ガチャ狂い徳川家康   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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本音暴露の茶会

 カシャカシャと茶をたてる音が部屋に響く。

 

 狭い部屋の中には先ほどまで臣下の礼をしていた大老に任じられた4人と俺が集まっている。

 

 茶をたてるのは俺である。

 

「気楽にしてくれ、ここには家臣達の目も無いからな。無礼講無礼講」

 

「は、はは……」

 

 硬い表情をしている小早川隆景殿と島津歳久殿に、既に膝を崩して胡座をかいている信長様と謙信公。

 

 なんなら謙信公は茶よりも酒をちびちび飲み始めていた。

 

「噂の通り酒好きなんだな謙信公」

 

「信長公は逆に茶菓子を食べ過ぎだぞ。どれだけ甘党なのだ?」

 

「酒は酒毒になるから好かん。あと酔うと頭が痛くなる」

 

「ふん、酒はあの感覚が気持ち良いのに……」

 

 信長様と謙信公はゲラゲラ笑いながら談笑している。

 

 慣れない隆景殿と歳久殿は呆気に取られている。

 

「この2人は公の場以外はこんな感じなので気にしないでください。はい、茶ができましたのでどうぞ」

 

「「いただきます……」」

 

 隆景殿と歳久殿は両者謀略を得意とする武将。

 

 家を背負っている代表でもあるので気を抜くことができず、笑い合っている2人に対して探ってしまっている。

 

「はぁ……そんなに気を張らないでくださいよ。将軍になりましたけど、私も普段はこの2人に振り回されているので……」

 

「それは……」

 

「大丈夫なのですか?」

 

「勿論表ではこんな風に砕けた感じにはしないけど、楽に出来る場では楽させてくれ……今後忙しくなるだろうし……隆景殿なんかはわかるんじゃないか? 家が急速に大きくなっていく感覚が」

 

「確かに毛利は安芸の小領主から成り上がった立場でありますが……」

 

「私なんか人質から始まったからな。信長殿に出会ったのもその人質時代で、その頃は信長殿に連れ回されて鹿狩りや鷹狩りばっかりしていましたからね」

 

 菓子を頬張っていた信長様はあの頃が一番楽しかったかもしれねーなと笑っていた。

 

「隆景殿、将軍様は滅茶苦茶料理が上手いからな。この菓子もどうせ元康が作った物だろ?」

 

「ええ、客人に出す菓子くらいは作らせてくれって家臣を説得するの大変でしたよ」

 

 隆景殿の歳久殿は信長様がボリボリ食べている最中に手を伸ばし、食べてみると甘さに驚いていた。

 

「仄かな甘さの中に小豆の風味を感じます」

 

「外はサクサク、内は甘い餡で美味しいですな」

 

「歳久殿にはこっちの方が馴染み深いのではないでしょうか」

 

 俺は別の形をした最中を指さす。

 

 それを歳久殿が食べると

 

「薩摩芋の味がする! これは!」

 

「芋最中と呼ばれている物ですね。薩摩芋を使って芋餡を作り、牛乳を加えることで芋の甘さを深めながらまろやかな口触りになるのですよ」

 

「牛乳を……」

 

 隆景殿も芋最中を食べてみるとこれは美味しいですなと感嘆する。

 

「将軍になったら料理を作る時間も隠居するまでなくなるかもしれないなぁ……あぁ、それはやだけどなぁ」

 

 将軍嫌宣言を言われて隆景殿と歳久殿は仰天。

 

「本来だったら信長殿に将軍やらせようと思ったのに!」

 

「たわけ元康。余がやるには家格が足りんし、謙信公も納得せんだろう」

 

 皆の視線は謙信公に向く。

 

「私は元康だから臣下になったのです。信長殿だったら抵抗しますよ。戦った方が楽しそうですし」

 

「戦好きめ」

 

「天が戦の才を私に与えてくださったのでね。使わないのは毘沙門天に失礼ですよ」

 

 信長様が謙信公にツッコミを入れると毘沙門天の名前を出して受け流す。

 

 徐々に場の雰囲気に慣れてきたのか、隆景殿もやれやれといった感じであきれ顔をした後に

 

「気張っていてもダメですね。僕も崩させてもらいますよ」

 

 茶を啜りながら、素の部分が出てきた。

 

「将軍様、でもいいのですか? 我々に大領を任せて、室町では大領を持つ領主が力を持ち過ぎたから応仁の乱が起こったかのように思えますが」

 

「いや、外に仮想敵に見える者が居ないと今川の家臣達が腐敗してしまうのだ。適切な距離感で協力していくのが引き締まってちょうどよいだろう。それに日ノ本がこれからどんどん巨大になってくると、大領を持つ者が他にも出てくるようになるから、日ノ本で大領を持つ者は新しく領地を持つ者の見本となってもらいたいのだ」

 

 それにと俺は続けて

 

「そもそも今川の治世を長く続けるつもりではあるが、大陸の歴史を知っていれば分かるように国にも寿命がある。日ノ本は朝廷という権威を担保する機構があるゆえに日ノ本という国が崩れることは無いが、政権は藤原から始まり、鎌倉、北条執権、足利、細川執権と揺れ動くことになるが軸はしっかりしている」

 

「今川の政権がダメだと思えば容赦なく叩き潰して外敵に備えられる勢力が国内に残っていないと危ういからな。まぁ大友の様に外敵に操られてしまったらダメだがな」

 

 ここで大友が日ノ本の人を外国に売り飛ばす人身売買を行っていることを暴露する。

 

 謙信公は南蛮人に人を売るのはダメだろと怒るが、あなたも関東で人身売買を行ったことがあるから、あまり変わらないだろうと思ったが、俺は口を紡いでおく。

 

「謙信公は酒少し控えた方が良いですよ。あと後継者を姉の子供の景勝君でしたっけ? 彼にちゃんと一本化させておいてくださいよ。越後平野開発は謙信公の次世代まで続く大事業なんですから」

 

「分かった分かった。しっかり決めておく。うちの家臣達みたいなことを元康も言うな」

 

「そりゃこの中で謙信公が1世代上ですし、軍神としての権威は新幕府でも活用したいので……酒は飲んでも良いですけど塩と一緒に食べるのは辞めたほうが良いですよ。早死しますよ」

 

「……気をつける」

 

 謙信公も茶菓子を食べ始めて、茶を飲み始める。

 

「そんな叩き潰すなんて……」

 

「まぁ内部を引き締めるためにある程度の勢力は居たほうがいいんですよ」

 

 隆景殿の言葉に俺はそう言う。

 

 結局全員で茶をシバいてお土産渡して解散になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 信長様、謙信公や隆景殿、そして歳久殿は貴族と挨拶をしなければならなくなったので、貴族達の元を巡る営業活動に、俺は新幕府の創設準備に奔走することになるのだった。




すみません、体調不良と書籍化作業が重なるため、ガチャ狂い徳川家康は一時更新停止と致します。

余裕ができたら1月か2月頃に更新再開できれば良いと思っていますので、どうかよろしくお願いします。
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