ガチャ狂い徳川家康   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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女々しい上杉謙信 何故か増える嫁

 2年ほど続いた冷害も今年は落ち着きを見せ、今川領国では三河と駿河は例年以上の収穫量を記録し、武田が攻めてきた影響で減収となった遠江と合わせて去年とトントンくらいの収穫量に落ち着いていたが、上杉によって田畑が荒れた関東では大幅な減収、今川が獲得した信濃や生き残った武田が籠もる甲斐では食糧不足が本格化し、畿内でも夏に台風が直撃して不作になっていたため、全国的に食糧不足に陥っていた。

 

 ダメージが無かった織田家は尾張と美濃という食料供給が出来る立場を利用して、畿内を中心に食料を売買し、大儲けしたらしく、そのお金で特産品の開発や斎藤家を攻め滅ぼすための軍資金に充てていた。

 

 今川家は北条には同盟価格で、武田には足元をみながら食料を売りつけ、信濃の領民にも冬を越して来年度の農作業ができる分だけの食料を供給し、まずは物資運搬がスムーズに進むように、三河や遠江、駿河の3国から信濃に通る道の舗装からスタート。

 

 東海道で行なった様なコンクリート舗装で道を作る大規模な土木工事となり、領民が駆り出されたが、ちゃんと賃金や食料を報酬として与えたので信濃の領民を中心に人が集まり、ガンガン道の整備が行われていった。

 

 そんな最中、上杉謙信に俺が手紙を送ると、返書が届き文通を開始。

 

 とりあえず上杉謙信の要望としては北信濃の国人である信濃村上氏の領地の返還と交易を望んでおり、俺としては上杉と敵対して泥沼になるくらいだったら、村上氏の城であった葛尾城と海津城を返却して上杉に対する緩衝国となってくれたほうがありがたいと考え、この提案を了承し、葛尾城に詰めていた源頼光達は春日城まで後退させ、信濃は中信濃と南信濃を今川領、北信濃は村上氏の所領で領地の線引きは完了させた。

 

 ちゃんと俺が誠意を見せたことで上杉謙信の態度も軟化し、貿易についても詳しく話し合い、青苧の用いた着物や畳、襖、和紙なども名産物であるため、領民……特に東海三国の今川領では金を持った人々がちょっとした贅沢として床を畳に張り替えたり、襖や障子を良いものにしたりするのが流行っていた。

 

 なので売り時ですよと書いたら条件のすり合わせを行い、今川からは食料や鉄の農具などを輸出する代わりに、上杉からは先ほど述べた物や家具、足りない分は金や銀を輸出する条件で貿易協定を締結した。

 

『今川元康殿は信用と信頼をちゃんと分かっている様に思える! それに贈り物として贈っていただいた様々な酒は美味であった!』

 

『村上の所領を返還するのも答えてくれて本当に助かった。あいつ上杉で旧領奪還運動を度々して、更に家臣を巻き込んで軍事行動を起こさせるから悩みのタネだったんだよね』

 

『うちが義を信念にしているから保護した以上義を貫く必要があったしさ……』

 

『それと食料の値段あれで良いの? だいぶ……というよりすごく安いけど、上杉に対して遠慮して値段下げているわけじゃないよね? こちらとしては凄くありがたいのだけど、商売は対等が基本だし、無理して値段を下げれは皺寄せは領民が被ることになるからさ……』

 

『あと北条と同盟をそっちが結んでいるのはわかるけど、上杉と仲良くしていたら北条がいちゃもん付けて攻めてくるかもしれないけど、そしたらうちを頼ってよ! 関東諸侯との繋がりまだあるし、うちも関東管領としての幕府や朝廷からの信頼を裏切るわけにはいかないからね!』

 

『追記 できれば雪解け頃に一度元康殿と話してみたいのですが、信濃の何処かで会いませんか? 返信待ってます! けんしんより』

 

 文通を続けていると、最後の方にはこんな滅茶苦茶フランクな手紙が届くようになっていた。

 

「う、上杉謙信公ってこんな常識的……というか若干女々しいな。信長様も手紙だと長文書いて書く場所足りなくなって端に行くほど文字小さくなるけど、上杉謙信公はなんというか……いや、たぶん会ったら威厳たっぷりのおっさんなんだろうけど……」

 

 とりあえず来年の雪解け頃に信濃で会合することを取り決めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 海戦で里見水軍をボコボコにしたことで里見水軍の海賊行為がめっきり減り、なんなら北条軍が房総半島に侵攻を再開したため、房総半島周辺海域を今川水軍が安全に通れるようになり、東北地方の太平洋側沿岸を通って蝦夷まで行く海路が開通した。

 

 安丸と外交できる部下を乗せて蝦夷を取り仕切っている蠣崎氏と交渉を行い、貿易の許可を頂いた。

 

 蝦夷では米の収穫ができなかったので、現在の北海道の函館周辺を勢力としていた蠣崎氏はアイヌの人々と本土の交易を取り仕切ることで勢力を維持していた。

 

 で、俺は蝦夷での貿易ができれば様々な毛皮類や豊富な海産物……特に昆布、アワビ、ナマコ、鮭などを大量に手に入れられるのではないかと思い、こちらからは寒い地域の方が栽培しやすい甜菜(別名砂糖大根……砂糖を絞ることができる野菜)とその栽培技術、交易品として大量の米や野菜類に鉄製品を輸出すると言うと、蠣崎氏の5代目当主である蠣崎季広殿は大喜びし、貿易を締結。

 

 その時に友好の証として彼の娘を側室にしてくれと俺に送りつけてくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは! 蠣崎季広の娘の瑠璃って言います! 返却は不可ですので元康様よろしくお願いします!」

 

「お、おう……」

 

 東北では血縁関係を強めるために積極的に婚姻外交を行っていると聞いたが……交易の関係を結んだだけで娘を送り出してくるとは凄い思い切ったな蠣崎季広殿……。

 

「しかし遠江は蝦夷に比べて暖かいですね! しかもこーんなに大きなお城もあって! 松前の徳山館に比べて数百倍の大きさですよ! 城下には徳山館と同じくらいの屋敷が建ち並んでますがあれはなんですか!」

 

 好奇心旺盛な瑠璃姫……まぁ俺の側室になるらしいので瑠璃と呼ぶが、安丸の船で浜松の港までやって来て、俺が出迎えた瞬間から興奮冷めやまぬ様子。

 

「今川は大国なのですね! 東北の大名の方々はもっと小さな船で交易をしていますが、今川はこーんなに大きな船が沢山あって、私びっくりしました! それに船長の安丸さんから元康様は奥方が3人を孕ませまくっている性豪と聞きます! 私も母達みたいに子供を沢山産んで家の為に頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!」

 

 喋りたいことを一気に話すタイプらしい。

 

 色白で餅の様なぷにぷにした肌をしていて、身長は150センチくらい、年齢は市や千代の1つ上の数え年で15歳。

 

 側室の娘で売り込み先を探していたところ、ちょうどよく今川の交易の話が来て、せっかくだからと送り込んだらしい。

 

 ちなみに蠣崎季広殿には正室、側室の娘さんが13人もいるのだとか……。

 

「瑠璃は蝦夷から遠く離れた土地に来ることになったが良かったのか?」

 

「勿論です! 冬は凍えるように寒いし、漁村しか無くて楽しめる場所も無ければ、娯楽も無い! 洒落た格好をすることも出来ませんし、蠣崎の立場は低いので東北の大名に嫁いでも贅沢することはできません! だったら遠方でも東の京と言われるくらい栄えている今川に側室として嫁いだ方が100倍マシです!」

 

「お、おう……」

 

 覚悟の上だったのか……。

 

 まぁこの性格なら千代や市と合わないということもないだろうし、姉貴分の直虎も気に入りそうだから側室になっても大丈夫か……。

 

 何故か俺の嫁が増えるのだった。

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