〔1〕
「「「「「木組みの街将棋女王決定戦?」」」」」
「そう、抽選で選ばれた60人の女性アマチュア棋士と前回ベスト4の女性アマチュア棋士が、この街における最強のアマチュア将棋棋士を決める戦い。僕というプロ棋士を輩出した影響で、この街を将棋の街として発展させようという○○市の施策。優勝者には○○市から30万円の賞金が出るよ」
僕は毎年このイベントの準決勝及び決勝の解説に出ている。賞金の言葉を聞いてシャロの目が光った気がしたのは気のせいではないだろう......。
「せっかくだからみんなも参加してみない?楽しいよ?」
「「「「「やる!」」」」」
いつメン5人はこうして将棋女王決定戦に応募した。その結果———
「当たったのはシャロだけだったね」
「やったわ!」
「「「シャロちゃん(さん)、頑張って(ください)!」」」
「負けるなよ、シャロ」
「という訳で、早速指導を———」
「ダメよ!」
「ッ!?」
「ここでレイを頼るのは他の人たちに対して卑怯だわ!レイは私の将棋を見守ってて!」
「......シャロがそう言うのなら、僕は何も言わないよ」
そうして、将棋女王決定戦当日を迎えた。シャロの1回戦の相手はなんと前回の将棋女王決定戦優勝者だった。
「「お願いします」」
大丈夫だろうか?というそんな僕の不安とは裏腹に、シャロは相手に対して有利な状況を築いていた。
「......ッ!」
「......見えたわ」
シャロは相手に必至の状況を作り上げた。相手はそれが理解出来たようで、投了した。その後もシャロは快進撃を繰り広げ、準決勝に進出した。昼休憩の後に、準決勝第1局(シャロの戦う対局)、準決勝第2局、決勝の順番に持ち時間30分の対局が行われる。
「いやぁ、今年はハイレベルですねー」
「そうですね......」
聞き手として来ていた女流棋士の方と昼休憩をする。
「特に桐間選手は凄いですね。前回王者を始め、多くの強豪を倒して準決勝まで来たんですから」
「そうですね......次の相手は前々回王者ですか......」
「なかなかの巡り合わせですねー」
シャロ......大丈夫かな......?そんな不安を抱えながら休憩が終わり、対局が始まる。
「「お願いします」」
対局は相矢倉で進行する。中盤で小競り合いが起き、互いの防御陣に傷をつけながら拮抗状態になる。形勢が傾いたのは相手の疑問手からだった。
「......!」
「......ッ」
シャロはその疑問手を逃さず咎める。そこから相手の防衛陣に穴を開け、遂に13手詰めにまで追い込んだ。
「......負けましたッ!」
「ありがとうございました」
こうしてシャロは決勝に進出。もう一方の決勝進出者は前回の準優勝者だった。
「「お願いします」」
対局はなんとシャロ側によるダイレクト向かい飛車で進行した。ダイレクト向かい飛車と言えば、千夜が得意としている戦法だ。恐らくみんなから色んな技術を吸収したのだろう。シャロはダイレクト向かい飛車を上手く指しこなし、相手を追い込んでいく。
「ここは......こうで......こう......!」
「......ッ」
シャロは相手の防御陣を完全に崩壊させ、詰めろをかけられる状況に追い込んだ。
「これで......トドメ......!」
「......ッ!」
ここからは簡単な15手詰めだ。ここまで来たら、シャロは間違えない。
「負けました......」
「ありがとうございました......!」
こうして、シャロは木組みの街将棋女王決定戦に優勝した。後に賞金30万円が贈られたとき、
「レイ......こんなに貰って本当に良いのかしら......?」
と、ガクガクと震えていた。
〔2〕
Side Sharo
もうすぐ春休みの終わりが近付く季節。私は家で制服にアイロンがけをしてる。
「よし!アイロンがけOK!靴磨き完璧!」
制服と靴が綺麗になっていた。
「これで新学期を気持ち良く迎えられそう。お化けが出そうな家でも心は錦なんだから!」
するとベッドの下からワイルドギースが出て来て、片方のローファーを咥えて走った。
「あっ、こら!」
するとワイルドギースが何かを見た。
「ん?」
ワイルドギースが見た方向を見るとそこにいたのは、黒いオーラを醸し出してる千夜が窓の外から見てた。
「あー!驚かさないでよ!」
窓を勢いよく開けて千夜に怒る。
「あのね......シャロちゃん......」
「ん?どうしたの?」
何故か千夜が泣いてた。
「あのね......ココアちゃんと......喧嘩しちゃった......」
なんと千夜は、ココアと喧嘩してしまった。何事!? その夜、私は千夜を元気付けようとするためにハーブティーを差し出す。
「ままままままずはここここここれでも飲んでおおおおお落ち着きなさい!心が鎮まるハーブティーよぉぉぉぉぉ!」
もはや私が動揺している。その証拠に、カップの中にはハーブティーすら無い。
「私よりシャロちゃんの方が動揺してるみたい......」
「喧嘩ってこの前家で一緒にカレー作った時はあんなに仲良くしてたじゃない!あんた達の絆はダイヤのように固いんじゃなかったの!?」
「ダイヤってハンマーで割れるのよ......」
「えっ!?」
そうだったの!?
「あのね、うちの学校クラス替えがあるでしょ?」
千夜は回想する。今日の昼、レイとココアと千夜がクレープを食べ歩きしてたときのこと。
『良い天気!気分も爽快だね』
『もうすぐ始業式ね』
『『そうだね』』
『不安だわ。ほら二年生になるとアレは避けて通れないじゃない?』
『あー......アレか......』
『何で?私、凄く楽しみ!千夜ちゃんなら上手くやってけるよ』
『心配じゃないのかい?』
『はっ......!』
『はむ』
美味しそうにクレープを食べるココア。怪訝な表情を浮かべるレイ。回想終了。
「レイくんはまだしも、ココアちゃんは私と違うクラスになっても寂しく無いんだわあぁぁぁぁぁん!」
号泣しながら千夜は叫んだ。
「それで言い争いを!?」
「ううん。ココアちゃんに向かって少し頬を膨らませてみたわ」
「分かりにくいわ!」
「レイくんにも言われたわ」
千夜はココアに向かって膨れっ面を見せたが、ココアが振り向いた瞬間に膨れっ面を止めた。
「どうしよう......」
「どうしよう、ってそれって喧嘩?」
「ぐすっ......」
「うーん」
どうすれば良いのやら......。
Side Out
翌日、フルール・ド・ラパンにココアを除く僕たちラビットハウス組がシャロに招待され、先程の話の相談を受けた。
「てことがありまして相談したかったので、わざわざ来てもらってすみませんリゼ先輩。レイもチノちゃんもありがとう」
「いえ、丁度買い物に出ようと思っていましたから。ココアさんと千夜さんにそんな事件が」
「だけどそれって喧嘩か?」
「私もそう言ったんですけど」
「ココアが千夜の発言の意図を理解して無いだけな気がするけど」
「困ったものです。ココアさんは天然で仕出かすんです」
「ほんとにそう」
それはこの前、ココアがチノのやり掛けのパズルをまた無意識に完成してしまったのだった。
「うんうん」
「また同じ失敗を......」
「千夜もそう言うところあるわね」
「あの2人はマイペースお騒がせコンビです」
「それが2人の良いところでもあるのがなぁ......」
「じゃあ私たちは......振り回され隊だな」
「何だかカッコ悪いよ......」
「何でも部隊にしたがるんですね」
「にしても......」
「「ん?」」
「どうしたら良いと思います?」
「あぁ......放っておいても大丈夫なような気もするけど、振り回されたついでに、ココアにメールしておくか。千夜とちゃんと話し合えって。ちょっとすれ違っただけだから、大した問題じゃないだろう」
「それが一番だろうね」
リゼがココアにメールする。
「そうですよね」
ティッピーはハーブティーをストローで飲んでる。
「あの、クラス替えって中学には無いんですけど」
「そう言えばうちの高校にも無いわね」
「誰とクラスメイトになるのかって運なんでしょうか?」
「さあ、学力や特性で決めるって聞くけど」
「僕の場合は小中ともにあったけど、学力や運動能力、交友関係やその他才能及び特性の有無などで決めてたらしい」
「もし中学にクラス替えがあってしかも運だったら、チマメ隊が解散して新チームを結成してたかもな。エダマメ隊とか」
「エダマメ隊!? そ......それは困ります!」
「『エ』と『ダ』担当誰だよ」
「エ」ならまだしも女性で「ダ」だとダリアとかダイアナとかの外国人でないと難しい気がするんだが。
「運だったら、私ちょっと自信あります」
「「「ん?」」」
「実は商店街のくじ引きで......ハズレ賞のボールペン!使い心地抜群だったんです!」
「運が良いのか悪いのか!?」
「ボールペン......」
「使い心地が良いなら......良いんじゃない?」
夕方、シャロのバイトが終わり、4人で道を歩いてる。
「こっちです。マヤさんたちと見つけた穴場のお店なんですよ」
いつも以上にチノが子どもっぽく見える。
「新学期用の文房具を買いに行こうと思っていたんです」
「新学期かー」
「明日からだもんね」
「リゼ先輩も何か買いたい物あるんですか?」
「特には......」
「そのお店は流行り物や」
「流行り!?」
「可愛い文房具でいっぱいなんですよ」
「可愛い!?」
するとリゼは、シャロの左腕を掴んだ。
「えっ!?」
今度はチノが、シャロの右腕を掴んだ。
「えっ!?」
そしてシャロを引っ張って走り出した。
「早くしないと日が暮れるぞ!」
「急ぎましょう!」
「子どもが2人ー!」
「ちょっと待ってよー!」
僕も後を追いかける。そしてその文房具屋に来店した。
「おー!」
「素敵なお店ね」
「ですよね」
「可愛い文房具でいっぱいだね」
「おっ!これは機能性が良さそうだな」
1本のボールペンを手に取ったリゼ。
「父が使ってるやつみたいです」
「えっ!」
「リゼさんはもっと中学生の目線になるべきですね」
リゼとチノ、3歳しか変わらないぞ......。
「チノちゃん、見て見て。これコーヒーミル型鉛筆削りだって」
「素敵です!とても渋みがあります!」
コーヒーミル型鉛筆削りを見て、チノが輝いた。
「中学生なのに渋みって......」
「あはは......」
「私は流行りとか良く分からないからな......」
「僕も......」
「ならば私にお任せを!」
「シャロは分かるのか?」
「色々勉強してるんですよ。クラスの子と話題合わせるのもあの学校で生き抜く術ですから」
「く......苦労してるんだな......」
「......頑張れ」
「例えば......そうですね......あっ!」
するとシャロは、ピンク色のステラードブラッシュを手に取った。
「このステラードブラッシュはラメの文字が書けるんです。ガールズテンプレラは可愛い文字をリボンに印刷できて凄く便利なんですよ」
「ほうほう」
チノは理解してるが、リゼは混乱してる。僕は一応理解出来ている。
「ステ......て......天ぷら......?」
「こっちのライナーはマスキングテープになってて文字の上から貼れて」
「私も使ってます」
「面白いね」
「暗号だ......!解読班は何処だ......!」
「あはは......」
全然理解出来てないリゼ。心中、お察しします。
「師匠と呼ばせて下さい」
「でも私、使った事ないの」
「ありゃま」
「買う物決まったか?」
「見せ合いっこしませんか?」
「そうね、じゃあせーので」
「うん」
「「「「せーの!あっ!」」」」
色違いだが、同じペンが4人合った。
「意外と趣味が似てるんですね」
「そうだな」
「後は、アンゴラウサギの下敷き」
「手榴弾型消しゴム」
「お徳用ノート」
「王将駒イラスト付き定規」
「あぁ......」
「ペンが被ったのは奇跡ね......」
「そうだね......」
それぞれ文房具を買った後、夕方の道を歩く。
「良い買い物が出来ました」
「そうだな」
「予定外の出費だったけど凄く楽しかったから良しとしま———あっ!」
突然シャロが何かを見て怯えた。目の前にフラフラしながら立ってる千夜を見付けたからである。
「千夜!?」
「あっ......みんな......」
「千夜!どうしたの!?」
「公園へ行こうと思って......ココアちゃんから果たし状が来たから......」
「「「「果たし状!?」」」」
メールには「夕刻の4時半、公園にて待つ。飾る言葉などいらぬ、覚悟と心意気のみ持ち来たれ。あ、お菓子はあるからね♡」と書いていた。
「余計な遊び心を!」
「ココアは中二病だった......?」
そして僕たちは公園の茂みに隠れながら、ココアと千夜の会話を聞く。
「ここから見守っていよう」
「えー!? クラス替えあるの!?」
「今知った!」
「嘘でしょ!?」
クラス替えの事をココアが初めて知った。
「千夜ちゃん、良いお姉ちゃんになれるか不安だったのかと!」
「とんだ勘違いです!」
「だから私なら上手くやっていけるって言ったの?」
「う......うん!」
「そっちも心配した方が良いかしら!?」
「しなくて良い!」
「心配以前の問題でしょ」
「いつも通りの2人でしたね」
「喧嘩なんておかしいと思ったよ」
「帰りましょう」
「だな」
僕たちはこっそり帰る。
「そうなんだ......クラス替えがあるんだ......」
「ココアちゃん......」
「あっ!チノちゃん良い所に!」
僕たちが帰ってる姿をココアが見付けた。
「ん?」
何の用だ?
「はい!よーし!」
買って来たコーヒーをココアと千夜が飲む。
「何する気よ?」
「まさか、カフェ・ド・マンシー?」
「ティッピー!コーヒー占いだよ!明日の運勢を占って!」
「よっしゃ」
やっぱりか。コーヒーを飲み干してティッピーにカップの底を見せる。
「どうかしら?」
「「ごくり......」」
「うーん......明日の2人は今までの行いの報いが来るじゃろう」
「報いって!?」
「それじゃあ一緒のクラスには......!」
何処からか饅頭を出した千夜。
「わ......私たちの強運を舐めてもらっては困るわ!」
「ロシアンルーレット!」
だがしかし、2人ともハズレを食べてしまい倒れてしまった。
「何してんの?」
「ホントに何してんだか。あのね、もしクラスが別々になったってそれで終わりじゃないでしょ」
「同じ学校なんだし」
「休み時間には会えます」
「どうせ授業中はお喋りする訳にはいかないんだし」
「そ......そうだね」
「えぇ」
「あっ!クラス違っても教科書の貸し借りができるし!」
「そ......それちょっと憧れだったわよね!」
「クラスの出来事を報告し合うとか!」
「1日に2つの学園生活を楽しめるなんて!」
「なんか悪くない気がしてきた!」
「寧ろそれはそれで楽しみになってきたわ!私たち......クラスは離れても......」
「心はいつも隣の席だよ!みんな!心配してくれてありがとう!」
「もう大丈夫よ!」
すっかり元気なった2人。僕たちは呆れてる。
「勝手にしてくれ......」
「そんなこと言ってるけど、2人は僕の心配はしてくれないんだね」
「「あっ......」」
翌日、始業式と共にクラス替え発表の日。
「ココアちゃん!」
「千夜ちゃん!」
「「同じクラスだぁ!」」
ココアと千夜は同じクラスになっていた。良かったね。......しかし、
「地味に別のクラスになっている僕の存在には気付いてもらえないんだね......」
「「あっ......」」
僕は2人とクラスが離れてしまった。運命とは残酷だ。ところが翌日。
「「「「「春休みの宿題忘れた!?」」」」」
なんとココアと千夜が春休みの宿題を忘れてしまったのである。結局5人で勉強する事になった。
「助けてー!明日までに提出しないと進級早々補習なの!」
「行いの報いが来る......ティッピーの占い当たりですね」
「まさか課題やってなかったとは......」
「ここの回答!」
「間違ってる!」
「式の組み立てからやり直し!」
「鬼教官が3人!」
「でも心強い!」
「結局振り回されるのね」
「私も予習します」
「うん」
チノも加わった。
「あっ!何で4人とも同じペンなの?」
僕たちのペンが一緒になってるのを見た。
「私達は振り回され隊だからよ」
「そう言う事!」
「秘密の絆です」
「そうだね」
「「あー......ん?」」
僕たち振り回され隊の活動は続く......。
〔3〕
Side Chino
数日後、私は中学校でマヤさんとメグさんに今までの事を話した。
「へえ、そんな事があったのか」
「高校はクラス替えがあるんだね」
「おっ、気が早い話だけどさ2人はレイ兄とリゼの高校どっちに進学したい?」
「うーん、普通はお兄ちゃんの学校になるでしょうね」
「やっぱり?」
「えーとね」
「「ん?」」
「私はお母さんに、リゼさんとシャロさんと同じ学校に行くようにって勧められているけど」
「えっ!」
「そうだったんですか」
「あそこお嬢様学校だよ!ごきげんよう症候群になるよ!」
ごきげんよう症候群とは......?
『ごきげんよう。今日はごきげんなお天気でごきげんですわ』
お嬢様になったリゼさんをイメージするマヤさん。
「って不治の病だよ!」
「リゼさん病気なの?」
「でもそっか......別の高校になっちゃうかもしれないのか......」
放課後になり、生徒たちが下校の時間になった。
「一緒に帰りましょう」
「うん。ん?あれ?マヤちゃん?」
「ちょっと急用」
「「ん?」」
今日のマヤさんは何か急いでる。どういうことなのか。
Side Out
同じ頃、リゼとシャロが通ってるお嬢様学校でも放課後の時間になってる。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう、また明日」
「また」
2人の同級生と別れて下校するリゼ。その後ろからマヤちゃんが気付かれないように付いて来る。するとリゼが何かを感じたのか途中で止まる。
「何か視線を感じる......」
「ん!」
気付かれたと思ったマヤちゃんはドキドキしてる。
「誰だ!出て来い!」
すると茂みの中からうさぎが出て来た。
「!?」
「私に気付くなんてさすがリゼ!」
「はっ!......」
「ん?」
赤面するリゼ。うさぎは去って行った。
「な......何か用か?」
「尾行ごっこ!」
「ん?ま......まあ......私を一瞬でも騙せたのは褒めてやろう......」
「ん?リゼ何か顔赤いよ」
「今日は暑いからな......」
「そうかな?」
その後、マーケットから出た2人。
「ほら、アイスでも食べろ」
リゼはアイスをマヤちゃんにあげる。
「わーい!ありがとう!」
「尾行ごっこなら私も昔はよくやったな」
「そうなの?」
その後、2人で帰る。
「ねえ、リゼ」
「ん?」
「ちょっと聞きたい事あるんだけど」
「尾行のコツだな?」
「そうじゃなくて———」
「よーし!特別に教えてやる!あれを見ろ!」
「ん?」
リゼが目の前を指差すと、そこには、青山先生が歩いてた。
「小説家、青山ブルーマウンテン!」
「行く先々に現れる神出鬼没で不思議な存在だ。どんなルートを歩くのか興味がある。尾行するぞ!」
「イエッサー!」
何故か青山先生を尾行する事となった2人。物陰に隠れながら青山先生を尾行する。
「あまり近付きす過ぎずに一定の距離を保つのが大事だ」
「イエッサー!」
そんな「青山先生を尾行してる2人」を尾行してる人物がいた。それはシャロだった。尾行してる2人を尾行する。そして青山先生はカップの店の中を見てる。その後ろの花壇の後ろから覗いてるリゼとマヤちゃん。だが、マヤちゃんはジャンプしながら覗いてる。
「こら!」
「良く見えないよ!」
「ちょっとは落ち着け!」
「私が止まった時は死ぬ時だから!」
「お前はマグロか!? バレるだろ!」
「これってCQC!?」
ジャンプしてるマヤちゃんを抑えるリゼ。それを後ろから見てるシャロ。
「先輩......あんなに楽しそうにじゃれあって!わー!て言うか私何してるの!? 盗み見なんてバレたら嫌われる!」
何か勘違いをしてるシャロ。
「あれ?さっきからあまり動かないな」
「何見てるんだろ?」
青山先生は、後ろに向いて頭を抱えてるシャロを見ている。それにしても———
「「どうして......」」
「何故......」
「動かないんでしょう?」
リゼとマヤちゃんを見てる、シャロを見てる、青山先生を見てる、リゼとマヤちゃん。奇妙な三つ巴状態になってしまった。何をしているんだか。すると———
「なっ!ば......ば......ば......バイトがー!私のバカー!」
バイトに遅刻しそうなり、走るシャロ。
「シャロ?」
「待って下さーい!」
シャロを追いかける青山先生。
「青山さん!」
「待ってよ!青ブルマ!」
「その呼び方はやめろ!」
さすがにその呼び名は酷い。すると青山先生がこけてしまった。
「こけた!」
「尾行はもうやめだ!」
2人は青山先生に急いで駆け付ける。
「大丈夫か?」
「早くシャロさんを追って下さい!」
「えっ?」
「私が見守るシャロさんが最近ストーカー被害に遭ってるらしいんです!この間店に行った時に怪しい気配を感じるって!」
「お前だよ」
実のところ、リゼとマヤちゃんは、ある2人に尾行されてるのを知らなかった。
「えっ?私はネタを探すためにシャロさんを尾行して観察していただけですが」
「それだよ」
「あらまあ」
尾行してたのは、チノとメグちゃんだった。
「私達の尾行気付いてないみたいだね」
「刑事になれそうですね」
「じゃあ私たちコンビだね!ターゲットを追い詰めよう!二羽うさぎの刑事だね!」
「に......二羽うさぎ......おー!」
すると目の前にうさぎを見付けた。
「あっ、うさぎです」
「それは見逃せないねー」
2人は再び歩くリゼとマヤちゃんを尾行する。
「ドキドキだね」
「スリルがあります」
「ううん、違くてね」
「ん?」
「チノちゃんと2人っきりってあんまりなかったから楽しいなって」
純粋なメグちゃんを見てチノは顔を赤くした。
「なっ......アイスが溶けそうです!」
メグちゃんが持ってるアイスが溶けそうになってる。
「あっ!危ない危ない!いつも落としちゃうからチノちゃんいて助かったよ」
だが溶けて落ちてしまった。
「今落ちましたが......!」
「あっ、アリだよ」
「見失ってしまいます」
そんな2人をココアと千夜が何故か変装しながら尾行してる。サングラスを身に付けて、帽子とコートを着ている。
「チノちゃんとメグちゃんったら」
「私達の尾行に気付いてなかったみたいね。顔見知りを尾行する時はイメチェンスタイルで!」
「千夜ちゃんのアイディアは完璧だね!」
走ってるチノとメグちゃんを追いかける2人。
「でもどうして2人の後を?」
「妹たちを見かけたら見守るのがお姉ちゃんたちの役目だよ!」
どんな役目だよ。
「リゼさんと働くのって楽しそうだよね」
「そうですか?」
「私も褒めて褒めて!」
ココアは何がしたいのか。
「公園!ジェラート食べたい!」
「またアイスか」
リゼたちが公園にあるアイス屋の屋台でアイスを買おうとすると———
「あれ?シャロ?」
「先輩!」
屋台でバイトしてるシャロを見付けた。
「ここでバイトしてたんだ」
「じぇ......ジェラートですか?えーと......」
「じゃあ」
「今日はこの格好だとちょっと暑いね......」
「我慢よ......これを脱ぐのは使命を放棄した時だけ!」
「そ......そっか」
「全ては形から!」
「う......うん!」
だが、ココアと千夜は暑苦しいのか息を漏らす。チノとメグちゃんは後ろから邪悪な気配を感じて怯えていた。リゼとマヤちゃんはベンチに座りながら話をする。
「ねえリゼ。ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「何だ?」
「今の学校楽しい?」
「そうだな。設備はしっかりしてるし射撃場はないけど良い所だよ」
「射撃場は無えよ」
そう言ったマヤは悲しそうな表情をする。
「友達と進む学校が違ったらもう親友じゃなくなっちゃうのかな?本当はね、チノとメグと3人で同じ高校に行きたかったんだ」
「「あっ!」」
「そう考えてたらいても立ってもいられなくなっちゃって。リゼならこの気持ち分かってくれるかなーって。ほら私、考えるより先に手が出るタイプだから!」
高速でジャブするマヤちゃん。
「手が出たらダメだろ!行動するタイプだよ!そうだな。私がよく会ってる奴らは学年も学校も違うけどそれはそれで楽しいぞ。いつも一緒にいるだけが友達じゃないだろ。大丈夫だ」
「あっ......うん!そうだね!私もリゼと遊べて楽しいもん!」
「遊んでたのか......」
「マヤちゃーん!」
「そんな事考えてたなんて!」
感動したチノとメグちゃんが姿を見せた。
「リゼちゃん!」
「私たちズッ友だよ!」
今度はココアと千夜が出て来た。
「お前ら何なんだ!?」
「ストーカーの輪がとっても美しかったです」
いつの間にか青山先生が左のベンチに座って聞いていた。
「いつからそこに!?」
「シャロちゃーん!」
「ん?」
「ジェラート下さいな」
「私にも」
アイスを買いに来たココアと千夜。
「あんたたち何してんのよ?てか何、その恰好?」
そしてみんなアイスを食べながら会話する。それを見るマヤちゃんは何かを感じた。
「......変なの!」
「「ん?」」
だがそんな7人を尾行してる者がいた。
「帰りが遅くて心配だから探してみたら、こう言うことじゃったか」
街灯の物陰から覗いてるティッピーだった。そしてティッピーを尾行してる人物がいた。
「親父、孫たちが心配だったなら、一言言って行けよ」
木の物陰から覗いてるタカヒロさんだった。そしてマヤちゃんは満面な笑みをして満足していた。そして、それらを全て見ていた者がいた。
「......みんな、何してんの?」
全員のデバイスに、GPSともしものための撮影機能と集音機能を付けていた僕だった。普段は使わないのだが、みんながあまりにも帰るのが遅いので、何をしているのか監視していたのである。
「ココアたちは早くラビットハウスに帰ってこいよ......今働いているの僕だけなんだから......」
「「ラテワードください!」」
「承知致しましたー!」
みんな早く帰ってこい!僕はココアたちにメールした。
伯方 玲の語られざる過去8
2020年2月6日、順位戦C級1組昇級により、五段昇段。
同年2月11日、旭日杯優勝により、六段昇段(五段だった期間は僅か5日だった)。
レイの弟子になるのは誰?
-
ココア
-
チノ
-
リゼ
-
千夜
-
シャロ
-
その他
-
誰も取らない