ガチャ狂い徳川家康   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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私鋳銭を作りましょう

 また三河に戻った俺は戦後処理を開始。

 

 とりあえずなるべく直轄地を増やしつつ、功績を立てた家臣には土地を配り、汚名返上した国人衆達は俸禄(給料の銭支払い)に切り替えていった。

 

 うーん、銭が足らん……。

 

 貨幣経済に移行途中の状態なのと、銭は明国から仕入れているので西国で出回ってから東国に流れてくる状態なので、銭が圧倒的に不足しているんだよなぁ。

 

 金銀銅の鉱山も今の三河では発見されて無いし、さてさてどうしたものか……。

 

「いっそのこと私鋳銭を作るか……」

 

 銭が足りないなら作ってしまえば良い。

 

 質の悪い銭を溶かして質の良い銭にすれば銭の価値は上がる。

 

 幸い鋳造の神様を俺はガチャで引き当てていた。

 

「場所は……多月の村で良いな。色々施設も整っているし、機密性も高い」

 

 俺は早速金屋子神という神様を召喚するのだった。

 

「よぉ私を呼んだのはあんたかい!」

 

「ああ、金屋子神。お前を呼んだのは俺だ」

 

「……へぇ、いい男じゃねぇか。気に入ったぜ」

 

 金屋子神……今世では金屋子と名乗る女性はもともとたたら製鉄を日本人に教えたとする鍛冶の神様で、鍛冶屋が女性が基本成れないのはこの金屋子神が女性に嫉妬してしまうからという逸話がある女神である。

 

 たたら製鉄の他に鋳造の神様でもあった。

 

 男勝りの性格らしい。

 

「質の良い鉄の普及に銭を溶かして高品質の銭を作るねぇ……いいぜ、やってやろうじゃねぇか」

 

「ありがとう。ここ岡﨑城から2里ほど離れた場所に神々や妖怪が暮らしている村があるから、そこに施設を建てるから要望はガンガン言ってくれ」

 

「あいよ。銭は明銭ってやつを作ればいいんだろ?」

 

「ああ、現物も見せるから頼む」

 

「任せろ!」

 

 この時代出回っている硬貨は宋銭と明銭と呼ばれ、宋時代の銭と現在の明時代の銭が出回っていたが、東国では比較的新しい明銭の方が有難がられていた。

 

 ただ出回っている明銭はだいぶ劣化が激しくなっているので綺麗な明銭というだけで取引ではとてもありがたがられるのである。

 

 勿論偽物も横行しており、それは鐚銭(ビタ銭)と呼ばれていたが、それすらも取引に使われるくらい国全体で銭が不足していたのである。

 

 俺がやろうとしていることは私鋳銭で、この時代でも悪いことなのではあるが、産業未発達の三河で当面の活動資金を確保するとなると、少々悪どいことにも手を染めなければならない。

 

「だだよ、私だけじゃ鋳造の人員足りねぇからもう少し人材欲してくれねぇか?」

 

 金屋子に言われたので、鍛冶師の妖怪、イッポンダタラを召喚し、あとは岡﨑城下で暮らしている鍛冶師を招集して彼女に付けると早速製造を開始した。

 

 1ヶ月後、金屋子は袋に綺麗な明銭を詰めてやってきた。

 

「これが元の明銭、こっちが私が造った明銭だ」

 

 流石鋳造の神様、永楽通宝と書かれた綺麗な銭が並べられた。

 

「今市場に出回っている銭なんだが、鐚銭は銅の比率が高いな」

 

「元の永楽通宝って銅と錫と鉛で作られているんだっけか?」

 

「そうそう、日ノ本では錫の生産量が低いからその分鐚銭は銅の比率を高くしたらしいな。だから1回全部溶かすと、銅の含有率が高くなるから、追加で混ぜ物をいれると鐚銭10枚、明銭10枚を原料で22枚の私特製の偽造銭が出来上がるな」

 

「それはそれは……」

 

 鐚銭の扱いは非常に悪い。

 

 言ってしまうと鐚銭10枚で明銭1枚という交換レートが一般的な感じである。

 

 金屋子が造った銭であれば良貨扱いで鐚銭10枚と交換することができるだろう。

 

 そうなれば俺に有利な交換レートで銭を増やすことができる。

 

「問題は数だ。1日にどれくらい鋳造することが出来る?」

 

「そうだなぁ……型はもうできているから、今の人員だと1日5000枚が限度だな。材料の関係でもう少し少ないと思うが」

 

「材料はこちらで何とかするから、綺麗な私鋳銭を増やし続けてくれ」

 

「あいよ」

 

「製鉄の方はどうだ?」

 

 すると金屋子は腕を組んで

 

「砂鉄の採取量が何ともし難いな。信濃には砂鉄が採れる場所が無数にあるが、三河は無いからな」

 

「うむむ……貿易でやりくりするしか無いか……食料を売るのが一番だが……」

 

「こっちとしては原材料さえ確保してくれれば、鉄製品を色々作るから頑張ってくれな」

 

「すまん、苦労かけるな」

 

「いや、それと私、イッポンダタラのあんちゃんと付き合うことにしたから」

 

「お、おう……ご祝儀贈るわ」

 

「あざーす」

 

 

 

 

 

 製造した銭は駿府や今川領内の商人達と鐚銭や悪銭の類と交換していき、俺にとって貴重な収入源となっていた。

 

 まぁ現状微々たる額ではあるが、影響力が拡大すればそれだけ交換も多くなるだろう。

 

 あと最近織田から手紙が来るようになっていた。

 

 内容は

 

『今川頼りないから織田に寝返らない? 余と竹千代の仲だろ』

 

 という信長様からのお誘いである。

 

 今川が頼りないのは確かであるが、現状利用価値の方が高い。

 

 手紙は丁重にお断りしつつ、今川義元様にもそのまま手紙を送って内通していないことを証明し続けていた。

 

 あとなんか武田信玄から俺の事を名指して褒められたらしく、三河の勇将とか今川に過ぎたる者と言っていたらしい。

 

 なんか今川貶されてね? 

 

 ま、まぁとりあえず三国同盟はこのまま行けば組めそうだし、どうにかなるか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず水野といつまでも戦争状態にしておくのは俺の財政状況的にもまずいし、もう少ししたら駿河に半年滞在しなければならないので、水野の和睦の話し合いをしようとしたら、使者を追い返して、徹底抗戦の構えを見せている。

 

 水野はどれだけ今川が嫌いなんだ? 

 

 というか狂犬すぎねぇか? 

 

 なんか織田家にも援軍を頼んで大戦になりそうな雰囲気なんですけど……。

 

 流石に織田が出てくるとなったら今川に援軍を頼まないと兵数不利で押し切られるので、すぐさま今川に援軍を要請。

 

 今川義元様もここ最近活躍しっぱなしで松平はあくまで今川の家臣であるということを明白にするために1万の兵を今川義元様自身が率いて駆けつけてくれた。

 

「では義元様が織田を抑えている間に水野を叩き潰してきますので」

 

「おう、無理はするでないぞ元信」

 

「は!」

 

 労いの言葉も貰っていざ出陣するのだった。




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