ご注文は名人ですか?   作:神近 舞

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ここから一気にシリアス展開が加速していきます。ほのぼのごちうさ二次創作だけが見たい方はご容赦ください。嫌だと言う方はブラウザバックをしてください。......私はこれ以上の責任はとれません。


第16羽 レイ先輩の優雅なお茶会チュートリアル

 

〔1〕

 

今になって気づく思い 今になって気づく願い

今を以て散りゆく想い 今を以て消え去る願い

僕を僕たらしめるエゴよ 今だけは忘れさせてくれよ

「消え去りたい」と願ったって

「消えたくない」と止めるくせに

 

只重い思いを背負い手負いの 暗いCry願いねぇDie

誓い違い視界死介している そんなもの忘れたい

 

消え去りたいと思う我が身

要らない感情ばかり数えて 砕いてしまえば楽なのに

消し去りたいと想うその身

要らない歴史ばかり辿って 切り裂いてしまいたいよ

 

「断頭台にて」作詞作曲: ARGENT

 

 

 

 

 

〔2〕

 

『在校生送辞、在校生代表伯方 玲』

「はい」

 

 今日は僕とココアと千夜の通う高校の卒業式だ。本来送辞は生徒会長がやる慣例なのだが、卒業生の多くの希望により僕が送辞を行うことになった。

 

「———以上を以て、送辞とさせていただきます。在校生代表伯方 玲」

 

 パチパチパチ......多くの拍手に包まれながら僕は席につく。時間は流れ、卒業生を送り出すときが来た。僕はココアと手のゲートを作る。

 

「今までありがとうございました」

「ありがとう......ございました......グスッ」

『ありがとう!』

 

 卒業式が終わる。在校生も今日はこれで解散だ。

 

「ココアずっと泣いてるね」

「だってぇ......」

「あはは......あっ、チマメ隊だ」

 

 下校後、チマメ隊に遭遇する。

 

「チノちゃーん......!」

「「「ん?大丈夫じゃなかった!?」」」

 

 確かに大丈夫ではないな。公園にて、チマメ隊がどうしてココアが泣いてたかを尋ねる。

 

「卒業式に感動しちゃって......」

「なーんだもう」

「びっくりしたよー」

 

 泣いてた理由は卒業式に感動したからである。チノがこっそりと僕に話す。

 

「もしかしたらココアさんが留年したのかと......」

「それだったら僕たちがもっと焦っているね......」

「それに、私とレイちゃんがこの街に来てからもうすぐ1年経つんだなーって思ったら......あっと言う間だね!」

 

 チノは嬉しそうな笑顔をした。するとそこに———

 

「あっ、いたいた。レイー、ココアー」

「「「「「ん?」」」」」

 

 そこにリゼと千夜とシャロが来た。

 

「何で泣いてんのよ」

「だって......」

「待ち合わせしてたんですか?」

「うん」

「ああ。進級祝いにお茶しようって」

「美味しい喫茶店見付けたの」

「チノちゃんたちも一緒にどうかしら?」

「「「はっ!」」」

「もしかして......!」

「他の店に浮気!? ラビットハウスから卒業するの?」

「はっ!?」

「「それは違うよ!」」

 

 即否定する僕とココアであった。こうして僕たちは全員で喫茶店でお茶をする事になった。場所は川沿いにある喫茶店。席は、女子高生組と中学生+男子組に分かれた。

 

「満席ですね」

「女子高生組と席離れちゃったね」

「不思議な組み合わせになったね」

「私もあんな風に大人っぽくなりたいなー」

「大人っぽい?」

「後輩に、お茶して行こうぜって自然に誘うのー」

「成る程!」

「ナチュラルに誘えるかなー?」

「じゃあメグ、ちょっとやってみ」

「えっ!?」

「すごい無茶振りだなぁ」

「ほらほら」

「で......出来るかな?えーと......コホン!」

 

 お茶会に誘うチュートリアルをするメグちゃん。

 

「き......君可愛いねー!い......い......一緒にお茶して行かない......!?」

「「怪しいナンパだよ(です)」」

「あははははは!」

「も〜う!」

「「ふふっ」」

 

 マヤちゃんが笑って僕とチノとメグちゃんも笑う。僕は紅茶を飲む。

 

「お兄ちゃんのお茶を飲む姿が優雅ですね」

「「うんうん」」

「そうかな......?自分ではあんまり意識してないんだけど......」

 

 シャロがお茶をお嬢様みたいに優雅に飲む。

 

「シャロさんのお茶を飲む姿がお嬢様だよ!」

「大人って感じです」

「私もあんな高校生になりたいなー」

 

 するとシャロが店員を呼んで、1枚の紙を見せた。

 

「この券、まだ使えますか?」

「無料券ですね」

 

 それは、この喫茶店の無料券だった。

 

「抜け目ないです!」

「憧れるなー」

「良いのかよ!?」

「あはは......」

 

 突然ココアが何かを感じた。

 

「何だか妹を取られてる気がするよ!」

「「ん?」」

「そうだ!」

 

 その頃、チマメ隊は大人っぽいことをしていた。優雅にお茶を飲むメグちゃん。

 

「こ......こうかな?大人っぽい?」

「少し優雅になりました」

 

 そこに店員さんが何かを持って来た。

 

「失礼します。アフタヌーンティーセットです」

 

 それはティーセットだった。

 

「おー!すげー!」

「素敵ー!」

「「頼んでませんが(けど)」」

「あちらのお客様からです」

 

 注文したのはココアだった。僕たち———主にチマメ隊———にグッドのサインを出した。

 

「バーじゃないんですから......」

「何してんの?」

 

 大方、妹たちにプレゼント!とでも考えているんだろうなぁ......。

 

「ありがとう!ココア!いただきまーす!」

「待って!」

「ん?」

「これって食べる順番があるって聞いた事があるよ」

「マジで!?」

「確かにあるね」

「サンドイッチからだっけ......それともスコーンから?えーと......えーと......」

「「「ごくり......」」」

「あはは......」

 

 食べる順番を考える3人。ちなみにティーセットの正しい食べる順番はサンドイッチ→スコーン→ペストリー(ケーキ)の順だ。

 

「つまりこれを優雅に食べなきゃ......」

「大人のレディにはなれない......ど、どうしよう......」

「......教えようか?」

「いえ、自力でいかせてください......。そうだ!ここはシャロさんたちを真似すれば......」

「それだ!」

 

 女子高生組を見る3人。しかし3人は驚いた。

 

「「「ホットドッグ食べてるー!」」」

「あはは......」

 

 なんとホットドッグを食べていた。

 

「これ......どうすれば......」

「向こうにも同じ物が!」

 

 女子高生組の席にティーセットが来た。

 

「真似するチャンス!」

「「「じー!」」」

 

 女子高生組をじーっと見る3人。ココアがまた何かを感じた。

 

「ん?羨望の眼差しを感じるよ」

「いいえ。観察されているのかもしれないわ」

「観察!?」

「どうして?」

「尊敬に値する先輩であるかどうか!」

「「大袈裟な!」」

「そっか......分かったよ!」

「納得した!?」

「みんな!私の相対性理論の説明どうだった?」

「頭が良いアピール!?」

「特殊相対性理論と一般相対性理論なら、特殊の方が好きだわ」

「乗っかった!?」

「い......今どき、般若心経の暗記なんて楽勝よね」

「シャロまで!?」

 

 突然訳の分からない会話を始めた。そして僕たちも。

 

「何してんのあの子たち」

「特殊相対......」

「良く分からないけど、食べる前にお喋りを楽しむらしいね」

「成る程。大人っぽい会話をしなくちゃ......!えーと......えーと......」

「あっ、私この前初めて兄貴をパシリに使ったよ!」

「それは大人じゃないよ!こ......今度ラビットハウスのバータイムにお邪魔しちゃおうかな!」

「大人っぽい!」

「よ......夜更かししちゃおうかな!」

「良いぞー!」

「チノー夜更かしなんてお兄ちゃんは許さんぞー」

 

 大人っぽい(?)会話をする3人。しかし———

 

「お姉ちゃんは許しませんよ!」

「「「聞かれてる!」」」

「さっきから何してんの?」

 

 ココアに筒抜けだった。

 

「アフタヌーンティーですか?楽しそうですね」

 

 何処からか突然、青山先生が現れた。

 

「青山先生?」

「青山さん!」

「あの......これの食べ方知ってますか?」

「青山先生には聞くの?」

「ん?普通に食べるのはダメなんですか?」

「普通......?そっか、普通で良いのかな?」

「待って!青山さんの普通は私たちと違うかもしれない」

「さすがにその発言は青山先生がかわいそう」

 

 青山先生の常識を疑うのはやめてあげて?

 

「チノちゃんたちが青山さんと話してる」

「深刻な話っぽいぞ」

「青山さんに意見を求めてるんだわ」

「何のだよ?」

「もしかしたら......観察していたけどあいつは尊敬出来ないって!」

「そんな!」

「おいおい」

 

 女子高生組の下に青山先生が来た。

 

「こんにちは」

「青山さん!こんにちは」

「「「こんにちは」」」

「チノさんたちに言われて観察しに来ました」

「「「言っちゃダメ(です)!」」」

「青山先生も何してんの?」

「そ......相対性理論か......」

「特殊と一般と......」

「し......色即是空......く......空即是色......」

「わ......私は宇宙ひも理論好きだな......」

「あら......珍しい......私もよ......」

「えっ!? み......みんなそうなの?ぐ......偶然ね......私も......」

 

 訳の分からない会話をまたしてるココアと千夜とシャロ。だがリゼは、僕たちを見て席を外す。それと同時にチマメ隊も席を外し、リゼの後を追う。はぁ......。

 

「さっきから何しているのさ」

「「「うぅっ......」」」

「別に賢いアピールしなくて良いのに。後で痛い目に遭うよ?」

「「「だって......」」」

「席が空きましたのでくっつけさせていただきます」

「分かりました。ありがとうございます」

 

 僕たちは席をくっつけてもらうことにした。その後、リゼたちがパウダールームから戻って来た。

 

「あっ、戻って来たわ」

「席空いたからくっつけてもらったんだよ」

 

 これで8人全員で交流出来る。

 

「じゃーん!クジ引きで席をシャッフルしよう!」

「自分だけ後輩たちと同じ卓になるように仕組むなよ」

「平等だよ!私、みんなとお茶会出来るだけで楽しいんだから!」

 

 クジを引いた結果———

 

「これ美味しい!」

「うん!本当だー!」

「こっちのも食べてみてよ!」

「うん!」

 

 チノたちとは遠い席になってしまったココアが凹んだ。

 

「一番遠い席になったからって凹むなよ」

「ほんとだよ」

「と......遠い......」

「あの、一つ聞きたい事が......」

「なになになに?何でも聞いて!」

「「「特殊相対性理論と一般相対性理論って何が違うの(です)?」」」

「「「......」」」

 

 さっきの会話を聞かれたのか、ココアと千夜とシャロが固まった。

 

「はぁ......ざっくりと説明すると、どちらも光速......即ち光の速度に近い速度で移動する物体の運動に関する理論なんだけど、特殊の方は重力の影響を無視して記述した理論、一般の方は特殊の理論を発展させて、重力の影響を考慮して記述した理論......ってところかな」

「「「なるほど......」」」

「「「救世主......!」」」

 

 知ったかぶりをするとこうなるんだぞ。夕方になり、お茶会は終了した。

 

「私、もっと頑張ろう!」

「ああ。頑張れ」

「もっと触れて!」

「じゃあ何だ?」

「もっとちゃんとお姉ちゃんとして成長しなきゃって!チノちゃん!カバン持ってあげようか?」

「あっ、いえ、結構です」

「お姉ちゃんに遠慮しないで良いんだよ」

「遠慮してません」

「じゃあおんぶしてあげる。遠慮しないでー!」

 

 早歩きで逃げるチノをココアが追いかける。

 

「してません!」

「チノちゃーん!」

「お兄ちゃん助けてください!」

「はいはい......」

 

 

 

 

 

〔3〕

 

 翌朝、早起きする僕とチノ。ココアの部屋へ向かい、ココアを起こす。

 

「ココアさん、朝ですよ」

「ココアー起きてー」

 

 ドアをノックするが、返事が来ない。

 

「ココアさん?入りますよ」

 

 チノがドアを開けて部屋に入ると、ベッドの布団が膨らんでた。仕方なく揺らして起こす事に。

 

「ココアさん、春休みだからって寝坊はダメですよ。ココアさん」

 

 チノはやむを得ないと思い、布団を上げると僕らは驚いた。

 

「ぬいぐるみ!?」

 

 布団の中には、ココアではなくぬいぐるみがいた。

 

「おはよう、レイちゃん、チノちゃん」

「早起きとは珍しいね」

「はっ!」

「朝食が冷めちゃうよ」

 

 後ろに振り向くと、ココアがナルシストのように立っていた。右手には焦げたホットケーキを乗せた皿を持っていた。

 

「いつもと違う!でも焦げてる!」

「何してんの?」

「朝食が済んだら特殊相対性理論と一般相対性理論の違いを教えてあげるわ!」

「それはもうお兄ちゃんが教えてくれましたよココアさん......」

「なんか様子がおかしいね......」

 

 様子がおかしいココア。その後、チノがリゼにそのことを伝える。

 

「ココアの様子が変?」

 

 ココアは元気良く窓拭きをしてる。

 

「確かに......」

「いつもより動きが機敏じゃ」

 

 今度はティッピーを機敏に撫でる。

 

「何じゃこりゃ......」

「ティッピーの撫で方も機敏だ!」

「いらっしゃいませ」

 

 青山先生を機敏に接客するココア。青山先生は唖然としてた。

 

「客の招き方も機敏だ!」

「ココアは一体どうしちゃったんだ?」

「お席へご案内します」

「ジェントルメーン!」

 

 優雅に席を案内する。

 

「違うお店みたいなのでやめて下さい」

「ラビットハウスの雰囲気ぶち壊しだよ......」

「そう言えば、いつもと分け目が逆です」

「「本当だ」」

 

 ココアの分け目が右ではなく左になっていた。

 

「偽物かもしれない!そうだ!」

「モフモフモフモフ......」

 

 ロープでチノにぬいぐるみを縛ってモフモフ作戦を決行する。

 

「モフモフ尽くし!これなら我慢出来ずに抱き付いて来るはず!」

「さぁココア、たとえいつもと違っても、これは我慢出来ないでしょ?」

 

 これにはさすがのココアも動揺してる。しかし———

 

「真面目に仕事しなきゃダメだよ!」

 

 ココアは誘惑に勝ってしまった。

 

「何故か分かりませんが凄く悔しいです」

「地味にショックだな......」

「そんなことがあるの......ココアに限って......?」

 

 コーヒーを運びながらリゼは思考している。すると、リゼが何かを踏んだ。

 

「思った矢先に!?」

 

 なんとココアがぶっ倒れてた。

 

「しっかりしろ!」

「どうしてこんなになるまで......」

「明後日......」

「明後日?」

「お......」

「「お?」」

「お姉ちゃんが来るんだよ......ガクッ......」

 

 力尽きたかのように倒れたココア。

 

「「それとどう関係が?」」

 

 氷水が入った袋を頭に乗せて冷やす。ココアは落ち着いた。

 

「つまり、頑張っている所を姉に見せたかったのか?」

「うん。もっとしっかりしなきゃって、チノちゃんのお姉ちゃんとしてちゃんとやってるって」

「ココアさんのお姉さんって厳しいんですか?」

「安心して!凄く優しいよ!お兄ちゃんも2人いるけど、躾けて従えてる姿が格好良いんだ!」

「躾けてって調教師か!?」

「ココアって末っ子だったんだね」

 

 だから姉という存在に憧れていたのか。

 

「調教......私......これ以上何かされるんです......!?」

 

 またロープにぬいぐるみと一緒に縛られてるチノ。

 

「怯えてしまった!」

「だろうね......」

「よし!協力するぞ!良いとこ見せよう!」

「ありがとう!」

「でも姉妹が沢山いて羨ましいな......一人っ子としては」

「リゼちゃん......」

「リゼ、分かるよその気持ち。僕も一人っ子だからね」

「レイちゃん......」

 

 ココアは何かを思案した後に言う。

 

「レイちゃんとリゼちゃんも私の妹って紹介するからね!チノちゃんと一緒に!」

「普通に友達で良い!」

「リゼの方が年上だし、僕は男だ」

 

 

 

 

 

 Side Cocoa

 

 その後、みんなをラビットハウスに呼んだ。レイちゃんは棋帝戦第三局の検分作業のために既に外出した。

 

「お姉ちゃん修行?」

「何それ?」

「どうしたらしっかりして見えると思う?お姉ちゃんに成長した姿を見せたいの!」

「そう言われても......」

「とりあえずさっきから怯えてるチノを安心させてみろ」

 

 まだ怯えてるチノちゃんをシャロちゃんが宥める。

 

「大丈夫。私が付いてるから」

 

 チノちゃんを優しく撫でるシャロちゃん。

 

「分かった!大丈ー夫!私が付いてるから!」

 

 チノちゃんを元気に撫でる私。

 

「同じ台詞なのにこの違い......」

「うーん、そうだわ!リゼちゃんたちが少しドジな姿を見せたら」

「えっ?」

「反対にココアちゃんがしっかり見えるんじゃ」

「逆転の発想!? ん?しかし協力すると言ってしまったし......」

 

 リゼちゃん......やって欲しいな......私は強い眼差しでねだる。

 

「分かった!やってみる!」

「「「えー!」」」

「じゃあ始めましょう」

 

 チュートリアル開始。

 

「注文をお願いしたいんだけど」

「え......えーと......わ......私コーヒーの区別がつかないので......」

「ココアー!助けてー!」

「私数学苦手ですから間違ってコーヒー缶1トンも注文してしまいました......」

「このドジっ子!」

「ココア、パンって火炎放射器でも焼けるのかな?」

「......」

 

 こんなチノちゃんとリゼちゃん嫌だよー!

 

「わーん!こんな2人見てられないよー!」

「お前のためだぞ!」

 

 今度はマヤちゃんとメグちゃんを呼んだ。

 

「次は私たちがココアを鍛えるよ!」

「「おー!」」

「よろしくです!サー!」

 

 窓を指でなぞり、ホコリを確認するマヤちゃん。

 

「ココアさん、まだホコリが残っていてよ?」

「何か始まった」

「姑です」

「このフリスビーを取っておいで!」

「ワン!」

 

 私は思わずワンちゃんになってしまった。

 

「ほーら!」

「ところでこれ何の特訓?」

「おい!」

「お姉ちゃんらしくなりたいから、妹役をやってほしいんだよ」

「オッケー!」

「じゃあみんなで一緒に!お姉ちゃん!パンが食べたいな!」

 

 3人一緒に私におねだりする。

 

「私......」

「私は宿題手伝って!」

「私も......」

「後でね〜!」

「あれいつまで続くんですか?」

「ココアが無意味と気付くまで......」

 

 そして、チュートリアルが終わった。

 

「みんな今日は私のためにありがとね!ほんの気持ちのカフェラテだけど」

「「わー!」」

「あっ、これココアが描いたの?」

「ん?」

「初めて貰った時から凄く上手くなってる!」

 

 私は花のラテアートを見せた。どうやら前より上達していたらしい。

 

「ずっと見てきたから気が付きませんでした」

「ちゃんとした成長の証があるじゃないか」

「はっ!」

「ココアちゃん、すごーい!」

「すげー!格好良い!」

「よーし!今もっと凄い物振る舞うからねー!」

 

 みんなから褒められて元気になったよ!

 

「3Dラテアートってやつ見てみたい!」

「任せて!」

「楽しみ!」

「店員として成長してても姉としてはまだまだです」

「そうか?」

「出来たー!3Dラテアート!じゃん!」

「ただのティッピー!」

「はあ」

 

 大きいティーカップにティッピーを乗せただけだった。てへっ☆

 

 Side Out

 

 

 

 

 

 2日後、遂に今日はココアのお姉さんが来る日。ちなみに棋帝戦第三局は僕が勝利して3勝0敗で棋帝を防衛し、棋帝6期目に突入した。

 

「今日がココアのお姉さんが来る日かぁ」

「そろそろ駅に着く頃だろ?本当に迎えに行かなくて良いのか?」

「自分でお店まで来るからココアさんには仕事しているようにって手紙に書いてあったそうですが。そうですよね?ココアさん」

 

 だがココアは返事すらしない。

 

「「「ん?」」」

「ココア!?」

 

 ココアを見ると、目のハイライトが消えていた。

 

「ココアさんが緊張で固まってます!」

「おい接客業!ちゃんと仕事しろって書いてあったんだろ?おい......おい!ココア!」

「ココアさんのお姉さん、どんな人なんだろう」

「ココアーしっかりしろー」

 

 その刹那、お客さまが来店する。

 

「いらっしゃいま———」

「久しぶりね、玲」

「———ッ!?」

 

 その人は、銀色のロングヘアをたなびかせていた。黒いドレス姿で着飾ったいるが、身長の低さのせいか背伸びしている印象を与える。だが、僕は知っている。彼女は立派な大人であり、僕にとって因縁の深い存在。

 

「私より小さい人初めてみました。知り合いですか?お兄ちゃん」

「ハッ!そんな小さい娘に『お兄ちゃん』って呼ばせるなんて!貴方、ロリコン趣味でもあったの?」

「......僕を悪く言うのは結構です。ですが、彼女たちを悪く言わないでください」

「アンタがアタシに指図するんじゃないわよ!」

 

 彼女が大きな声を発するとともに大きく足を踏み込む。踏み込んだことで大きな音が鳴り、彼女からの威圧が伝わる。

 

「———ッ、とにかく......何故貴女がここにいるんですか———銀華さん」

 

 彼女の名前は春生 銀華(はるう ぎんか)。師匠の......実の娘だ。




伯方 玲の語られざる過去4
6歳で3度目のアマチュア竜皇戦優勝を果たし、史上最年少のアマ八段に認定される(その後の竜皇ランキング戦6組は準優勝{相手は白井四段[当時]})。
3度目のアマチュア竜皇戦優勝後、春生 芳治の内弟子となり、春生家でお世話になることになる。

レイの弟子になるのは誰?

  • ココア
  • チノ
  • リゼ
  • 千夜
  • シャロ
  • その他
  • 誰も取らない
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