ガチャ狂い徳川家康   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1559年スタート

 年が明けて1559年。

 

 俺の年齢も数え年で18歳。

 

 ようやく一般的に若武者として見られる年齢になってきた。

 

 なお既に戦はバリバリに経験しているし、二児の父親でもあるがな。

 

 俺は浜松城にて木葉、安丸、義経、時行の4人と話し合いをしていた。

 

「木葉、天狗としての技術で仕入れた各地の情報を伝えろ」

 

「はい、まずは占いから……昨年から始まった冷害でありますが、今年も引き続き寒い夏になるかと思われます。これにより畿内では食料相場が急騰し、今川から運ばれる食料は高値で購入され続けています。商人関連の話題は安丸からの方が詳しいので、代わります」

 

「うん、そうだねぇ……現状今川水軍は新造された積載量二千石の弁財船3隻が航海の練習がてら織田と北条との貿易を、私の安宅丸が堺との貿易を行っているが、今まで米相場は1石に対して2貫の価格を基準に売買されていたんだけどねぇ……天候不順により現状の相場は尾張や北条は2.2貫から2.5貫で推移、堺では3貫超えの値段で取引されているねぇ」

 

「畿内で足利義輝将軍が蜂起し、結局三好と和議を結んだ一連の軍事行動で不作なのに兵糧を各所から買ったお陰で高止まり。しかも三好は和議の対価として足利義輝に対して京に新しい御所を建造する約束をしたもんだから三好も金欠になっているんじゃないかねぇ……堺では三好から矢銭徴収があったとも聞くからねぇ」

 

 一応幕府は京に戻ることができたみたいであり、ただ政務を投げ出して近江に逃げていた事もあり、すっかり幕府の権威は揺らぎまくっていた。

 

 更に足利義輝は反三好をするために各勢力に家の格や実態以上の役職や守護職をばらまいて懐柔しようとしたため、実力があれば役職が貰える、実行支配が許されるという前例を作ってしまったのである。

 

 この為、特に西日本の諸勢力は下剋上の流れが一気に加速し、守護大名として何とか家を保っていた勢力が次々に打ち倒される事件が相次いでいた。

 

 言ってしまえば信長様も守護を追放し、守護代の方々を討ち滅ぼしていたのでれっきとした下剋上の人物なのであるが、幕府への資金提供と交換で史実と違い尾張守護職を与えられていた。

 

 ただあともう少しで詰みまで持っていけそうになっていた斎藤家とは和議を結ぶように足利義輝から勧告があり、和議を結ぶに至っていた。

 

 信長様も広がった領地統制の内政フェイズに移行。

 

 幕府がそんな調子なので、畿内では物価統制政策や凶作への対応ができるはずも無く、堺や石山には大量の流民が流れ込み、若い女性は体を売り、男性は奴隷の様に働くしかない状況になっていると報告された。

 

「今川領内ではまだまだ荒れ地や空き地が多い、安丸は畿内で売られていたり、食い詰め者を畿内から今川領内に運んでくれ」

 

「ああ、わかったとも」

 

「織田領内や北条領内の物価は高いけど安定はしているんだよね?」

 

「あぁ、今川からの食料供給があったから餓死者は出てないようだねぇ」

 

「餓死者の件で」

 

 手を挙げたのは木葉。

 

 俺は発言を許すと

 

「武田領内でも食料不足になったらしく、元康様も知っていると思いますが、高値で今川から食料を買っても足りない状況です。その為北条や上野の国人から食料を買い集めているためか、資金繰りが悪化しているとのこと。あと昨年の遠江侵攻で碌な成果を得られなかったことにより国人達が武田家に対しての信用を失っているとも思われます」

 

「木葉、冷害はまだ続くんだよね?」

 

「はい、あと数年は続きます」

 

「武田への侵攻計画を少し早めるかも知れない。心しておいてくれ」

 

「は!」

 

 農業改革に成功して一人勝ちしている状況は非常に気持ちが良い。

 

 日ノ本全体の事を考えると農法や種籾を広めるべきなのであろうが、ここは戦国時代。

 

 恩を仇で返す人やこちらの善意に武力で返す人が多いこと。

 

 まぁ自然流出して広まるのは仕方がないとして、積極的に広めれば敵国の国力増強に繋がってしまうから仕方がないね。

 

 というか増産し過ぎて今川家は農民から税だけでなく余剰米や余剰の食料を安く買い取って、それを高値で他国に転売したり、加工してから売り、その資金で家臣達を養っているからね。

 

 さてじゃぁ義経と時行の軍事部門について聞こうか。

 

 まずは時行から。

 

「旗本衆は順調に規模を拡張。将来的には5000人規模になると思う。元康が言っていた常備兵の走りとしてはこの旗本を拡張していく方針で良いんじゃないかな。最終的に目指す場所ってちなみにどこなのかな?」

 

「うーん、たぶん江戸時代までの知識が英雄達にあることを前提として……俺は江戸末期の幕府陸軍、幕府海軍を作るところまで軍政改革を進めたい」

 

 馴染みのない言葉かも知れないが、江戸時代末期、幕府は近代的な軍隊を作る必要性に駆られて、軍制改革を行い、幕府陸軍と幕府海軍を設立した。

 

 幕府海軍は現状無理なので幕府陸軍の話になるが、幕府陸軍を作るためにも段階がある。

 

 まずは戦国時代でも通用する備えと呼ばれる部隊を作っていくこと。

 

 武田の赤備とかが有名だが、言ってしまえば備えは1つの作戦行動ができる部隊の事を意味し、1万石の領地があればこの備えを1つ作れる事から大名の基準となる単位でもある。

 

 今川家はこの備えを拡大し、旗本親衛隊を含めて7部隊作ってあるのは記憶に新しいと思う。

 

 各備えの隊長(武将)が居て、その下に国人は家臣を置き、更に下に足軽を置く。

 

 1つの備え当たり3000名から5000名を上限として家来達に領地の広さに応じて兵役人数を決め、その人数を引っ張ってくるか、足りない分を金銭で払うという事を今川軍では行っていた。

 

 なので数合わせとして農民を動員する家臣もちらほら居る。

 

 現状常備兵比率が多いのは完全常備兵に切り替えた旗本親衛隊約3000名と遠江反乱鎮圧後に遠江の土地を配分した俺が召喚した英雄達や鳥居元忠見たいな鞍馬や俺から常備兵の必要性を理解している新領主達(隊長が義経の部隊)の2部隊のみ。

 

 義経の方も普及率は8割となっている。

 

 戦国時代として見ると20年は進んだ軍制をしているが、完全常備兵に切り替えるにはまだまだ時間がかかりそうである。

 

 完全常備兵になったら今度は徴兵制を実施して武士階級の破壊、もしくは志願兵制にして武士階級の門徒を広げるか……。

 

 まぁこれには鉄砲の普及というのが絶対条件になる。

 

 そして騎兵、歩兵、工兵の各兵種への分業、士官、下士官の育成を得て、幕府陸軍へと成長していく。

 

 明治の軍制への移行は戦国時代では無理だろうからここまで改革して外国との戦争に移行していくつもりである。

 

「なるほど……ちなみにより良い日ノ本を作る気持ちは神から与えられたからの義務ですか? それとも自らの意思で?」

 

 時行が俺に聞いてくる。

 

 最初は義務として考えていたが、最近は少し思うところがある。

 

 人質時代の頃より視野が広がったおかげか、愛する者や大切な家臣が増えたからか……戦国の世に辟易しているからか……とにかく日本人同士での殺し合いをしている現状が馬鹿馬鹿しい。

 

 俺は第二次世界大戦や戦後の貧しい時に生きた人間ではないが、日本が豊かだった頃、熱狂に沸いたバブル、そして長い不況と日本人としての愛国心を若者達が失っていく姿を見てこれはダメだと思っていた。

 

 俺自身も日本に失望していたから異世界に転生できたらどれだけ楽しかったことやらと考えた事もある。

 

 ただ俺が徳川家康として生まれ変わった以上、俺がこの戦国時代に終止符を打ち、将来を考えて日本の領地を増やさなければならないと俺は思っていた。

 

 だから海外に展開したい気持ちがあるのだ。

 

 そう熱く語ると、時行は静かに頭を下げた。

 

「元康がやるべきことを迷っているなら一言言わないとと思ったけど、そうでないなら僕は何も言いません」

 

「主殿! 義経も最後までお供しますよ!」

 

 義経が俺に抱きついてきたので、会議は終了となり、各自仕事に戻るのだった。

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