ガチャ狂い徳川家康   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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どうしてこうなった

 今川が織田に侵攻するから先陣は三河衆に任せると義元様から命令が届き、俺は急いで兵を動員した。

 

 しかも松平の担当兵力は5000人と、動員限界数ギリギリを要求してくる。

 

 家臣達が動員計画通りに兵を集め数日で5000人の兵が集まった。

 

 俺も赤兎馬に乗って岡崎城から出陣する。

 

 5年早くの尾張侵攻になるがさてさてどうなることやら……。

 

 

 

 

 

 とりあえず俺は知多半島の領地で織田領との最前線である大高城に兵糧を届けるついでに、織田が作っていた砦を義経、鞍馬、酒井忠次の3人にそれぞれ1000人ずつ付け、急襲させて、250人程度しか詰めてなかった各砦を破壊及び燃やした。

 

 あとは織田軍が出てくれば決戦に挑み、籠城の構えなら今川義元様の本軍到着を待ってから攻撃すれば良い。

 

 俺はそのまま知多半島を南下し、知多半島の国人衆である佐治氏が織田に付いて抵抗していたので、これをしばきあげる。

 

 水軍として活躍していた佐治一族は陸上からの猛攻には耐えられずに直ぐに降伏し、これで知多半島の統一を達成。

 

 俺は北上して今度は鳴海城を囲む砦の攻略を命じられ、すぐに攻略の準備に取り掛かる。

 

 しかし、大雨が降ってきた為、一時近くの大高城にて雨が止むまで雨宿りをするのに足止めとなってしまった。

 

 そこに今川から伝令が飛び込んできて

 

「今川義元様、桶狭間にてお討ち死に! 他松井宗信様、久野元宗様、井伊直盛様等本陣に詰められていた重臣の方々も皆お討ち死に」

 

「はぁ!?」

 

 結局5年も時間が前倒しになり、季節も時間も全然違うのに桶狭間にて今川義元が討ち取られるという歴史的事象は変わることなく起こってしまった。

 

「鞍馬」

 

「は!」

 

「俺はどう動くべきと思う」

 

「三河に帰る退路は織田によって封鎖されているので、ここは逆に攻め込んでしまいましょう。一番近い城御器所西城を攻めましょう」

 

「落として、その城と義元様の首と交換という訳か」

 

「ええ、織田が理性あるならそれで止まるでしょう」

 

「分かった。直ぐに出陣だ!」

 

 大高城から出陣した俺は城御器所西城に向かい、すぐさま攻城戦が始まった。

 

 この城を守るは佐久間信盛であり、織田でも名のしれた武将であったが、桶狭間に奇襲する部隊に兵力を割り振っていたので、城には500名ほどしか兵が居なかった。

 

 10倍の兵力かつ鞍馬と木葉の天狗コンビがいち早く敵の弱点を見抜き、搦手から兵を城内に投入したことで、城の防衛は崩壊。

 

 佐久間信盛は僅かな兵と共に城を捨てて逃げ出し、俺は城御器所西城を占領したのであった。

 

 この城に籠もりながら、伝令を通じて信長様とやり取りをし、交渉が成立。

 

 城御器所西城だけでなく鳴海城も明け渡す事になったが、今川義元様だけでなく、重臣や名のある家臣の皆さんの首も返却されて停戦が成立。

 

 俺は三河に帰ることができたが、試練はまだまだ続く。

 

 今川義元が討死したのは織田信長様が盛んに宣伝した為に周辺諸国も直ぐに知ることになり、同盟を結んでいたはずの武田が突如裏切り、今川領を襲い始めたのである。

 

 俺は氏真様が危ないと疲れている兵達を鼓舞し、桶狭間で離散していた兵達や桶狭間を生き残った朝比奈泰朝や岡部元信といった今川家家臣を集めると、今川氏真様を救援するために駿河へと向かったのであった。

 

 ここで役立ったのが東海道を整備していた事で、岡崎から駿府までの約140キロの道のりを2日で移動し、武田の部隊が見える位置に陣を構えることに成功した。

 

 氏真様は駿府の守りの為にコンクリートの城壁に改修していた愛宕山城にて立て籠もり、武田軍約7000を相手に奮闘。

 

 守兵2500で武田の猛攻を守り切り、救援部隊約1万が到着してにらみ合いとなる。

 

 武田はこれ以上は損害が増すと判断して周囲の村々から略奪して撤退。

 

 俺は何とか今川氏真様を守り抜く事に成功したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、生きた心地がしなかった……元康、助けてくれてありがとう」

 

「いえ、義元様は守りきれませんでした。申し訳ない」

 

「こればっかりは元康のせいではないだろう。織田が上手だった。それだけだ」

 

 愛宕山城に入城した俺や今川の家臣達は大広間に集まり、氏真様の無事を喜びながら、今後どのように今川家を守っていくか話し合いをしていた。

 

 場の纏め役は今川義元様の首を持ち帰った事や今川義元様の娘婿で今川一門である俺が務める。

 

 重臣が大勢死亡していたり、桶狭間の失態で、俺の席次が一気に上がり、家老クラスになってしまったのである。

 

「現状を確認しましょう」

 

 俺が地図を広げ、今川、織田、武田、北条の駒を置く。

 

 現状織田と武田は敵対、北条は氏真様曰く救援要請に応じて兵は集めてくれていたらしいが、武田との全面対決には及び腰らしく、同盟は継続するが、武田とも繋がっている状況。

 

 しかも武田は今回の今川侵攻に際して、親今川派の息子武田義信を押し込めての出陣だったらしい。

 

「前々から武田の動きが怪しかったが、まさかこの時に攻めてくるとは……」

 

「もしかしたら織田と連携していた可能性もありますな」

 

 家臣達も武田の節操の無い動きに怒っているが、問題は北条以外は敵に囲まれてしまったことと、今川の求心力が大幅に低下してしまったことだろう。

 

「正直私では今川の家を守り抜くことは不可能だと思っている」

 

「な、何をおっしゃいますか氏真様」

 

 俺は氏真様がいきなり今川を守りきれないと言ったことに怒鳴るが、氏真様は俺を制して話を続ける。

 

「正直に言うと今回の件で今川と松平の力関係が崩壊した。今川は残念ながら3国を維持する力はもうない。かと言って松平を繋ぎ止めておくのは婚姻だけでは足りない。そこで私は今川の家督を妹の婿である松平元康に譲ろうと思う」

 

「「「な!?」」」

 

 今川の家督放棄という衝撃的な札を切ってきた。

 

 確かに今の今川は松平との力関係は逆転して松平に逆らえなくなってしまった。

 

 戦国の世では多々ある家臣の力が強くなれば、主は追い出される運命にある。

 

 細川や斯波、上杉……挙げればきりがない。

 

 今川もその1つになるくらいであるならばと俺に今川の家督を譲るという鬼手を打ってきたのである。

 

「なに、私は元康を支える立場に戻るし、元康の産まれた子供と私の産まれた子供を婚姻させれば今川の主流に戻って来る。それで良いよな元康」

 

「しかし……氏真様は今川を私が乗っ取るという形になってしまいますが……よろしいのでしょうか」

 

「よろしいも何も、そういうのを拒みそうな面々が軒並み討死してしまって、今の今川を継ぐのは修羅の道でしかないよ。別に松平は独立してしまうという手も打てるんだから……今川に留まってもらうにはこれぐらい与えないと……」

 

 周りの家臣を見ると反応は半々といったところ。

 

 朝比奈は賛成の立場らしく、岡部はやや反対の立場でありそうだが、氏真様の命令なら飲み込んでくれそうである。

 

 遠江衆は状況についていくことができずにオロオロしている感じかな。

 

「……やるとなったら大きな改革を行います。今川仮名目録の大幅な修正を始め、武田からの防衛の為に色々変えなくてはならないでしょう。それでもよろしいでしょうか……」

 

「私は問題ない」

 

 氏真様は譲る気満々、今川家臣達も朝比奈と岡部が頭を下げた為に、臣下の儀を取った。

 

 ここに今川13代当主今川元康が誕生するのであった。

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