加速少年の英雄希望   作:月面旅行BD

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第1回戦、或いは品定め

 

 

昼休憩中に大分面白い事になってたみたいだが俺は個性の使い過ぎでダウンしてたからちゃんと見れなかった…A組の女子がチアガールやったってホントなの?

 

「そーだよー!皆可愛かった!」

 

葉隠さんはそう言うの気にしない質なんだな…

 

「それよりももう大丈夫なの?昼休み中ずっと寝てたみたいだけど…」

 

「まぁ、最大で4回勝てば良いし。そのくらいなら大丈夫だと思う…多分。」

 

轟くんか爆豪と当たると長引きそうだからちょっと不安だが…それ以外を速攻で片付ければどうにでもなるだろう。

 

最終種目はよくある一対一のトーナメントバトルだ。

場外に落とされるか自分で敗北を認めれば終了。先生が勝負ありと判断しても終了。

 

「トーナメント表は対戦前に発表って話だし、こればっかりは運だからなぁ」

 

「でもこの方式なら端場くんが有利じゃない?」

 

まぁ目の前にいてヨーイどん!なら俺より早く動ける奴は居ないと思う。場外で敗北だから触れる事さえ出来ればほぼ勝確なんだけど…

 

「飛べる奴だと場外負けにし難いし、広範囲攻撃されると場内で逃げ切れるか怪しいんだよね」

 

思ったより狭い場合は轟くんの開幕ブッパで全員敗退する気がする。もしくは爆豪なんかは空飛べるから空中戦になるんじゃない?

 

「ま、やれるだけやってみるよ」

 

皆本気でやってんだから本気で向かわなきゃ失礼だもんな。

 

 

 

 

 

「さぁ、皆集まったわね!今から対戦相手をくじ引きで決めてもらうわよ!!」

 

くじ引きか。マジで運任せだな。

 

「1位のチームから順に引いてって頂戴!!」

 

轟くん達が引いていく。…轟くんは端っこの方か。なるたけ離れた所だと楽なんだけど…

 

「次は2位のチーム!」

 

爆豪は…げ、反対側の島かよ…どっち引いても面倒な奴がいるとか貧乏くじ確定のガチャじゃん。

 

「んじゃ、次は俺達だな。」

 

さてさて俺の対戦相手は〜…切島くんか。まだ何とかなる相手だな。

 

「俺の相手は端場か!正々堂々やろうぜ!!」

 

「勿論。本気で行かせてもらうよ」

 

相変わらず男らしいな。

 

「最後に、4位チーム!」

 

緑谷くんは…心操くんとか。初見殺しの心操くんに勝てるかな?

飯田くんは緑谷くんとこの…発目さん?が相手なんだ。あの子確かサポート科の子だよな…戦闘系の個性相手にやりあえる何かがあるのかな?

んで持って麗日さんが爆豪の相手、と。厳しいと思うけど何とか倒してもらいたい。

 

「じゃあ早速第一回戦、やっていきましょう!!」

 

 

『ヘイリスナー!ガチンコの一本勝負、第一回戦やっていこうぜ!!』

 

プレゼントマイク先生がノリノリだわ。

…最初は緑谷くんと心操くんか。さて、最初の一言で決まるがどうする心操くん?

 

『普通科の星!先ほどの騎馬戦では目立ってなかったダークホース!心操人使!!』

 

…うんまぁ、目立ってないなら上手いこと隠し通せたみたいだな。

 

『対するは予選で予想外の爆発力を見せたA組の緑谷出久!!驚くべきことに未だ個性を使用している様子が見えていないぞ!!』

 

…というか個性は使えるのか?自爆しながら使うとか全国放送でやらないでくれよ緑谷くん…

 

『そんじゃ…バトルスタート!!』

 

 

 

「なぁ、緑谷って言ったか?お前禄に個性使ってないんだって?流石はヒーロー科のエリート様だ。俺みたいな雑魚とは違うってか?」

 

馬鹿にするような、卑屈な様な言葉で緑谷くんを煽る心操くん。

 

「…ッそんな事は」

 

あぁ…終わったな。

 

『なんだぁ!?緑谷の動きが止まったぞ!?』

 

心操の個性は知らないと対処するのが難しい。そして一度掛かってしまうと外的要因以外で解除する事が出来ない強力な初見殺しだ。

 

「悪いな…そのまま場外まで行ってくれ」

 

心操くんの言葉に従って場外へと足を進める緑谷くん。

 

『これは一体どういう事だ?緑谷が場外へと歩いて行く!!棄権するのか!?』

 

会場もざわめいている。そりゃそうだ、初戦からすげー地味な終わり方だもんな。でもけが人なしで終わる一番平和的な決着だろ?

 

『いや、ギリギリで止まった!棄権しないのか緑谷!』

 

まさか、意志で止まれるのか?心操くんの顔を見ると信じられないといった面持ちだ。

 

「頼む…降りてくれ。俺だってヒーローになりたいんだ…一度でも良いからチャンスをくれよ…」

 

祈るような声が聞こえた。…洗脳なんて個性だ、幼い頃から偏見の目で見られる事が多かったんだろう。それでもヒーローを目指して正面から挑む精神性を俺は尊ぶ。

 

後一歩で場外という所で微動だにしなくなった緑谷くん。

…左手が少し動いたか?と思った瞬間に凄い音が鳴った。

 

「…っはぁ!体が動く!?」

 

緑谷くん、洗脳を解きやがった!?どうやって…!

 

『緑谷、左手で個性が暴発したか!?』

 

…アイツ自爆しやがったな!左手の小指が紫色に変色してるじゃねえーか!!

 

「クソッなんでだよ!?なんでお前らばっかり…!」

 

心操くんが焦りと怒りの綯い交ぜに成った言葉をはくが緑谷くんはもう反応を返さない。

無言のまま心操くんを殴りに向かう。

 

「良いよな!わかり易くヒーロー向きの個性を持って生まれた勝ち組は!!」

 

必死に凌いでるが…自力の差が出てきてるな。

心操くんの身体能力はよく言って下の中程度だが緑谷くんは中の下程度には動けるから個性がきかないとジリ貧だ。

 

「俺だってお前らみたいな個性だったら…!」

 

…限界か。まぁ、まともに人を殴ったことなさそうだもんな心操くん。緑谷くんの猛攻に耐えきれず場外へと追いやられた。

 

「心操くん場外!!緑谷くん2回戦進出!!」

 

『勝負あり!途中まで良く分かんなかったが最後は緑谷の自力勝ちだったな!!』

 

『…寧ろ最初の方を評価すべきだと思うがな』

 

プレゼントマイク先生が勝敗を告げる後ろで相澤先生が心操くんを評価していた。…そりゃ洗脳なんて個性持ち、相澤先生が知らない訳無いわな。いざという時に穏便に抑えられる唯一の人だし。

 

「…負け、か。儚い夢だったな…」

 

悔しそうに下を向く心操くん。…場内がザワザワしてきて聞き取りにくいがプロヒーローの中には心操くんの個性を見抜いたらしき人達が真剣な眼差しで見ながら他のヒーローと話してるのが漏れ聞こえる。

 

「あの子の個性、声に反応するタイプの発動型か?一時的とは言え対象を無傷で捕縛出来る個性持ちがなんで普通科に…?」

 

「純戦闘型の個性持ち相手でも止められる可能性があるぞあの子。…卒業したらうちに来てくれないか声掛けてみるか?」

 

うん、そういう反応になるよね。制圧する際に被害を最小限に出来るって考えると現場で輝くだろ洗脳。

 

退場して行く心操くんに観客席から声援が飛んでいる。

ここからじゃよく聞こえないが心操くんの顔が上がって緑谷くんに何かを言ってるみたいだ。

…持ち直した様で何よりだ。諦めない奴は好きだぜ心操くん。

 

何にせよ第一回戦は緑谷くんの勝ちだ。…てっきり心操くんが勝つと思ってたが分からないもんだな。

 

 

 

 

 

続いての轟くんと瀬呂くんの試合はまさしく秒殺で終わった。

開始と同時にバカ見たいな氷山を作り上げてフィールドの半分を瀬呂くん毎凍らせて勝利だ。

 

…ドンマイコールで場内が満ちたがもうドンマイとしか言いようがねーよアレ。毎回あれで勝負が着きかねないぞ。

 

その次の飯田くんと発目さんの試合も別の意味でドンマイだったが。何か通販番組見てる見たいな気分だったわ。結局発明品を披露し終わった発目さんが自分から場外に降りて飯田くんの勝利で終わった。

 

試合は続いて盛り上がったり玄人好みな試合運びに会場が沸いたりとしていたが…いよいよ俺の番に成った。

 

 

 

『さて、ここでA組の謎の男!いつの間にか上位に着けてる端場走VS硬さなら誰にも負けない不倒の男!切島鋭次郎の試合だ!!』

 

ヒデェ説明だこと。ま、見えないならしょうがないか。

 

「よーし!気合い入れていくぜ端場ぁ!」

 

「それで耐えられるか見物だよ切島くん!」

 

互いに吠える。テンションは最高潮だ。

 

「両者共に準備は良い?…試合開始!!」

 

ミッドナイト先生の合図と共に個性を発動させる。

 

少し距離があるものの俺にとってはほぼ無いに等しい。

切島くんの方に駆け寄ると個性を発動している最中なのか手足から硬化しているのが見て取れる。

まだ硬化していない胴体を思いっ切り殴りつける。

少し後ろに重心がズレたな。横に回り込んで胸の辺りを押す。

上体が後ろに逸れ始めた。踵辺りを払って完全に空中に浮かせる。

再度正面に戻って全力で体当たりすると場外へと飛んでいく切島くん。

 

完全に場外に出た所で個性を解除。

 

「おわぁぁあ!?」

 

「え!?」

 

『何が起きたんだぁ!?』

 

空中で身動きが取れない切島くんは敢え無く場外に落ちた。

 

「…先生、場外ですよ?」

 

ミッドナイト先生に伝えるとようやく気づいたかのように

 

「き、切島くん場外!端場くん2回戦進出!!」

 

よし。この調子ならまだ行けるわ。

 

『えぇー…何が起きたんだ一体…』

 

『…個性を使った結果だ。』

 

会場もザワザワしてるな…

 

「いつつ…やっぱ端場相手にヨーイどんじゃ勝てないか…」

 

切島くんが戻って来た。ちょっと意気消沈してる…すまん、でも

 

「完全に硬化されると泥試合になりかねないから。悪いけど先手必勝で場外に飛ばさせてもらったよ」

 

先に足先だけでも硬化して地面にアンカーみたく固定されてたら厄介だったけど、と伝えると

 

「その手があったか…次はもうちっと作戦考えてくるわ…」

 

と肩を落として退場して行った。さて、俺も次に備えて休んどかないとな…多分爆豪が相手だろうし…

 

『イレイザーヘッド、お前んとこの生徒ヤベー奴ばっかりじゃね?』

 

『将来有望と言ってやれ』

 

プレゼントマイク先生と相澤先生のやり取りを聞き流しながら控室へと戻る。

 

 

 

 

次の試合まで少なくとも20分はあるな。少しでも脳を休ませておこう…

 

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