覚えている。だが、それを諦める理由にはならん!」
「……神ヘファイストス、どう思う?我の資金も限りはある。流石に失敗した分の材料費まで払いたくはないアル。」
「そうね、失敗した分の材料は構わないわ。椿が打ちたいと言っているし、この子も17年前とは違うわけだから。もし、完成しなかった場合は私が造る。」
「…それならいいヨ。」
我は少し心配しながらも頼みを了承した。
「我の使っていた
「なるほど…手前も知っているが流幽、お主の炎は燃えているものが灰にならないと消えないのでは?」
「確かに消えない。だが、我が魔法を解けば消えはする。ただ、我の炎に耐えられないものは解除しても燃え続け、灰になる。だから、我の炎に絶対負けないものを頼む。」
「なるほど。承った!では主神、手前は早速政策に取り掛かる!」
そう言って【
「じゃあ依頼は以上ね。」
「そうネ。じゃあ支払いは後払いでいいアル?流石に今は手持ちがないネ。」
「いいわよ。傘の方は明後日にはメンテナスを終わらせておくから4000万ヴァリスきっちり用意しておいて。」
「了解アル~、それじゃあまた明後日。」
我は面布を付け直、ヘファイストス・ファミリアのホームを後にした。