加速少年の英雄希望   作:月面旅行BD

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祭りの終わり、或いは後の祭り

 

 

トントン拍子に試合が続いて最後は轟くん対爆豪という粗方想像通りのマッチに成った。…常闇くんなんかはいい線行ってたけど相性悪すぎたな。光が弱点の奴相手に爆破の個性はちと厳しかった様だ。

 

「さて、轟くんと爆豪のA組最強決定戦みたいになった訳だけども」

 

「どっちが勝つと思う?」

 

葉隠さんに聞かれたが…

 

「んー…素の身体能力なら爆豪。対応力はトントン。個性の範囲、威力は轟くんだと思うけど…純粋にヨーイドンなら爆豪かな?」

 

一度近づければ爆豪が一方的に畳み込んで終わるんじゃね?そもそも近づけるのかって問題があるが。

 

「でもまぁ轟くんが緑谷くんとの試合で使ったっていう左側が未知数だし」

 

炎有りなら個性の一点で爆豪を突き放せるポテンシャルが有る。

訳わからん爆発力でセメントス先生が介入しなかったら会場毎吹っ飛ばしてたって話だったしな…

 

「轟くんがどれだけ本気、全力で個性を振り回すかに掛かってると思うね」

 

話にを聞くに対緑谷くんの時みたいにぶっ放されたらいくら爆豪でも耐えられないと思う。

 

「そっか…てっきり爆豪くんが勝つって言いきるかと思ってた」

 

「えぇ…なんで?」

 

本当に何故?確かに強いけど轟くんも大概じゃん。

 

「"俺に勝った奴が負けるわけない"とかそういうやつかなと」

 

悪戯っぽい声色で答える葉隠さん。

 

「…今回のは場外負けだし。爆豪が強いのは認めるけど今すぐ再戦しても勝ち目が薄いとは思わないよ」

 

あのタイミングならすぐに立てない位にはダメージ与えてやれるってのが判ったから次は顎砕く勢いでぶん殴って確実に意識奪ってやる。

 

「それに、俺を比較対象にして言うなら轟くん相手の方が厄介だと感じるから轟くん優勢って言うよ」

 

今回のルールだとあの氷結は俺の個性と相性が悪い。フィールド全体を凍らされると飛び掛かる位しかないわけだが、空中の俺は身動きが取れないから落下する迄タダの的になる。

 

…あぁ、爆豪もそれ狙いだったのか?最後の特攻で浮かせて追撃、そのまま空中戦に移行されたら封殺されかねないわ。

 

「素直じゃないね~」

 

ニヤニヤと笑ってる雰囲気を感じる。

 

「人をツンデレキャラにするのは辞めてもらおうか」

 

 

憮然として言い返す。

しかも相手が爆豪?…寒気と吐気がするわ!

 

「ごめんごめん!爆豪くん相手だと感情的になるからちょっとからかいたくなっちゃって!」

 

「どう思われても良い相手なら雑に扱えるしね。それが他の人に対してと違うってのは認めるよ」

 

逆に特別扱いしてる様なもんだから…

 

「ふーん…何で爆豪だけなの?」

 

「爆豪に俺と仲良くする気が無いから。そんな奴に気を使って()()()()()()()つもりは無いからね」

 

何で仲良くするために機嫌伺わなきゃいけねーんだよって話。

友情って互いに尊重出来る間柄にのみ存在すると思うんだよね…

 

「あー…でもまだ一学期だし、これからどうなるか分かんないよ?」

 

葉隠さんはそう窘めてくるが…

 

「この年で初手から喧嘩腰の奴が後から丸くなるとは思えないよ?あれはもうそう言う生態なんだと思う」

 

別に仲良くしようとする奴がバカとは言わない。寧ろ仲良くなろうと努力する奴は凄いと思うし尊敬する。

俺はゴメンだけど。

 

「気の合わない奴と仲良くなる努力をする位なら気の合う奴と仲良くする時間を増やすね俺は。」

 

「うーん、こっちも対人能力に少し難有りか」

 

お、気性難扱いか?

 

「別にクラス全員と仲良しになれって訳でもなし。当たり障りない会話が出来れば後はどうでも良いでしょ」

 

仲良くできるかは相性次第な所が大きいもの。

俺は対等な友人関係が欲しいんだ。

 

 

『さぁ、いよいよ決勝戦だ!!』

 

 

おぉ、ちょうど良く決勝開始か。

 

「始まるみたいだね」

 

「そうだね…」

 

なんか少し疲れてる?大変だったものね雄英体育祭。

 

さてどうなるかな?どっちが勝ってもおかしくない組み合わせだし、1年の最強決定戦としては相当見応えあるだろこれ。

 

 

 

試合が始まってから数分後、状況は爆豪有利に進んでいた。

 

あー…轟くん、なんか不調気味?なんか動きに精彩を欠いてるっていうか時折躊躇ってんのか反応が数瞬遅れてる時があるな。

 

「爆豪くんが勝ちそうじゃない?」

 

葉隠さんの言う通りこのままなら爆豪の勝ちで間違いないだろうな。

 

「轟くんは左側()の個性を使わないのかな?空中戦も出来る爆豪に凍結だけじゃ分が悪いぞ…」

 

話に聞く炎の個性を使えばすぐにでもひっくり返せそうなモノだが、爆豪の爆発力は時間が経てば経つ程に強力になって行く。

…あぁ、遂に氷の壁が片手の爆破で粉々になるレベルまで威力が上がったな…こりゃ決まったかな?

 

 

「お、使うか!?」

 

轟くんの左手から炎がチロリと出てきた。

それを見たのか俺の時みたいに上空へと飛び上がっていた爆豪が回転しながら轟くんへと突っ込んで行く。…あれもしかして必殺技か何かなん?

着弾寸前で両手を轟くんへと向けた。

轟くんは左手を出しかけて、下ろした。

大爆発。轟くんは場外までふっ飛ばされていた。

うわぁ自爆無しの指向性持たせたパターンだとああなるのか。

避けやすいし…俺に撃ってくることは無さそうだな。

 

 

『轟焦凍、場外!爆豪勝己の勝利!!』

 

 

呆気ない決着だったな。結局炎は使わずじまいだし…まぁ、使う使わないは本人次第。使わないで負けるのも選択だろうけど。

うわ、爆豪ブチギレてんじゃん…ミッドナイト先生に即座に鎮圧されてら、ウケる。

 

「ミッドナイト先生凄いな、爆豪が瞬間で落ちたぞ」

 

「今の試合見てて最初の反応そこであってる?」

 

判ってないね葉隠さん。

 

「本気出してない轟くんが爆豪に勝てるわけないじゃん。」

 

寧ろ勝てると思ってたならとんだ思い上がりだろう。凍結のみで個性頼りの節がある轟くんが接近戦もいけて反射神経がバケモンの爆豪に勝つなら瀬呂くんの時以上の凍結をぶっ放しまくる位しかない。…爆豪なら爆破で避けるか防ぎそうだが。

今回はそれすらもやってない。もう舐めプしてたと考えても

 

「…やっぱり爆豪くんの事好きなんじゃない?」

 

「別に嫌いじゃないよ?」

 

ああいう貪欲に一番を目指すタイプは嫌いじゃない。

ただ単に無理に仲良くなる必要は無いと思ってるだけで。

 

「じゃあ仲良くすれば良いじゃん?」

 

んー…何て言ったらいいのか…

 

「仲良くするにはさ、一方的に気を遣うだけじゃダメだと思うんだよね」

 

俺が爆豪に話しかける時に気を遣うのに、爆豪が話す時は気を遣わないならそれは主従関係とどう違うんだ?

 

「俺は友達が欲しいけどボスが欲しい訳じゃない」

 

少なくとも対等じゃないならお断りだ。

 

「だから爆豪には気を遣わない事にしたし、言われたら言い返す事にしたんだよ」

 

それで爆豪に嫌われるならそれで良いやって諦めたとも言う。

 

「言ってる事は分からなくもないんだけど…」

 

何か奥歯に物が挟まってる様な口調である。

まぁ、ほらなんていうかアレだよ

 

「礼には礼をっていうじゃん?礼儀正しく来るならできる限りの礼は尽くすよ。でも無礼者にまで振る舞う事は無いと思うんだよね」

 

無礼には無礼で返すのが正解だとは言わないけど。

どう思われてもいい奴に嫌われても別に痛くも痒くもないって話。

 

「あり得ないだろうけど爆豪が改めるなら変えるよ?」

 

「やっぱり対人能力に難有りだね!」

 

呆れたように笑う葉隠さん。諦めてくれたかな?

 

「クラスメートと仲良くなろう作戦は大体上手く行ったし、俺は悪くないと思う」

 

初日に葉隠さんが手助けしてくれるって言ってた件は爆豪以外とは上手くいってる…ハズだ。多分。

 

「我が強いよねー。ヒーロー科は皆そうだけど」

 

笑ってる雰囲気はあるが、確信が持てない。うん、透過の個性って日常生活においては不便な点が多いな。主に相手に強いる形だが。

 

「そりゃ300倍の倍率を潜り抜けた連中だよ?自信のないヤツなんて居ないって」

 

多少フザケて返すと空気が弛緩したのを感じた。

 

「さっき葉隠さんが言った通り、後3年くらいは一緒に学ぶんだしそん中で何か変わるかもしれないしね」

 

「そうだと良いね」

 

優しい声で返答してこの話は終わった。

数年後にこの時の会話をネタにして揶揄われる事になるのだがそれはまた別の話である。

 

 

 

 

そのまま表彰式に参加したんだがあれ、全国放送されたんだよね?

…あぁそう。1位の爆豪が磔台に固定されながら2位の轟くんに吠えようとしてるあの黒魔術の儀式見たいなのがね…

せっかくA組でワンツースリーフィニッシュだってのに奴のお陰でヤベェ狂犬が居るって事のほうが印象深く成っちまったわ。

 

アイツもう表に出すの止めね?暫くの間対外的に対応するの飯田くんとか八百万さんで固定しようや…

 

何か最後の表彰式でドッと疲れた気がするわ。もう帰って寝よ…

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