悪の組織の下っ端ですが、魔法少女を拾いました   作:ひぶうさぎ

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本日1話目
第二十七話のサブタイトルが間違えてこの話のサブタイトルになっていたので修正しました


第二十八話 結末はいかにもあっけなく?

 ついに、男の前には組織の本部が隠された店が見えてくる。

 そして、それは、男にとって何があっても無くさなくてはいけない所。

 

 周りを歩く一般人は、()()()の店を見ながら立ち止まる黒ずくめの男を不審なものを見る目でじろじろと眺めているが、勿論そんなものは男にとってどうでもいい。

 

 今の男の頭の中にあるのは、ただあの組織を潰すこと、ただそれだけ。

 それ以外のことなど、眼中にすらない。

 

 男は、周りの視線など気にせず、さらに一歩進む。

 

 そこで、裕樹も店の外に明らかにそこらの怪人とは違う実力者がいることに気づき、警戒をより強める。

 

 そして、その様子から並々ならぬ異様な雰囲気を感じ取った通行人がスマホを取り出し、野次馬根性を出し始めた時。

 

 

 

「コソコソしやがっテ」

 

 

 

 男は、裕樹がいる店、その地下にある本部に向けて、怪人にしか使えない圧倒的な闇の魔法を撃ちこんだ。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 おいおい、ただの怪人化した元が強い人間かと思っていたらミラーと同じタイプかよ。

 

 俺は、さっきまで多少燃えた跡があっただけの店を見渡す。

 

 流石に今から撃ちますよみたいなモーションをされた今は一応攻撃を防ぐことに成功したこそしたが……。

 

 店は、明らかに半壊滅状態。

 心なしか風がよく通るようになっている気もする。

 

 あ、そりゃ天井にデカい穴が開いたんだから当然か。

 って、そんな冗談を言ってる場合じゃねえだよな。

 

 

 

「オ前か」

 

「ッ!?」

 

「よし、お前ダな」

 

「ちょちょちょッ!?」

 

 

 

 一瞬でも話が通じるかと思った俺が馬鹿だったわ。

 

 相手は、俺の姿を見るや否やすぐに俺に向かってとんでもない量の弾幕を浴びせさせきた。

 いくら玲衣だって、この量の弾幕はたとえ俺相手だとしても張らないぞ?

 

 ったくよ、そっちがその気なら俺だってそれなりに抵抗してやるからな。

 なんか実力差がそれなりに離れていそうなのだけは無視しておくが。

 

 そんじゃ、出し惜しみなしで俺は時間稼ぎに徹させてもらおう。

 どうせ相手はお前が最後なんだろうし。

 

 こういう時は一分もかからないうちに組織の奴らがわらわらと集まってくるに決まってるんだ。

 怪人化したばかりなのかまだそっちが力に慣れてないだろう隙に全員で叩いてやる。

 

 

 

「周りに一般人がいるのはクソ面倒だがッ」

 

「ドウした、それがお前の本気カ」

 

「お前は周りがまったく見えていないようで安心だ」

 

「ッ!?」

 

 

 

 ……はははッ、コイツ、マジで俺と組織の方しか見えてねぇ。

 

 こんな敵がいるかもしれねぇと想定して店の外に俺特性の罠を用意してんだよ。

 

 通行人に当てる訳にはいかねえから勿論俺が念じないと発動しないもんだけどな。

 

 それでも、しっかりコイツには当たったみたいだ。

 明らかに強者みてえな言い回しをしていたくせにこんなバレバレの罠に引っかかって悶えている姿は滑稽としか言いようがない。

 

 ただ、悶えているとはいえ肉体にはそこまでダメージは与えられてないか。

 

 それじゃ、もうちょい追撃させてもらうぜ?

 

 

 

「悪いな、卑怯かもしれなくてもまさかこれに引っかかるとは思わなかったんだ」

 

「ふざケるな、ふザける……ガハッ」

 

 

 

 ちょっと挑発してやっただけで、コイツにはさらに隙が生まれる。

 頭に血が上りすぎやすい奴っていうのは逆に行動が読みやすくて戦いやすいったらありゃしない。

 

 それにな、こんだけ少し俺がお前と戯れているだけで。

 

 俺の組織の戦うことが好きで好きで仕方がないって言う人間達は自分の装備も整ってねえっつうのにもう外に出てくるんだ。

 

 

 

「裕樹、なんか地味にやられてねえか? まったくやっぱ俺がいねえと駄目か」

 

「うるせえ旧友」

 

「弟君! 後は私たちに任せて!」

 

「なんだ、綾乃さんかよ……」

 

「何よ、私だってちゃんと戦えるのは弟君だって知ってるでしょ!」

 

 

 

 ほらな、ちょうど一番乗りを争ってきたのが知ってる奴《人》だったのはたまたまだが、この二人の後ろからのぞろぞろと出てきているよ。

 

 流石にコイツまでもが時間稼ぎだった場合に備えて本当の主力はまだ本部の中に残っているだろうが。

 

 いくら物凄い力を持っているとはいえ、今のお前なら十分倒せるよ。

 

 もしかしたらお前は俺達の組織を舐めてたのかもしれない。

 だが、ここの奴らは全員ボスの人柄に惹かれてきたんだぜ?

 

 ボスに直接しごかれまくった奴だってたくさんいる。

 そんな奴らがただの怪人なんかに負けるはずがない。

 

 そもそもお前は知らなかっただろうけどな、うちのボスはクソ強えんだ。

 

 

 

「ヤめろォォ、来ルな、来るナ!」

 

 

 

 相手は必死に、怪人が使うような魔法で、旧友たちを何とかしようともがく。

 しかし、頭に血が上りすぎているのか店を壊したような大規模な魔法は撃とうともしない。

 

 そんな様子じゃ、倒せるもんも倒せる訳がないだろう。

 別にそれをしたところで、すでに俺を含めた全員が対策をしているから効果ははいと思うが。

 

 ……今気づいたんだが、なんか決定打がなくて倒しきれてねえな。

 ムーブの割には最後の最後で逃げることが出来そうなのは、ちょっとやめてもらえるか?

 

 まあ、そうだっていうなら俺ももうちょい頑張るとするか。

 旧友ほど働いてねえしな、少し働いたからって仲間の戦いを見ているだけにはいかねぇ。

 

 

 

「狙いはアイツの頭。ただそこだけ……ほいっ」

 

「ッ!? イッタイ、どこカラ……ァ」

 

 

 

 お、当たった。

 やっぱり多少狙いをつけた魔法は威力と正確さが違うな。

 

 ていうかアイツ、今ので倒しきれたのか?

 断末魔っぽい声を上げて下に落ちたんだが。

 

 ……いやいや、さすがにそんなことなないだろ。

 

 急に、完全に倒しきれてしまった流れな気がしてくる。

 といはいえ、そんなあっけなくやられる魔力ではなかったはず。

 

 そう思いながらすでに組織の人間で囲まれている落下地点を除く。

 

 すると、そこには。

 

 

 

「あれ、これ倒せてね?」

 

「おい、美味しいところだけ持って行った裕樹だ」

 

「ふざけんなよ、あと少しで俺の必殺技が放てたんだぞ」

 

「裕樹、さすがにこれは……」

 

 

 

 今までの怪人と同じように、怪人が死んだ跡だけが、残っていた。

 

 着いた瞬間、あと少しで倒せるような技をためていたらしい奴らから矢継ぎ早に言葉を浴びせられる。

 その中には、つい先程ノリノリで敵に突っ込んでいった旧友の姿も。

 

 そんなん言われても俺が魔法撃つ前に倒せば良かった話でしかねぇじゃねえか。

 俺だって今の撃つまでにはそれなりに溜める時間あったんだよ。

 

 だから、文句を言ってくる奴らに向けてもう一度溜めて目の前で撃って見せる。

 

 これならしっかり溜めてから撃ったていうことがこいつらにも伝わるはず……。

 

 

 

「いや、なんでそんな短い時間でそんな威力の魔法が溜まるんだ」

 

「どう考えてもチートだろ」

 

「……ドンマイ、裕樹。けどな、今回俺はお前の弁護は出来ねぇから後は頑張れ」

 

「え、マジ?」

 

 

 

 しかし、残念なことに俺のいう事は認めてもらえなかったようで。

 俺はここからしばらく手柄を奪われたと感じたやつらに冗談半分で追い回される羽目になるのだった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 そんなことをしてたら、物陰に玲衣達が隠れているのを見つけた。

 

 なんとなく、敵が来る前から変なところに人が隠れているなとは思っていたんだがお前らだったのか。

 

 玲衣の様子から察するに、今回の首謀格が出て来たところで自分も出ようとしていたんだろう。

 

 まあ、残念ながらもう倒したけどな。

 お前が思っているより今回の相手は弱かったんだ。

 

 どうせまだ倒されてないことを信じて出てくるタイミングを待っているんだろうけれど。

 ごめんよ、本当にもう倒しちまったんだ。

 

 

 

「……あれは、声をかけた方がいいのか?」

 

「知らない、自分で判断すれば」

 

「うお、お前はいつの間に中から出て来たんだミラー」

 

 

 

 そんな時、横から、急にミラーが声をかけてくる、

 いつものように心を読んだのかと思ったが、周りの人間の目を見るに、どうやら心の声が漏れていたらしい。

 

 それにしても、周りのミラーを見る目が……その、怪獣を見る目ってくらい怯えてるだろ。

 

 実際問題コイツはさっきの相手よりもよっぽど凶悪ではあるんだが、それにしたって敵意が剥き出しすぎやしねえか?

 

 

 

「あ、貴女面白そう」

 

 

 

 ほら、元に今も。

 組織の人間のうちの誰かがミラーにロックオンされている。

 

 ただ、今狙われているのは……綾乃さん。

 あの人なら別に助ける必要はないだろう。

 

 ミラーと仲良くやっててくれ。

 

 

 

「えっあっ……弟くん! 助けて!? ねえ無視しないで!?!?」

 

「ん、貴女、会った事……ある?」

 

 

 

 だが、これでひとまずはおしまいだろう。

 結果的には俺たちの所にはほとんど被害もなかったうえに、俺や旧友みたいに死にかけたやつこそいるが、死んだ奴もいない。

 

 もっとやべえことになるかと思う敵だった割には実際はそうでもなかったな。

 良かったっちゃ良かったけどな、思っていたほどでもなくて拍子抜けだったぜ。

 

 そして、俺はふと空を見渡してみる。

 まあ綺麗な雲一つない青空だ。

 

 空の割には俺の心はすっきりしていないのだが、組織としてはまるで祝福と言ってもいいくらい何もない。

 それこそ、鳥とか飛行機とかも見えないくらいに。

 

 と、そんなことを思っていると。

 急に、ヒビのようなものが空に浮き上がる。

 

 

 

「これは……玲衣と咲がいてくれて助かることになるかもしれねぇかも」

 

 

 

 思わず、そんな独り言が口からこぼれる。

 

 なぜなら、あのヒビからはとてつもない量の魔力がもれているから。

 それに、ついさきほどまでは映画の撮影かのように群がっていた通行人の姿もどこにもない。

 

 こりゃ、完全に油断しちまっていた。

 もしかしたらここまで全部読まれてたのかもしれねえな。

 

 そうして、ヒビから出てくる一人の少女。

 

 勿論、その体からは、この場にいる全員を合わせてやっと届くかと言ったほどの圧倒的な魔力が漏れている。

 

 ……流石に、こうなれば俺でも分かるわ。

 

 

 

 今までの奴らは全員前座で、こっからが本当の凌ぎどころってことだ。

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