秋になり、今年も収穫の季節がやってきた。
俺は赤兎馬に乗って、多月の村に行くと、昨年以上の実りをした田畑が並んでいた。
「どうでっしゃろ、元信はん凄い実りとは思いまへんか」
「す、すごい量だな……こりゃ収穫が大変になりそうだ」
「でも今年から他の村でも収穫に頼もしいお供が量産に至ったんやろ?」
「そうそう!」
多月が言う頼もしいお供とは人力刈取機、足踏式脱穀機、唐箕が量産体制に入っていたのである。
1つ1つ紹介していこう。
人力刈取機は太平洋戦争終盤に発明された農具で、今まで稲刈りは鎌で行われ、中腰の体勢で稲刈りをしなければならなかったが、この刈取機を使うと、普通に立った体勢のまま稲を刈り取ることができるのである。
刈り取る人物とそれを纏める人物の2人1組でやると、普通に鎌で2人で刈るより素早く刈り取ることができるのである。
効率的には1.3倍程度であるが、それが積み重なれば大変な時間短縮となるのである。
デメリットとしては稲刈りや小麦の収穫、とうもろこしの収穫などの穀物類にしか使えないので、草刈り鎌より万能さは無いし、武器としても使えない。
まぁ刈取機を武器に使うようになったら末期も末期である。
製作者は金屋子で供給量の増えた鉄で大量に作ってもらい、各村に何機か支給したのである。
足踏式脱穀機は別名回転式脱穀機で、足板を踏むとトゲのついた脱穀する場所が回転し、そこに稲穂を当てると数秒で脱穀が完了する便利な機械である。
千歯扱よりも一瞬かつ大量の脱穀ができるので、今まで扱箸という農具では1日男で12束、女性で9束しか米の脱穀はできなかったが、足踏式脱穀機は1時間で250束から300束なので効率が段違いである。
収穫量が増えて脱穀作業が大変に思っていた農家は量産が始まった足踏式脱穀機に飛びつき、三河では農家数軒につき1台の普及となっていた。
今年も豊作なので、恐らく普及台数は増えていくだろう。
俺がガチャで当たって、それを埴安が複製し、今は木工職人達が技術を習得して普及台数が増えている感じである。
ああ、人力刈取機も大元はガチャで当たったのを金屋子が分解、解析して量産に至った感じである。
最後の唐箕は脱穀した米を砂利や砂、虫食いや発育不良で籾の中が軽くなってしまったのを風の力で分別していく機械である。
米の他にも小麦やとうもろこしでも使える。
これも元々は人力で仕分けをしていたので凄まじく効率が悪かった。
ただ唐箕を使うことで、その労力から解放され、収穫作業による重労働および時間の短縮をすることができたのである。
これが意味するのは田んぼの管理面積を増やしても、一斉に収穫することができ、鳥類に稲を食べられたり、台風で米が駄目になったりすることが少なくなるということである。
今まで管理限界だった田畑の広さをさらに広げることにも繋がるし、収穫作業で精一杯で秋植えの畑作りが上手くできていなかった農家も十分に畑を作る時間に当てられる……ということである。
そうなれば裏作である小麦や冬野菜の収穫量を増やすことができるのである。
その効果は絶大で、今年の収穫量は去年の42万石を上回り、60万石に到達。
勿論流民が入ってきたことで耕作地が増加した事も増収に繋がったが、それでも個々の生産量が跳ね上がっている。
米の生産比率は4割なので24万石ではあるが、治水工事や新田の開発、流民の定住による農民の増加で米だけの生産量も50万石を将来超えることができるだろう。
そうなれば全作物の収穫量は130万石くらいになるんじゃないだろうか。
それくらいになれば三河単独でも美濃を吸収した織田と殴り合いができるんじゃないかな?
ちなみにガチャチケット入手画面から見る全体収益に関しては、先ほど言ったように農業が60万石、商業が8万石、工業(工芸品類)が6万石、輸出入が黒字で2万石。
合計76万石が三河の国力となる。
俺が三河に来た当初が国力12万石だったから国力は6倍強増えていることになる。
それにまだ綿製品や絹製品、椎茸といった成長要素が山盛りである。
新規の商人が増えてないので、個々の商売規模が拡張して商業売上が上がっているが、これ楽市とか自由競争で商業を拡充したら一気に跳ね上がるのだろうか?
とりあえず表石高的には25万石ということになっているので、それに少し盛って30万石として今川には書類を提出した。
ガチャチケットも7600枚ゲットした、こうなってくると人物は育てれば何とか成りそうだから、Nの成長促進とキャラを直接強化できるRの能力値上昇、それにSRの特性付与の価値が高まるな。
まぁそろそろSSRのサトウキビとか当たって欲しい気持ちもあるけど。
年貢の徴税が終わったことで、今年から今川に対して上納金を支払わなければならないため、駿府にその金と東海道整備の為の資金提供を求められたのでこれに応じ、松平家からは1万貫にも及ぶ金額(米計算にすると2万石)を提出した。
これ、農業収益が増加していたから支払えるが、そうでなかったらと思うとゾッとする。
勿論材料の石灰石の供給も求められたので、それも供給している。
お陰で三河の石灰石の鉱山はフル稼働だ。
「うむ、混凝土(以後コンクリート表記)なる混ぜ石は実に良い……城造りにも応用できるのではないだろうか?」
今川義元様も馬鹿じゃない、コンクリートの軍事転用に目をつけていた。
ただ城造りとなると道の舗装よりもコンクリートの量が必要になる。
コンクリート造りの壁で囲んだりでもしたらどれだけの量が必要になるのやら……。
というかコンクリートの城壁が実現すれば城の防御力は爆上がり、力攻めではまず落ちなくなるだろう。
まぁ石灰石の供給は現状三河でしか無理なので、敵対すれば供給停止すれば良い。
それに対応策としてこちらは大砲を用意すれば良いだけの事だからな。
鉄砲も徐々に日本で普及を始めているし、俺のガチャでも武器枠で排出されるのは分かっていた。
まぁ周期的に来年の夏頃に武器ピックアップガチャが開催されるので、そこかアニバーサリーガチャのSSR供給割合増加で狙ってみることにしようと思う。
それは良いとして、やろうと思えば岡崎城や三河の城でもコンクリート造りの城壁を作ることはできたのだが、それをやると今川からの警戒度が跳ね上がると思い、街道整備にだけ充てていた。
街道整備で広い道を作れば、移動が楽になるので攻め込みやすくなり、今川からの警戒度を上げることなくコンクリートの有用性を理解してもらえると思ったからである。
そう、俺の目的は石灰石の重要性を増して、それを供給する松平の価値を釣り上げることを意味していた。
恐らく今川義元様は山師を雇って駿河や遠江の山で石灰石の採掘ができる場所を探しているのだと思うが、量を産出する場所は近場だと尾張、三河、武蔵とものの見事に遠江と駿河では産出しないのである。
どうせ大砲ができれば総構えでもしない限り城壁の防御力は落ちるのだから、それに予算をかけてもらおう。
「駿府を守るための城を築城するのも手か……」
義元様は街道整備を行った後に駿府の今川館から一番近い城である愛宕山城の防備強化を行うのであった。
ただ、織田との防備を固めた方が良い三河の城にコンクリートを使うことは制限され、やはり松平の離反を警戒していることが分かった。
まぁこればっかりは仕方がないね。