加速少年の英雄希望   作:月面旅行BD

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結果発表、或いは林間合宿の準備

 

 

試験の翌日。いつも通り登校すると挨拶もそこそこに教室に入るとともに周りから質問攻めにあっていた。

 

「なぁなぁ!最後の奴一体どうやって逃げたんだよ!?」

 

「途中の攻防も意味分かんなかったけど、一発も貰ってないよな?」

 

大凡この2つが主な質問だった。…一気に言われて聞き取れなかったとも言うが。

 

「最後のは少し大振りになった右ストレートを発射台代わりに利用して自分から跳んだんだよ。…もうやりたく無いけどね」

 

賭けだったし。しくじったらそこで試験終了間違いなし、上手く行けばゴールポイントまで一直線の割と分の良いものだったけど。

 

「そこまではまぁ、直撃は無いかな?掠ったのはあるけど」

 

最初の方は掠っただけで身体が引っ張られる威力でビビったわ。

途中から更に加減してくれたのか大分威力は抑えられてたし。

 

「はえー…でもあのオールマイト相手に1人で逃げ切ったのはすげーよな」

 

上鳴くんはそう言ってくれるけど…

 

「凄い手加減してくれてたから…緑谷くんと爆豪の時みたいに後少しでも本気出されてたら周りごと吹き飛ばされて無ずすべなくKO負けだったよ」

 

速さですら勝てない相手が超威力広範囲攻撃(物理)を連発してくる…さすがはNo.1ヒーローだ。

 

「そりゃそうかもだけど…1年生で手加減してるとは言えオールマイト相手に勝利をもぎ取ったってのは相当な事だよ」

 

尾白くんの言葉に周りにいる全員が頷く。

 

「強いのは知ってたつもりだったけど…ここまで差があるとは思ってなかったな…」

 

おかげでより一層やる気が出るってもんだ、と締める尾白くん。その精神性ならいずれ超えられるだろうな…

 

「今だけだと思うよ?基本的に俺の個性(火力)は軽いから。身体が出来上がった異形系個性や強化系個性には強く出られない」

 

火力不足が顕著に出る。急所…目潰しとか後遺症が残るレベルの攻撃が許されるならどうにでもなるがヒーローにそれは無理だし。

 

勿論身体を鍛える事は続けるが、強化系個性持ちの努力の3倍行っても敵わない程度にしか筋力が付かない。

 

「成長した後、プロで活躍できるかって言うと俺は今のままじゃ無理なんだよなぁ…」

 

最終的には武装する必要があるだろうけど…やっぱ相澤先生の捕縛布、使い方教えて貰えないかな?

 

「一長一短、ってのも違うか…誰にでも悩みってあるもんだね〜」

 

葉隠さんの言葉と同時に教室の扉が開く。

 

「全員揃ってるな?…朝のホームルームを始める」

 

各々が自分の席に着いたのを確認して話し続けた。

 

「昨日の試験結果だが…残念ながら補習授業行きが出た」

 

心当たりが有るのか何人かが頭を抱えて呻いている。

…まぁ、あの試験内容だと難しぃ奴もいるだろうと思う。

俺が切り抜けられたのも運が絡んだ結果だし。

 

 

「よって…林間合宿には全員で行くぞ」

 

「「「合理的虚偽ィ!!」」」

 

 

一気に歓声に包まれる教室。

良かった…誰か残った状態で林間合宿行っても心残りになって集中出来ないもんな。

 

「良かった…本当に良かった…!!」

 

「ありがとうございます…その言葉しか見当たりません…!」

 

上鳴くんと芦戸さんが感無量といった具合で天を仰いでいる。

そんなにヤバかったのか結果…

 

「ハイ、静かに。まぁ赤点は赤点だ。林間合宿中は地獄を見てもらうことに変わりはないから覚悟するように」

 

天を仰いでいた連中が一斉に項垂れた。ちょっと面白い。

 

「それと、今回の林間合宿は意図的に行き先をぼかしてある。これは前回の件を鑑みての措置だ。誰に聞かれても何も言うな」

 

USJの一件か。確かに何処から情報が漏れるか判ったもんじゃないからな…

 

「先生、家族にもですか?」

 

「家族にもだ。…親御さんには此方から伝える手筈になっている。もし聞きだそうとしてきても話すなよ」

 

家族にも秘密?徹底してると言うかなんというか…

 

「かなり徹底してない?」

 

葉隠さんから声を掛けられた。

 

「まぁ判らなくもないけどね…これ以上の失点を重ねる訳には行かないからそうせざるを得ないんでしょ」

 

前回の襲撃時ですらマスコミや世間で凄い騒ぎになった。その時は生徒の被害が無かったからそこまで炎上しなかったが…ステインの一件以来、ヴィランの行動が活発になりつつある中で前回の様に襲撃を許したらバッシングだけじゃ済まないだろう。

 

「…俺には関係ないしね」

 

思わず口に出たのと同時にチャイムが鳴る。

 

「なんか言った?」

 

幸いにも葉隠さんの耳に届かなかったようだ。

 

「林間合宿合宿楽しみだねって」

 

上手く誤魔化せただろうか?

 

「…そうだね〜」

 

失敗したけど聞かないようにしてくれてる感じか。ありがたい…

その後はいつも通り喋れてたと思う。あんま自信はないけど。

 

少し浮ついた雰囲気の教室に釣られて口が軽くなっている。

気をつけないと余計な事を言いかねないな…普段以上に考えて話そう。

 

 

 

 

その日の放課後、全員が帰り支度をし始めた頃に上鳴くんと芦戸さんのコミュ強コンビが週末に林間合宿の買い物に行かないかと全員に声をかけた。

 

「駅近のショッピングモール!最近出来たらしいじゃん!」

 

「現地に着いたら其々見たいもん見る感じでさ!どーかな?」

 

参加表明する者、興味なしと帰る者、そもそも既に帰っちゃった奴とバラバラだが参加するのが半分以上とはね。

 

「端場くんはどうするの?」

 

「別に欲しい物ないからパスかな」

 

そもそもそんなに懐に余裕がないとも言う。林間合宿に持ってく為に新調しなきゃいけない物もないし。

 

「そっか〜じゃ、また来週ね!」

 

「うん、また来週」

 

何かの番組みたいなやり取りをして教室を出る。

…インターンが始まれば少しは給料が出るって話だし、それからは買い物なりなんなりできるだろ。

それまでは節約していかないとな…

 

 

 

家に着いてからしおりを確認しながら持ち物を整理する。

一応準備しなきゃ行けない物は…特になくね?

制服とジャージで良いし、精々替えの下着とか日用品位だな…

 

皆何が必要で買い物に行ったんだろう?

日用品が切れてたのか…?でもそれくらい薬局で十分じゃね?

 

新たな疑問が生まれたがまぁ、後日聞いてみれば良いか…

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