魔女の箒~原初の魔女は空飛ぶ箒でぶん殴る~   作:令和大学文学部小説科

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【自問自答】
Q.クロエは魔女なのに、魔法を使っています。
 魔女は自分の心臓の魔法が使えるの?

A.魔女も素のままでは魔法を使えません。
魔女も他の魔女の心臓を喰うことで、魔法が使えるようになります。これをこの世界では、『共食い』と呼びます。

クロエや魔法が使える他の魔女も心臓を食べてます。マリーは魔法使いによって創られた生物なので、食べてません。生きるって大変だね。




第二話 パラダイスみてぇな国を創りてぇ

『原初の魔女』クロエ・シャンリ。

 

あらゆる生き物は魔女の心臓を喰らうことで魔法使いになれる。魔法使いは軍事・生活の多様な面で圧倒的な力を発揮する。その数が多い国ほど強大となるため、各国は魔女を巡って戦争を繰り広げることとなった。

 

魔女を巡る争奪戦ーそれは各国における壮絶な殺し合いとなり、戦争は数百年続いた。

 

魔女は虐げられる者ーそして捕食者としての人間も魔女狩りが続く限り、戦争は決して終わりがない。世界は混沌を極めた。

 

だが、今よりおよそ100年前――彼女は現れた。

 

 

魔女狩りが横行する時代において、彼女の存在は非捕食者ではなかった。むしろその逆、絶対的な強者であった。

 

彼女は魔法で箒を創り出し、意のままに操ることができる。無数の箒は軍勢を襲い、敵を瞬く間に蹂躙した。彼女にとって、距離は距離ではなく、箒は空を駆け抜ける。そしてその破壊力は容易に巨大な山々を貫いた。

 

彼女は各地に点在する魔女の奴隷を解放していった。その箒は仲間を集め、敵を攻撃し、戦いに勝利し続けたのだ。

 

そうして、魔女は彼女を中心として、魔女狩りに抵抗するようになった。仲間が増え、皮肉なことに心臓は簡単に手に入る。戦争をするには十分な兵力ができたのだ。

 

戦争ははじめ、人間同士の戦いであった。しかし、急速に成長する魔女陣営に人類側は恐れ互いに結託するようになる。

 

クロエは人類との戦いに勝利を重ね、ついには魔女の国を築き上げた。その国は一時的に繁栄を誇り、世界は一時的に平和となった。しかし、魔女の国で内乱が起こった。

 

内乱に乗じ、人類陣営は侵攻を始めた。『散花の聖女』シロナ、『魔法女帝』ミア・フォン・セリヴィア、『剣聖』セラ、『怪物』フィリナ、彼女らは魔女の国の皇帝クロエに対し戦いを仕掛けた。

 

クロエも戦い続けたが、多勢に無勢。

人類の英雄たちにより、ついにクロエは敗北した。

 

現在の消息は不明である。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「もう3日も目覚めなかったので、凄く心配でした!」

 

この子はマリー。

俺の仲間が創り出した魔法人形である。

 

その仲間の名前はアリス。彼女も魔女の国の創国者の一人であり、人形姫と呼ばれた魔法使いである。

 

アリスの魔法名は『幻想的なマリオネット』。32体のマリオネットを創り出す魔法である。

 

「お怪我は痛みませんか?水をお飲みしますか?食べたい物ありませんか?」

 

マリーもそのうちの一体であり、彼女達には感情がある。それは単純に楽しかったり、悲しかったりする。

 

俺はアリスから秘書としてマリーを預かっているのだ。

 

そう、あれはあの時の…

 

 

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『お前の魔法は珍しいな。生命を何体も創り出すなんて。どうなってるんだ?』

 

焚き火の赤い光が、少女の金髪をやわらかく照らしていた。

瞳の色も、顔の輪郭も、霞んでいて思い出せない。

ただ、その声の響きだけは、胸の奥に焼きついている。

 

彼女が細い指で毛布の端をなぞるたび、淡い赤光が弾けては消えた。焚き火の火の粉といっしょに、夜空へと舞い上がっていく。

 

『私からしたら、空飛ぶ箒を無尽蔵に創り出すあなたの魔法の方が不思議だわ。』

 

アリスはわずかに口元を緩めた。

それは、あの頃には珍しい――柔らかな笑みだった。

 

少しの沈黙。

火の音だけが、ふたりの間を埋めていた。

 

『なあ、アリス。一つ提案がある。

 私の箒と、お前のマリオネット―― 一つ、交換してくれないか?』

 

『私のマリオネットと? とても釣り合わないわね。』

アリスは小さくため息をつき、指先で焚き火をつつく。火花がぱちりと散る。

 

『……でも、いいわ。あなたには借りがあるもの。

とっても可愛いくて優しい子を貸してあげる。大切にしてね。』

 

 

 

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と、まぁそんなわけで俺はアリスからマリーを預かっているのだ。

 

アリスはすべてのマリオネットの視界を共有できる。

そのためマリーの役割は俺の世話役兼・アリスとの連絡手段兼監視役である。

 

「それで、今どうなっている?」

「クロエ様が敗北したことで、魔女の国は滅びました。そしてクソ人間どもは、残っていた魔女たちを捕まえ、いま現在は繁殖や捕食用のために囚われているようです。クソ忌々しい!」

 

うん、とりあえずのところの今やることは決まったな。

 

目指すべきは人間たちから魔女を奪還することだ。こんな俺のことを慕ってついてきてくれた仲間、仲間でなくとも人間に捕まっている魔女もいる。捕まっているのなら、助けてあげないと。

 

「まずは他の魔女だな。とにかく仲間を救おう。場所を教えてくれ」

「はい!ここから北西約35kmのところに魔女の収容所があります」

 

 

ここから先は、人間や亜種の人類と戦うことになる。争いは嫌だが、仲間を見捨てるわけにはいかないだろう。

 

行先は決まった。魔女収容所だ。

俺の魔法の箒で移動しよう。




陣営説明

人間陣営
人間族が集まってできた国。人間は特殊な力や技能を持たないが、その数と残虐性によって領土を拡大し続けている。現状一番大きな勢力。

方針(だいたい)
「魔法使いをどんどん増やして、領土拡大」

亜種族(魔女) 陣営
エルフ族、ドワーフ族、吸血鬼族、天使族、蟲人族、巨人族のそれぞれの集落のことを指す。元々は一つの種族ごとに暮らし、互いに争っていたが、エルフの魔法使いシロナによって、一大勢力として統一された。

国家方針
「人間から国を守ろう。」

魔女陣営 
魔女狩りの時代の中、クロエらが各地で魔女狩りに対して反乱を起こし、できた国家。数や練度共に二つの国の力に遠く及ばない。しかし、共食いによって魔法使いの人口比率が他国に比べてかなり高い。

国家方針
「魔女狩りマジ止めろ、潰すぞ」


この世界はこの三つの勢力を中心に構成されています。他にも人は住んでるけど、国と呼べるほどではないです。

ちなみに人口比でいうと、人間90%、亜種族10%ってところです。魔女は誤差すぎて表記できないよ
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