加速少年の英雄希望   作:月面旅行BD

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第2回戦、或いは敗北の味

 

 

観客席で応援するよりも選手控室で回復に努めてたから自分の番以前の詳しい試合運びは後々聞いた話になる。

麗日さんが爆豪に一泡吹かせかけた話だとか、緑谷くんが轟くんに左側を使わせた代償に両手ズタボロにしただとか…緑谷くんに関しては暫く個性の訓練とかカウンセリングなんかを付きっきりで受けた方が良いんじゃないかな…ヒーロー科云々依然の問題な気がする。

 

 

…さて、次は爆豪との試合な訳だが。

さっきみたく速攻が決まれば勝てるとは思うんだが空を飛べる個性だから一度取り逃がすと個性の性質的にジリ貧になって負けるだろう。

最善は初手で意識を飛ばす事なんだけど…無理筋だろうな。

 

 

『そんじゃ、そろそろ次の試合に行くぞ!!』

 

出番か。緊張して来たわー。

 

『何やってんのかわかんねぇヒーロー科の速すぎる男!!端場走!!』

 

軽く会釈をしながらフィールドへと上がる。

俺の個性に関して公開されたみたいだな。まぁ隠してないんだけど。

 

『実力は折り紙付きだ!ヒーロー科の爆発男!爆豪勝己!!』

 

何時も通り、凄い顔で此方を睨みながら登場する爆豪。

 

「手ぇ抜いたらブッ殺すぞ早送り野郎」

 

何時も通りで安心するわコイツ…仲良くなろうとしなくても良いって思うと気が楽だ…

 

「あ?誰に向かって言ってんだ爆発野郎」

 

んでもって気を使わなくて良いなら雑に扱える。

気を使わなくて良いのは楽で良いや…

 

「せめて5秒は耐えてみせろよ?大口叩いて瞬殺じゃカッコつかねーからさ」

 

意識して挑発してやる。おお怖、人を殺せそうな目つきしてらぁ。

これで少しでも冷静さが無くなってくれれば御の字だが…

 

「えー…と、両者共に準備は良いかしら?……スタート!!」

 

 

ミッドナイト先生の合図と共に加速開始。

 

爆豪は開始と同時に両手を爆発させて周りのフィールドを砕いて散弾みたいに撒き散らして来た。

迂回させたいのか?じゃあ無視して突っ込むわ。

飛んでくる瓦礫を回避しながら最短ルートでたどり着くと空へ飛び出そうとしてる爆豪が居た。

足を掴んで俺の開始地点に向かって走る。少し抵抗されるがお前の爆発させる間隔よりも加速中の俺の方が速い。問題なく引っ張り出せた…が。

今日一日で個性を使いすぎたか?限界が近くなってきてやがる。

一旦個性を解除しないと不味い。

爆豪を前方の石畳?に向けて投げつけるがどうせ受け身取ってすぐに襲ってくんだろーなぁ…

 

加速終了。

 

「ッだらぁ!舐めんな!」

 

「!?テメエこそ舐めとんじゃねえぞ!!」

 

もうヤダこいつなんで地面に着く前に体勢立て直せんだよ…対応力のバケモン過ぎるだろ…

 

『おぉっと一瞬で位置が変わったぞ!?もう何が起きてんのか分かんねーな!!』

 

『実況に向かん個性だからしょうがないだろう』

 

うーん…デメリット、かなぁ?大抵はわからん殺しが出来るからメリットな気もするが人気商売だとぱっと見で判りづらいのはデメリットにもなり得るな。

 

「油断してんじゃねぇぞ早送り野郎!!」

 

爆豪が即座に突っ込んでくるのを見てから個性発動。

 

右手の大振り…は囮で本命は左手か。

右手を避けて左に合わせてカウンターを入れる。

少し身体を捻って回避行動を取ろうとしてたが…キレイに入ったな。流石に至近距離で行動に割り込める程の反射神経はしてないか。

 

個性解除。

 

「がッ…!?」

 

「油断?…余裕と言ってもらいたいね!」

 

実際は余裕無いんだけど。連続発動で頭が熱持ってきやがったわ。

 

『キレイにカウンターが決まったー!これは痛い!!』

 

手応え的に効いてるはずなんだが…想定よりダメージが入ってないな…

 

「クソがッ!」

 

地面を爆破させながら上空に飛び上がる爆豪…ダメだな、今はクールタイム置かないと継戦不可能になる。

 

「逃げんのか?掛かって来いよ!」

 

片手でヒョイっと手まねきしながら挑発。

…乗ってこないか。まぁそれなら個性のクールタイムを稼げるから構わんけど。

 

『爆豪が空中戦を選択!これは端場にとって苦しい展開か!?』

 

『端場には遠距離の攻撃手段がないからな。主導権は爆豪が握ってると言っていいだろう』

 

まぁ最初から爆豪主導で俺は対応してるだけなんだけど、傍から見たら俺の方が優勢に見えるだろうしな。

 

…何処まで上がるつもりだアイツ?一息着くってレベルじゃねえぞ?

 

『おおっと爆豪、ここに来て初めて距離を取る選択か!?』

 

『そんな大人しい奴じゃない。何か仕掛けるつもりだな』

 

相澤先生の言う通り、爆豪が消極的な戦法を取るとは考え難い。

何か大技でも仕掛けてくんのか?

 

「くたばりやがれ早送り野郎ッ!!」

 

爆風で加速しつつ回転しながら突っ込んでくる…?

バカが!加速中の俺から見たらただのカモだぞ!?

 

個性を発動して爆豪の飛んでくる位置を確認。

 

直撃コースか…今度はギリギリで回避して直撃させてやるよ。

俺に伸ばした右手の爆発が当たる直前で着弾位置からズレて今度こそ意識を奪い取る様に顔面にカウンターを入れる。何だコイツ、笑ったのか?

直撃させる寸前で爆豪の口が弧を描いたのを見た気がした…と同時に爆豪の背後に回されてた左手と俺に向けられてた右手による大爆発が爆豪と俺を襲った。マジかコイツ自分諸共爆発に巻き込みやがっただと!?

咄嗟に後ろに飛び退いたが爆風に巻き込まれて宙を舞ってしまった。

ヤバい!?空中じゃ身動きが取れない!!

爆煙で爆豪の位置どころか地面も見えない…!

 

着地で受け身を取って自分の位置を確認した瞬間、個性を解除した。

 

「ッやられた…!」

 

あの野郎、顔に見合わず味な真似してくれるじゃんか。

場外に弾き出されて敗北か…。爆豪はどうなった?思いっ切り殴ってやったし、すげぇ良いのが入った感覚が有ったんだけど…

 

『大爆発!!端場が場外に弾き出された!!』

 

煙がはけるとそこには膝をつきながら何とか立ち上がろうとしている爆豪がいた。…マジかよ、確実に意識奪ってやったと思ったんだが。

 

「端場くん場外!!爆豪くん準決勝進出!!」

 

ミッドナイト先生の宣言で俺の敗北が確定した。

うわぁ恥ずかしい…あんだけ大口叩いておいて負けちまったよ…

 

「爆豪くんは保健室へ!!端場くんは…大丈夫そうね?」

 

一応爆発の瞬間に後ろに飛んだから直撃は避けられたし…そのせいで飛距離が伸びて場外に飛び出しちゃったけど。

 

「えぇ、直撃してませんから。…俺は観客席に戻ります」

 

ミッドナイト先生に軽く会釈をしてから退場しようと出口へと歩いて行き、途中で運ばれていく爆豪と別れて踵を返して観客席へと向かう。

 

「今年の1年は粒揃いだな…」

 

「あぁ、ヴィランの襲撃を退けたのも頷ける」

 

「でも挑発してた割に随分アッサリと勝負が着いたな…」

 

観客席の声を聞くに大分高評価だったみたいだ。それだけは救いだな…大口叩いて負けた事を揶揄する声も無くはないが。自業自得として受け入れよう…

 

 

クラスの皆が集まってる席に行くと葉隠さんが出迎えてくれた。

 

「おかえり!凄い試合だったね!」

 

他のクラスメート達も口々に感想を言ってくれる。

 

「あの爆豪相手に膝を着かせるとはやるな!」

 

「途中まで優勢に見えてたけど最後は爆豪の作戦勝ちって所か?」

 

「やっぱ爆豪と轟は1枚上手だよな…」

 

「バカ言え、どっちが勝つか分かんねえいい勝負だっただろうが」

 

結構盛り上がってた様で何よりだ。

 

「最後はなぁ…欲張っちゃったのが敗因だったかな。爆豪のタフさは最初のカウンターで思い切ったし、チマチマ殴ってもジリ貧になるのが目に見えてたから絶好のチャンスだと思ったんだよね…」

 

態々速度つけて飛び込んで来てくれたもんだから嬉々として殴りに行ったら返り討ちにされちゃったぜ!と続けると少し笑いながら慰めてくれる皆。いい人達だ…

 

「ま、ドンマイドンマイ!次に勝てばいいじゃん!」

 

「うん、凄かったよ…何が起きてるのか半分位解んなかったけど」

 

「えぇ、完全に対処されていたのですから胸をはって良いと思いますわ」

 

あったけぇよ皆…得難いクラスメート達で良かった…

 

「ありがとう。そう言ってもらえると気が楽になるよ」

 

緑谷くんは何か考え込んでるみたいだが…

 

「緑谷くん?どうかしたのか?」

 

「!いや、何でもないよ!!」

 

慌ててこちらに向けて手を振ってきたが、ヤベェ怪我じゃん…あんま動かさない方が良いよ?

 

「う、うん…気をつけるね…」

 

「…さっきの爆豪に気になる所でもあった?」

 

何か爆豪って緑谷くんを意識してる節があるし、逆も然りだし。

 

「えぇと…うん、かっちゃんらしくないな、って」

 

「爆豪らしくない?…まぁ、頭使ってルール上の勝利を獲りに来てたっぽいのは確かにキャラじゃないとは思うけど」

 

イメージとしてはうるせぇ死ね!って感じのクソ脳筋蛮族だ。

 

「ハハハ……かっちゃんて完全勝利に拘るタイプなんだよ。それが判定勝ち狙いだなんて…」

 

あー…そういう?それなら多分…

 

「判定狙いじゃなかったんじゃない?あの自爆モドキで俺にダメージ与えて普通に追撃する気だったと思うよ?」

 

殴る直前に笑ってやがったからなアイツ。してやったりって面しやがって思い出してもムカつくわー。

 

「相打ち気味に撃ち合えばダメージレースで負けるのは俺だし。あんだけ広範囲に爆撃できるなんて思ってなかったわ」

 

だから態とカウンターしやすい様に真っ直ぐ飛んできたんだろう。そこで自分毎吹っ飛ばしてダメージを取ろうとしたんじゃね?…若しくは回避させて爆煙で目眩ましをする気だったか。

 

「1回目のカウンターで俺の火力の無さが露呈しただろうしね。耐えられると踏んで早めに方を付けるために特攻したんじゃない?」

 

そんな舐めた感じじゃないにしろ結果的に直ぐに立てないくらいには脳を揺らしてやったが。

ま、詳しいことは爆豪が戻ってきてから聴けば良いでしょ。俺はごめんだけど。

 

 

 

再度乾いた笑いを上げてから気不味そうに会場へと目を向ける緑谷くん。

 

 

 

 

 

 

…うーん、やっぱ何かあるよな爆豪&緑谷くん。友達って感じじゃないし、何繋がりなんだろ?

 

緑谷くんって言い方は悪いけどあの爆豪が意識する程のタマじゃ無いように思えるんだけどな…

確かに精神性は化け物じみてるし、頭も回るけどそれ以外がお粗末だし。ライバル視するなら轟くん辺りだと思うんだけどやけに緑谷くんに突っかかるんだよな…

 

緑谷くんも爆豪相手には普段より感情的になりやすいみたいだしさ…アイツら同じクラスにしたの失敗じゃね…?

 

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