ガチャ狂い徳川家康   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

14 / 95
天下とは?

「鞍馬、実際のところ、三河は今どうなっている? 墓参りには行けたが、今川の監視があって他の家臣達から内情を聞き出すことができなかったが……」

 

「そうですねぇ……私から見た限りでは……」

 

 松平家の領地は将来俺に引き継がせることを松平家臣達には説明し、ただ幼少の為、駿府で教育を施すと今川方から言われていた。

 

 そのため、家臣達の不満は爆発しなかったが、松平家の領地運営の主導権は今川が掌握し、岡崎城代が実質三河統治を行っていた。

 

 一癖も二癖もある領民や三河武士に苦労しているし、ろくな産業が無いので税収も微々たるもの。

 

 今川にとって事実上の植民地でもあるので、領地に資本投入はほぼ行われず……。

 

 民は苦しい生活を続けているらしい。

 

「多月達の様子はどうだ?」

 

「竹千代様が織田に人質だった間に少しずつ種籾や種芋を周囲の村々に広めている。ただ今は栽培に時間のかかるアブラヤシの栽培地を広めている。海岸沿いに防潮林と称し近隣の村々と協力して植えているよ」

 

「実がなるまで3年、そこから20年近く実がなり続け、大量の油、発酵させれば酒、木材の原料にもなり、それでいて海岸沿いの農地に適さない場所でも育つ……痩せた土地の多い三河でも育つ貴重な作物だな」

 

「2年前より増やすようにしていますので、実を付け始める来年からは更に植林が進むでしょう」

 

「うん、それは朗報だ。あとは使える家臣を増やしていくしか無いが……」

 

「それはしばし時間がかかるでしょうね」

 

 俺は引き続き鞍馬に各地の情報収集を頼みながら、勉強に性を出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 三河の反抗勢力を一掃した今川家は三河を完全に支配下に置いた。

 

 これで三河、遠江、駿河の3国を有する大大名に今川義元様はなられた。

 

 これに匹敵する勢力は東の北条、中国の尼子と大内、九州の大友くらいである。

 

 まだまだ戦国時代。

 

 巨大勢力が誕生しては周囲に潰されるを繰り返されており、天下を統一する勢力はまだ出てきていない。

 

 大勢力へと導いた今川義元は今川館にて軍師兼宰相である太原雪斎を呼び寄せて、今後の話し合いを行っていた。

 

「のぉ雪斎、これで今川は三国を手に入れたが、盤石と見るか?」

 

「いえ、今だに揺らいでおりまする」

 

「ほほう」

 

 揺らいでいる……つまり今だに今川の統治は行き届いていないと言っているのである。

 

「となると今川仮名目録の改訂か」

 

「ええ、それもありますが、周辺国との関係改善をする必要がございます」

 

「武田と北条か」

 

 ニコリと雪斎が笑う。

 

 その笑みは漆黒であったが……。

 

「天下三分の計を日ノ本でやろうと言うのであるな」

 

「ええ、流石義元様でございます」

 

 天下三分の計……別名隆中策。

 

 天下統一を最初から目指すのではなく、まずは地盤を固め、領地を堅実に広げていき、機を見て一気に強大な敵を倒すという策略である。

 

 かの有名な諸葛孔明が劉備に説いたと言われる。

 

「しかし、大陸ではそれが実現しなかったが、それはどう思うのだ雪斎よ」

 

「大陸と日ノ本では状況が違います」

 

 雪斎は日ノ本の地図を広げ、石を置いていく。

 

「日ノ本では大陸の様に巨大な勢力がまだ誕生していない。故にまずは領地を広げるべき……進む先は西、京に向かって勢力を広げるが吉」

 

「となると尾張か」

 

「ええ、まずは尾張、次に美濃、近江を進み、京を目指す」

 

「足利はどうなる」

 

「足利は力が無く、権威も失いつつあります。足利の世を終わらせるは同じ一門である今川の役目であるかと」

 

「ふむ……天下とはなんぞや」

 

「畿内を抑え、天下に号令することかと」

 

「うむ、公家達からも京の復興を願う文が届いておる。これも力ある者の役目よの」

 

 今川義元と太原雪斎は知らなかった。

 

 足元に別の天下について考えている者が居ることを……。

 

 

 

 

「天下とはなんぞや」

 

「急にどうした義経」

 

「いやね、義経って頼朝兄様が鎌倉に幕府を作って武家の天下を作ったでしょ。そうなると天下ってなんだろうなって思うことがあって」

 

「天下か……まぁ過程じゃない?」

 

「過程?」

 

「そう。天下統一は過程の途中。日ノ本をまとめ上げ、国家として機能して初めて天下統一となるけれど、それが終われば外国との戦いが待っているし」

 

「外国との戦い……知識として大陸からの侵攻である元寇を覚えているけど、こちらから大陸に戦いに行くということ?」

 

「いやいや、領地を広めるなら弱いところや空き地を攻めるが吉。今の時代だと琉球の先に台湾という九州程度の大きな島がどこの勢力にも属してない状態で放置されているし、近くなら蝦夷地なんかは関東八州に匹敵する広さの土地だし……寒いから植える作物には工夫が必要だけど……」

 

 俺は一呼吸置いて

 

「まぁ天下を取った後にやることは法令を整備し、より強固な幕府を作ること、それが終われば日ノ本を広げることかな」

 

「義経は考えたこと無かったな……日ノ本を広げるなんて」

 

「まぁこれは未来人でもある俺の視点だがな。その為にはどうにかして三河を統治しても良いという言質を今川義元様より頂きたいが……」

 

「難しい?」

 

「難しいだろうな……」

 

 そんな会話を続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 太原雪斎が駿府に戻ってきたことで、ようやく彼に教えを受けることになったが、まぁ彼も化け物よね。

 

【太原雪斎】

 

 統率 88

 武力 63

 知略 98

 政務 98

 魅力 90

 器用 85

 

 特性 山盛り(20個ほど)

 

 うん、こりゃ化け物だわ。

 

 知略に至っては道真公に匹敵するし……。

 

 ただ雪斎側も俺に色々質問し、適切な答えを言っていくのを見て、明らかに驚愕している。

 

「ふむ……その知識誰に習った」

 

「基礎は三河にいた時からの守役である鞍馬に、応用は尾張に居た時に様々な書物を読む機会がありまして」

 

「ふむ……竹千代、お主に儂の知略を全て授ける。今川の為に使うのだぞ」

 

「は!」

 

 それから朝から昼までは屋敷で菅原道真公に教えてもらい、昼過ぎから夕方までは雪斎師匠の元で勉強、夕方から夜遅くまで鞍馬に武芸を仕込まれた。

 

 織田に居た時も鈍らない様に鍛錬は続けていた筈だが、鞍馬の鍛錬は滅茶苦茶厳しい。

 

 と言うか今の俺の教育状況ヤバいな。

 

 学問の神様に勉学を教えてもらって、黒宰相と呼ばれる一流の政治家である雪斎様に政治や軍略を教えてもらって、軍神に武芸を習うって……。

 

 これが本当の家康の魂ならアルティメット神君家康が爆誕していることだろうが、生憎転生者だ。

 

 正直こんな最高の環境があっても戦乱の世を生き抜けられるか不安しかないのだが……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。