オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~   作:紫 和春

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第37話 仮説を立てました

「小堀はこのあとどうするつもりなんだい?」

 

 ウッマが小堀に尋ねる。

 

「うーん、避難準備指示だからなぁ……。必ず戻れってわけではないし……」

「じゃあ命令された調査の続きでもするの?」

「そのあたりは全然考えてない。まだ他の調査員の手伝いをするってのもあるが……」

 

 小堀とウッマが会話している横で、九王はずっと何かを考えているようだ。

 

「みこね、何か気になることでもあるの?」

「気になることはたくさんありますけど、今はソルレイバーストの発生源がどこなのかを知りたいですね」

「でも、発生源を知ったとして、何か対策を講じることは出来ないんじゃない?」

「……それもそうですね。なら私たちにできることを考えましょう」

 

 九王はかなり冷静な考えのもと、行動を移そうとしている。

 その様子は、以前のような天真爛漫な性格とは真逆のようにも見える。

 

「まず、ソルレイバーストがどうして発生するのかを考えましょう」

「どうしてって……。理由なんて簡単に分かるものなのか? しかも宇宙規模の自然現象に対してよ……」

「簡単ではありません。ですが、理解することは現象を解明するための第一歩に相当します。まずは少し実験をしましょう」

 

 そういって九王は、棚の引き出しに手をかけ、その中から棒状のものを取り出す。

 

「それは……、懐中電灯?」

「はい。懐中電灯は電池とスイッチが導線に繋がっており、スイッチを入れることで発光部が光ります」

「そりゃそうだろ。俺のことを舐めてるのか?」

 

 常識問題に、小堀がちょっとイラつく。

 

「これと同じことがソルレイバーストにも言えるはずです。バースト自体が発光部からの照射に相当し、電池というエネルギー源から供給を受けている……。では、ソルレイバーストのエネルギー源とはなんでしょうか?」

「それは……、あれ? ソルレイバーストは何をエネルギーにしているんだ?」

「通常のガンマ線バーストの場合は、中性子星同士もしくは中性子星とブラックホールの衝突によって発生していると考えられています。ですが、ガンマ線バーストにはそれ相応のエネルギー源が存在しているのに、ソルレイバーストのエネルギー源は存在していません。これは不可解ですね」

 

 九王の問いかけに、小堀は疑問を浮かべた顔になる。

 

「原因がないにも関わらず、結果が存在するなんておかしいでしょう。それこそが、ソルレイバーストが何なのかを理解する第一歩です」

 

 その九王の言葉に、小堀が反論する。

 

「いやいやいやいや……。となるとだ。ソルレイバーストがガンマ線バーストと異なる原因によって発生しているなら、なんで心霊現象と関係が出てくるんだ? さっき九王君はソルレイバーストと心霊観測の日時が一致していると話したばかりじゃないか。ここまでくると、心霊現象との関係なんてないとしたほうが自然だぞ」

 

 その言葉に、九王が考えを打ち明ける。

 

「そこで一つ仮説を立てます。心霊現象が何らかの原因になって、ソルレイバーストを引き起こしているとすれば?」

「心霊現象が原因……? それはいくら何でも言いすぎだろう……」

 

 小堀は思わず困惑する。それに九王は論を展開する。

 

「そうとは言い切れません。ソルレイバーストと心霊現象の発生日時が一致している。ソルレイバーストのエネルギー源が不明。偶然とも言うべき事象がすでに二つもあります。偶然は三つ起これば、それは原因が存在する必然と言えるのです」

「だがまだ二つなんだろ? だったらまだ偶然で済ませたほうが楽なんじゃないか?」

「すでに偶然が二つも発生している時点でおかしいとも言えます。ここは原因が分かるまで探求するべきです」

 

 そういう九王に、小堀は少し疲れた表情をする。

 

「またこの調子になるのか……」

「こうなったら、みこねは止まらないからね」

 

 ウッマは九王のやることには基本賛成する。ここで反対の立場をとっているのは小堀だけだ。

 

「……はぁ、しょうがねぇなぁ……」

 

 小堀も腹をくくった。

 

「ソルレイバーストと心霊現象の関係を知る。次の目標はそこか」

「はい。やりましょう。私たちならできるはずです」

 

 九王たちの次の目標が決まった。

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