魔女の箒~原初の魔女は空飛ぶ箒でぶん殴る~   作:令和大学文学部小説科

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【人物解説】
名前:アリス
種族名:魔女(魔法使い)
魔法名:『不思議な世界の人形姫』
能力:32体の魔法使いの人形を創り出すことができる。マリーもそのうちの一体。彼女達には感情があり、それは単純に楽しかったり、悲しかったりする。


種類:生命創生型
攻撃力:?
防御力:?
速力:?
魔力効率:?
応用力:?
優先力:?
総合評価 ?
※?の部分も言いたくてしょうがないのですが、まだ作中で解説してないので、混乱を避けるため言わないでおきます。



第三話 空を自由に飛びたいな。

魔女収容所までは数十キロ。

歩いて行けない距離ではないが――その前に、自分の魔法を試しておきたい。

 

よし、確認してみるか

 

俺はマリーと共に小屋を出て、広い空の下に立った。

 

 

 

 

うぉぉぉ、出ろ! 俺の箒!

 

手のひらを下に向け、目を閉じて念じる。

すると、俺の前の空間から何かが浮かび上がった。

 

茶色い棒に、ふさふさの穂先。

見た目は、どこにでもある“普通の箒”だ。

 

……よし、ちゃんと出た。

 

その瞬間――脳裏に、強烈な“記憶”が流れ込む。

 

☆ ☆ 

 

 闇の中、血の匂いがした。

 誰かが倒れている。ボロボロの布をまとった女だ。

 胸の中央が裂け、血塗られた体は致命傷であることを物語っていた。

 

 

 唇が震え、息は絶え絶えになっている。

 骨のきしむ音。濡れた音。そしてたった一言―

 

 『――私を食べて。』

 

 

☆ ☆

 

ち、嫌なこと思い出しちまったぜ。

 

まぁ、今考えても仕方ない。今は箒の性能を確かめないと。

試しに、箒を動かそうとした――その瞬間。

 

轟音が弾け、箒が暴走した。小屋は爆風で木っ端みじん。周囲の木々は根こそぎ吹き飛び、俺とマリーの周囲一帯が、まるで灼熱の息吹に舐められたように焼け野原と化していた。

 

……。

 

「さすがです、クロエ様。相変わらず魔法はご健在のようですね」

 

うん、魔法は健在だったね。休んでいたから衰えているかと思ったけど無事のようだ。

 

その後、マリーに見守られながら、俺は実験を繰り返した。そしていくつかの法則が分かってきた。

 

まず、箒を創る際には「操作速度」「重さ」「操作距離」の三要素を事前に設定できるということ。いわばステータスの割り振りだ。

 

操作速度は、そのまま箒を動かす速さ。

 

重さは箒そのものの質量。重ければ衝突時の威力が増し、壊れにくい。軽いほどスピードは出るが、脆くなる。

 

操作距離は、俺の身体から離れて操れる距離。離れすぎると制御不能になる。

 

要は、どれかを立てればどれかが犠牲になるというわけだ。速度を上げれば距離が短く、重さを増やせば鈍くなる。状況に応じての使い分けが鍵になる。

 

また、箒は念じれば瞬時に消せる。

「消えろ」と思っただけで、スッと消えた。

 

よし、実験はこれくらいで十分だな

 

 

移動用なら、操作距離は“ゼロ”でいい。つまり、俺が触れている間だけ操作可能にすればいいわけだ。二人分の体重を支えられる強度さえあれば十分。速度はできるだけ高めに設定する。

 

「――出でよ!」

 

再び空間から、箒が姿を現した。

今度は見た目も少し洗練されている。

 

……ただし、乗り方にはこだわりがある。

よくある“股に挟む魔女スタイル”は絶対に嫌だ。

男としての尊厳が持たない。いや、もう身体は女なんだけど、それでも精神的に無理。

 

だから、ここは“手掴みスタイル”で行く。この箒に掴まるんじゃ。満員電車の吊り革を掴むように、片手で箒を握る。全体重を片腕で支える形になるが、この身体の筋力なら問題ないだろう。

 

マリーには、俺の背中にしっかりとしがみついてもらうことにした。

 

風がうなり、地面が遠ざかる。森の焼け跡が夜の闇に沈んでいき、代わりに、星々が視界いっぱいに広がった。

 

「――行こう、マリー。」

「はい、クロエ様」

 

俺たちを乗せた箒は、夜空を裂く一筋の流星となった。

 

☆ ☆

 

 

 

 

魔女収容所は、王都から数キロ離れた山間部に存在する。表向きには、「魔女との共生を目的とした施設」とされている。だが、その言葉を本気で信じている者は、もうほとんどいない。

 

魔女の心臓を食うことで、人は魔法使いになれる。つまり彼女たちは、単なる資源だ。

 

魔法は生活、外交、軍事――

あらゆる分野において不可欠な力であり、国家にとっての基盤でもある。ここは、魔法使いを生み出すための施設。

 

正確に言えば、心臓を生産するための場所だ。繁殖させ、殺し、心臓を取り出し、出荷する。その循環によって、魔法使いは量産される。

 

収容された魔女は、名前を失う。代わりに与えられるのは番号だ。首輪によって魔法は封じられ、抵抗の兆しを見せれば、即座に出荷対象となる。教育はない。治療もない。あるのは、繁殖と拷問、そして出荷だけだ。

 

「魔女は人ではなく、貴重な資源である」

 

その共通認識が、施設全体を支配している。

 

地下区画には、無数の独房が並んでいる。薄暗い通路。湿った石壁。格子の向こうには、かつて“魔女だったもの”がうずくまっている。

 

看守たちは自分達が正義であると信じていた。魔女は利用すべきであると教育されているからだ。今日も、淡々と職務をこなしている。

 

殴る。吊るす。魔女と繁殖する。

 

それらはすべて、「安全管理の一環」として記録される。

 

悲鳴は、やがて消える。

叫ぶことをやめた魔女から、順番に壊れていく。

 

 

そんな収容所の中に――一つだけ、異質な区画がある。地下最深部。看守たちが交代を嫌がる場所。監視はあるが、誰も長居しない。

 

「今日もなのか」

「はい、そうです。看守がまた一人消息を絶ちました。既に行方不明者は6名。恐らく奴の仕業でしょう。魔女番号275番!」

 

 

命令がなければ、近づこうともしない。分かっていることはただ一つ。彼女に暴行しようとした、あるいは少しでも関わった人間は謎の失踪をしている、という一点だけだ。

 

275番と書かれた独房には、少女がいた。鎖も枷もない。首輪すら、つけられていない。年の頃は十代半ば。小柄で細く、どこにでもいそうな少女。肩まで伸びたピンク色の髪が、顔を半分隠している。

 

明らかに魔法使いだ。危険な存在である。拷問命令はおろか、出荷命令もくだっている。それなのに、彼女はここにいる。看守たちは、彼女を傷一つつけることができない。

 

 

少女は独房の中で、静かに座っている。彼女以外誰もいない。それでも彼女は話しかける。

 

「もう、止めて。止めてよ、お母さん!」

 

少女は、ふと声を上げる。少女の目の前には行方不明とされた看守が横たわっていた。

 

 




【人物紹介】
名前:クロエ・シャンリ
種族名:魔女(魔法使い)
魔法名:空飛ぶ箒
能力:空飛ぶ箒を創り出し、操ることができる。

細かい能力説明
箒創造時に三要素を同時に設定する:

操作速度
 └ 応答性・最高速度・加減速性能
操作距離
 └ 本体(クロエ)からの有効制御半径
重量(可搬質量)
 └ 箒そのもの+持ち上げられる物の重さ


種類:魔道具創造型ー有限系
攻撃力:C
防御力:C
速力:C
魔力効率:C
応用力:C
優先力:C
総合評価:C

【余計な設定】
魔法は全部で六種類。クロエはそのなかの一つ、魔道具を創造するタイプの魔法です。本編で語りたいです。
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