久しぶりに会ったけどみんな様子おかしくない?   作:オレ

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そろそろみんな忘れてる頃だと思いますんで、今あげればこの雑さもバレねぇかなと……。


やべぇ!金がねぇ!

 

 ◇

 

「うっし、今日はこの位にしておくか」

 

 額に流れる汗を拭き、一つ息を吐く。

 

 入院生活も一ヶ月───いや、寝ている間を含めたら二ヶ月間。漸く身体と頭もこの現状に慣れてきた。

 今では軽い運動なら一人で熟るし、日常生活なら全くもって問題ない。

 

 うん、我ながら中々凄いのではなかろうか。これなら、もう退院しても問題ない……と、思う。

 思うのだが、それをみんなに言ったら、どういうわけか鷲見にも、他に見舞いに来た子達からも止められた。そりゃあもう凄い勢いで。

 

 心配のしすぎだ、と思わないこともないが、別に俺だって態々心配をかけたい訳じゃない。そこまで言うなら、という事でまだ入院生活を続けている訳である。

 とはいえ、暇なもんは暇だ。漸く軽い運動なら、ということで病院の敷地内なら歩き回れるようになった訳だが、そりゃ、何日も同じ景色を見てたら飽きる。

 

 飽きてしまえば欲を持ってしまうのが人間であって、それはもちろん俺にも当てはまる。

 そう、つまり俺の心の中には外へ出たいという気持ちがまた芽生えてしまったのだ! 

 

 ……しかしながら、こんな事を素直に言った所で許可が降りる訳もない。そんな事は俺も分かっている。

 かといって、無断で抜け出せば心配をかけるだけ。

 

 ならばどうするか、それが思い浮かばないままズルズルと時が流れ今に至る。

 もちろん、どうすればいいかは今も思いついてはいない。

 

「どーすっかなぁ。……つか、そろそろ金ヤバくねぇか?」

 

 ふと、思い出す。そういえば、今の銀行の残高はいくらだったか。

 入院にはもちろん金がかかる。二ヶ月間の入院ともなればそれなりの金額を持っていかれるハズだ。

 

 もちろんバイトはしていたし、現在に至るまで金の話はされていない。流石にゼロになっている、とかではないと思う。

 

「……まあ、こんなことになる前はそれなりに貯金してたし、大丈夫だろ。さーてと、どれどれ────」

 

 スマホを弄り、銀行のアプリを開く。そして、唖然。

 以前まであった蓄えは何処へやら。残っているのは雀の涙程度の額。ゼロではない。ゼロではないがゼロに等しいとしか言えないような金額。

 

 これは、まずい。このままでは誰かに金を借りることになってしまう。それだけは避けなければならない。

 

 しかしどうする? ……いや、どうするもこうするもない。

 どうにかしてみんなを説得し、金を稼ぐしかない。そうしなければ、俺は友人や後輩達に金をせびるゴミ野郎になってしまう。

 

「うおおお! 俺はやってやるぞォォォ!!!」

 

 

 

 やべっ、急にデカい声出したからみんなこっち見てる。恥ずかしっ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 さて、結論から言おう。説得には何とか限界ギリギリのぶっちぎりで成功した。

 

 いやー、やっぱ最後の土下座が効いたと思うね、うん。

 え? そんな事して恥ずかしくないのかって? そりゃお前、人に金借りるよりマシだろうよ。

 みんなは貸そうとしてくれたけど、流石に無理よな。

 

 まあこれで俺は晴れて病院の外に出ることとアルバイトをすることが許された訳だ。条件付きではあるが。

 といっても、その条件も特に厳しいものでもない。休憩時間になったら状態を報告することと、夜になる前に帰ってくることだ。何とも子供の様な条件だが、これだけで許してもらえたのは奇跡である。

 

 ……因みに、まだ入院生活は続くらしい。ここまで行ったのなら殆ど退院みたいなものだとは思うが、検査などの都合上、夜は病院に居ないといけないらしい。

 つまり、退院にはあと少し時間がかかるということだ。

 

 まあそんなこんなで、俺は無事アルバイターとしての再スタートを切った訳だが、ここで一つ問題になってくるのがバイト先だ。

 

 ぶっちゃけ今の俺はあんま使えない。だって片腕しかないんだもの。荒事とかそっち系の仕事は出来ないだろう。つーか今そんな事やってたら多分キレられると思う。予想だけど。

 

 となると、選択肢にあがってくるのは少ないわけで、そんな中パッと思いついたのは接客業だ。元々やってたのも飲食店のホールだったし、こういうのは慣れてる事をやるのが一番だ。

 

 しかしながら、特段アテがある訳でもない。つまるところ、地道に探していくしかないのだ。

 ま、せっかく外出許可が出たんだ。今日は久しぶりの外を満喫しつつのんびり探そうかね。

 

 そんなこんなで、時々貼られているバイト募集の紙に目をやったりしながら街をぶらぶらと歩く。時間は昼過ぎ。平日のこの時間帯なら知り合いに会うことも無いだろう。

 

 そこから一、ニ時間程度は歩いたか。唐突に腹の虫が鳴る。久しぶりの外出が楽しく気づいていなかったが、どうやら俺は今空腹らしい。気づいた瞬間に感覚が襲ってきた。

 う〜む、どうするか。腹は減った。しかしながら、金にあまり余裕があるとは言えない。なるべく安い店等に行きたいが……。

 

 ああ、そういえば。この辺りだとあそこが近いのではなかろうか。……うん、大体十五分くらいか。

 よし、今日の昼飯はあそこにしよう。

 

 そうして、空腹を感じながらも足を動かす。最近はあまり来ていなかった場所であるため、懐かしさを覚えてしまう。

 

 歩く景色を楽しめるのであれば、十五分等あっという間。気づけば目的の店の前にまで来ていた。……まあ、とある事情で今は店ではなく屋台な訳だが。

 

「大将、今やってます?」

「おう、もちろんやってる────って、ユウリくんじゃねぇの! 久しぶりだなぁ!」

「どうも、お久しぶりです」

 

 という訳で、やってきたのは柴関ラーメン。安くて美味い、オマケに店主である柴大将の人当たりも良いと来たもんだ。むしろ行かない理由を探す方が難しい。

 

「好きなとこ座んな。つっても、選ぶほどの席は無くなっちまったけどな! ははは!」

「あはは、じゃあここに失礼します。あ、柴関ラーメン大盛りで」

「はいよ! ちょいと待ってな!」

「大将は最近どうです?」

「ん? 俺かい? 最近、ね。う〜ん……これといって何もなかったな。ただ、最近また客足が増え始めたってのは嬉しかったぜ」

「お、そうですか。まあ、何もないってのは、悪いことじゃないですからね」

「まあそうだな。ユウリくんの方は……何もなかった、って訳じゃなさそうだな」

 

 そう言って、大将は鍋から一瞬目を離し、俺の右腕に目をやる。

 

「ああ、これですか? まあ、あれですよ。男の勲章、みたいな」

「……もう、大丈夫なのかい?」

「ええ、特には。不自由ではありますけど、もう慣れましたしね」

「……そうかい。ほらよ、柴関ラーメン大盛り、お待ち」

「お、待ってました。じゃ、頂きまーす!」

 

 口を使って割り箸を割り、麺を啜る。

 相変わらず美味い。この味であの値段、全くもって信じ難い。

 

 夢中になって麺を啜っていれば、何時の間にか丼の中の麺は綺麗さっぱり無くなっていた。これが柴関ラーメンの魔力……。

 

「いやー、相変わらず美味しいですね、ここのラーメンは」

「お、嬉しいこと言ってくれるねぇ」

「……あ、そうだ大将。ここら辺で良いバイト先知りません?」

「なんだ? 探してんのか?」

「そうなんですよ。実は色々あって入院生活中でして。それでちょっと金が……」

「ふーむ、なるほどな」

「こんな状態ですし、働ける所も限られてるんですけどね〜」

「そうだな……。ああ、ならウチで働かないか?」

「……え、良いんですか?」

「おう。最近は昼間に来てくれるお客さんも増えててな。セリカちゃんは学校終わりからだし、昼から働ける子が一人くらい欲しかったところだ」

「あ、あー。なるほど。でも本当に良いんですか? 今の俺結構使えないですけど」

「そこまで難しい仕事でもねぇ。じきに慣れるさ」

「……そういうことなら、有難く。いつから来れば良いですか?」

「来れるってんなら明日からでも構わねぇぞ。時給は……セリカちゃんと同じで良いかい?」

「じゃあ早速明日からよろしくお願いします。時給についてもそれで」

 

 ……まさか、昼飯を食うついでにバイト先が決まってしまうとは。

 驚きの方がまだ強いが、大変有難い話だ。店長の人柄に感謝しよう。

 

「……ふう。ご馳走様でした。代金はこれで」

「おう。じゃ、明日からよろしく頼むぜ」

「はい」

 

 そう言って頭を下げてから、屋台となった柴関ラーメンを後にする。

 さて、もう今日のやるべき事というか、やりたい事は終わってしまった訳だが、まだ時間はある。これからどうするか……。

 

「待って!」

 

 歩きながらそう考えていれば、後ろから焦った様な声がかかった。

 慌てて振り返れば、そこに居たのは

 

「砂狼か?」

「……ユウリ」

 

 声から聞こえてきた印象通り、焦った様な顔をした知り合い(砂狼 シロコ)だった。

 







元々書くつもりは無かったんですけどね……。五話目は分かんないっす。
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