オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~ 作:紫 和春
「小堀はこのあとどうするつもりなんだい?」
ウッマが小堀に尋ねる。
「うーん、避難準備指示だからなぁ……。必ず戻れってわけではないし……」
「じゃあ命令された調査の続きでもするの?」
「そのあたりは全然考えてない。まだ他の調査員の手伝いをするってのもあるが……」
小堀とウッマが会話している横で、九王はずっと何かを考えているようだ。
「みこね、何か気になることでもあるの?」
「気になることはたくさんありますけど、今はソルレイバーストの発生源がどこなのかを知りたいですね」
「でも、発生源を知ったとして、何か対策を講じることは出来ないんじゃない?」
「……それもそうですね。なら私たちにできることを考えましょう」
九王はかなり冷静な考えのもと、行動を移そうとしている。
その様子は、以前のような天真爛漫な性格とは真逆のようにも見える。
「まず、ソルレイバーストがどうして発生するのかを考えましょう」
「どうしてって……。理由なんて簡単に分かるものなのか? しかも宇宙規模の自然現象に対してよ……」
「簡単ではありません。ですが、理解することは現象を解明するための第一歩に相当します。まずは少し実験をしましょう」
そういって九王は、棚の引き出しに手をかけ、その中から棒状のものを取り出す。
「それは……、懐中電灯?」
「はい。懐中電灯は電池とスイッチが導線に繋がっており、スイッチを入れることで発光部が光ります」
「そりゃそうだろ。俺のことを舐めてるのか?」
常識問題に、小堀がちょっとイラつく。
「これと同じことがソルレイバーストにも言えるはずです。バースト自体が発光部からの照射に相当し、電池というエネルギー源から供給を受けている……。では、ソルレイバーストのエネルギー源とはなんでしょうか?」
「それは……、あれ? ソルレイバーストは何をエネルギーにしているんだ?」
「通常のガンマ線バーストの場合は、中性子星同士もしくは中性子星とブラックホールの衝突によって発生していると考えられています。ですが、ガンマ線バーストにはそれ相応のエネルギー源が存在しているのに、ソルレイバーストのエネルギー源は存在していません。これは不可解ですね」
九王の問いかけに、小堀は疑問を浮かべた顔になる。
「原因がないにも関わらず、結果が存在するなんておかしいでしょう。それこそが、ソルレイバーストが何なのかを理解する第一歩です」
その九王の言葉に、小堀が反論する。
「いやいやいやいや……。となるとだ。ソルレイバーストがガンマ線バーストと異なる原因によって発生しているなら、なんで心霊現象と関係が出てくるんだ? さっき九王君はソルレイバーストと心霊観測の日時が一致していると話したばかりじゃないか。ここまでくると、心霊現象との関係なんてないとしたほうが自然だぞ」
その言葉に、九王が考えを打ち明ける。
「そこで一つ仮説を立てます。心霊現象が何らかの原因になって、ソルレイバーストを引き起こしているとすれば?」
「心霊現象が原因……? それはいくら何でも言いすぎだろう……」
小堀は思わず困惑する。それに九王は論を展開する。
「そうとは言い切れません。ソルレイバーストと心霊現象の発生日時が一致している。ソルレイバーストのエネルギー源が不明。偶然とも言うべき事象がすでに二つもあります。偶然は三つ起これば、それは原因が存在する必然と言えるのです」
「だがまだ二つなんだろ? だったらまだ偶然で済ませたほうが楽なんじゃないか?」
「すでに偶然が二つも発生している時点でおかしいとも言えます。ここは原因が分かるまで探求するべきです」
そういう九王に、小堀は少し疲れた表情をする。
「またこの調子になるのか……」
「こうなったら、みこねは止まらないからね」
ウッマは九王のやることには基本賛成する。ここで反対の立場をとっているのは小堀だけだ。
「……はぁ、しょうがねぇなぁ……」
小堀も腹をくくった。
「ソルレイバーストと心霊現象の関係を知る。次の目標はそこか」
「はい。やりましょう。私たちならできるはずです」
九王たちの次の目標が決まった。