秋になり、千代のお腹もボテっと膨らんできて、臨月になり、出産が近くなってきたから産婆を控えさせておかないとまずいよなと話をした翌日。
俺が寝室で寝ていると小姓の家臣が俺を慌てて起こして
「千代様がご出産されました!」
「は?」
俺は慌てて千代の居る部屋に向かうと、千代に抱かれてすやすや眠る男の子が産まれていた。
俺は千代に
「千代、大丈夫か? 体は痛くないのか?」
そう聞くと
「それが全く痛くなかったのです。直虎さんに聞いたら出産時は相当な痛みがあると言われていたんですが、寝ている間に少しお腹に張りがあるなと思っていたのですが、股が濡れていて、赤ん坊の泣き声がしたので起きてみると、いつの間にか出産していたみたいで……慌てて侍女と産婆を呼んで対応したのです。元気な男の子ですよ」
「そうか……本当に体は痛くないんだな?」
「はい、出血も殆ど無くて……とても珍しいことだって産婆や侍女達から言われました」
「とにかく千代が無事で良かった……」
「それと乳母は必要無いかもしれないです。出産してから乳が凄く出るので」
千代が胸を少し押すと、服が乳で滲んでいた。
赤ん坊は千代のおっぱいに顔をうずめると乳を飲みはじめた。
「いや、無事なら良かった……本当に……」
「これも元康様が毎晩安産祈願してくれていたお陰かもしれませんね」
千代が無事出産し、俺は氏真と相談し、今川家の嫡男が名乗る竜王丸か龍王丸のどちらかを名付けるべきか、それとも松平の嫡男が名乗る竹千代を名乗らせるべきか協議した結果、氏真様は今川家の当主は俺なんだから、俺が決めるべきと言われ、すっごい悩んだ結果、竜王丸と名付ける事に決まった。
奥で一緒に暮らしている直虎は勿論、今川家に嫁いできた市は千代と同じ年ということもあり、直ぐに仲良くなっていたが、嫡男が誕生したことで市に子供が出来ても家中を割ることが無くなったと安堵していた。
とにかく産まれた竜王丸にも直虎の子供の虎松の様に健康や成長関連の特性をバンバン付与してあげて、健康的に成長してくれることを望むのであった。
工事を進めていた三河港が遂に完成し、浜松近くには浜名湖の中に港がある浜名港、そして駿河の主要な港かつ今川水軍の拠点である清水港の領内3国に主要な港が1つずつ完成したことになり、それぞれの港の近くには造船所が建てられ、安宅型船(ほぼ弁財船)……大型帆船の建造がそれぞれの造船所でスタートした。
技術習得に時間がかかると考えて2年後を目処に量産体制に移行するとし、船が増えるのに合わせて船員の育成も開始したのである。
「ククク、私の出番だねぇ」
三河港に停泊していた船の女妖怪安丸は自身の価値を上げる為に三河衆の者と接触し、今川水軍の規模拡大の為に水夫や将官の育成に参加。
女と侮られていたが、知識量と持ち前の度胸、そして怪力や武威で黙らせて、200名の水夫を家臣に持つ一端の女船長に成り上がっていた。
そして三河港の造船所で建造される同型の巨大弁財船の建造の手伝いや金屋子と協力して大砲の研究なども行った。
また、自身の安宅船に貿易品を載せて航海を行い、三河-尾張-堺の海路を行き来。
何回も航海に成功させて資金を調達し、その金で水軍の規模を拡大するという循環が行われた。
俺も今川の利益になっているので安丸を止めることはしないで自由にやらせ、どんどん水軍の練度を上げてもらうのであった。
「いや、安丸助かった。俺の引き当てた英雄や神々で船の扱いに長けた者が全然居なくてな」
「まぁ地上の神に比べたら海上の神は少ないだろうし、水軍の将は名前が残りづらいからねぇ……名前があるの殆ど倭寇とかの海賊衆だろうし、日本人の名前ありの倭寇は少ないからねぇ」
水軍を率いたって伝説を持つ武士は数多く居る。
それこそ義経だって海戦経験者であるが、海外のコロンブスみたいな海洋冒険家だったり、海軍の船長クラスは日本の英雄に居ないのが実情。
村上水軍の頭領や織田水軍の頭となる九鬼嘉隆なんかは召喚される英雄の基準には達しているが、まだ現役バリバリ。
英雄は日本人かつ応仁の乱以前の人物縛りがあるっぽいので未来人を連れてくるわけにもいかないし……。
妖怪である安宅丸を早期に引き当てられたのは日本を史実より豊かにする点において、水軍を拡張し将来的には海軍を作り、大航海時代の西洋とバチバチにやり合う事を考えると大きな幸運だろう。
「とりあえず今度は博多までの航路を開拓したいねぇ……途中薩摩や琉球に立ち寄り交易できれば幸いなんだが」
「あそこらへんも食料不足に苦しんでいる地域だから交易が盛んになって島津が拡大する前に交渉することができればいいんだけど……あとは蝦夷との貿易か」
「日本列島をぐるぐる周る航海ができればそれだけで一財産になるだろうねぇ。今の三河には各地で売れる商品が沢山あるし」
「酒、生糸、工芸品、弾薬、陶磁器、椎茸、織物……確かに色々あるな」
「弾薬なんかは九州では奴隷貿易の商材になっているから人口を増やす意味でも必要なんじゃないかい?」
「確かに……火薬に関しては余剰分は織田と九州に売ってしまうか。織田以外の近隣だとろくな事にならなそうだし」
「それが良いねぇ。あと大砲をなるべく早く造っておくれよ。あるか無いかで威圧効果が段違いだからねぇ」
「了解了解。じゃぁ水兵の育成頼んだよ」
「ああ、任せておいておくれよ!」
今年の収穫も終わって、年貢や税の徴税も終わったので決算作業をしていた頃、ピックアップガチャに家畜限定ガチャなるものが追加された。
現状家畜で育てられているのは馬のみだったので、ここで牛や豚、ヤギ、羊等の家畜を引き当てて日本の食肉文化を育むべしと持っていたガチャチケットの半分を投入してみた。
結果、牛12種類56頭、馬10種類72頭、豚8種類32頭、兎5種類26羽、鶏14種類160羽、ヤギ3種類25頭、ロバ2種類12頭、羊3種類18頭、トナカイ2種類22頭、ダチョウ1種類10羽、アヒル2種類31羽、合鴨13羽、鷹5種類16羽、孔雀10羽、ラクダ2種類15頭、錦鯉30匹、アルパカ10頭が当たった。
こんな家畜達を飼育するには無数の人員が必要ということで、三河発展と共に数を増やしていた管狐達と養蚕が各地に広まりを見せて手が空き始めていた万能神であるウカノミタマこと玉を招集し、馬以外の家畜を育てて欲しいと頼み込んだ。
「さ、流石にこれは一大事業になりますね……土地は勿論出してくれますよね?」
「ああ、遠江の反乱時に反乱に加担した見附端城が今使われてないからその周辺の土地含めて与えるわ。神社作っても良いし自由に使ってくれ」
「わかりました! 管狐軍団1442名と一緒に預かった家畜達をどんどん繁殖させていきますね!」
「あ、錦鯉も浜松の城の中で育ててみるわ。他のを頼むね」
「はい! 任せてください!」
コンコンと言いながら彼女は仕事を与えられて嬉しそうに飛び出していった。
「……もしかして家臣の中で一番の土地持ちに彼女がなった事になるのか?」
見附端城周辺6万石の領主ウカノミタマこと玉爆誕。