加速少年の英雄希望   作:月面旅行BD

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今回は短めです。…繋げたらバカ長く成りそうなんで一区切り着いた所で切った結果ですが楽しんで頂けたら幸いです…


期末試験、或いは補習地獄への道

 

 

「よし、全員席に着いたな。そろそろ期末試験も近いが…それが終われば夏季休暇が始まる。でもヒーローを目指すお前達に30日も丸々休暇を謳歌している暇はない…そこで」

 

言葉を切る相澤先生。

クラスメートが息を呑んで次の言葉を待つ。

 

 

「林間合宿を行う」

 

 

「「「胸躍るやつキター!!」」」

 

いつもの流れだった。

一気に周りが騒がしくなるが、そこに相澤先生から冷水を浴びせる一言が追加される。

 

「期末試験で赤点取った奴は学校で補習地獄だ。…しっかり勉強しろよ」

 

複数人が阿鼻叫喚に変わった。

…そんなにヤバいのか君達?

 

「端場はなんでそんな余裕そうなんだよ!」

 

「いや、頭良い訳じゃないけど平均点位は余裕だし」

 

上鳴くんの言葉に返すが…一応進学校出身だし、勉強は不得意じゃ無い。

周りを見渡すと見事に項垂れてるやつと普段通りのやつとでテンションの差が激しいな…

 

「ああ、ヒーロー科のお前等は期末試験に実技も含まれるからな。その辺も留意しておく様に」

 

そんな言葉で締めくくってホームルームが終了、放課後になった。

 

 

 

「ヤベーよ!もう6月だってのに禄に勉強してねー!」

 

「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してないわ!」

 

上鳴くんと芦戸さんがやべー事言ってるなぁ…まだ少し時間はあるし、一学期の内容だけならまだ間に合うと思うけど…

 

「端場くんは余裕そうだけど勉強得意なの?」

 

「一応進学校通ってたしね…それなりには」

 

中間テストの順位でも5位だったし。…まぁ中間テストなんてほぼ中学時代と内容変わんなかったけども。

 

「それよりも実技試験の方が気になるね」

 

内容次第じゃ不合格があり得る…爆豪と轟くんは何が来ても何とかしちゃいそうだけど。個性とセンスが桁違いだし。

 

「葉隠さんはどんな感じなの?」

 

「私は…まぁ、そこそこ?」

 

今の所授業についていけないって事もないしね、と続ける。

まぁ勉強については努力以外の方法ってないもんな。

 

「勉強って日々コツコツと積み重ねるしかないもんね」

 

「やめろその言葉は俺に刺さる…っ!」

 

近くに居た上鳴くんが流れ弾を食らった様に胸を抑える。

どんだけ苦手なんだよ勉強…

 

「あー…良ければ教えようか?」

 

今回の試験範囲なら多分ある程度ヤマ張れると思うよ?

そう続ける前に八百万さんの方から歓声が聴こえた。

 

「勉強会!良いねー!」

 

「あの、私もいいかな…?」

 

「良いデストモ!!」

 

おぉ、学年1位の八百万さんが勉強会を開いてくれるみたいだ。

 

「ヤオモモ!俺もお願いします!」

 

速攻で頭下げに行った上鳴くん。

潔いなぁ…ま、勉強会してくれるってんならそれに乗っかるのが吉でしょ。

 

「百ちゃん大人気だね〜」

 

葉隠さんは微笑ましそうに八百万さんの方を見ている。

…見てるんだよね?よく分からないけど。

 

「そうだねぇ」

 

同意すると此方を振り向いて

 

「ねね、さっき勉強教えて上げようとしてたじゃん?」

 

そう聞いてくる葉隠さん。

 

「空振りに終わったけどね…」

 

肩をすくめて答える。

俺だって教わるならより頭が良い人に教わりたいし…可愛い女の子の方が良いと思うもん。

 

「じゃあさ、私に教えてくれる?」

 

「……なんで俺に?八百万さんの勉強会の方がためになると思うよ?」

 

予想外の言葉だったからちょっとフリーズした。

折角勉強会開いてくれるんだからそっちの方が良いと思うんだけど。

 

「何人も同時に教えるのって大変そうじゃない?だったら他の人に見てもらおうかな〜って」

 

「ああそれは確かに。判った、俺で良ければ協力するよ」

 

そういう事なら納得だ。

 

「ありがとう!じゃ早速図書室に行こうか!」

 

場所を変えるの?まぁ良いけど。

 

「了解。…じゃ、行こうか」

 

 

 

 

2時間後。

 

葉隠さん、地頭が良いから飲み込みが速いなぁ。

今日だけでも赤点回避は楽勝だろうと思える程度には仕上がったと思う。

 

「くぁ〜!大分勉強した〜!」

 

「お疲れ様でした…これなら期末試験は余裕じゃない?」

 

そもそも基礎は出来てたし。応用でちょっと躓いてただけだったからそこさえ何とか出来たら後はスルスルと進んだ。

 

「ありがとね端場くん!」

 

「どういたしまして」

 

軽いやり取りをして外を見るともう日が沈み始めていた。

 

「思ったより時間経ってたんだな…今日はもう終わりにしようか」

 

机に広げてた勉強道具を片付けながら声を掛ける。

 

「うわっ、もうこんな時間!?」

 

葉隠さんも外を見て吃驚している。

 

「もう暗くなりそうだし送ってくよ」

 

鞄を持ちながらそう促すと

 

「それは端場くんに悪いし別に大丈夫だよ?」

 

一応鍛えてるし!と力こぶを作る…作ってるんだよな?葉隠さん。

…まぁ、本人がそう言ってるならそんな風に扱うのも失礼か。

 

「そっか。ヒーロー科だもんね」

 

「そうそう!私だってヒーロー目指してるんだから!」

 

そんなふうに笑いあって校門前まで歩く。

此処からは別方向だ。

 

「じゃ、また明日」

 

軽く手を降って別れの言葉を述べる。

 

「うん、また明日ー!」

 

大きく手を降って答えてくれる葉隠さん。

 

背を向けて家路に着く間、今日の事を思い返していた。

 

 

 

…人に勉強を教えるなんて初めての経験だったけど、相手が理解してくれる様に頑張るのは悪くない気持ちだと思った。

 

ヒーロー活動を終えたら教師になるのも悪くないかもな…

なんて、まだ来てもいない未来の事を考えている事に気づくと何か可笑しく思えて1人笑う。

 

将来どうなるかなんて分からないし、まだまだ先は長いんだ。

 

気楽にやって行こうじゃないか、と心に決めた。

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