加速少年の英雄希望   作:月面旅行BD

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騎馬戦、或いはチームアップ

 

 

うん。まぁ分かっちゃいたが爆豪と轟くんが大人気だな。

順位もさることながらあのルールじゃあいつら超強いもんな。騎馬じゃなくて単体で動いて良いなら俺の方が有利な面もあるが…騎手で足を固定しなきゃならんのは個性の半分が使えないのと同義、騎馬で活躍しようにも他の面子が足枷になる…

 

「おい、そこのA組の」

 

うーん…障子くんにでも声掛けてみるか?あのガタイとパワー、索敵能力なら2人で組んでも勝てる目はあるが…

 

「お前だよお前」

 

いや、駄目だな。もう他の面子と組み始めてる。…面白い組み合わせだな。ありゃルールの隙間ツイてて良い作戦だ。

 

「…おい、無視か?」

 

「え、あ、俺?すまん考え事してたわ」

 

と振り向いて答えると意識が薄れる感覚が襲ってきた。

やべ、意識を奪う対人系か!?

 

咄嗟に個性を発動させる。

 

コイツ、宣戦布告して来た普通科のモジャモジャくんか。これまた厄介な個性持ってんな。

途切れそうな意識を保つ為にダメ元で自分の頭を殴ってみる。これでダメなら大人しく負けてやるよ…

…意識がハッキリして来たな。衝撃で解除されるタイプか?

 

個性解除。

 

 

「フゥ…厄介な個性持ってるな普通科の。」

 

ハッキリとは判らないがモジャモジャくんの声がトリガーだと思う。でも聞いただけでアウトって事は無い。何回か声掛けてようやく条件に引っ掛かったみたいだしな。…回数か?もしくは反応を返すのがスイッチになってる可能性が高いな。

 

「は?何で解けてんだよ!?」

 

動揺してるな。…まぁ頭を殴れば解除出来るのが解ったから現時点ではそこまで驚異じゃないが。

 

「意識が飛ぶ前に自分を殴ってみたら解けたな。…お前、本気で勝ちに行きたいか?」

 

本気だから俺に個性使ってきたんだろうけど一応ね。

 

「…当たり前だ。俺にとってはまたとないチャンスだったのに」

 

悔しそうに答えるモジャモジャくん。…いや、だからさ

 

「じゃ、俺と組まないか?お前の個性、初見殺し性能が高いし俺とお前で組めば大抵の奴からポイント取れると思うぜ?」

 

対処方法が知れ渡る前なら爆豪からでも取れるだろ。…アイツが会話してくれるかはともかくとして。

 

「…他の連中に言い触らさないのかよ」

 

不審げに聞いてくるが…逆に聞きたいね。

 

「何で言いふらす必要があるんだ?組んでくれるならデカすぎるアドバンテージだし、組まないにしても他の連中にとっての地雷になり得るお前の個性を態々教えてやる必要性を感じないが」

 

周りは全員ライバルだぞ?そんな手を抜く真似する理由ねぇだろ。

 

「んで、どうする?組むなら早くしてくれ。周りが既にチームアップし始めてんだ」

 

残りの面子だと…葉隠さんはまだいるっぽいな。

最悪葉隠さんに土下座して2人で肩車しながら加速+透明な腕で奇襲戦法してもらうしか無くなるぞ…

 

「…わかった、組もう。他の面子はどうするんだ?」

 

「もうあんま時間無いからな。最悪俺とお前の2人で肩車だが…」

 

葉隠さんの方はもう組んだみたいだな。他のは…尾白くんが居るわ!超ラッキーじゃん!

 

「尾白くーん!まだ組んでないなら俺達と組まない?」

 

「端場?…別に良いけど、そっちの彼は?」

 

あ、まだ名前も聞いてねぇや。

 

「…心操人使、普通科1年。」

 

心操くん、覚えたぞ。

 

「そう期待の普通科、心操くん。彼の個性相当強いし俺もまぁそこそこやれるのは知っての通りだろ?勝ち目はあるぜ?」

 

どうかな…騎馬が2人になれば少し安定するんだけども。

 

「…オーケー、組もうか。心操って言ったね?俺は尾白猿夫。個性は見ての通り尻尾だ。よろしくね」

 

「助かる!…あ、心操くん。俺は端場走、個性は加速。よろしく!」

 

自己紹介が済んだ所で大体のメンバーが固まった様だった。

さて、後は作戦タイムと行きたい所だが…

 

「端場?心操とは知り合いじゃなかったのか?」

 

「いんや初対面…てわけでもないか。2週間くらい前にA組前で宣戦布告しに来たときにちらっと話してるし」

 

でも名前を聞いたのは今だね。と続ける。

 

「いきなり個性使って来てビビったけど。まぁ悪い奴じゃ無さそうだし」

 

「個性を?…心操、どんな個性なんだ?」

 

聞かれた心操くんは少し言い淀んでいる。…あぁ、初見殺し性能が割れるとヤバいからか?

 

「尾白くん、もし組まないとしても心操くんの個性の内容を他の皆には秘密にしてくれる?彼の個性初見殺しに特化してるっぽくて」

 

「言うなと言われたらまぁ、そうするけど」

 

尾白くんなら言わないでくれるだろ。少なくともこの体育祭中は。

 

「心操くんも良い?…少なくともこの体育祭中はこの場の3人の秘密にするよ。」

 

心操くんを見やると少し躊躇っているが…意を決した様に話し始めた。

 

「……俺の個性は洗脳。俺の問いかけに答えた奴を強制的に洗脳状態にする事が出来る。洗脳時は俺の意のままに操れるけど外部から衝撃、殴られる位の奴を受けると解除される」

 

…想像以上にヤベェ個性だったわ。精々停止させる位かと思ってたけど完全に制御下におけるのは強すぎるだろ。

 

「…それを端場に使ったのか?」

 

おっと、尾白くんが剣呑な空気を出し始めたな?

 

「…あぁ。2位のポイントは魅力的だったからな」

 

心操くんも言い方ぁ!余計に雰囲気悪くなるだろ!

 

「よし、2人ともストップ!心操は普通科で組む相手を探す伝手がなかったし、真剣に勝つ為にやった事だ。ルールにも反してないし俺も気にしてない」

 

尾白くんはまだ納得いってない感じがするな。

 

「…尾白くん。洗脳って聞いてやっぱヤダって言うならとめないよ。でもさ、コイツはマジでヒーロー目指そうとしてんだよ。それに個性を悪用しようとしてる訳でもないじゃん」

 

俺の個性だって悪用しようとしたら幾らでもやり方は思いつくし。

心操くんの洗脳なんてもろに犯罪利用出来そうだけどそれでもヒーロー科編入を目指してんだから心根は真っ直ぐだろ。

 

「それにさ、今こうして個性を説明してくれた心操くんの心意気を信じてくれない?」

 

…どうだろうか?

 

「そう、だな…心操、すまん。洗脳って聞いただけで悪い印象を持ってしまって…」

 

「…いや、良いよ。そう言われるのには慣れてる」

 

雰囲気が柔らかくなった。ま、尾白くん良い人だしヒーロー科目指して宣戦布告に来るような直球野郎とは相性良いと思ってたけども。これなら心操くんと2人で肩車作戦をしなくても良さそうだな。

 

「んじゃまぁ作戦会議と行きますか!」

 

残り5分くらいしかないけどね!

 

「俺が考えてんのは俺か尾白くんが騎手で心操くんは騎馬の後ろ担当してもらう形なんだけどどう?」

 

俺が騎手なら尾白くんのフィジカルで機動力を確保してもらい、心操くんの個性使って浮いてるポイントをもぎ取る。持ってるポイントは俺の個性で守るって寸法よ。

 

尾白くんが騎手なら俺の個性で2人を担いで逃げながら心操くんの個性でポイントを掻っ攫う。持ってるポイントは尾白くんのフィジカルで守ってもらいながら最悪は俺の個性で緊急脱出って寸法よ。

 

「…俺は騎馬確定か?」

 

「心操くん、そんなに身体作ってないだろ?最悪は爆豪と殴り合いになるけどどうにかできる?」

 

心操くん、多少は筋肉ついてるけど爆豪には勝てなさそうなんだよな…

 

「無理だな。騎馬も厳しいと思うんだが…」

 

「あぁ、そこは大丈夫。俺か尾白くんなら1人で支えて走り回れるから後ろで手を添えながら着いてきてくれるだけで良いよ」

 

「そう言う事なら俺が騎馬をやろうか。端場は騎手で防御に専念してくれる方が良さそうだ」

 

俺が尻尾で支えれば安定度は増すだろうしね、と続ける尾白くん。

 

「んじゃ、そういう形で行こうか。…狙いはどうする?」

 

1000万ポイント狙う?かなり博打になるけど確実に次に進めるチケットだし。

 

「1000万は現実的じゃ無さそうだ。間違いなく爆豪が来る」

 

「俺も同感。他で浮いたポイントを取りに行く方が良いと思う」

 

「了解。んじゃこまめにポイント稼いで、ピンポイントで心操くんの個性を使ってもらうのでどう?…衝撃で解けるなら心操の個性が決まったら直ぐに加速してポイント取りながら序に軽く殴れば周りにバレにくいと思うんだけど」

 

一瞬でも隙が出来れば十分だ。瞬間的に使うならそんなに負荷も掛からないし。

 

「解った。洗脳入ったら軽く背中を叩くからそれを合図にしよう」

 

「出来れば俺にも知らせてくれると助かる」

 

尾白くんもやる気になって来てくれた様で何よりだ。

 

「出来るだけ早くやるけどバレたらごめんな」

 

少しおどけて返すと苦笑して流された。

 

 

「さぁ!各自チームは組めたかしら!?そろそろ本戦、騎馬戦を開始するわよ!!」

 

ミッドナイト先生の声で即席チームがゾロゾロと集まった。

 

 

…爆豪ん所は切島くんと瀬呂くん、それに芦戸さんか。切島くんの耐久と芦戸さんの酸なら轟くん相手でもなんとかなるだろう。でも瀬呂くん?…まさか、空飛んで突っ込んだ後瀬呂くんに回収してもらう気か…?ルールを思い返しても反則に当たらなさそうなのがより現実味を与えてくるな。注視しておこう。

 

轟くんとこは予想外な面子だ。八百万さんに上鳴くん…広範囲攻撃がもう一人入ったようなもんだし、八百万さんに関しては何出てきてもおかしくない。最悪車とか出されたら終わるな…そこまでやれるかはともかくだが。

それに飯田くんか。てっきり緑谷くんと組むと思ってたが、これで轟チームは速度も手にした訳だ…うん、あそこは無視しよう。

 

んで、緑谷くん所は…常闇くんか。いい個性持ってたな…確かもう1人の自分みたいな影を操るタイプ。騎馬でも騎手でも要注意だ。あとは麗日さんと……誰?見覚えがないからヒーロー科じゃ無さそうだが、予選で予想外な方法を取って1位をもぎ取った緑谷くんの選んだチームメイトだ。一癖も二癖もあるだろうな…

 

 

 

『さぁて!全員組み終わったな!?準備は良いか?なんて言わねぇぞ!血で血を洗う雄英合戦夏の陣が始まるぜ!!』

 

さて、この即席チームでどこまでやれるかな?

 

『カウントダウン、3!』

 

鍵はお前だぜ心操くん?、と呟くと後ろで心操くんが身じろぎした。…宣戦布告した時の気概を見せろ!

 

『2!!』

 

上手く決まりゃここに居る全員を封殺できる個性なんだから頼むよ?今回はそこまでやらねーけど。

 

『1!!!』

 

んじゃま!本気で楽しんで行こうか!!

 

『スタートぉぉ!!!!』

 

 

 

雄英体育祭本戦、騎馬戦が開始した。全員が緑谷くん狙いって訳じゃないが強豪は狙いに行ってんな。

 

「俺らも行こうか。まずは周りで様子見してる連中から捕って行こう」

 

尾白くんと心操くんに声をかけると近くに居た知らない顔の騎馬に突っ込む。

 

「此方に来るのかA組!?」

 

B組の人?

 

「そりゃまぁ、あからさまに孤立してりゃ狙うでしょうよ」

 

尾白くんがフェイント入れながら近寄る。…心操くん、ほとんど引き摺られてね?

 

「舐めるなっ!」

 

騎馬の前担当してる奴の足が沈んで…地面が緩く成った!?

 

「尾白くん、一旦撤退!」

 

咄嗟に飛び退いた尾白くんの尻尾に乗っかる形で着いてくる心操くん。…もう少し運動出来るようになっといたほうが便利だよ?

 

「よく気づいたな?」

 

「個性柄ね。注意深くなってるんだ」

 

B組の人へと軽口をたたく。尾白くんが足元を警戒しながらジリジリと距離を詰める。その隙に小さな声で心操に聞く。

 

「心操くん、個性発動中のやつにお前の個性使うとどうなる?」

 

「基本的にはそのままだな。指示で上書きすれば停止出来るけど再度使用させるのはまだ無理だ」

 

こいつらに使うとネタバレする可能性大と。ん~……ヨシ!

 

「尾白くん、相手の横をすり抜けるように飛び越せる?飛んだ後は出来れば8メートル以上距離を取れると安全かな?」

 

緩んでる地面、半径5メートル位に見えるし。余裕そうな顔を見ると最大範囲はもっと広くなりそうだけど…

 

「…助走あるし、今の所からなら余裕で行けるけど何か作戦でもあるのか?」

 

「抜ける時にスリ捕る。無理なら逃げようぜ!」

 

あっけらかんと言い切ると苦笑しながら了解してくれる尾白くん。

 

「心操、俺の背中にしがみついてくれる?尻尾をある程度自由にしておきたい」

 

「あ、あぁ解った」

 

騎馬のポジションが変わり尾白くんにしがみつく2人の男子学生の図になった。うん、見た目悪いな!でも勝つためだ!!

 

「よし、行くぞ!」

 

一気に走り寄って跳ぶ尾白くん。

飛び出した瞬間に個性を発動して相手を観察する。

騎手は防御するような姿勢になってんな。…まぁ意味ないけども。

腕の隙間から鉢巻を掴んで引き抜く。

後は逃げ切りで終わり…と思っていたら茨?が此方に伸びてきてんな…うわ、何十本出てくんだこれ!?

左後ろの奴からドンドン伸びてきてやがる!

当たらないのは無視して当たるコースの奴だけ適度に払いのけたり他のと結び合わせたりしてるとようやく範囲外に抜けたのか追うのが止んだ。…大したスピードじゃなくて良かった。

個性解除。

 

「ッしゃ!さっさと逃げよう!」

 

走る尾白くんに告げて後ろをチラリと見るとまだポイントを取られた事に気づいて居ないB組が見える。

あ、茨ってあの子の髪だったのか。悪いことしたな…勝手に触ったり結んだりしちまったよ。

結ばれた茨に四苦八苦してるのを尻目に尾白くんが聞いてくる。

 

「で、首尾は?上手く行ったのか?」

 

「勿論。この通りポイントは頂いたよ」

 

自分の首にかけた2本目の鉢巻を見せながら答える。

まぁルール的にアイツらが逆襲しに来ることもあり得るし、適当に周辺の奴らからポイントを取るとしよう。

 

 

最初の攻撃から約5分後、適当なチームからポイントを頂いた俺達は更なる獲物を探している所だ。

 

「さて、次の獲物は…」

 

後ろから感じた気配を皮切りに個性を再起動。

 

振り返ると騎手の居ない騎馬があった。上を見ると爆豪が此方に飛んできてる。

こっちに来んのかよ。緑谷くんの方に行ってろよ…

突っ込んできた爆豪の右手の攻撃を弾いてカウンターで首元を狙う。…反応した?爆豪の左手が爆発して奴の軌道が右方向にズレた。

まぁ関係ないが。軌道修正して鉢巻を掴みそのまま爆豪を殴り飛ばす。…やけに軽いな?アイツやっぱ反応してるわ。

この速度の俺に対応してきた奴は初めてだが反射的に動くだけならただの的だな。

 

個性解除。

 

「あっぶねぇ!背後から爆豪チームが来てんぞ!!」

 

「いつの間に!?」

 

爆豪は瀬呂くんに回収されてったが…アレ有りなら爆豪強すぎね?

すげー顔で俺を睨んでるが、俺だけ見てて良いのか?

左側から他の奴らが来てるけど…あぁ、奇襲食らってら。

勝手に戦い始めた連中を置いてその場から逃げるチーム俺達。

 

「ま、ラッキーだったな。ポイントも増えたし」

 

爆豪から取ったポイントは残念ながらアイツのチームのものではなかった様で少し少ないものだったがこれで決勝進出は確定だろ。

 

「爆豪の襲撃を受けてラッキーとはね…」

 

「正直、飛んでくる爆豪はそんなに怖くないね」

 

地面に足がついてないなら自然と攻撃も軽くなるし、捌きやすい。

 

「アイツとやる時は気をつけた方が良いよ?俺の個性に反射的に反応して来た。まだ考えて動いてない分どうにかなるけど厄介な事に変わりはないから。」

 

「マジか…」

 

尾白くんが目眩を覚えたかのように頭を抱える。

目が良いのか反射神経が良いのか判らんけど厄介な奴が更に強いと判明しただけだろ。尾白くんならなんとかできるって!

 

 

 

「さて、後は終盤戦な訳だが…」

 

残り5分を切ってから周りの襲撃が激化して来た。

流石に個性を使い続ける訳にもいかず、何度か心操くんの個性を使って切り抜けたが…やっぱ埒外だな洗脳。

 

「皆大体緑谷くん狙い…てか1000万狙いだね」

 

「最後のワンチャンスに掛けるならそうなるよな」

 

尾白くんと心操くんはある程度打ち解けたのか大分気軽に話してる。…まぁ、最後にワンチャン狙いの奴らはそっちに引きつけられてるとして…

 

「何で爆豪はこっち睨んでんだと思う?」

 

緑谷くんの方に行かないでB組の騎馬連中からポイントを奪った後あたりからずっとこっちを睨んでるんだけど。

 

「さっき鉢巻奪ったからじゃねえの?」

 

「えぇー…言っちゃなんだけどコレそんな高く無いぞ?」

 

爆豪から獲った鉢巻を引っ張り出す。

…鬼の形相になってきてんな?

 

「あー…挑発みたいに取られたんじゃない?」

 

何だよアイツ、田舎のヤンキーでももっと温厚だよホント!!

 

「…心操くん、アイツが来たら適当に下の3人に声掛けてくんない?」

 

隙が出来ればどうにでもするから。

 

「了解。騎馬の連中の方で良いのか?」

 

「うん。爆豪だけなら弾き返せるけど4人纏って来られると実質尾白くん1人の俺達の騎馬じゃ押し負けるよ」

 

なんとも言えない顔で頷く心操くん。

しょうがないじゃん…心操くんモヤシとは言わないけど体力不足は否めないぞ。

 

「…来た!」

 

シビレを切らした爆豪が何か怒鳴りながら騎馬毎突っ込んで来る。

尾白くんが背走しながら報告してくれるが流石に3人対1人じゃ分が悪いな…!

 

「おーい、そこの下3人!…そうそうお前たちだよ赤髪、ピンク触角、ギャル男みたいな奴!!」

 

「何だ!?」

 

「ピンク触角は酷くない!?」

 

「俺だけ雑だろ!?」

 

心操くんの言葉に反応した3人が洗脳状態に成った。

背中を叩かれたから間違いないな。

 

「いいから止まれって!話があるんだよ!!」

 

この命令の仕方なら洗脳の発覚を遅らせられるな。相変わらず上手いやり方だわ。

 

「あぁ!?なんで止まっとんだ!!」

 

爆豪が目の前の切島くんを叩かなければ完璧だった…あの暴力ヒーロー志望め。

 

「んあ!?何だよ一体!?」

 

個性が解けたな。…でもま、残り時間を考えてももう俺達に構ってられないだろ?

 

「よし、逃げよう!…心操くん、もう個性解いて良いよ?」

 

凄い顔だな爆豪…殺しに来そうな勢いだが…1位狙うなら緑谷くんチームの方に行くしかないだろ?…ヨシ、向かったな。1位になるなら1000万ポイント取るしかないし、残り時間は緑谷くんと遊んでてくれ。俺らは適当に逃げ回るが。

 

その後、轟くんやら緑谷くんの周りでドタバタしたと思ったらブザーが鳴って騎馬戦は終了と成った。

 

プレゼントマイク先生がテンション高く発表したのを聞くと

 

1位は轟くんチーム。…1000万取りきったのか。流石だなぁ。

2位は爆豪チーム。まぁB組やら他の所から取りまくってたもんな。

3位はチーム俺達。入賞出来て一安心だわ。

4位はまさかの緑谷くんチーム。…1000万取られてもちゃんと稼いできたその手腕が恐ろしい。

 

以上4チームのメンバーが最終種目へと駒を進めることになった。

 

 

 

「2人ともありがとう、お疲れさん」

 

特に尾白くん。殆ど1人で2人分の重量を支えて走り回ってくれてたし。

 

「お疲れ様、2人とも」

 

「…ありがとうな」

 

素直じゃないな心操くんは。

 

「…例年通りなら決勝は個人戦だし、こっから先はライバルだ…当たったら本気で行くからよろしく」

 

「個性の種割れてるのにすげー自信だな…まぁ、そう言うの嫌いじゃないぜ!こっちも本気で行くから恨むなよ?」

 

「端場はそう言うのが好みなのか。…ま、恨みっこ無しでやろう。個性の件は黙っておくよ」

 

フェアじゃないけど、元チームメイトだしそのくらいはね。と続ける尾白くん。なんだかんだ言って心操くん気に入ってんだろ。

 

「…ありがとな」

 

 

背を向けて去っていく心操くんを見やりながら隣の尾白くんが話しかけてくる。

 

「…初見であの個性、抜けられるか?」

 

「抜けられたからチーム組めたんだよ?」

 

抜け方くらいは良いか?…元チームメイトだし。

 

「アイツの個性に掛かると意識が薄れる感覚が来るから完全に意識が飛ぶ前に自傷すれば良い」

 

衝撃で解けるんだからそれなりの力で頭殴れば解決って寸法よ。

 

「…やっぱ大概だよな、端場の個性」

 

「相性が良いタイプだったのが救いだね。瞬間的に固定して来るタイプだと後から加速しても間に合わない」

 

多分、尾白くんも覚悟決めてれば出来ると思うけど…

 

苦笑しながら首を横に振られた。

ま、対処が無理なら掛からないように立ち回れば良いだけだし…心操くんの個性は知っていれば回避しやすい類のものだ。

 

 

 

何にせよ、午後からの最終種目で最後だ。昼メシ食って少し休もう…流石にクールタイム取らないと頭爆発しそうだわ。

 

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